ずいぶん長い間書いていなかったのは、とくに書きたいことがなかったからだが、その他の理由としては、本を自炊つまりスキャナーでPDF化することに時間を取られていることと、アトピーがひどくなって気分も体調も良くないこともある。
それでは、自炊から一つ書く。その前に自炊自体についての変化についての報告をすると、今は縦書きの本はほぼ全て最後の方からスキャンしている。最初の方からスキャンすると読む時に読み進む行の方向とページをめくる方向が逆となる。また見開きで図や表があると左右が逆となる。それでも今までずっと千冊以上の縦書き本を最初からスキャンしてきたのは最初からが自然だという観念と後ろからスキャンすると読む時に最後まで戻らなければならないのは面倒ではという思い込みであった。最初は見開きの絵と写真が多い雑誌のみ後ろからスキャンしていたが、 iPadのiBooks画面の下のページ操作で簡単にスキャン文書の最終ページである本自体の最初のページに移れることがわかったので全て縦書き本は後ろからスキャンすることにした。この場合でも表紙は最初にスキャンする。これはiBooksの「コレクション」の表示用のため。以前にスキャンした縦書き文書はそのままだけどPDF編集ソフトには並び順を逆転する機能があっても良さそうだが僕は知らない。それから横文字の本と日本語でも横書きの本は当然前からスキャンだよ。
さて自炊やっていて気がついた話。僕のところにはコンビニで買った400円から1000円ぐらいまでのいわゆるコンビニ本が100冊ぐらいあった。あったというのはその大半はPDF化して現物の本としてはもう存在しないからだ。この前その中の『死後の世界を巡る!地獄冥界巡礼』(学研)をスキャンしていたら、「ゾロアスター教では、近親婚が称賛されるべきもので、それを実行しないと死後に最高天に行けない」との記述であった。ゾロアスター教は拝火教とも呼ばれ火の崇拝と善悪二神論で有名で古代イランでは国教であったがイスラム教に押されて現在ではイランとインドに少数しか信者がいない。ちなみに今月の日本経済新聞の「私の履歴書」はインドのタタ・グループ名誉会長のラタン・タタ氏だが、タタ一族はゾロアスター教徒である。
さて近親婚は世界中でほぼタブーとなっている。ホホウと思ったが、ふとタブーでないもうひとつの事例を思い出した。日本の奈良時代以前の皇室である。これが近親婚が多かった。例えば天智天皇と天武天皇は兄弟のはずだが、天智天皇の娘が二人も天武天皇の妃になっている。もっとも生年の記述の矛盾つまりある記録では弟の天武天皇のほうが年上になってしまうことから本当は兄弟ではないとの疑義もあるけどそれは少数意見。この天武天皇以外でも近親婚は普通であった。ところが僕が以前読んだ記憶では「近親婚は皇室のみの習慣で、庶民にはその習慣はなかった」と書いてあった。その民族の王の習俗が民族一般と違う。征服王朝だとありえるが征服王朝の形跡がない。もっと昔だと征服王朝の可能性もあるが白鳳時代の百年二百年以内にはない。それに近隣の朝鮮半島とか中国ではより近親婚の禁忌が強いので征服王朝の習俗ではあり得ない。
そこで思い出すのは松本清張に『火の路』という小説がある。昔読んだ。また栗原小巻主演のテレビドラマを見た。確かその小説では飛鳥の石造遺跡は斉明天皇が造らせたゾロアスター教の施設となっていたと思う。ここにつながったような気がする。なぜ一般にはない近親婚が古代の皇室で一般的だったのか。
次はアトピー絡みでの話し。思えばアトピーとは成人してからの記憶ではずっとつきまとわれている。つまり勤めている期間もずっとだ。2~3年ごとに顔の皮膚がボロボロとむけることがある。今もむけている最中だが。僕はこれを脱皮と呼んでいた。皮がむけることによって若々しく肌が出てくることを期待してだが。でもこうも考えた、細胞が分裂して再生する回数が一定ならば早く老化する可能性もある。どちらか、それとも中立かな。一応法令線が気になりかけているが大概の人は僕を60代とは思わずに40代に見えるらしいから脱皮効果もあるのかな。でもアトピーがひどい時期は体力も使うのでグッタリして年相応に見えるらしく揶揄されることもある。ああ、こんな自慢とも卑下ともつかない話は横におこう。
僕は数年前から漢方医に通っている。かかり始めた時はひどかったがかかり始めると治まってきた。漢方薬が効いたのか、単なる周期で治まったのかははっきりしない。何年かするうちに完治もしないし季節によってか症状も出てくるので、いつもの漢方薬の飲み薬の他にステロイド剤の塗り薬が処方された。僕はそれを塗ってもみた。また頭皮に一貫して炎症があるのでテレビで宣伝していた頭皮への塗り薬も買って塗ってみた。これもステロイド剤だ。でもこれがいけなかった。僕にはステロイド剤は効かないのだ。これをよく知っているはずなのにまた塗ってしまった。40年近くの時間の中でアトピー治療に医者にかかった時期が何度もある。その度にステロイド剤がで来るのだが全く効かなくて悪化の懸念もあった。今の漢方医にかかったのもステロイドを使わないためだったのに。「ステロイドは効かない」これはわかっているはずなのに数年たつとまた新たな医者のもとでその場の成り行きで医者の処方するステロイド剤を使ってしまう。どっかで見たような風景だと考えてみればバルブがはじけて散々こりたはずの経済人が何年か経って次の世代になってくると今度は違うと言い始めてバブルに突入して行くことだ。そうした経済人を愚かな奴らと馬鹿にしていたが、同じようなことを自分もやっていたわけだ。これは人間の業なのかな。
今では僕には効かないステロイドだが実はすごく効いた時があった。まだ学生のころ耳がただれたところ、そのころ副腎皮質ホルモンと呼ばれていたステロイドを塗ったところ翌日ただれたところのカサブタがスルリとおちてキレイな皮膚が出てきた。こんなよく効く薬があるものかと驚いた。それから何年かして就職した後だけど、職場の近くの薬局で副腎皮質ホルモン剤はないのかと聞いたところ、主人はあれは副作用があるから良くない旨のことをいっていた。そのころから副作用が問題になっていたのだね。
ところで最近アトピーについて1冊の本にであった。Kindleの電子図書だけど、アトピーのために捜して見つけたのではない。実は陽明学関係でなにかないかとAmazonのKindle本を「陽明学」で検索していたら、竹本重友氏の『心が楽になる26の言葉』という本があった。これは王陽明の言葉についての本。早速購入してみると竹本氏は同じKindleの電子本で『アトピーが消えた!!』という本を出していることがわかった。もちろんすぐに購入したよ。
竹本氏は鍼灸師だから当然東洋医学陣営の人。だからステロイドには批判的。もちろん僕の漢方医みたいにステロイド剤を適宜利用する東洋医学(漢方)の人もいるけど。さて竹本氏は「アトピーは体内をキレイにするための浄化反応」という。もちろんアトピーのない人は体内がキタナイ人というわけではない。アトピーのない健康な人はもともと体内に毒素のない人か別の方法でうまく排出している人だろう。だから竹本氏はアトピーを「緊急的措置」という。だからもし僕がアトピーが出なかったら他の病気で死んでいたかなとも思う。癌とか糖尿病とか痛風とか、外見からすぐにわからないけどいろんな病気になってしまう市職員は多いなあ。僕のアトピーは顔の皮むけや激しいフケなどで目立つけど死ぬよりはマシなのかなあ。
ところでステロイドに戻るけど、ステロイドというのは日中戦争の時の「一撃論」に似ているな。盧溝橋事件が発生した時に陸軍上層部では不拡大論と一撃論に分かれた。もちろん対ソ戦争にも備えなければならないのでズルズルと対中戦争に入り込むのは誰も良くないと考えている。そこで出てきたのは交渉によって紛争を収めようとする不拡大論と、ここは懲らしめのため中国軍に一撃をくわえて抑え込もうという一撃論だ。まあ結論から言うと不拡大論にしても日本がそれまでに中国大陸で得てきた利権を手放さないことを前提とするならば交渉しても一時的休戦にしかならず火種は常に残る。参謀本部の石原作戦部長や日本政府は満州国を認めてくれたら他の中国本土から撤兵しても良いと考えていたらしいが他の陸軍幹部も中国側もそれでは納得しないだろう。 それにもはや日本には国論をまとめ従わせるリーダーはいなくなっている。一撃論は圧倒的に強い日本軍が一撃を加えれば中国は恐れおののいて従わざるをえないというもの。これまでの経験から日本軍は10倍の中国軍に匹敵するという確信のなせるわざだ。でもそれが希望的観測にすぎないことがこの直後の第二次上海事変であきらかとなる。
ステロイドが一撃論に似ているというは、若い人で初めてアトピーの治療を受けた場合ステロイド剤の塗布でたちまちアトピーが治るという事例が多いためだ。だからステロイド剤は効かない事例が多いうえに副作用が強いとわかっていても医者はとりあえずステロイド剤を処方する。だから僕みたいに治らないので医者をやめてまた数年して別の医者に行くと再びステロイド剤を投与されることになる。今の漢方医の場合、アトピーで漢方医に来る人は西洋医学で治らない人つまりステロイド剤が効かない人なので、はじめは当然漢方薬の処方のみでステロイド剤を使わなかった。ところが長い治療しても症状が改善しなのでつい効くかもしれないとステロイド剤を処方してしまったのだ。僕もその時ステロイド剤は効きませんと言えばいいのだが、ひょっとしたら今度はと思ってしまって塗ってしまったのだ。状況を精査しないで誤って一撃論を用いてしまったのだ。
ところで竹本氏のアトピー感はオーストリア学派の不況感にも通ずる。アトピーは体内浄化の緊急措置でそれをステロイド剤で排出口を無理やり塞ぐと体内が浄化されずに結局は悪化するというもの。オーストリア経済学では不況は非効率な企業を淘汰する浄化作用で、それによって社会は再生して発展するというもの。財政政策や金融政策で不況対策を行うとゾンビ企業を温存させかえって不況が長引く。アメリカの大恐慌も政府が対策を怠ったから大恐慌になったのではなく、不況対策を行ったから恐慌が長引いた。現にその前の恐慌では本当に政府は何の対策をしなかったのですぐに経済はV字回復した。
ケインズ的公共投資も良く効果があった時があるかもしれないけど、最近の経験では成果はほとんど現れず国債残高が増える一方だ。本来なら景気が良くなって税収が増えて国債は償還されて国債残高が増えることはなのだが。公共投資は景気対策に効果がないということで第二次安倍内閣の前までは公共事業が抑制されてきたが、今は国債を日銀がみんな買うからどんどん発行して公共事業をしようという。土建業者は安倍内閣ができて「日本を取り戻した」と喜んでいる。あのね、僕にステロイド剤が効かないように、今の日本にはケインズ政策は効かない。え!今建設業界は景気がいいって?サラ金で借りてきた金で豪遊しているのを景気がいいと言うのか。