セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

参議院選挙後の感想

2013-07-27 18:00:22 | 社会経済

しばらく書いていないので書いてみる。

まず自炊は続いている。しかし自炊ばかりしていては何もできないのでなるべく夜テレビを見ている時にスキャナーをまわして朝昼は他のことをしようとつとめている。最近のふと気づいたのだが本をPDF化したファイルを誤って消去したら何百万円分の書籍が消えてしまうことになる。そこで外付けハードディスクを買ってきてファイルのコピーを作ることにした。今のところコピーには約1時間かかる。

誤って消去してしまう危険はPDFファイルは保存しやすいようにデスクトップに置いていることによる。実は書籍をPDF化するに当たってフチ切りの不完全による接着のためか紙質自体の相性のために二枚重なってスキャナーをすり抜けるものがある。その補正のためPDF組換えソフトを使って本一冊のPDFをバラバラにして間に欠損ページ分を組み入れたりすることがある。そうした作業のあと使ったPDFの断片をゴミ箱に消去してデスクトップ画面をきれいにしている。その時ウッカリすべてのPDF化した書籍の入ったファイルを消去しかけてビックリしたわけである。

スキャナーで読み込んだあとの本は紙資源にだしている。したがって究極には我が家には一冊の本もなくて、ただコンピュータの中にPDFファイルのみが残る。そのときもし誤ってそのファイルを消去したら究極の断捨離で悟りが得られるかなあ。

さて参議院選挙の感想をこの機会に書いておこう。自民党の過半数超えは予測のとおり。僕のシナリオをどおりに進んでいる。僕のシナリオは財政破綻による日本改革なので安倍首相はいい仕事をしていることになる。僕の想定では財政破綻後の日本再建にはリフレに手を染めなかった与野党の政治家が中心となる。リフレに手を染めた政治家は資質的に正しい政治が行えないことが明らかに証明され、A級戦犯で公職追放だ。

僕の想定では自民党では河野太郎と小泉進次郎が残るのではないかと思っている。参議院選挙の特集番組をみて、やはり小泉進次郎は間違いないと思った。小泉進次郎は自民党の青年局長なので自民党の党執行部の一員なのだが、参議院選挙時には選挙の行方にあまり関係ないと思える被災地や離島ばかりを遊説していた。その意味はアベノミクスなどの安倍首相の政策に触れたくないからだ。つまり内心では批判的だからだ。都市部の激戦地にいくと野党との競合で大勢の人々の前で与党の経済政策の成果を強調せざるを得ない。その点離島で数十人から数百人からの人の前でその土地の言葉でその土地の産物についての話の他は「みなさんは今の自民党に満足していますか」の話だけだ。聴衆の中にはアベノミクスに幻惑させられていて「満足している」という人もいて進次郎氏が戸惑うこともあるが、ともかく小泉進次郎氏はこれでアベノミクス敗戦のA級戦犯にならずにすむ。

しかしすでに否定されたはずのものが安倍内閣のもとで次々大手を振って復活している。公共事業による景気回復は効果がないことが明らかになっていたはずなのに復活している。国家公務員の天下りも良くないとのコンセンサスがあったはずなのにテレビをみると当選した自民党議員が「役所人事の若返りには必要」と述べている。これが安倍内閣の本質だから小泉元首相の息子としては安倍首相とは距離をおかざるをえない。

数日前の本の新聞広告で日本の中国研究者の人が中国の歴代王朝の盛衰は同じパターンの繰り返しだから共産党政権もそうなる趣旨の本を出しているらしい。共産党政権の前の国民党政権が違うような気がするので共産党も別の形で崩壊する気がするのでその本どおりではないかもしれない。むしろパターンをいうなら中国の統一と分裂の繰り返しの方が多いにありうる。統一あれば分裂ありが中国の歴史。踏み込んで予言じみたことを言うと、原発事故により中国内部に空白地帯ができそれを契機とした中国の分裂だ。中国の解決が難しい難問は水(水不足と水汚染)と空気(大気汚染)にそれに予測される土(原発事故による土壌汚染)が加わる。原発事故は空白地帯を作り物理的に中国を南北に分けるだろう。

オット話がそれた。実は日本の歴史にもパターンがある。体制の末期に人々から英明と期待される貴公子がでてくるが、結局その貴公子が体制崩壊の元となるもの。徳川18代将軍徳川慶喜であり近衛文麿首相だ。この二人の共通なのはそれまでに実績がないのに英明との評判をとったことだ。徳川慶喜は御三卿の出身で領国を経営したことはない。御三卿というのは領地がなく幕府からの米や金子の支給を受け家臣も幕臣の出向だ。近衛文麿も役所勤めとか代議士経験があるわけではない。ではなぜ「英明」との評判がたつのか。それは幼い頃から周りの人びとが期待し喜ぶことを察知しそれを言う能力に長けているからだ。

安倍首相も全くこのパターン。前の首相のとき「失われた年金はすべて解明します」と言った。もちろん出来なかったし、もともの「すべて」は不可能だ。「できる限り努力します」ならよい。でも彼は言い切ってしまうのだなあ。それは聞く相手が喜ぶから。あきらかに味方にならない人は非難するが、味方になりそうな人にはその場その場で相手が喜びそうなことを言う。当然矛盾する事もでてくるがいつも本気ではないので気にしない。話がちがうと文句もでそうだが、再び面と向かって快い言葉を言われると過去のことは忘れてしまう。カルト宗教信者と同じだ。だから安倍首相こそこの時に出てきた「奇跡の人びと」だ。

ところで最近の出たリフレ派の本を立ち読みしたら「インフレーションは金持ちほど不利だ。金融資産を持っているが価値がへるから」と書いてあった。これは論理的な誤謬でもあるが悪質な歪曲でもある。論理的な誤謬というのは、貧しい人びとはその収入のすべてを生活物資の購入に使わざるを得ない。だからインフレによる生活圧迫はほほ100%に及ぶ。だから富裕層が貧乏人より不利だということは論理的にありえない。エジプトでもブラジルでもインフレにより庶民のデモが起こっているが、かの国のDJポリスが「富裕層の人はもっと苦しんでいるが経済成長のためにガマンしているのです」と言った話は聞いたことがない。

悪質な歪曲というのは、金持ちの金融資産は現金や預金で持っているのはホンの一部だ。金融資産といえば株式や投資信託だ。これらはインフレになれば値も上がる、いやインフレにするという目的のために金融緩和で値を吊り上げようとしている。また富裕層はインフレになるとすでに持っている金融資産や不動産を担保に金を借りその金で新たな資産を買い求める。かくしてアメリカでは金融緩和により1%の人間に国中の富の4割が集中した。金持ちが豊かになれば回り回って底辺層も豊かになるからひがむべきではないという意見がある。この間、藤沢数希氏がブログで「アメリカで富裕層が豊かになったが、庶民も2%だが所得が増えているからトリクルダウン効果はある」と書いたところ、多くから「2%名目所得が増えても3%のインフレだから実質は1%の所得減だ」との声が寄せられた。藤沢数希氏は反リフレ派だけど金持ち相手の金融マンだからトリクルダウン効果を信じたかったのか、それともわざと突っ込まれるようにしたのかは不明だ。でも藤沢氏のブログに載せたグラフからの必然の結論では99%の非富裕層が所得を減らしているのは明らかだ。お金持ちになる確実な方法は作家にとか歌手あるいは宗教家にせよ幅広い庶民から少しづつお金を集めること。インフレは大衆収奪のその際たるものだ。