セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

映画鑑賞ノート:「ジェネラル・ルージュの凱旋」

2009-03-11 18:52:18 | 文化
今日映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」を見た。物語の内容にふれるので、原作も映画もまだ見ていない人はこの先は読まない方がよいかも。

いい映画だった。病院が舞台の犯罪ものだ。実は同じ原作者の「チーム・バチスタの栄光」は映画ではなく、テレビドラマで見ていたが、「バチスタ」の方は医師が手術中の患者を意図的に殺したという異常な結果だったが、「ジェネラル・ルージュ」の方は、もちろん殺人もあるが、結末は感動的な良い結末だ。筋をばらしてしまえば、業者と癒着していると匿名文書で批判されている救命救急センター長の医師は、実は業者からのリベートを緊急医療の資材に換えて医療の赤字を減らすとともに、非常事態に多くの被災者を受け入れるための準備をしていたのだ。ここまで書いて、あれ?これって役所でいう裏金づくりと同じことに気づいた。でも役所の裏金は予算消化という消極的・退嬰的な面が強いので、共感できないが、救命救急センター長の行為は救急医療の在り方を見据えたこういだから共感はできる。ただし映画の舞台の病院でも懲戒の対象にはなった。

でもまたシンクロシニティと思うのはここ数日間読んでいる歴史小説に同じようなケースが出ていたことだ。その本は西津弘美「立花宗茂 士魂の系譜」(葦書房)だ。僕の大好きな戦国武将の立花宗茂が主人公の歴史小説。立花宗茂というのは少しもぶれないで義を貫いた数少ない武将の一人だが、あんまりポピュラーではない。最近、大河ドラマの関係で直江兼続と上杉景勝を義将としてもちあげているが、その二人は上杉景虎の子供を約束を破って殺している。来週あたり大河ドラマでどう表現するか興味がある。きっとやむをえない事情とか事故とかで処理するかもしれない。だが立花宗茂にはそんなぶれはない。だから本当の義将とは戦国時代で立花宗茂と上杉謙信のたった2人かもしれない。

話がそれてしまった。同じようなケースということに戻ると、立花宗茂の重臣に小野和泉守という人がいた。彼が城中に出入りの業者から賄賂をとっているという噂がたった。そこで同僚の重臣が彼を問いただしにいったところ、同時に太閤秀吉から朝鮮へ出兵するよう命令が来た。ところが出兵には金がいる。ちなみに島津家は軍資金がなくて非常に苦労したらしい。立花家にもそんなお金がないが、じつは小野和泉守をこの時を見越して業者からの金を貯めこんでいたのだ。ちなみにこの小野和泉守の子孫がオノ・ヨーコのはずである。

「ジェネラル・ルージュ」の救命救急センター長の速水晃一は堺雅人が演じている。いい味が出ている。