セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

大川隆法氏の出馬

2009-07-25 21:32:00 | 社会経済
このブログの4月5日に「己丑(2009年)換局 国政編」というタイトルで「中国の歴史上の王朝が末期となるといつも同じような特徴が出てくる。幼い皇帝が立てられそれが短い期間で次々と替わる。外戚と宦官の勢力が強くなり権力を壟断する。人民が疲弊し家を失った流民が多く出る。」と書いてそれが自民党政権末期の現在日本にも当てはまると指摘した。しかし実は中国王朝末期にはもう一つ大きな特徴があったが、そこだけが違うかなと思いあえて挙げなかった。それは妖教跋扈だ。それがなんと、幸福実現党の出現でそろってしまった。これで自民党政権の終焉の条件は全部でそろった。歴史とは恐ろしいものだ。

幸福の科学の大川隆法総裁が、総選挙に出馬することになったそうだ。それも幸福実現党の党総裁に就任して東京比例区からだそうだ。妻の大川きょう子氏は党代表の肩書のままだから党総裁と党代表どっちが党首なのかややこしい。まあ幸福の科学と幸福実現党は同じものだから大川隆法氏が大将には違いないけど。

都議選が惨敗なので、われわれ外部の野次馬は、衆議院選挙告示前に名誉ある撤退を考えた方が無難なのに、なぜわざわざ恥をかきに出てくるのだろうと思える。だが大川氏は自分が出ればミラクルがおこり大逆転できると本当に思っているに違いない。

だが、幸福の科学という同じ幻想集団の中では彼は王様どころか神になったのだが、選挙という形で一般社会と触れ合ってそのリアリティにぶつかると非常なパニックに陥ることになる。オウム真理教の麻原という先例がある。オウム真理教が選挙に出ようとしたとき上祐という弟子が当選は無理だからやめろといったが、麻原は当選できると信じていて押し切った。惨敗のあと麻原はパニックに陥りテロリズムにまい進した。

だいたい大川氏自身が、受験勉強はできるが、現実問題への対応は苦手で、商社に入ったが実務がうまくいかず適応障害に陥ったのではないか?それはかの有名な講談社との事件から推測するのだが。あの事件で景山氏が言論人としてあるまじき行動を起こしたことが、その後の彼の奇妙な亡くなり方とともに人々の記憶に残っている。話は戻るが、大川氏はその後、受験勉強の方法を活かし過去の宗教者や思想家の要点をまとめ一連の霊言集を出したが、それがある種の読者をつかみヒットした。ここまではなら自分にあった天職をつかんでよかったなと言いたい。

でも勉強家はオタクにはかなわない。仏教問答では仏教オタクのオウム真理教に完敗して馬鹿にされた本までだされた。ちなみに僕はその本を買った。

しかしなんと霊言の受信者に留まっていないで、お客である崇拝者の願望に応えるためか自身の慢心か、たぶんその両方からだろうが、自分は仏陀の再臨と言い出したのだ。その幻想集団内において彼は万能の神でありえた。外部との接触も同じような人々が相手の信者獲得なので問題はない。しかし講談社との紛争は公式には景山氏や小川知子氏が自主的にやったことにはなっているが、世間は一般外部社会である講談社との摩擦というリアリティに恐慌を起こした大川氏の指示によるものと思っている。フライディの記事内容はありふれた誰にでも起こりうることで決して不名誉なことではないが、万能感を持ち始めた彼には商売の上からも耐えられなかったのだろう。しかしこのことは彼が外部のリアリティに触れるとパニックをおこしやすいことを暗示している。

世間では、幸福実現党の実現を、オウム真理教の再現か、20世紀少年の悪夢の現実化かと評論している。オウム真理教に近い道を行くだろう。つまり惨敗するということだが、テロルには走らないと思うが、大川氏が外部社会のリアリティに直面して教団と大川氏自身に大きなトラウマを残すことは多いに考えられる。

幸福実現党の怪

2009-07-23 23:14:08 | 社会経済
衆議院も解散され、日本社会は暑くて長い選挙戦に入った。解散から投票日まで真夏と重なる史上最長の40日間とのこと。熱中症で倒れる候補者も出るのではないのか。自転車で回る河村式の選挙運動は中高年ではもうアウトだ。河村さん市長になっていてよかったね。きっと運がいいのだ。ひょっとしたら総理になれるかも。

さて今回の総選挙の珍風景は、幸福の科学という宗教団体のつくった幸福実現党という政党がほぼすべての選挙区に候補者を立てることだ。しかしこの総選挙がこの党の初戦ではない。じつは2週間ほど前に東京都議会議員選挙がおこなわれてそこにも多くの候補者を立てたのだ。そこでびっくりする結果が出た。多くの当選者が出たというのではない。まったくの惨敗だったからだ。すべて候補者は泡沫候補並の得票で供託金の没収となった。

びっくりしたわけは、月刊誌の「文藝春秋」8月号のインタビューで、幸福の科学の主宰者の大川隆法氏が、「幸福実現党は公明党より集票力がある」「総選挙では自民党の大派閥ぐらいの当選者はでる」と言っていたからだ。創価学会の人ならば親類知人近隣のなかで普通に見かけるが、幸福の科学の会員はあまり見えていない。だから大川発言はまともにはとれないが、当選者は出なくとも次点になる人が何人かはいるだろうと思ったが、それが全員供託金没収なのだ。あるブログでは、この結果から幸福の科学の信者数は全国で30万人程度と推計している。

「文藝春秋」での大川氏の発言は景気のいいものだ。読んでいると、主宰者でも宗教団体というよりネズミ講的な利殖団体の主宰者という感じだ。僕からみれば「オヤオヤ」だが、こういう話をする人にしびれる人は世の中にいっぱいいるのだ。

ところで幸福実現党の政策にも触れておこう。幸福実現党は北朝鮮の核ミサイルの脅威を強調して「核ミサイルの発射準備を察知したら先制攻撃をする」と言っている。脅威をあおっての扇動政策は良くないな。外交軍事論的にいえば、北朝鮮が核ミサイルで先制攻撃してくる確率は、中国ロシアおよびアメリカ等の核保有国の中で一番小さい。幸福実現党のビデオ映像では数発の核ミサイルが東京や名古屋などに打ち込まれるが、そうしたら北朝鮮はおしまいなのだ。核ミサイルでうまく日本に大打撃を与えても、通常兵力のポンコツな北朝鮮は、手持ちの切り札を最初に使ってしまい、あとは日本の自衛隊の残存兵力及びアメリカ軍により滅ぼされる。繰り返しいうと、使わないから北朝鮮にとって核ミサイルは戦略的な意味がある。これは軍事の常識だ。非常識な独裁者が気がくるってミサイル発射スイッチを押すのではという危惧を持つかもしれないが、ミサイル発射には燃料の注入などの多くの人と部署がかかわり、それらのもの全部が破滅が明らかなことを行うことに賛成するわけがない。恐怖心をあおる扇動政治はよくない。

次に2030年までに日本の人口を3億人の世界一のGDPにするという政策だ。この党の思考回路は朝鮮労働党とよく似ているな。ところが少子化対策はほとんど無策にちかいピント外れだ。「安い住宅の提供」は都市の高層化によるそうだ。ニューヨークより高層化が低いから高層化すれば職場にちかい住宅が多量にできるとのことだ。都市の高層マンションとはいわゆる億ションではないの。費用などを考えずに空想で政策を作っている。あと「公教育の充実」で塾に行かなくなるので教育費が安くなるとのことだが、かりに公教育が充実しても塾に行かせる家庭は行かせる。また今子供を作れない家庭は子供を塾に行かせる以前の問題だろう。少子化の問題点は、結婚してやっていける賃金なのかの問題、女性が子供を産んでも働けるか収入を維持できるか子供を養育できるかという社会と職場制度の在り方が重要だ。この党の政策はまったく世間常識からずれている。

こんなお寒い少子化対策の他方では、ダイナミックな政策が出ている。大量の移民の導入だ。2030年に3億人の人口だとするとあと21年で1億8000万人増えることになる。老齢人口が増えて減少傾向が加速し始めている日本だが、仮に減少を食い止めても2030年には原日本人1億2千万人にたいして移民が1億8千万人で、原日本人はマイノリティになってしまう。いま中国では農村からの人口の数百万単位での流失が大きな流れとなっている。中国は経済成長率が6%以下になるとその農村からの過剰人口を都市が吸収できなくなり社会が崩壊する危険があるといわれている。したがって大幅な移民の導入は中国人の導入にならざるを得ない。大川隆法氏は憲法を改正して元首としての大統領制にすると言っている。そうすると2030年には中国系大統領になり、言語も中国語が公用語になるぞ。悠久の歴史の中ではいろんな変動があり、すぎてしまえばそれがあたり前に受容されそれが歴史の一部になることもあるが、このような20年たらずの急激な変化では国家のアイデンティティが崩壊して日本国の滅亡を今の若い人は体験することになるぞ。

都議選の惨敗にもかかわらず相変わらず強気な幸福実現党だが、総選挙ではどうなるだろうか。まず第1のシナリオは、すべての選挙区で供託金没収で当選者は比例も含めてゼロ。都議選の結果から類推するとこれが一番ありそうだ。

第2のシナリオは、いくつかの選挙区と各地域の比例である程度まとまった当選者が出る。都議選の結果とは矛盾するが実はある作戦があったとしよう。その作戦は、都議選では本当は多くいる幸福の科学の会員が指令を受けてわざと投票しなかった。だから都議選の投票数は純然たる野次馬票だけだった。なぜこんなことをしたかというと、他政党とりわけ動員力のある公明党=創価学会を油断させて本番の総選挙で妨害をうけないようにするためだ。ア!幸福の科学の会員の人、そんなに喜んではだめ。この戦術もありえない。だってこんなことすれば、会員以外の好意的な支持者も票の有効力を考えて他党に投票するから、極めてまずい戦術だもの。

第3のシナリオは、大川氏の発言通り、自民党の大きな派閥ぐらい、すなわち70名ぐらいの当選者が出るという。これは奇跡だな。でもこれはあり得ない。奇跡がありえないというわけではない。僕は奇跡の存在を信じるものだ。でも奇跡にはマイナスの奇跡もある。有名な女占い師がいる。その占い師がテレビ番組で金髪の落語家を「あなたはもう神様」などとほめちぎった。ところがその後すぐに、金髪落語家は妻から青天の霹靂で離婚を求められた。2人そろった記者会見では「愛していたことはなかった」といわれる始末。この女占い師を母のようにしたっているというモンゴル人力士も大きな災難にあった。マイナスの奇跡ってあるのだと思った。聖書には偽預言者を見分ける簡単な方法として「悪い木から悪い実しかならない」と書いてある。幸福の科学はどうか。むかし幸福の科学は三塚元運輸大臣を哲人政治家ともちあげて総理になることを期待するといった。その後三塚氏は汚職事件等にまきこまれるなどして急速に凋落して亡くなった。たまたま良い木から悪い実が出たのかな?でも聖書はそうは言っていない。だとしたら第1のシナリオしかあり得ないことになる。

この文の書いているとき急に意識をうしない、夢に20世紀の最大の哲学者のひとりのカール・ポパーがあらわれて次のことを言った。エ?20世紀の最大の哲学者はウイットゲンシュタインかハイデガーでポパーではないって。君はしらないのか、ポパーはウイットゲンシュタインと直接対決して、火かき棒をもったウイットゲンシュタインを退けたのだぞ。
直接対決といえば幸福の科学とオウム真理教の仏教問答はオウムの完勝と記憶されているな。余分なことだけど。

(付録)カール・ポパーの霊言
カール・ポパーです。下界の日本では幸福実現党という名前の政党ができたそうですね。でも生前にもいいましたが、政治で幸福は実現できません。政治で幸福を実現しようとする試みは常に地獄を作り出してきたのです。ロシア、カンボジア、中国そして北朝鮮を見なさい。地上の天国とはこの世の地獄です。政治にできるのは起こりうる災いを最小限にする努力です。