salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

本の感想・不思議タイトルの意味

2007-08-09 00:10:14 | 本・雑誌
作詞していて、「タイトルが安易」だという
指摘を受けがちな私としては
本のタイトルもすごく気になるし
自分にとってのヒントにもなる。
「ジャケ買い」ならぬ、「タイトル買い」ってあるし。

で、今回読んだ本は
『見えないドアと鶴の空』(白石一文・著 光文社)

うーん、思わせぶりなタイトルですねえ。
わからんですねえ。
しかもカバーイラスト、これは宇宙人??
この作家の『僕のなかの壊れていない部分』も
タイトルに惹かれて読んだ。
タイトルからは繊細なイメージを抱いたけれど
繊細、かつ骨太で
一筋縄でいかない作家だなあ、という印象だった。

今回の『見えないドア~』は、好き嫌い、分かれるだろうな。
夫婦と妻の親友の、簡単に言っちゃえば
三角関係をきっかけに
それぞれの関係の秘密やほつれが
どんどん露になって、修復きかなくなって
あらららら~、という話だけど
もちろん、そんな単純なものではありません。

人間関係とは「魂と魂の関係」を築けるかどうか。
この「魂」が、主題(とみた)。
(主題とかいうと、国語の勉強みたい…)

人間の肉体は滅びても、魂は永遠で
それはときにやさしく、ときに恐ろしく
私たちを支配しかねないもの。
つまり、結局私たちは、自分の力の及ばないものに
生かされている、あるいは動かされている。
そんなことを考えさせられる。
だからこそ、「魂と魂」で感じあえる相手とは
よくも悪くも、離れられないのだ、と。

誰かと「波長が合う」という感覚が、昔からある。
「気が合う」とは少し違う。
仲のいい人に対し、必ず感じるものでもない。
何も話さなくても、近くにいなくても
わかるようなもの。
これも「魂」なのかなあ??

この小説は、超常現象や悪霊や
ホラー映画のワンシーンみたいなのも
出てくるので、そういうのが苦手な人
(怖いのがイヤ、または、鼻からバカにする人)は
たぶんダメかもしれない。
それはあくまでも「しかけ」なんだけどね。

ラスト近くになって
やっとタイトルの意味もわかりました。
案外、そのまんまでした(笑)。
ラストは、「えー、そうなっちゃうの??」と
私は思ったけど。

あとがきのような部分に書かれた
著者の小説への思いに、胸を打たれました。
それが目にとまったのが
私がこの本を読み始めるきっかけでした。
魂が揺さぶられた…、のかもしれないね。