黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

キッチュ(まがいもの)な時代――私たちは何を頼りに生きていけばいいのか

2014-11-12 17:26:02 | 仕事
 このところ、新著に関する事務的な処理を行う合間に、運動を兼ねて家庭菜園の「整備(片付け・掃除)をしているのだが、外仕事をしていて一つ気になってならないことがある。それは、ほぼ毎日、朝と夕方榛名山麓(相馬が原)にある自衛隊第12師団から飛んでくるのだろうが、頭上を1機なしは2機の軍用ヘリコプターが飛び交っていることである。
 最初は「ドクター・ヘリ」かなとも思っていたのだが、それにしては前後に二つのプロペラを付けているので、これは沖縄でよく見かけた軍用ヘリだと思い、「何のために」という疑問を持たざるを得なかった・思い出せば、如上のような自衛隊のヘリが我が頭上を飛び交うようになったのは、第12師団(相馬が原)から多額の「協力金」を得ている榛東村が、あの危険きわまりないオスプレイの「訓練基地」として承認すると発表して以降である。
 オスプレイの訓練飛行の「露払い」として(あるいは、米軍との共同訓練を想定して)自衛隊のヘリが群馬県の空を飛び回っているのかも知れないが、こんな何気ない光景からも、安倍政権が「戦争への道」を切り開こうとしていることの「一つの証」を見る思いがする。
 折しも、今朝の新聞は一斉に「安倍内閣、解散、総選挙か?」というニュースを第1面で報じた。しばらく前から、「消費増税を見送りを理由に、解散総選挙」は報じられていたから、さほど驚きはしなかったが、各紙が伝えるように「大義名分なし」「政権維持を目的に」という、この忙しい年末を迎えての解散・総選挙、この仕儀は安倍晋三という政治家が「権力亡者」でしかないことを証明するものに他ならず、六百数十億円という巨費を費やす総選挙は、税金の「無駄遣い」であり、まさしく国民を愚弄するものである。
 「輸出」産業=大企業と金融機関だけが「儲かって」、非正規労働者のところにまでその「効果」が及ばないアベノミクスの「失敗」や特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認、「武器輸出三原則」の見直し、原発再稼働、原発輸出、「政治とカネ」問題に端を発する閣僚の辞任、等々の「悪政」を理由に「国民に信を問う」のであれば、解散・総選挙もそれなりに意味があるだろうが、それらは「既定の事実」としてそのままに解散・総選挙に打って出ようとしている安倍政権、そこには「国民の生活と暮らしを守る」という政治の本道はなく、あるのは己の「欲望」を満たすため、何とも情けないことだが、本当に僕らはこのような「キッチュ」な政治の下で今を生きていかなければならないのだろうか。
 ただ、これを機会に、安倍「極右」政権に打撃を与えることも可能である。僕らはそのことを信じてこの事態に立ち向かわなければならないのだが、それにしても「野党」のだらしなさは目に余るものがあり、そこを安倍政権に見透かされているのだろうが、ともかく「自公政権」に一矢を報いるチャンスでもあることを忘れず、僕らの「権利=選挙権」を行使しなければならないことだけは、確かである。
 
 なお、拙著『葦の髄より中国を覗く』は、あの文字通り「外交辞令」的でしかなかった日中首脳会談の裏側に存在する「一三億数千万人の中国人」の生活と思想の一端をえぐったものです。是非ご一読を!