黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

「ドジョウ」が「タカ」を部下に、ちょっとおかしいね!?

2012-06-05 09:21:33 | 近況
 どうも未だに解せないのだが、なぜこうも野田「ドジョウ総理」は、消費税増税にこだわるのだろうか。フクシマの処理、税制改革、景気対策、等々、今すぐにやらなければならないことが目白押しになっているというのに、財務大臣時代によほど財務官僚に「(消費税)増税」についてレクチャー(洗脳)されたのか、政治課題はこの「消費税増税」しかないかの如く、それこそ「不退転の決意」(「猪突猛進」と読み換えよ)で突き進んでいるが、この野田首相という政治家、自ら言うように根っからの「保守派」のようで、昨日(5日)発表された内閣改造人事を見て、特にそう思った。
 中でも、「目玉人事」のつもりなのか、自衛隊(防衛大学)出身で「タカ派」の論客として知られている森本敏拓殖大学教授を防衛大臣に起用した点については、「えっ、そこまでやるの?」「この人、歴史から何も学んでいないんだな」、と思わざるを得なかった。自衛隊が発足しておよそ60年、まさに世界のトップテンに入る軍事力を備えた軍隊のトップに、初めて「制服」経験者(自衛隊出身者)がなるという前代未聞の出来事、戦前、軍人が政権の中枢に入ってろくなことにならなかったことを、「ドジョウ」首相は忘れたのだろうか。「第一次世界大戦」から「満州事変」を経て、軍部が台頭し、政権の中枢に座るようになり、最後は陸軍大臣が内閣総理大臣になり、最後は国全体が「破滅」した経験を、野田首相はどのように考えているのか。何ヶ月か前、自民党は自衛隊を「国軍」とする憲法改正案を提出したが、まさか森本氏の起用が「消費税増税」を実現するために、憲法第9条を改正して「国軍」を創設したい自民党の協力を得るため、というのであれば、もうなにをか況や、である。たぶん、今後は自衛隊出身者が防衛大臣になるという慣例が作られ、次々と「制服」経験のある者(軍隊の幹部)が防衛大臣とか副大臣とかになるのではないか、と懸念する。
 森本氏は、記者会見で「(自分が防衛大臣になっても)シビリアン・コントロールに問題はない」と言ったそうだが、尖閣列島や竹島、北方領土問題を抱え、また沖縄の普天間基地移設問題も未解決のままであり、「防衛」「日米関係」「日中関係」が緊張(きな臭い)状態にある現在、国民の信託(選挙)を経ていない者が防衛大臣になる「危険性」について、どうも「ドジョウ」氏は全く考えていないようで、本当にまずい状態になった、と思っている。折しも、朝日新聞は、社説の下のコラムで、最近の教育現場では先の戦争における「日本の加害責任」を教えると、父兄の一部から「自虐史観だ、中立性に欠ける」と非難が出たり、右翼が押し寄せることが続いている、と記者が書いていたが、「ネット右翼」と呼ばれる連中が跋扈し、「歴史」を客観的に捉えることができなくなった現在の日本が「また再びの道」を歩き始めないという理由はどこにもない。森本氏の防衛大臣就任が、「また再びの道」の第一歩にならないことを祈るばかりである。
 その意味では、もう野田さんには退陣してもらうしかないと思うが、民主党政権に取って代わるものが自民党というのでは、フクシマ(原発問題)一つとっても、「笑い話」にもならないし、かといって現在人気絶頂の「維新の会」(橋下徹大阪市長)では、大飯原発の再稼働問題や「文化」軽視のその政治姿勢を見ただけで「ごめん被りたい」し、混迷の度が増すばかりで、ニヒリズム(虚無)が蔓延しているのも、諾成るかな、と思わざるを得ない。
 何とかならないかな、と思うばかりである。
 本当に「嫌な時代」になってきた。

 話はがらりと変わって、選集の土曜日3時に起きて、1年一回の「新潟への山菜(蕗・わらび)採り」に行ってきた。1年分の「きゃらぶき」を作るための蕗採りが目的で、谷川岳の麓まで行くのだが、今年は国境の山々に雪がずいぶんと残っている状態にもかかわらず、蕗の生育状態は良好で、大量に収穫し、帰宅してから翌朝9時まで「きゃらぶき」作りに徹夜だった。結果として自分でも感心するほど「おいしい」きゃらぶきができた。これから少しずつ親戚や友人、知人に「お裾分け」するのだが、寝不足ではあったが、蕗採りからきゃらぶき作りまで、嫌なことを忘れた2日間、心地よい時間を過ごすことができた。(機会があればお裾分けできるのだが、と思っています)