黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

「月光」購読の御案内

2009-08-27 04:59:58 | 文学
 季刊文芸誌「月光」のご購読をお願いできればと思い、御案内いたします。写真は小さいですが、「全307頁、定価1700円+税」というもので、「特集 中原中也」を初めとして内容は充実しています。編集委員(他に福島泰樹、立松和平、太田代志朗、竹下洋一)としてこの雑誌に関わっている僕が言うのもおかしいですが、雑誌ができて改めて読み直すと、「特集」の中の福島泰樹と村上護(種田山頭火の研究者としてよく知られている)との対談「中原中也私史録」が、今まで知られていなかった大岡昇平の中原中也像形成の「真実」等を伝えていて、大変面白かった。従来の大岡昇平による中原中也論に「改変」を迫るほどに迫力のある「裏話」になっている。蒙を啓かれる思いがした。中原中也研究者・愛好者は(大岡昇平研究者・愛好者も)、一読する必要のある対談になっている。
 前回にも書いたが、僕はここに「主題が屹立してくるとき」という30枚ほどの評論を載せている。ネット上で騒がれる(このブログでも一時大騒ぎになった)創作上の「盗作・盗用」について僕なりの考えを提示し、なおかつ「改作」によっていかに「主題」が屹立してくるか(キャラ立ちしてくるか)について、立松和平の例の「盗作・盗用」疑惑を招いた『二荒』から『日光』への「改作」を例に論じたものである。併せて、この欄で繰り返し述べている「ネット社会の<闇>」、つまり匿名性の問題についても持論を展開している。
 なお、「月光」第2号は11月下旬発売で、「特集」は宮沢賢治。そこに僕は1950年代の後半に展開された『雨ニモマケズ』をめぐる小規模な論争について、「『雨ニモマケズ』論争・私見」という題で書き、もう一つ担当する「文芸時評」に例の村上春樹の『1Q84』をめぐる様々な現象と僕自身の『1Q84』論を併せた文章(40枚ほど)を載せる予定になっている。
 第3号(2010年3月刊行)は特集が「全共闘と文学」で、既に大方の書き手も決まり、執筆依頼状を出す状態になっている。この「特集 全共闘と文学」の刊行に併せて、49歳という若さで亡くなった『パルチザン伝説』の作家・桐山襲の著作集(全集並)全3巻が刊行される。福島泰樹氏、立松和平氏、僕の三人が編集委員として各巻に『解説』を書くことになっている。
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 さて、『月光』ご購読の御案内ですが、もちろん書店に注文すれば書くこともできますが、刷り部数の関係もあって大型書店の店頭にしか並ばないかも知れませんので、「黒古のブログを見た」と言って、版元へ直接言ってくだされば(できれば、1年間4号分をまとめて注文してくだされば)、相当に割引(2割か2割5分引き)して販売してくれることになっています。
 <注文先>
 勉誠出版 〒番号101-0051東京都千代田区神田神保町2-20-6
      電話:03-5215-9021
      メール:rintaro@bensey.co.jp
      担当編集者:岡田林太郎・清井悠介
 
 ご購読のほどよろしくお願います。