日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

吉野よく見よ・・・

2017-12-09 16:55:06 | 旅行
前回の続きで、去年の紅葉の季節に吉野・長谷寺を訪ねた時の話題です。
2016年から運行を開始した、近鉄の「青の交響曲(シンフォニー)」という名前の観光特急列車があります。大阪阿倍野橋を出て橿原神宮前を通り、吉野までのルートです。1日に2往復しかないのですが、時間が合うからもしかして空席ないかなと窓口で当日尋ねたのですが、空いていませんでした。まあそうですよね。

橿原神宮前駅のホームでその「青の交響曲」に遭遇しました。車内にはすてきな明かりが灯り、何やらおいしそうなものを食べている乗客たち。ホームでそれを見ていたお客さんが「喫茶店やな。」とか話していました。

吉野駅に着いた時にも、ホームにその列車はありました。いい雰囲気ですね。大阪から吉野に遊びに来る人には特にいいかもしれません。

吉野駅は近鉄吉野線の終点になるわけですが、私は、飛鳥までは電車で来たことはあっても、その先は未知の領域で、車中、とてもわくわくしました。寂しいくらいの里山にどんどん分け入っていく感覚・・・京都や奈良といった都から、こんな遠くまで、天武天皇、持統天皇、藤原道長、源義経、後醍醐天皇、豊臣秀吉・・・まだまだいますがおびただしい歴史上の人物が、訪れ、滞在してきた場所なんだなあ・・・と、不思議な気持ちになりました。秋でもあるし、寂しい風景も途中に見られますが、昔から多くの有名無名の人々が往来した地域であり、歴史の積み重なりを感じられるような空気が漂っている気がしました。
「吉野駅」に降り立ってみて、改めて「吉野」という地名の風雅さを感じました。

「よき人のよしとよく見てよしと言ひし吉野よく見よよき人よく見つ」

今書きながら、こんな歌があったよな、と心に浮かびましたが、これは天武天皇が吉野宮に来た時に作った歌だそうですね。『万葉集』の巻1(27)にあるようです。

「昔のりっぱな人が、よき所としてよく見て『よし(の)』と名付けたこの吉野。りっぱな人である君たちもこの吉野をよく見るがいい。昔のりっぱな人もよく見たことだよ。」

吉野は、紅葉が散り始めていて、平日だったので人も多くなく、のんびりと、風情を楽しむことができました。途中でおそばを食べたりしましたが、やや混雑してました。桜の季節や休日はもっとごった返して大変なんでしょうね。

金峯山寺については前回も少し書きましたが、巨大な蔵王権現さんの「特別御開帳」をやっていました。仁王門は国宝だそうですが、修理していました。この仁王門の修理勧進のための御開帳でした。オリンピックがあるから化粧直しなのか、奈良などのかなりのお寺では、改修工事をやっています。どこもかしこも・・・という感じ。長谷寺もそうでしたし、東大寺も少し前に行ったらそうでした。


蔵王権現の御開帳は、料金がちょっと高めでしたが、お守りの木札と「特製エコバッグ」をいただきました。何しろ蔵王権現さんは、ものすごく巨大です。写真は不可でしたのでありませんが、像の前の畳スペースに座って、見上げるようにしてしばらく拝観させていただきました。濃い青の、憤怒の表情で迫力があります。こんな山の上にこんな大きなものが・・・と感銘を受けます。一見の価値はあります。

また、その権現さんの足下に障子で仕切った小さいスペースがいくつかあって、お寺の方に誘導してもらってその中に一人ずつ入ってお祈りするような場所がありました。名前を忘れてしまったのですが、面白い名前でした。懺悔の部屋みたいなもののようでした。権現さんに心を打ち明けて祈る場所です。お金は別料金だったのか、よくわかりませんでした。


「南朝皇居 吉水神社」という看板に導かれて、そちらにも立ち寄りました。この「皇居」というのも正確なのかわかりませんし、境内に音声がスピーカーで流れて有料エリアにお客さんを呼び込むような感じなどが違和感ありました。宮司さんなんでしょうか、気さくな感じでご自分でお札などを売りさばいたり、入場料を受け取ったりしていました。
中には義経や秀吉などのゆかりの品が展示されていました。


室内から遠くに望む金峯山寺が、とても美しく見えて、他のお客さんも声をあげていました。
春には「一目千本」の桜を見渡せる場所がありました。
吉水神社前の坂の紅葉もきれいで(以前の記事にも掲載)、そこの途中の狛犬さんも、一眼レフ効果でなんとなくよさげに撮れたので載せておきます。


吉野はまだまだ後醍醐天皇ゆかりの寺など奥深くにたくさんあるようでしたが、我々はほんの少し歩いただけで戻って来ました。いつか桜の季節にでも宿泊するなどしてゆっくり来ようと思います。

戻る途中で、「静亭」という、義経の彼女の静御前にちなむお店に入りました。静御前が舞を舞ったという勝手神社の前にあります。
http://www.yosino-sizukatei.sakura.ne.jp/index.html
ここで、吉野といったら「くず」だよな、と、くずの甘味をいただくことにしました。


確か、くずしることくず餅のセットだったと思います。もちろんおいしかったですよ。

気候も穏やかで、静かで、秋の吉野の空気をゆっくり味わうことができました。良き、吉野の旅でした。

とりあえず今日はこんなところで。次は、長谷寺のことでも書きましょう。

6 コメント

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blue symphony♪ (瓊花)
2017-12-12 21:57:21
青の交響曲
予約が光速で埋まるのです(笑)
私いつ乗れるやら、です。

私事ですが2月23日からの
奈良文化論に出席予定です。
ツツコワケさまに
奈良大学とかで会えたら
うれしいなと思います。
Re:blue symphony♪ (ツツコワケ)
2017-12-12 23:32:49
瓊花さん、こんばんは。
ブログを楽しく読ませていただいてます。

青い交響曲は、1年経っても予約は取りにくいですか。人気があるのは喜ばしいことですが。

奈良文化論ですか。私は履修しませんでした。自分がやりたい考古学とは直結しないかなと思って。
奈良文化論なら、瓊花さんが先生をやれるくらい奈良のことは詳しいのではないですか?

その頃は、こちらでは高校入試真っ盛りで、行けそうもありません。
行くなら1月の初め頃しかないなと。
1月末から3月半ばくらいまで、さらには結局3月いっぱいは、旅は無理っぽいです。
久しぶりに昼間の高校に戻ったので、入試については戦々恐々です。

私は行けなくても、スクーリングの詳細なレポート等を期待しています。春以降、暇をみつけて奈良には行きたいです。1月分は、どうなるかわかりませんが、決行に備えていろいろ調べておこうと思っています。
私にとってのスクーリング (瓊花)
2017-12-13 13:03:42
ツツコワケさま
お忙しいのに申し訳ありません。

ブログに記しましたが
私は中途入学者として
4年の学習期間を義務づけられています。
『専門科目』はすべて学習しようと
決めておりまして、
『教養科目』は免除されていることもあり、
そっちは取らないと決めました。
すると、『自由選択科目』などから
スクーリングを選ばないと
単位が埋まらないとわかったのです。

ツツコワケさまも
仰っていた通り、
通信教育は基本レポート学習だと
思います。
書かないと、と思います。
ですが、先輩方のブログを覗くと、
やっぱりスクーリングは楽しそうで、
みんなと学びながら歩む
奈良や明日香や葛城は新鮮で、
その魅力には屈するしかない私です(恥)。

私は奈良大学近方で
スクーリング費用は
受講料と交通費を合算しても
2万円ほどで済みますが、
これが遠方お住まいの方なら
ざっと私の3倍以上の費用がかかるかと。
その点、申し訳ないのですが、
私は私の土地の利を活用したいかと。

スクーリングも、
長期戦を切り抜ける作戦のうちなのです。
高の原住まいの知人は
「奈良大学通信の方、UR賃貸を借りて
スクーリングに向かう方もいらっしゃるよ」
と言っていました。
年契約でそうしたほうが安く上がるのだと。
何事も上には上がいる、
そう感心した次第です。
Re:私にとってのスクーリング (ツツコワケ)
2017-12-13 18:50:56
瓊花さん、こんばんは。
なるほど、専門科目を全部ですか。
「その魅力には屈するしかない」というのはとてもいい表現です。実際そのとおりだと思います。さらに、奈良にお住まいでしたら、一般的な公開講座的なものにも参加し放題ですよね。それもとてもうらやましいです。

UR住宅を借りて、というのも驚きましたが、すごくいい方法ですね。それを皆さん知ったら、流行るかも。
私も、月3万くらいでアパート借りられそうだから、借りてみようか?と検討したことがあります(笑)。

昨日から今日にかけて、NHKで、来年2018年のトレンド予測というものの中で、
「まなミドル」という言葉がありました。
それは、
「40代から50代のミドル世代が今後も活躍を続けるため成長のきっかけを得ようと、大学院や資格スクールなどで学ぶ動きが広がる」
という説明でした。来年こういうものが流行ると。
奈良大は、定年退職世代の方々が多いですが、女性などは若めの方々も多いですよね。
奈良大のような学びの場がもっとあってもいいでしょうね。
私は一歩先んじて、もうインプットは一段落で、しばらくはアウトプット中心で、という感じですかね。いや、学芸員資格課程を忘れてました。まずいまずい。

他に、「お見せ合い婚」とか、「ピット飲食」とか面白いなと思いました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171212/k10011255921000.html

瓊花さんには、いつかお会いできたらなと思いますが、スクーリングでのたくさんの出会いがまず楽しみですよね。ただの奈良観光ではなく、学びたいという目的を持った人々の集団というのはすばらしいと思います。
地元の利を生かしつつ、存分にスクーリングを楽しんでください。
阿難の心地 (瓊花)
2017-12-14 19:01:22
ツツコワケさまこんばんは。
スクーリングについての
ツツコワケさまとの問答(?)で、
私自身スクーリングへの価値観が
固まった気がしまして、
自身のブログにも開示しました。
蒙が啓かれたとはこれに如何に、と。

なんだかツツコワケさまは
お釈迦様みたいだな、と。
そして私は問いかけてばかりの
阿難の心地です(笑)。

あ、速報です。
考古学概論レポート合格しました。
Bが2つ以外Aでした。
褒められると嬉しいですね、
やっぱり(しみじみ)。
Re:阿難の心地 (ツツコワケ)
2017-12-15 20:26:36
瓊花さん、こんばんは。
レポート合格おめでとうございます。
評価もよかったようで、本当に順調ですね。

阿南という人がいたのか・・・というくらい、私はお釈迦様については疎いので、勉強になります。
一応、瓊花さんのコメントでわからない言葉が出てくると、そのたび調べていますので。

ソクラテスの産婆術というのを思い出しました。そういうのいいな、できたらいいなと思っていました。

まあ、でもこのブログではみんな並列の関係だと思いますので、そもそもツツコワケ「さま」とか、あまり丁寧な言葉遣いをされるのもむずがゆい感じがしています。ざっくばらんで結構です。
問答は、私も勉強になりますのでどんどんお願いします。

さて、生徒の成績もだいぶ固まってきたので、そろそろ自分の勉強がんばろうかな。
どなたか博物館経営論のレポート作成の要領などご教示いただけるとありがたいのですが。
自由に書けそうにも思うのですが、評価は厳しいのかどうか・・・

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