日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

長谷寺の観音様のおみあしをさする

2017-12-24 02:58:20 | 旅行
世の中はクリスマスとお正月準備の季節ですが、ここでは前回の続きで、去年の紅葉の季節(2016年11月23日)に長谷寺を訪ねた話題です。
前回までが吉野の記事でした。その夜は大和八木のホテルに宿泊しました。翌日の朝食は『飛鳥・藤原の朝ごはん』とのことで、古代米か何か出てきて(もう記憶がない)ちょっと工夫されたごはんでした。

朝のやや早い時間に長谷寺に向かいました。長谷寺来訪は、私は2回目でした。
少し早め(と言っても9~10時台くらい)だったので、観光客の出足はまだ少なめでした。参道を歩いていると、あちこちのお店から「おはようございます。」と声がかかりました。あるお店では、おばさまが小走りで駆け寄って来て、つくりたての温かい草餅をサービスで手渡してくれたりもしました。とにかくそんな感じで、町の雰囲気が朗らかで温かいのです。おはようございますとの声が多かったのは、朝早かったから、というより、そのように声かけをしましょう、と励行されているのかもしれません。しかし自然な感じで、明るい挨拶で、よい人たちの多い町なのだなと思わされました。
以前、長谷寺については記事を書きました。
「奈良県桜井市への移住はいかが?」
昨年2月、「桜井市魅力満喫セミナー」に参加した時の記事です。
そのイベントでは、この長谷寺界隈への移住も促進しているようでしたので、そういう取組みとのかねあいもあって、地域が一体となって、意識を高く持っていらっしゃるのかもしれません。
実際に移住するのは大変なことも多いと思いますが、よい所だと思います。


この登廊の雰囲気がとても好きです。紅葉も見えてまた格別でした。

長谷寺は、真言宗豊山派の総本山。わらしべ長者の話が私は好きですし、万葉集にも「初瀬」という言葉がたくさん出て来ますし、三輪山の真東にあり、さらに東に室生寺があり、さらに東に伊勢神宮の元伊勢?斎宮跡?があり、この位置関係について個人的に興味があります。

上記の「桜井市魅力満喫セミナー」における長谷寺の東京出張所の所長さん(お坊さま)のお話から再掲しますと、

「伊勢神宮ができる前に、アマテラスは長谷寺の建つ前の土地に住んでいた。そこに観音様を造った。」

という話が興味深かったです。
長谷寺と近くの與喜天満神社には共通点があり、太陽信仰と関わりがある記事を読んだことがあります。ここではあまり掘り下げないことにします。

ちょうど、「長谷寺大観音特別拝観」というのをやっていて、観音様の足をさわって、お願い事をすることができるとのことでした。せっかくですので入ってみました。

入口で、手を出してください、と言われ、ごく少量の、香りのする粉を手のひらにいただきました。塗香(ずこう)といって、それを両手に塗り広げることで、体を清めるらしいです。後で売店で買ってみましたが、独特の香りがします。伽羅、白檀、鬱金などが調合されているそうです。また、五色の紐を撚り合わせた太さ5mmくらいの紐を手首につけられます。これで観音様とのご縁が結ばれるとか。ネットで改めて確認すると、「結縁の証」の五色線というようです。長谷寺HPによると「せっかく結縁しましたので近くに付けて頂けると有難いです。」左腕につけるそうで、「毎日腕につけて頂いても良いのですが、根付にして鞄や車につけて頂いても良いでしょう。」とのこと。机の引き出しの取っ手に縛り付けていましたが、もうちょっと場所を考えましょうか。

中に入ると、やがて薄暗い中にすっくと立つ大きな観音様の足元に到着します。願い事をしながら観音様の足をさすってください、と言われたような気がします(1年前なのでもうあまり覚えていない)。見上げれば、観音様のお顔も見えます。観音様の背の高さは10m18cm。大きいです。
観音様の足はつやつやしていました。あまりごしごしさすってがつがつお願い事をするのもなんかな、と思って、控え目に足をさわらせていただきました。
http://nara.jr-central.co.jp/campaign/hasedera/special/sp_jyu.html
(うましうるわし奈良HP)
観音様は、座っているのではなくて、立っていらっしゃるのですね。長谷寺では、観音様の足元は一般の拝観ルートからは見えません。
その一般の拝観ルートに戻って、正面から観音様を拝見させていただいたり、広いお堂の中を見回したりしてきました。私はこのお堂の雰囲気も好きです。



お堂の天井にこんな方角を示す盤が吊り下げられていました。

撮影不可の像の中で、雨宝童子(赤精童子)というものがあって、初瀬山を守る八大童子の一人とあり、解説の最後に「伊勢神宮の御神体である天照皇大神(あまてらすおおみかみ)としても崇められる。」と書いてあったことに私は反応しました。そういった太陽信仰、アマテラスとの関係など、今後も考えていくうえでこうした像の存在も心にとどめておきたいと思いました。
上記のリンク先の記事にも、「本尊は天照大神の本地仏」との文言があり、そもそも観音様がアマテラスであったりするようです。観音様は磐座の上に立っている、というのも興味深いです。

紅葉も、盛りは過ぎていたようですが、きれいでした。清水の舞台のような張り出したスペースがあって、いい眺めです。


以前来た時は6月でした。また違う季節に来てみたいと思います。ちょっと奈良市内からは遠いので、なかなか来れませんけれども。

まだまだ昨年の出来事で書いていないものがたくさんあります。やっと仕事も年内は一段落しましたので、こちらの更新と、学芸員資格課程のレポート作成に精を出したいと思います。
ある生徒に、「先生冬休み何するんですか?」と尋ねられ、「うーん、勉強。」と返事しました。学芸員資格を取るためのレポート書かなくちゃ、と生徒にも言いましたので、有言実行です。2本くらい書ける??さてどうなるでしょうか。

2 コメント

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塗香を買いに (瓊花)
2017-12-27 21:58:55
ツツコワケさ……ん! 
“さま”は禁句でしたね。
まだ慣れていないので
舌がもつれそうです(笑)。

長谷寺の塗香、
いい香りでけっこう有名です。
私もわざわざ塗香目当てに
長谷寺に登っています(苦笑)。
塗香はスパイシーで、
子どものころにはまった
ポプリ作りを思い出します。

十一面観音は、
錫杖を必ず携えていますよね。
あれは旅にある状態だと、
白洲正子の著作にありました。
足も一歩踏み出した造形で、
歩いているのですよね、
常に。
そういうところ、大好きです。
私も山野を跋渉する山姥ですから(笑)。

これからブログで
月氏について少し書こうかと。
匈奴の王が斃した月氏の王を
髑髏杯にしたなど、
澁澤龍彦の幻想譚を思い出しました。
おおつきし(笑)、名前がいいですね。
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Re:塗香を買いに (ツツコワケ)
2017-12-28 09:35:22
瓊花さん、こんにちは。
冬休みに入りましたので書いております。
すみません、禁句というほど強い要望ではないのですが、「さま」のイメージは長続しないだろうというのと、実際お会いすることがあったときにも「さま」はなんだし、と思ったということです。ちゃんでも君でもさまでもご自由に(笑)

さて、毎度、瓊花さんのコメントは勉強になり、いろいろとネットで調べ調べ読ませていただいています。

塗香目当てに長谷寺に行かれるとは!
ざっと調べていたら、唐招提寺では塗香ハンドクリームなるものが売っているらしいですね。香りはそれぞれ違うのでしょうかね。
私には、実際のところ格別好きな香りとはいえないのですが、何かありがたい効果があるかなと思うくらいです。存在をこの記事を書くまで忘れていました。
学校でこのにおいをさせていたら、生徒にはお寺くさいとか言われそうだし(笑)、冬休みに使ってみましょうかね。

白洲正子さんの本ですか。全く読んだことがありません。今度意識的に読んでみます。十一面観音は、意外と見たことがなく、法華寺も閉じた門前までしか行ったことがありません笑。訪れるとしたらいつの季節がいいかなあ、とふと思いました。
十一面観音を卒論テーマにしたいという女性の方に奈良大でお会いしたことがあります。
観音さまを訪ねるという旅もいいかもしれませんね。

瓊花さんは山野を跋扈されるのですか。私も子供の頃はそうでしたが、今は体力がありません。考古学をやるには体力は重要ですね。

ブログを読ませていただいておりますが、シルクロード学で50冊も読まれたとはすごい!私も見習わなければ。
しかしこの地域の歴史は本当に奥深いですよね。他の国のことなのに日本人の研究者も数多くいて、おびただしい著作があって、気が遠くなります。
十代で澁澤達彦一色とはまた驚きです。私は知らず、だんなが結構本を持っていたので知りました。これから探してみようかと思います。
冬休みの初めに、触発されるお話をありがとうございました。
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