奈良大通信教育部スクーリング「神話伝承論」(2月12~14日)について、まだ整理していませんでした。4カ月以上経ってしまい、鮮度は落ちていますが自分のためにもまとめさせていただきます。
現在奈良大で一番テレビ等の露出が多いと思われる、上野誠先生の講義です。結論から言うと、自分自身も教員として、授業に臨む姿勢についていろいろと勉強になり、また、売れっ子であるその裏では、たいへん努力をされているのだなということが感じられました。
以下、授業の内容というよりは、自分のメモから、印象に残った部分をピックアップしていきます。
先生は、まず、広い講堂の端から順に歩いて、一人一人に挨拶をしていかれました。受講者は、バス3台にはなりましたから120~150人くらいいたのではないでしょうか。たいへん腰が低いです。
また、一番北から来た人、南から来た人、最年少、最高齢の人に、プレゼントが渡されました。これは、先輩のブログでそういうことをするというのを読んでいて知っていました。一番北は北海道、南は宮崎、年齢は、最年少は19歳、最高齢は79歳の方でした。結構立派なプレゼントでした。
この授業は、「神話伝承論ノート」というものを使って、『古事記』を学びます。先生のお言葉では、黄泉の国に行って戻ってくる、とのこと。毎日、午前と午後でレポートを提出し、それを先生が、昼休みにおにぎりをかじりながら読む、とのこと。これも事前にうかがっていたとおりでした。
レポートは、受講生の数が多いので、春夏秋冬生まれに分かれて教室の四隅で集め、また返却するという方法で、これもなかなか面白い方法だと思いました。
奈良大通信の、卒業率についてもお話しされました。今は何%くらいなのか聞き逃しましたが、3割くらいでしょうか。法政慶応は、10%いかないとのこと。70%に上げたいとのこと。自分の考えを打ち立てて卒業してほしい、とおっしゃっていました。昼休みには、国文科の方のものですが、卒論の実物を、参考にいくつか並べてくださって、執筆者の学生さんが何人か質問に答えていました。
ちょっとだけ見させていただきましたが、国文科の卒論は、私のような史学科のものとはまた異質な感じがしました。縦書きでした。
いずれにせよ、通信教育部生にできるだけ卒業してほしい、というお気持ちがあることが伝わって来ました。
「誰が何のために神話を伝えたのか」
神話の性格の根本はそこにある
序文があることによって神話の形成がわかる
と、私のメモにあります。「 」の部分には特に、私は黄色いマーカーを引いていますので、強調されたのだと思います。
『古事記』は何のために、ということについては、私も、大学時代の恩師、青木和夫先生が、ある説を語っておられて、特に反対の声もないようだから認められたようだ、と書き残されていることが頭にありました。
今、その本から引用してみます。
「・・・彼女は、天武天皇が稗田阿礼と二人で日本古来の歴史をずっと読んでいたことも知っていますから、それをそのままにしておかないで、書物にしたいと考えたのだと思います。では何のために書物にしようとしたのかというと、孫の首皇子(おびとのおうじ)、のちの聖武天皇に対する教育のためだったのです。文武天皇も早死にしてしまい、元明天皇の手元には孫の首皇子だけが残りました。やがてそれも10歳を越える、早く帝王教育を始めなければならない、日本の歴史を教えなければいけないという時期になった。そこで太安万侶に命じて『古事記』が書きあげられたのだろうと思うのです。」(青木和夫 池田修 牛島信明 養老孟司 木田元 辻井喬 『古典の扉 第1集』 p.29~30 中公クラシックス別巻 2005年)
まさに、この文章のタイトルは『古事記―誰が何のために』となっています。
上野先生が、青木先生の説をそのまま受け入れているのかよくわかりにくかったのですが、その付近のメモで小さく「元明が孫の首皇子のために 宮廷内の帝王教育」と書いてあるのですが、これは私が自分で書いたのか、先生がそういうことをおっしゃったのかもわからなくなってしまいました。
その先の授業内容も書きたいところですが、今日はこのへんでストップさせていただきます。おそらくまた明日。
写真は、一度行ってみたかった「ことのまあかり」さんでいただいたコーヒー。奈良にまつわる雑貨もいろいろ販売しています。
このコーヒーセットは確か「古墳時代中期」というような名前がついていて、スプーンはスコップ型、コーヒーカップも素焼き風でごつごつしていました。同じく土師器風のお皿には勾玉型のクッキー。おしゃれです。それにプラスして、「蘇」も注文しました。これは、飛鳥時代に食されたというチーズのようなものですね。味は、なんと表現したらいいのかわかりませんが、柔らかくて、キャラメルとも似たような感じでした。
この、遺跡発掘のスコップをかたどったスプーンは、このスクーリングの間に行った、平城京の資料館で売っていたので購入してきました。考古学をネタに商品を創造するのも楽しいですね。
現在奈良大で一番テレビ等の露出が多いと思われる、上野誠先生の講義です。結論から言うと、自分自身も教員として、授業に臨む姿勢についていろいろと勉強になり、また、売れっ子であるその裏では、たいへん努力をされているのだなということが感じられました。
以下、授業の内容というよりは、自分のメモから、印象に残った部分をピックアップしていきます。
先生は、まず、広い講堂の端から順に歩いて、一人一人に挨拶をしていかれました。受講者は、バス3台にはなりましたから120~150人くらいいたのではないでしょうか。たいへん腰が低いです。
また、一番北から来た人、南から来た人、最年少、最高齢の人に、プレゼントが渡されました。これは、先輩のブログでそういうことをするというのを読んでいて知っていました。一番北は北海道、南は宮崎、年齢は、最年少は19歳、最高齢は79歳の方でした。結構立派なプレゼントでした。
この授業は、「神話伝承論ノート」というものを使って、『古事記』を学びます。先生のお言葉では、黄泉の国に行って戻ってくる、とのこと。毎日、午前と午後でレポートを提出し、それを先生が、昼休みにおにぎりをかじりながら読む、とのこと。これも事前にうかがっていたとおりでした。
レポートは、受講生の数が多いので、春夏秋冬生まれに分かれて教室の四隅で集め、また返却するという方法で、これもなかなか面白い方法だと思いました。
奈良大通信の、卒業率についてもお話しされました。今は何%くらいなのか聞き逃しましたが、3割くらいでしょうか。法政慶応は、10%いかないとのこと。70%に上げたいとのこと。自分の考えを打ち立てて卒業してほしい、とおっしゃっていました。昼休みには、国文科の方のものですが、卒論の実物を、参考にいくつか並べてくださって、執筆者の学生さんが何人か質問に答えていました。
ちょっとだけ見させていただきましたが、国文科の卒論は、私のような史学科のものとはまた異質な感じがしました。縦書きでした。
いずれにせよ、通信教育部生にできるだけ卒業してほしい、というお気持ちがあることが伝わって来ました。
「誰が何のために神話を伝えたのか」
神話の性格の根本はそこにある
序文があることによって神話の形成がわかる
と、私のメモにあります。「 」の部分には特に、私は黄色いマーカーを引いていますので、強調されたのだと思います。
『古事記』は何のために、ということについては、私も、大学時代の恩師、青木和夫先生が、ある説を語っておられて、特に反対の声もないようだから認められたようだ、と書き残されていることが頭にありました。
今、その本から引用してみます。
「・・・彼女は、天武天皇が稗田阿礼と二人で日本古来の歴史をずっと読んでいたことも知っていますから、それをそのままにしておかないで、書物にしたいと考えたのだと思います。では何のために書物にしようとしたのかというと、孫の首皇子(おびとのおうじ)、のちの聖武天皇に対する教育のためだったのです。文武天皇も早死にしてしまい、元明天皇の手元には孫の首皇子だけが残りました。やがてそれも10歳を越える、早く帝王教育を始めなければならない、日本の歴史を教えなければいけないという時期になった。そこで太安万侶に命じて『古事記』が書きあげられたのだろうと思うのです。」(青木和夫 池田修 牛島信明 養老孟司 木田元 辻井喬 『古典の扉 第1集』 p.29~30 中公クラシックス別巻 2005年)
まさに、この文章のタイトルは『古事記―誰が何のために』となっています。
上野先生が、青木先生の説をそのまま受け入れているのかよくわかりにくかったのですが、その付近のメモで小さく「元明が孫の首皇子のために 宮廷内の帝王教育」と書いてあるのですが、これは私が自分で書いたのか、先生がそういうことをおっしゃったのかもわからなくなってしまいました。
その先の授業内容も書きたいところですが、今日はこのへんでストップさせていただきます。おそらくまた明日。
写真は、一度行ってみたかった「ことのまあかり」さんでいただいたコーヒー。奈良にまつわる雑貨もいろいろ販売しています。
このコーヒーセットは確か「古墳時代中期」というような名前がついていて、スプーンはスコップ型、コーヒーカップも素焼き風でごつごつしていました。同じく土師器風のお皿には勾玉型のクッキー。おしゃれです。それにプラスして、「蘇」も注文しました。これは、飛鳥時代に食されたというチーズのようなものですね。味は、なんと表現したらいいのかわかりませんが、柔らかくて、キャラメルとも似たような感じでした。
この、遺跡発掘のスコップをかたどったスプーンは、このスクーリングの間に行った、平城京の資料館で売っていたので購入してきました。考古学をネタに商品を創造するのも楽しいですね。