まろの公園ライフ

公園から世の中を見る

民藝館の不愉快

2014年05月09日 | 日記

昨日は「日本民藝館」に行って来ました。
明治以降、日本の「民藝運動」のシンボルとなった場所です。

京王井の頭線「駒場東大前」から歩いて十分。
ご覧のように威風堂々、古民家テイストの立派な建物です。
ちなみに周囲も豪邸が多かったです。

今回で二度目の訪問、お目当てはこの企画展です。
焼き物を見るのは大好きなのですが
系統だって見ることは少なくて「九州」というキーワードに惹かれました。
九州は日本の陶芸のルーツみたいなところですね。

館内はウィークデーにも関わらず意外に混んでいました。
それはいいのですが、例によってオバチャンたちのお喋りには閉口しました。
こういう「文化施設」に来ると必ず得々と知識をひけらかすインテリ風のオバサンたち。
私はひそかに「文ババ」と呼んで揶揄しているのですが(笑)
とにかく目障りでうるさくて、思わず「静かに見ろ!」と怒鳴りたくなりました。

展覧会は決して派手さはないものの、見ごたえがありました。
日本の陶芸文化がいかに朝鮮半島の影響受けているかが一目瞭然。
日本はもっと朝鮮民族を尊敬しなければ・・・
昨今の日韓関係を思いつつ、そんな感慨を持ちました。

重要文化財に指定されている唐津焼の壺です。
大らかな絵付けといい、鉄分を含んだ色錆びた釉薬といい
実に渋い味わいを出しています。

唐津焼きは陶芸の世界では「唐津もの」などと卑下され
大量生産の代名詞のように言われますが、こういう名品もあるんですね。

白薩摩の土瓶です。
ほとんどが生活雑器で派手さはありませんが
実に「けれん味」のないシンプルなデザインで気に入りました。
秋には松茸の「土瓶蒸し」でもしたいなあ・・・(笑)

で、展覧会は大いに満足だったのですが
この民藝館の雰囲気がなんだか閉鎖的で官僚的で不快でした。
チケットを購入した時も、本来なら「ごゆっくりご覧ください」なのでしょうが
「ハイ」と言って半券を突き出しただけで、「ハイ、次の人」と後ろの人を手招きです。
ニコニコして愛想をふりまけとは言いませんが
客に対していったいどういう対応なのか、正直、感覚を疑いました。

展示室も「撮るな!」「さわるな!」の不粋な貼り紙ばかり。
やたら学芸員らしき女性がウロウロし、常に「監視」の目を感じました。
頭に来たのでスキを狙って思わずパチリ。

基本的なルールはわかりますし、実際に被害のケースもあるからなのでしょうが
民藝運動の創始者・柳宗悦は果たしてこんな息苦しい空間を目指したのか?
名もない庶民が生活の中で生みだした素朴な芸術に
もっと光を当てて、その良さを見直してもらうのが夢だったはず。
それならばせめて所蔵品だけでも
自由に写真に撮ったり、実際に手で触れてみられるような
開かれた「空間」の試みがあってもいいのではないかと思いましたねえ。

玄関にあった石仏が可愛かったです。
考えてみれば、柳宗悦が亡くなってからすでに半世紀。
彼が目指した「民藝運動」の理想は
時とともに変節し、はき違えられ、誤った方向に進んでいるのでは?

入場料1100円。
満足と不快の度合いを比べてみれば・・・