さよなら三角また来てへなちょこ

食い意地先行の放浪ブログ。たまにはHIVの事。

八重山・沖縄おひとりさま6Days「どこにも帰らない旅」

2008年08月22日 15時50分58秒 | 旅行
7月12日午後1時半。
沖縄県中頭郡北中城村。

北中城の観光名所を回って帰ってくると、昼飯にちょうどいい時間。
テレビには、「Big1」というディスカウントストアのCMに美川憲一が映っています。
似てない瀬川瑛子と八代亜紀の間を「おどきなさいよ」と言わんばかりに、登場します。
美川憲一、なんだか安っぽい感じです。

くまぞー「えー、美川憲一って、こんなCM沖縄でやっているんですね。両側が、似てないな~」

後でわかったのですが、本物だと思っていた、この美川憲一も、実は沖縄で活躍する
魅川憲一郎さんというローカルタレント。あとの二人は、瀬川瑛理子さんと、八代亜妃子さん。

沖縄は、芸能が盛んですよね。
唄うことと生活が結び付いた文化の歴史があってのことなのでしょう。
音楽やダンスだけじゃなく、お笑いや演劇の分野でも、郷土色豊かな沖縄の芸能。
また次の旅行のお楽しみになりそうです。



おっちゃん「ヘチマのステーキ食べるか~」
くまぞー 「いただきます!」

ヘチマのステーキとヘチマのシチューをごちそうになります。







内地では、ヘチマはあまり食材に用いませんが、
沖縄では「ナーベラー」と呼ばれていて、
煮物やみそ汁などに入れたりするのだとか。
一昨日会ったIkunoさんも、大好きだとおっしゃっていました。

ヘチマのシチューは、缶詰を使った料理。
沖縄ではシチューの缶詰がメジャーで、「ストゥー」と呼ばれいて、
鍋に移し替えて温めてご飯にかけて食べたりします。
ヘチマが沖縄由来の食材なら、ストゥーはスパム同様、アメリカ由来の食材ってところでしょう。
温めるときに、ヘチマを一緒に入れて煮込んでくれました。

ステーキは、ナスや冬瓜とも違う、とろみがあるみずみずしい食感に、塩コショウが効いてます。
シチューは、ご飯の進むジャンクな味(大好き!)で、ヘチマが食感のアクセントです。

くまぞー 「ヘチマすごくおいしいですね!」
おっちゃん「沖縄のスーパーだと安いけど、東京のショップで買うと、めちゃくちゃ高いさ。」

ヘチマステーキを食べていたら、おっちゃんの相方さん、けん様がご実家から帰ってきました。

けん様  「ヘチマの味あまり好きじゃないけど、このステーキはおいしいさ。食べれるー」
おっちゃん「よかったー」


テレビには、高校野球沖縄大会の準決勝。
沖縄は、今でも高校野球の人気が高いようです。
八重山商工が甲子園に出場した時の、地元のフィーバーぶりは、
記憶に新しいですね。


試合は春の選抜を全国制覇した沖縄尚学と興南の戦い。
地元でない自分も、試合の行方に見入ってしまいます。
試合が進んでいく毎、僕は、ちょっとずつ寂しさが募ってきます。
旅立ちの時間が近づいています。


九回表、興南高校の最後のバッターが打ち取られました。

けん様「さー、行こうか」

朝、荷造りしておいた、大きなバックパックを背負って玄関に向かいます。
飼い犬のワンコロが、靴を履いて玄関の外に出た俺のところまで
来て飛んだり駆けたりして、部屋中を駆け回っています。

くまぞー「また会おうね…元気でいるんだよ」





おっちゃんが、お留守番してもらうためのおやつを飼い犬に与えると、
ワンコロはおやつに夢中になります。
その隙に、僕らはドアを閉めて、車に乗り込みます。

エンジンがかかり、車が出発します。
僕らより、とてもはかない命だろうに、
小さい体いっぱいで僕を歓迎してくれたワンコロ。
愛おしい、その無垢な存在とのお別れに、
涙なくて気持ちを切り替えることができませんでした。


ありがとう。ワンコロ。




車は、空港へ向かって走り出します。
が、そのまえに!

立ち寄ったくれたところは、沖縄県那覇市にある「首里城」。
ご存じのとおり、1879年に沖縄県となるまで、琉球王朝の首府であったところですね。
小高い丘に築かれたこのグスク跡も、世界遺産として登録されています。

午前中に訪れた中城城跡と違い、
沖縄戦までは国宝として存在していた正殿などが再現されています。
中には、琉球王朝の成り立ち、歩み、そして行政組織や儀式の解説などが、
わかりやすく展示してあります。




守礼門など、いくつかの門を通り抜けると。





おなじみの正殿。この広場は御庭(うなー)というのだとか。

南殿・番所に展示してある琉球王朝時代の美術品を眺めながら、
資料が展示してある書院、鎖之間(さすのま)を通り抜け、正殿内部へ。


正殿内は厳かな雰囲気です。
朱色に塗られた壁や柱、いたるところに竜や獅子の装飾が、金色や紫色などに輝きます。

つづいて、北殿へ。沖縄サミットでは、こちらで、
森首相主催の晩さん会が行われたのだとか。

くまぞー 「えー食べ物食べるような所じゃないですね。こんな所で無理にやらなくても…」
けん様  「いや、昔はここで大切なお客さんを接待したんだ。会議やレセプションはブセナでやったんだけどね。」
おっちゃん「沖縄サミットのときは、大変だったろうねー」
くまぞー 「そうか、8年前はおっちゃんは、まだ内地にいたんだよなー。」




北殿の出口付近では、お土産コーナー。
二千円札で払うと、5%引きになるキャンペーンを実施していました。
2000円札の発行を決めたのも、東京以外でのサミット開催を決めたのも、
そういえば、小渕首相でしたね。




土産物を見ていたら、おっちゃんが、俺に何か手渡してくれます。

おっちゃん「ワンコロがくまぞーおじちゃんにお土産だって言っていたよ。」
くまぞー 「あはは、うれしいなあ。ワンコロにありがとうって言っておいてね」

ワンコロがお小遣いで、僕にお土産を買ってくれたようです。
さきほどお別れしたばかりのワンコロの顔が心に浮かびます。

陽が傾きかけた那覇の町並み。
琉球石灰岩のつるつるした坂道を、下ります。
だんだんと、飛行機の時間が迫ってきています。

おっちゃん「最後は、そば屋でいいかな。」
くまぞー 「ありがとうございます!」


そんなわけで、向かった先は、沖縄県那覇市鏡原町で、うるくそば。
空港にも近く、ゆいれーる沿いのお店。

くまぞー「安いですね!このセットも魅力的だけど、ゆっくり食べていて時間なくなるのも嫌だしなあ。」



頼んだのは、普通の軟骨ソーキそばでしたが、
ジューシーにミニぜんざいもついてきて、まるで、セットをオーダーしかたのような充実感!
ソーキの骨を取り出すためのお皿も、いらないほどの、骨の柔らかさ。
圧力鍋で煮込むのでしょう。


くまぞー「いやー、おいしかった!ありがとうございます!」


車に乗り込み、いよいよ空港へ。
チェックインして荷物を預けて、お土産物を買いに行きます。
職場へのお土産物や、友達、相方さんへの土産物で、
手荷物もかなりの重さに。でも、こればかりは、仕方りません。


おっちゃん「あっという間だったなー、」
くまぞー 「本当、沖縄、まだまだまわり切れなかったですね」
おっちゃん「時間足りなかったなあー」

セキュリティゲートの前で最後の挨拶です。
もうすこし、沖縄に残っていたい気持ちが邪魔します。

くまぞー「また、来ますね。」

そんなありきたりの言葉しか、口を突いて出てきません。

いや、また来るのではなく、帰るのでもなく。
帰る場所がないのではなく、行きたい場所がないのではなく。
沖縄も東京も、大切な人が、友達が、働く場所がある。心安らぐ場所がある。
中田英寿みたいに、「人生とは、旅であり…」なんて、気取るつもりもないけれど、
僕は、どこにも帰りたくない。

くまぞー「行ってきます!」

セキュリティゲートの向こうで、いつまでも笑顔で手を振っていてくれたカップルの間に、
お留守番をしているワンコロの顔が、ふと浮かびました。


気がつけば、出発時間まで30分を切っていました。
今度はみんなにいつ会えるのだろう。
ワンコロはそれまで元気にしていてくれるだろうか。

搭乗ゲートの前で、心に誓って、機内に乗り込むのでした。