さよなら三角また来てへなちょこ

食い意地先行の放浪ブログ。たまにはHIVの事。

ひとりラーメン博物館45

2009年07月31日 03時50分57秒 | ラーメン
みなさん、普段、土曜日の夕方って、どのようにお過ごしでしょうか?
自分は、あまり自宅にいない時間帯。
ほぼ仕事のことが多いのですが、休みだとしても、
出かけているか、昼寝中ってことが多い時間帯です。

自分にとって、そんな地味な時間帯に、
ジャニーズJrのタレントが出演する「裸の少年」という番組が
テレビ朝日で、地味に放送されています。

もともと、どんな番組かよく覚えてないのですが、
たぶん、自分の記憶では、
ジャニーズJrのタレントがバラエティの修行をすることが目的のような、
テレビ局とタレントの間でしか利害が一致しない番組だったような気がします。

がしかし、たぶん、番組のコーナーが好評だったのでしょう、
いつのまいにか、結構、いい感じの店を紹介するグルメ情報がメインの
番組になっているんですね。

番組では「食の七賢人」と呼んでいますが、
岸朝子や田崎真也、陳健一など、食の世界で高い見識のあるオーソリティが
週替わりで、ジャニーズJr達とおすすめの店をロケするというスタイル。
なかには当たり外れはあるかもしれませんが、
番組を見ていると、
「こんないい店紹介しているのに、こんな時間帯じゃもったいない!」
というくらい、おすすめの店は、胸にズキュンと矢が刺さる店が多いのです。

そんなズキュンと胸に刺さるような店を紹介しているシーンを録画したDVDを、
新宿の某ゲイバーで見てせてもらったら、
とてもおいしそうな店で、お店からも近かったので、
お客さんとお店のスタッフさんと、帰りにご一緒させてもらいました。


ということで、画像は、新宿区歌舞伎町1丁目「ラーメン凪・新宿店」で、
味玉煮干ラーメンで、大盛り。

場所は、歌舞伎町の裏側とでもいいましょうか、新宿ゴールデン街の中。
古い建物に、小さい飲み屋が集まる歓楽街で、
風俗店やホストクラブが集まる歌舞伎町とはまた違った雰囲気ですよね。
この店も、間口の狭い古い建物の、2階にあるのですが、
本当に狭いところで、階段で頭をぶつけそうなくらい。
またそれが、ゴールデン街らしい雰囲気です。

そんな、このお店のコンセプトは、煮干し。
写真の写りがよくないから判らないかもしれませんが、
スープは煮干しのだしで、茶色く濁り、見る限り、濃い!
箸で麺をスープから上げた瞬間に、湯気とともに立ち上る、煮干の香り!
もうこの時点でですね、目の前のラーメンが奇麗に最後の一滴までなくなる
華麗なるフィナーレが用意されているようなものです。

そして、もひとつ特徴的なのが、画面に映っているように、
「いったんも麺」と呼ばれる、幅広の麺。
太い麺は見慣れていても、太さが違う麺が同じ器の中に入っていると、
それはそれで、まるで妖怪に出会ってしまったかのようにビックリですが、
種類の違う麺の比率は、リクエストに応えてくれます。
もちろん麺が違えば、スープのからみ方も、また違います。
2種類の味わいが楽しめるわけですね。

スープをすすれば、煮干しのエキスが凝縮したうまさに唸り、
麺をすすれば、その小麦の弾力に唸り、
エンドレスに続くかのようなスープと麺のダンスは、
味玉という宝石の存在さえ忘れてしまう、華麗なる競演。
たたみかけるようにリズムよく麺をすすれば、
気が付くと、半熟の黄身からこぼれた黄金の滴のみ。
最後のスープと一緒に飲み干せば、
ダンスホールに歓喜の拍手が鳴り響いて止まないのです。

…まあ、意味不明なことを書きましたが、とにかく、うまかった!
また一人で食べに行きたい、誰かに教えてあげたい、そんな店でした。

モスのない街、消える街。

2009年07月24日 02時23分43秒 | 食べ物の話
そんなこんなで、世の中は不況だとか。
外食業界も、スーパーやコンビニの「中食」の値下げ攻勢や、
「巣籠り」などのキーワードに象徴されるよう、
消費者トレンドが「内食」志向になっている昨今、
苦戦を強いられている会社も多いとか。

そんな中で、モスバーガーは、昨年まで「負け組」に
分類されていたはずですが、
2009年度3月期では、最終利益が5億52百万円と、
赤字予想から一転し黒字を確保したようで、
まるで去年のことを忘れたかのように、今年は、
マクドナルドと同様、「勝ち組」としてマスコミに報じられたりしています。

黒字転換の理由として、
昨年9月より始めた地域限定メニューや、
昨年末に発売した「とびきりハンバーグサンド」が好調なのだとか。

自分は「とびきり…」に関してはそれほど惹かれなかったのですが、
たしかに、横浜市内限定の「開港バーガー・開港チーズバーガー」
http://www.mos.co.jp/menu/tenpo/kaiko_cheese/

なんかを見ていると、地域を限定した取り組みに、
力が入っている様子がわかるし、
これらのヒットをきっかけに今年は、
Wモスバーガーなど、高価格帯への挑戦や
パティの量を少なくして質を確保しつつ160円という低価格に挑戦した
ハンバーガーのリニューアル、
そしてダスキンとの資本・業務提携の成果の一つとして、
ミスタードーナッツとのコラボ商品の開発や
日本テレビの番組とのタイアップ商品やペプシとの販促キャンペーンなど、
反転攻勢に出ているようです。

そんな最中、ロッテリアでは、ダイナー系バーガーのクオリティを目指した、
「絶妙バーガー」という新商品を発売し、
「まずかったら返金」というキャンペーンを派手に展開しているのですが、
自分とって、そんな話題の新商品を食べることより最優先すべき、
ショッキングな事件が起きてしまったのでした。

そんなわけで、画像は、モスバーガー中野新橋店で、
「Wモスチーズバーガー」をSセットで。

実は、この最寄りのモスバーガーが、今週末を以って閉店してしまうのです。

…これはショック!
僕にとって、モスバーガーとは、「癒し」なのです。

まだマクドナルドが24時間営業が進んでいなかった頃から、
深夜まで営業していることが多かったモスバーガーは、
仕事帰りに疲れていて、でも財布に余裕のある、そんな時にしか、
利用しない場所でしたが、だからこそ、モスバーガーの店内という空間は、
僕にとってとても落ち着くし、
食べたあとの満足感は、「松屋」など他のファーストフードとは
比べようもなかったのですね。

そんなモスバーガーがなくなってしまうとは!
中野新橋界隈では、定食屋などはそこそこあるけれど、
ぼけっとのんびり出来る店があまりないため、
そういう意味では、選択肢がなくなってしまうのが残念。
最後の砦はドトールくらいになるかな。

ただ、ドトールじゃ、ミラノサンドは旨くても、
飯にはならないからなあ。深夜は閉まっているし。
こんなことになるなら、もっとモスバーガーをたくさん利用しておけば…。
残念でなりません。

今日は、以前から顔見知りの、「モス愛」あふれる店員さんにも挨拶でき、
中野新橋での最後のモス三昧でした。
ご馳走様でした。

歩け、礼文の道。その8「またいつの日か、礼文に帰ってもいいですか?」

2009年07月20日 17時36分37秒 | 旅行
6月18日朝5時20分。
北海道礼文町須古頓。

4泊6日の旅行も、今日が最後。
窓の外がすでに明るくなっています。
最後の日になって、やっと晴れてくれました。
僕は、晴れたスコトン岬を、一度見ておきたくて、
ドミトリーの二段ベッドをそっと抜け出して、ひとり民宿の外に出ます。




礼文島は、緯度が高いので、夏至の時期になると、
深夜2時頃から、空が白み始めるとか。
白夜というほどではないようですが、
神秘的な夜空を、一度見てみたかったです。

民宿の外に出ると、すでに宿泊客が、ひとり、道端で佇んでいました。
礼文の花はもちろん、バードウォッチングも趣味だとという、この宿泊客さん。
きっと鳥の鳴き声を聞いているのでしょう。

宿泊客A「おはようございます!」
kumazzzo「足音も立てずにゆっくり歩いたけど、鳥が逃げてしまわないかと思って心配でしたよ。」
宿泊客A「遠くだから、大丈夫よ。」
kumazzzo「スコトンまで行ってきますー」

民宿からスコトン岬までは、約10分。
朝の冷たい空気がきりりと気持ちいい、散歩です。








昨夜は、波の音も聞こえましたが、今朝は、波の音さえ聞こえない、べた凪です。

ストコン岬は、礼文島を歩くコースのうち8時間コースや
4時間コースの出発点になっていますが、
この時間は、観光客も、まったくいません。
岬の先にあるトド島付近で、漁をしている船がいました。
先日から解禁になったものの、海が荒れていて船が出せなかった、
バフンウニの漁をしているのでしょう。





男「プー!プー!」
kumazzzo「!!」

背後で、男が、笛を鳴らしていました。

kumazzzo「なんの笛なんですか?」
男「ウニ漁はもうおしまいっていうのを知らせているんですよ。もうたくさん獲れましたからね。」
kumazzzo「今日初水揚げですね。高く売れるといいですねー」

朝の太陽に照らされ、海底が透けて見えるほど、きれいな礼文の海。
沖縄の海の美しさに匹敵するかも…
いや、海というものは、もともと、こういうものなのでしょう。




こんな晴れた日の礼文は、どんな表情なんだろう。
僕はそれを確認することなく、今日、島から出発しなければなりません。

民宿に戻ると、そろそろ朝食の時間です。

kumazzzo「おはようございます!えーと…」
宿のご主人「エル君は、今日はパンだよ」
kumazzzo「忘れてた!」

いつものように座ろうとしたら、すかさず突っ込まれました。
最後の日は、洋食と決めていました。
それは、美味しそうなジャムの数々と、自家製のカスピ海ヨーグルトに、
牛乳とオレンジのミックスジュース…通称「うにジュース」が飲めるから!







これですよ、これ!小倉バター!
パンを4つにわけて、それぞれ違うジャムをつけて楽しみます。
カラフルなジャムやジュースを、おいしそうに食べたり飲んだりしていたら、
どうやら、家族連れの宿泊客の子供を刺激してしまったようです。

宿泊客B「追加でカスピ海ヨーグルトひとつもらえますか?」

子供が、俺のほうを見て、何かお父さんに話しています。

宿泊客B「すみません…」
kumazzzo「気にしなくてもいいですよ。おいしそうに見えたんだよねー」

でも、ヨーグルトは甘さ控えめで、ちょっと子供にとっては、
酸っぱかったようです。

宿のご主人「はちみつあるよ。天然ものなんだ。かけてみる?はい、どうぞー」
宿泊客B「ありがとうございます」
kumazzzo「えー、天然もの???」

キーワードに反応した自分を宿のご主人は見逃していませんでした。

宿のご主人「エル君、ちょっと舐めてみれば?」
kumazzzo「じゃ、ちょっと舐めてみようかな」

黄金色の光るはちみつのボトルを持った瞬間…

宿泊客B「あー、それ違う!麦茶麦茶!赤ちゃんの!はちみつは、こっちよー」

子供も赤ちゃんもお母さんも、目をまん丸くしてびっくりした様子。

kumazzzo「あーごねんね!おじさんが飲もうとしたからビックリしちゃったかな?」
宿泊客C「もー、エルさんビックリですよ。麦茶とはちみつ間違えるなんて、あはは!」

自分がはちみつのボトルだと思って手にとったのは、
哺乳瓶に入った麦茶!…何歳になっても、こういう天然ボケは、治りそうにありません。

ご飯を食べ終え、ベッドに戻り、最後の出発の支度です。
すべての荷物とお土産を詰め込んで、談話室に集合です。

宿のご主人「それでは出発します!」

今日は宿から出発組の見送りを受けながら、車は、フェリーターミナルへ出発です。
たった5日前、いろんな期待を胸に、このワゴンに乗って揺られた道を、
5日後、こんな名残惜しい気持ちでワゴンに乗って帰るなんて。
ワゴンから見える景色のすべてに心がひかれて、なびいていきます。

宿泊客C「あれ、ここにも、『最北端のたいやき屋』があるわ!」
kumazzzo「でも、いつも閉まってた感じがするなあ」
宿泊客A「そうなの、今はほとんど営業してないみたい」

宿泊客D「ほら、今のあの看板!あそこが『さざ波』だよ。」
kumazzzo「こんどは、イレブンソフト食べなくちゃー」

宿のご主人「今度、礼文にも天然温泉が出来るんですよ!」
kumazzzo「えー礼文にも沸くんですね!」

食べられなかったもの、見れなかったもの。
いろいろあるけれど、次回のお楽しみです。
ワゴンは、やがて、フェリーターミナルに着きます。

今朝のフェリーターミナルは、少し賑やか。
桃岩荘のお客さん達による見送りはもちろん、どこかの旅館は紙テープでお客さんを見送るようです。






今日朝のフェリーで出発する宿泊客は、自分を含めて2人。
滞在中、波照間の話など、いろんな旅の話をして、仲良くさせてもらっていました。
到着したフェリーのお客さんを迎えた後、自分たちの泊った民宿のお客さんからも、
みんなから一人ずつ送別の言葉をもらい、握手してもらいます。

…そして、いよいよ、船の中へ。
一緒に旅立つお客さんと長い列の最後尾に並び、乗船します。

kumazzzo「ありがとうございました。」

見送ってくれる宿泊客さんたちが、
タラップのそばで一列になってくれている傍を通って、船内に入っていきます。

kumazzzo「そのまま、デッキに行きますか。」
宿泊客D「そうしようかー」

僕らは、デッキに出て、見送ってくれる仲間が見える場所に立ちます。


宿のご主人「それでは、一言ずつどうぞ!エル君!」
kumazzzo「本当に、いい旅になりました。ありがとうございました。また、必ず帰ってきます!」




…いい旅。
それだけで、毎日の生活が頑張れたり、生き方に影響を与えるような旅。
そんな旅に出会うために、生きているといって過言ではないかも。

フェリーが汽笛を鳴らします。
徐々に岸壁を離れていきます。
大きく手を振ってくれる宿のご主人と宿泊者さんたち。
僕らも、船尾まで移動し、徐々に小さくなる、その姿を、
同じ宿泊者さんと一緒に、最後まで眺めていました。

…ありがとう。
いろんな思い出と体験が詰まった島影を船からぼんやり眺めていたら、
涙が頬をそっと撫でてくれました。




二人が言葉を発したのは、ずいぶん後からです。

kumazzzo「…寂しいですね」
宿泊者D「何度来ても、見送られるのって、つらいよ」

旅の話や趣味の話をしながら、船は約2時間かけて稚内へ向かいます。

宿泊者D「おみやげずいぶん買いましたね。」
kumazzzo「ほら、今度、波照間行ったら、礼文島Tシャツ着て宣伝しないと。」
宿泊者D「今回は礼文岳も登ったし、やりたいこと、やり尽くしたよ。」

気がつかない間に、船がスピードを落としていました。
稚内港です。

宿泊者D「それでは、気をつけて!」
kumazzzo「また、またお会いしましょう!」


握手をしてもらって、同じフェリーで島抜けした宿泊者さんは、
一足早く空港へ向かいます。
俺も、腹ごしらえするために、南稚内へ歩いて向かいます。

↓踏切から眺める稚内駅。




↓南稚内にある「はるき茶屋」の、しじみラーメン。
宿のお客さんに教えられてやってきました。スープが最後の1滴までおいしい!
店内のテレビで、久しぶりにテレビ番組を見ました。
滞在中は殆どテレビを見なかったので、すごく懐かしい気分。






↓南稚内駅では、出発前の札幌行きの特急サロベツが待機していました。
のんびりした風景に、しばし時間を忘れます。



空は晴れ、湿度の低い、気持のよい昼下がり。
でも、時間が刻一刻と迫っています。
バス通りへ出て、空港行きの路線バスの停留所へ向い、
バスに乗り込みます。

空港では、東京へ向かうお客さんでごった返していました。
お土産物コーナーではおばちゃんたちが、右往左往しています。

おばちゃん「どのコーナーの商品が、どのレジでお会計になるのか、全然わからない!」

おばちゃん達の雑音が、少し五月蠅く聞こえ始めました。
…それは、礼文で自分にかかっていた魔法が、
少しずつ、消え始めていたのでしょう。
こうして、また日常生活に戻っていくのか。
でも、僕には、忘れることのできない、思い出が深く刻まれていました。

この旅のきっかけを作ってくれた人、
留守宅を守ってくれた相方さん、
旅先で出会ったみなさん、
すべてに、感謝です。

ありがとう、いい旅でした。僕は、また必ず礼文に戻ります。


歩け、礼文の道。その7「流れ星で、どんな願い事が叶えられるのですか?」

2009年07月17日 00時59分38秒 | 旅行
6月中旬から、北海道に浮かぶ一番北の島、礼文島に滞在してきました。
しばらく、旅行記にお付き合いください。

今回の話は、5日目です。
民宿→フェリーターミナル→知床→秘密の花園→元地灯台→桃岩展望台→
レブンウスユキソウ群生地→ピーク268
→フェリーターミナル→船泊→民宿までのお話です。

6月17日朝6時半。
北海道礼文町須古頓。



宿泊客A「今日は、なんですか?その『いちゃりばちょーでー』って。」
kumazzzo「沖縄の方言で、『一度会えば、みんな兄弟』って意味なんですよ。」
宿泊客B「『たくさんちょーだい』って書いてあると思ったわ。」
宿泊客A「イメージで全部食べ物に結びついちゃうわ」

今回の旅行では、旅行した各地のTシャツを着て民宿で過ごしてました。
「波照間」Tシャツに台湾「故宮博物館」Tシャツに、友達からもらった「沖縄」Tシャツ。
3枚とも、話題作りのいいきっかけになってくれました。

kumazzzo「今度波照間行った時には、『礼文』Tシャツ着て、宣伝してきます!」

朝食もたくさん食べて、ベッドに戻って出発の支度です。

宿のご主人「それでは最終点呼します!くまぞーさんは?」
kumazzzo「桃尻から礼文林道、ピーク268で〆はラーメンです。」

今日は桃尻コースは大人数のようです。
この桃尻コース、島の南を回る、利尻島の利尻富士が
きれいに見えるコースです。
今日の天気も、基本は曇り。午後に晴れ間が少し広がるかどうか。
残念だけれど、利尻富士は拝めそうにありません。

礼文岳に登る宿泊客、宇遠内コース、桃尻コース、
出発客あわせて、総勢11人がワゴンに乗ります。

フェリーターミナルに着くと、今日は、桃岩荘のヘルパーさんたちが、スタンバイしています。
今日は名物の送別の歌と踊りが見られそう。



他所の民宿の儀式ながら、見ていて楽しいものです。
正直泊ってもいいかなと思いますが、おそらく、
今回泊った宿がとてもいい宿だったので、簡単に浮気できそうにはありません。

ちなみに桃岩荘のことは、こちらをご覧になると、いいかも。



僕と同じフェリーで礼文にやってきた宿泊客も今日でお別れ。
今日も大きな声で「行ってらっしゃい!」と叫びたいところですが、
昨日同様、知床行の路線バスの出発が迫っているので、
最後まで見送ることが出来ません。

宿のご主人「今日は俺一人かー…バスの停留所わかるかい?」
宿泊客C「俺、わかります」
宿のご主人「じゃ、Cさんみんなを連れて行ってあげてください」

楽しく過ごせた感謝の気持ちを宿のご主人に託して、
少し心残りですが、バスに乗り込みます。



香深から知床までバスで10分くらい。
歩くと舗装された道路を1時間くらいかかります。
島の生活の様子を見ることができるので、それはそれで面白いと思うのですが、
今日は、最後に、島の北部にある船泊で、ラーメンを食べたいので、今回はショートカットです。

程なくして、知床に到着。合計11人の大所帯です。

宿泊客D「僕ら子供づれなんでゆっくりになってしまうんで、先に行っていいですよ」

まずは、ここで、7人で先に出発。最初の目的地「秘密の花園」を目指します。
「秘密の花園」は「元地灯台」へ向かう途中にある花畑に名づけられた通称です。
宿のガイドマップには、秘密の花園への入口が書いてあり、みんなで花園を目指します。
元地灯台までは、ずっと登り坂が続き、自分は、ちょっと息が切れそう。
7人の隊列も、縦に伸びがちです。

秘密だと思っていた花園は、入口から、ちゃんとロープで遊歩道が作られており、
まったくの「秘密」ではなさそうです。
ただ、笹を分け行って遊歩道を入っていくと…。

kumazzzo「おーきれいに咲いているなあ」



判りにくい画像で申し訳ないのですが、一面にチシマフウロとレブンキンバイが咲いています。
草原の向こうには、海。晴れていれば、利尻富士も見えるのでしょう。



kumazzzo「今回の礼文の一番の目的って何ですか?」
宿泊客C「やはり利尻富士を写真に撮ることだね」
kumazzzo「あー、じゃ、ちょっと今日は残念ですね。」

他の観光客がぞろぞろやってきたので、場所を譲るように、また遊歩道を戻って、
元地灯台を目指します。



元地灯台に到着すると、視界が一気に開けます。

kumazzzo「えーあんな高い所に観光客なんだかたくさんいるなあ!」
宿泊客E「景色よりそっちかい!」
kumazzzo「だって、どうやってあんなところに…」
宿泊客C「途中まで観光バスで登れるんだよ」

この桃尻コースは、景色もよく、いろんな種類の花も咲き、フェリーターミナルから近いので、
トレッキングが組み込まれたツアー団体客が多く訪れていました。
今日はハイジの谷~礼文滝まで目指すという「健脚」女性二人組は、
僕らより一足先に灯台を出発。7人組が、ここで2人組と5人組に分かれます。

ここからはアップダウンがありながら、徐々に登っていきます。
カメラで写真を撮りながら登っていく自分は、みんなから遅れ気味です。

宿泊客C「カメラ直ったのかい?」
kumazzzo「いや、エラーになったり、ならなかったりですよ。」

とにかくエラーになろうが、なるまいが、とにかくシャッターを押してまくります。

↓とにかく、登り坂。



↓桃岩荘。にしん御殿をそのまま残した利用しているそうです。


↓ネムロシオガマ。



↓海に浮かぶ猫岩と、猫岩と桃岩を眺められる猫台・桃台。


追いついてはまた離れ、追い越してはまた待ち、
そんな風に歩きながら、桃岩展望台に到着です。



この桃岩、高さ250mの山で、ちょうど桃のような形をしていますが、
岩肌が露出して巨大な岩の塊のよう。名前以上に、とてもごつい山です。
以前は登山道もあったようですが、こちらも今では閉鎖されてしまっています。
この展望台までは、大型バスが登ってこれます。車を止められるスペースもあるし、お手洗いもあります。

kumazzzo「お昼、どうしましょうかねー」
宿泊客C「ウスユキソウ群生地で食べるか。」

ここからいったん舗装道路を歩き、再び、礼文林道を歩きます。
昨日、花のガイドをしている女性と歩いた道を、今度は反対方向に歩いていきます。

kumazzzo「これがですね、レブンコザクラで、もう時期が過ぎているんですけれど、ここだけ咲いているみたいですよ」
宿泊客F「ほんと、きれいねー」

今日到着して一緒に歩いてきた夫婦に
昨日教わった花を、知ったかぶりで、話します。
知ったかぶりでも、それでも教えてあげたいきれいな花でいっぱいです。
でも間違えていたらごめんなさい。

↓オオカサモチだったかな。


↓エゾタカネツメクサかしら。


↓調べたけど、もうお手上げです。とにかく、かわいい。


いろんな花を見て楽しみながら、ゆっくり歩きます。
レブンウスユキソウ群生地に到着。

kumazzzo「ご飯食べましょうかねー」



kumazzzo「なんか晴れてきましたね…あっ、ホタテフライ落としちゃった。でも大丈夫!」
宿泊客C「3秒ルールだからね。」
宿泊客G「えー、でも地面は、どうかな」
kumazzzo「すごく愛おしくて…ちょっと払えば、食べられますよ。」

おなかいっぱいになりましたが、やはり座ってじっとしていると、汗が冷えてちょっと寒い!

宿泊客F「それでは私たちは、ここからフェリーターミナルへ戻りますね。」
kumazzzo「では、お気をつけて!また後でお会いしましょう」

ここで、今日到着したばかりの夫婦2人が道を引き返していきます。
残ったメンバーは3人。そして、女性1人もハイジの谷へ向けて、別れていきます。

kumazzzo「じゃ、行きますかー」
宿泊客C「ハイジに行ってると時間ないからなあ」

最初11人の大所帯は2人になって、
次の目的地、ピーク268を目指します。

時刻は午後1時。日差しが出てきました。
青い空と、背の高い笹が両側に続く、でこぼこ道。
風が吹いて、笹が揺れる音が、僕の記憶を呼び起こします。



kumazzzo「波照間のさとうきび畑に似てるなあ。この感じ!」
宿泊客C「波照間もこんな山道があるのか?」
kumazzzo「いや、アップダウンは少ないけれど、島は台地状になっているんですよ」

礼文林道からピーク268へ向かう分岐へ入ります。
標高が高くなるにつれ、笹地は徐々に少なくなり、背の低い草地から、砂礫地に。
山登りに長けている同行者は、俺が写真撮りながら、息つきながら登っている間に、
ひょいひょいと先に進んでいきました。
砂礫の上をコケないように、ゆっくり進んでいくと、急に、眺めの良い場所にたどり着きます。

kumazzzo「着いた!」



ここは、標高268mの山の山頂付近。
標高276mの隣の山には三角山という名前が付いていますが、この山には名前が付いていないようです。
宿のご主人より268mとは思えないくらい高い山に登ったような雰囲気だと聞いていました。
きっと本州の南アルプスあたりの山頂は、こんな砂礫地なのでしょう。



kumazzzo「めちゃくちゃ気持ちいですね!」
宿泊客C「俺はここでのんびりしているから、急いでるなら先言っていいぞ。」
kumazzzo「フェリーターミナルのバスが3時10分なんで、もう少しのんびりしてから行きますよ」

きっとここから、利尻富士が見えるのでしょうが、
残念ながら薄雲が取れなくて、見えません。でも、充分すぎる眺めです。

kumazzzo「それでは、先に行きますね」
宿泊客C「じゃあ、なっ!」

ここからは、ひとりで海抜0mまで下っていきます。
途中は夏季休業中のスキー場を抜けて、フェリーターミナルへ。
今日も、ホテル礼文を目指して、下っていきます。

ホテル礼文に滑り込んだのは、バス出発の20分前。

kumazzzo「アツモリロールの塩キャラメル味くださいー」
従業員A「何度も足を運んでもらってすいません。」



念願のアツモリロールは、しっとりどっしりとしたキメの細かい生地と、
アクセントに少し塩を利かせた生クリームがマッチし、
キャラメルの焦げた風味がふわっと香り、とてもおいしい!
パティシエの女性の方まで出てきて、お礼をいただきました。

kumazzzo「民宿帰ったら宣伝しておきますよ!!」

バス乗り場へ向かうと、朝別れた家族連れとレブンウスユキソウ群生地で別れた夫婦がバスを待っていました。

kumazzzo「小さいお子様連れて大変でしたねー」
宿泊客C「自分の足で歩いてくれて、うれしかったですよ!」

男の子は疲れた様子もなく、とても元気!
お父さんはさぞかし嬉しい表情しています。
みんなで、スコトン岬行きの路線バスに乗りこみます。
乗用車なら、びゅーっと25分くらいでついてしまうストコン岬まで、
約1時間かけてのんびりと進んでいきます。

同じバスに乗り込んだ宿泊客のみなさんは、お疲れで、眠ってしまっている様子。
でも、自分は、最後に船泊でラーメンを食べるのが、最大の目的。
うとうとしながらも、乗り過ごさないように、注意します。

バス「次は船泊本町」
kumazzzo「ピンポーン!」

目覚めた宿泊客が慌ててます。

宿泊客E「あれ、ここは?」
kumazzzo「俺、ここでラーメン食べて帰るんで、先に降ります!」
宿泊客C「後で味教えてくださいね!」

…ぽつん。
突然、ひとりになった自分は、お目当てのラーメン屋を探して歩きます。

看板「二葉食堂」
kumazzzo「ん?んー?」

看板はあるのですが、入口が閉まっています。これは、悪い予感。
看板にある電話番号に電話しても、電話に誰も出ません。

kumazzzo「引き戸の内側にのれんあるから、ダメかー」

ここから宿までは、宿のご主人のピックアップしてもらう予定でいましたが、あと1時間以上あります。
歩いて帰るにしても、おそらく2時間はかかります。

小学生達「こんにちは!どうしましたかー?」
kumazzzo「二葉食堂でラーメン食べようと思ったんだけど、お店が閉まっていて民宿に帰ろうかなって思っているんだー」
小学生達「???」

礼文島の子供たちは、基本、観光客にフレンドリーに挨拶してくれるのですが、
怪しい太ったおっさんの困った様子が、怪しい行動に映ったのか、
子供たちも、不思議顔です。
うろうろ歩いていても不審者になってしまうので、慌てて予定変更で、電話をかけます。

kumazzzo「すいません!フェリーターミナルからの帰りじゃなく、『行く』時に俺をピックアップしてください!」

実は、この電話、忙しかった宿のご主人につながっておらず、
俺が道端で立って待っていたのに気づいて慌ててバンを停めてくれます。

宿のご主人「エル君どうしたの?」
kumazzzo「二葉食堂やってなかったんですよ。」
宿のご主人「びっくりしたよ!ラーメン今日もフラれたね。また香深行くなんて、もったいない!」

どうやら臨時休業で、お休みだったようです。
このラーメンは次回のお楽しみ…必ず食べにこなくちゃ。

……



民宿に戻ってきて、ひと風呂浴びてから、夕食の時間です。
ラーメンが食べれなかった反動で、夕食がとてもおいしい!

kumazzzo「このホタテの稚貝の味噌汁ってめちゃくちゃ旨いですね!」
宿のご主人「あはは、昨日のは旨くなかったのかよー」
kumazzzo「ほら、あまりホタテの稚貝って東京ではないじゃないですかーすごくいい出汁でてていいっすねー」

ちっこいホタテの貝殻もかわいい稚貝の味噌汁。
結果として、ラーメンを食べられなくてもよかったのかもしれません。
明日の朝は、もうフェリーに乗るだけ。
部屋に戻り、明日出発する支度をして、再び夜のミーティングに。

宿のご主人「えー、今日もスイーツにフラれ、ラーメンにフラれたくまぞーさんです。」
kumazzzo「あはは、アツモリロールは食べてこれましたよー」
宿のご主人「そっかー、くまぞーさん、今日のコースの状況はどうでしたか?」
kumazzzo「利尻富士は見えませんでしたが、レブンキンバイソウにチシマフロウが一面咲いていて、
     今日が一番花がきれいでした!」
宿のご主人「明日の予定は?」
kumazzzo「明日は…『島抜け』1便です。朝食はパン2枚でお願いします。」

島抜け…島から帰る、この民宿のお客さんは、
こんな言葉を使っていました。
島から離れなくてはならない気持ちを表しているのでしょう。

この日のミーティングの後の飲み会では、
明日帰る宿泊客さんや今日一緒にあるいた宿泊客さんと、しんみり飲んでいました。
泊っているメンバーで盛り上がり方や雰囲気が違うのも、こうした旅先の面白さの一つです。

すると、宿のご主人が突然、顔を出しました。

宿のご主人「今夜は星が出ているよー」
kumazzzo「あっ、見に行きたいな。行きませんか?」

みんながぞろぞろ出ていきます。
でも、今日一緒に歩いた宿泊客さんが、ひとり残っています。

kumazzzo「あっ、星…興味ないっすか?どうです?」
宿泊客C「俺、もともと大学で、天文部だったんだよな…カメラ持っていくか。」

まだまだ寒い夜の礼文。スウェットを着こんで、民宿の外へ。

kumazzzo「懐中電灯とかあればいいんだけれどなあ。」
宿泊者F「私、持ってきてるから。」

街灯や遠くに光る集落の明かりが見えない丘の上までみんなで登っていきます。

宿泊者G「この辺でいいじゃない?」

俺が道路に寝転がりだしたらみんな、寝ころびだしました。
明かりを消したら、暗闇の静寂の中で、
ただ鮑古丹に打ち寄せる波の音だけが遠くから聞こえてきます。

宿泊者F「あっ!」
宿泊者D「あっ!また!願い事なんて無理だよ。」

流れ星が見れなかったのは、俺だけじゃなかったようです。
立て続けに流れたのに、今度は随分と時間が経っても、流れません。

宿泊者H「流れ星が多い時と少ない時ってあるのかな?」
宿泊者C「明け方とか日が沈んだ直後ととか見えやすいんだよな。」
宿泊者H「じゃ、今はなかなか難しい時間帯なんですねー」
宿泊者D「短い時間で言える願い事って何?」
宿泊者G「カネカネカネ…」
kumazzzo「あはは、欲深いなあ…あっ!見れた!」
みんな「あっ!!流れ星!」

あんな短い時間で、言える願い事ってなんだったんだろう。
楽しかった礼文でも毎日を思えば、
日々の仕事から離れ、夢中になって遊んだことを思えば、
僕には、これ以上の魔法は、必要なかったのかもしれません。

いよいよ、明日は、島抜け。最終日です。



歩け、礼文の道。その6「花と団子、どっちが大切ですか?」

2009年07月09日 16時26分57秒 | 旅行
今月中旬から、北海道に浮かぶ一番北の島、礼文島に滞在してきました。
しばらく、旅行記にお付き合いください。

今回の話は、4日目です。
民宿→フェリーターミナル→香深井→宇遠内→礼文林道→レブンウスユキソウ群生地
→フェリーターミナル→民宿までのお話です。
今回も、パソコンでご覧の方、今回も多少重たくなります。ごめんなさい。

6月16日朝7時30分。
北海道礼文町須古頓。



礼文滞在2日目の朝です。
毎度のように、朝食の画像を撮るのですが…。

kumazzzo「すいません~カメラの調子が悪くて…なかなかシャッターが下りないんですよ」
宿泊客A「安いコンパクトフラッシュ使うからですよ。」
kumazzzo「いや、カード不良の場合は別のエラーメッセージが出るんですね。
     …んー調子悪いな。もういいや、食べ始めようかな。」

今回、カメラトラブルで満足な画像が撮れなかったのですが、
ブログかきながら振り返ると、懐かしい思い出でいっぱいです。

さて、昨日は、出発の準備に手間取りましたが、
昨日一日歩いたら、何をバッグのどこに入れればよいか、
要領をつかんだので、出発の支度もスムーズです。


ご主人「それでは最終点呼します…くまぞーさんは?」
kumazzzo「ウエンナイから礼文林道経由で、〆はスイーツです!」

今日は、同じコースを歩くのは、自分一人だけ。
歩き終わった最後には、昨晩のミーティングで話題になったホテル礼文のアツモリロールを食べに行きます。
フェリーで帰る宿泊客さんたちと一緒にワゴンに乗り込んで、出発です。

…ブーン。

フェリーターミナルには、礼文島での有名なユースホステル「桃岩荘」の出迎えがスタンバイしています。
この「桃岩荘」、とても濃密な宿泊体験ができるのですが、
民宿のヘルパーと宿泊客による、フェリーターミナルでの歓迎・送迎の儀式も、見ものです。



kumazzzo「旗振ってるなあー」

さて、自分が泊っている民宿はどうかと言えば、
こちらも、同じように見送りの儀式があって、
見送る側が一列に並び、握手をしてお別れをします。

見送りが初めての自分は、宿のご主人に促されて、岸壁の乗船口付近へ。
出発客が船に入ると、見送られる側もデッキまで出てきてれて、お互いに一言ずつお別れの挨拶をします。

kumazzzo「みなさん、ごはんはたくさん食べましょう!」

ウケを狙っていましたが、はずしたかどうか、微妙です。
桃尻コースと呼ばれる島南部を歩く人たちは、船の出発間際まで見送って
知床行き路線バスに乗り込みました。
最後に残ったのは僕と宿のご主人の2人だけです。

kumazzzo「寒いっすねー海に近いから風もあるし!」
宿のご主人「あはは、船、早く出ないかな?」
kumazzzo「あれ、桃岩荘の人たちも、いないですねー。今日は出発客がいないのかな?」

先ほどまで「おーい!桃岩荘~」とか、大声を出していたのは、
到着したフェリーでやってきたお客さんを迎えるための案内で、
どうやら、この日の見送りは僕らだけになってしまったようです。

船が大きな汽笛を鳴らします。ゆっくり動き出す船。
談話室で遅くまで話した宿泊客さんたちとも、最後のお別れです。

宿のご主人「エル君、あそこまで移動するよ」
kumazzzo「はい!」

港を出ていく船を最後まで見送るため、岸壁の外れまで移動します。

宿のご主人「さあ、声出すぞ。」

二人で大きな声で最後のお別れです。

二人「いってらっしゃーい!」

その声が届いたかどうか、僕にはわからないけれど、
きっとまた会えるよう、言霊になって礼文の空に響いてくれれば、
僕はうれしいです。

遠く小さくなるまで見送った後、到着した宿泊客と一緒に、
ワゴンにまた乗り込み、来た道を引き返し、香深井へ。
ここで自分はワゴンを降りて、宇遠内を目指します。

宿のご主人「道わかるかい?」
kumazzzo 「 1/50000の山岳地図持ってきたんで大丈夫ですよ」
宿のご主人「フェリーターミナル5時集合で!」

ここからは、本当に一人旅。
万が一遭難しないよう、分岐点のチェックや、ペース配分を考えながら、
慎重に歩いていきます。
香深井から宇遠内は、ちょうど島を東から西へ上って下るルート。

礼文島は、気象条件や緯度の高さの違いで、島の東側と西側、若干の標高の違いで、植生が違いますね。
今日のスタートは、昨日と全く違い、
風も穏やかで、鳥のさえずりも聞こえる、森林の中を歩いていていきます。



歩き始まるまでは少し寒かったのですが、未舗装の林道に入り、20分ほど。
宇遠内へ向かう山道へ入ると、体もぽかぽか、
気分は「森のくまさん」です。

歩き始めて40分ほどしたら、どうやら上り坂から下り坂に変わったようです。
もっとゆっくり歩きたいところですが、これから先の距離の事を考えると、
あまりのんびり出来ません。

下り坂に差し掛かると、一気にいろんな花が見ることができます。

↓マイズルソウ。


↓チシマキンレイカかしら。


↓ミヤマオダマキ。問題なく、きれいです。


急に視界が開けました。山と山の間には、水平線。
晴れていればもっときれいに見えるはずです。

kumazzzo「あーでも、まだまだ下らないと海岸線までは無理だなあ」





しばらくすると、ここで本日初めて観光客とすれ違います。
ここまで見事にたったひとりです。

観光客A「こんにちはー…フタナミソウお探しですか?」
kumazzzo「フタナミソウ??…はい!!探してます!」

そういえば、昨晩のミーティングで、フタナミソウの話が出ていました。
タンポポの花に似ているのですが、花びらが上向きに広がります。
以前は、名前の由来になった二並山経由の山道があり、その付近で見ることができたらしいのですが、
いまでは、閉鎖されていて、見られる場所は限られるとか。
探して歩いていたわけではないけれど、見れるものは見ておきたいところです。

観光客A「もう少し先の崖の上の方にありますよ」
kumazzzo「ありがとうございます!」

これが、フタナミソウ…かな。
崖の上の方に咲いているところを望遠レンズで撮ってみましたが、若干自信ないです。
当たっている確率70%ぐらい。



かなり急な下り道だったのでしょう。
まだまだ下らなくてはいけないと思っていたら、急に民家が見えてきました。



海です。

kumazzzo「きれいだなー」

島の東側と違い、晴れ間ものぞき、波の音も静か。
太陽が柔らかな光で海を照らし、微妙な青のグラデーションに染めます。



宇遠内は、民家が数件しかない小さな集落。
ここに通じる道は、今歩いてきた山道のみ。
物資は船で海から運ぶ以外になく、鄙びた光景が広がります。



数少ない民家の中の一軒が経営している休憩所で、僕はとあるチャレンジをしました。

看板「食堂 ひとやすみ」
kumazzzo「すいません。おじゃましますー、イ貝汁ください!」

自分は、基本、貝類が苦手ですが、昨晩のミーティングで、
ここのイ貝の味噌汁がおいしいとか

kumazzzo「昨日、星観荘でイ貝汁の話聞いて、来てみたんですよ」
御母さん「うれしいわーゆっくりしていってくださいね」
kumazzzo「本当に、いい眺めですね。あの船は…」
御母さん「うちのお父さんが、なまこの漁をしているのよ。輸出するの。」
kumazzzo「中国とかで高く売れるんですよね。」

貝自体は、やはり苦手だったんですけれど、貝から出た出汁の風味がすごくいい!
わかめも宇遠内でとれたもので、肉厚で磯の香りがたっぷり!

kumazzzo「すいません…持ってきたお弁当食べてもいいですか?」
御母さん「いいよ、食べていって!」



しばらくすると、漁からご家族が戻ってきました。
あまり長居をしては申し訳ないので、店を出ることにします。

御母さん「裏にエゾカンゾウがきれいに咲いているから見ていってね」
kumazzzo「ありがとうございました。」



静かな集落の佇まいに感動し、少しのんびりしてから、再び、来た道を戻ります。
50分ほど歩いて、再び、朝歩いた林道を、今度は、南に向かって歩きます。
「森のくまさん」モードで、しばらくは森林を歩きますが…



すぐに、笹の広がる丘陵地に。




標高が高くなったのがすぐにわかります。
ちょっと単調で、飽きてしまうのですが、
道端にはちらほら、花が咲いています。

↓キジムシロかな。


↓ゴゼンタチバナでしょうか。


礼文滝の分岐点まで来ると、宇遠内ですれ違った観光客のグループとまた会いました。

kumazzzo「あれ、もう礼文滝まで行ってきたんですか?」
観光客B「いや、途中までですよ。景色が奇麗なところまでいって、戻ってきました。」
kumazzzo「じゃ、俺も行ってこようかなー、ありあとうございます。」



…スタスタスタ。

礼文滝は、島の西海岸に位置していて、この滝を目指すコースは、
季節になると谷の両側に、花が一斉に咲き、お花畑状態だとか。
通称で「ハイジの谷」と呼ばれています。

時間はちょうど午前1時半。今日は、最後に午後4時までにホテル礼文のカフェに滑り込んで
「アツモリロール」というロールケーキを食べて帰るのが、最大の楽しみ。
あまりのんびり出来ないのは判っているのですが…。

kumazzzo「ちょっと下り坂がきついなあ」

下るということは、帰りは登るということ。
昨日は増水していて、この先の沢は、渡りづらかったとか。
もう少し先に行けばきれいなのはわかっていますが、今日は断念。
ふたたび、分岐点から、南下し、レブンウスユキソウ群生地を目指します。

レブンウスユキソウは、北海道の限られた場所で自生する希少種。
行くまで全然知りませんでしたが、ウスユキソウは、いわゆるエーデルワイスのことですね。
こちらも盗掘されるらしく、監視員が頻繁にチェックしているようです。

kumazzzo「たぶん、これかな…」



昨日の民宿でのミーティングでは、まだ数株しか咲いていないらしく、
本当にこれがウスユキソウか、ちょっと不安。
でも、見つからなくても、最終的にホテル礼文の庭に咲いているので、
カフェに寄ったら見せてもらったらいいよと、
宿泊客に教えてもらっていました。

女性C「こんにちは!すごく立派な装備ですねー」
kumazzzo「あはは、いやお茶とかしか入ってないんですよ。あのーウスユキソウって…」
女性C「ご案内しますよ。」
kumazzzo「えーいいんですか?」

この方、礼文島で、花のガイドをしているらしく、この日、午前中、団体客をガイドして、
午後はプライベートで、開花の状況を見て回っていたのだとか。

女性C「あの山の頂上の遊歩道わきもきれいなんですよ。お時間があれば…」
kumazzzo「フェリーターミナルに4時までに着けばいいんで。」
女性C「大丈夫ですね!」

…一人ではきっと行かないだろう、その急な上り坂を登ると、絶景です。

↓元地の集落。地蔵岩も見えるかな。



地元の方でないのですが、花好きが転じて礼文でガイドをすることになったこの女性に
いろんな花を教えてもらいながら、道を下ります。

レブンコザクラ。



レブンハナシノブの群落。



エゾイチゲ



ガイドの苦労や、好きな花の話など聞きながら、歩いたら、
あっという間に、舗装された道路までたどり着きました。

女性C「わたしは、ここで、また回り道して戻るので…」
kumazzzo「ありがとうございました!ご一緒しなければ見れなかった景色や花もみられて感謝です。」

…てくてくてく。
時刻は午後3時30分。ホテル礼文の「アツモリロール」目指して、歩きます。
昨日もそうでしたが、アスファルトの道に出ると、一気に疲れを感じます。
へとへとですが、急いで、フェリーターミナル方面へ向かいます。
民家が道沿いに見えてきましたが、なかなか海岸沿いまで時間がかかります。

子供「こんにちは!」
kumazzzo「こんにちは!」

礼文の子供たちは、歩いていると必ず挨拶してくれます。
坂道も自転車でびゅーん。元気です。
35分かかって、やっと到着。
カフェの閉店は4時30分。ぎりぎりセーフでしたが…

看板「ホテル礼文 喫茶 風路」
kumazzzo「すいませーん、アツモリロール…く、ださい…」
従業員「売り切れちゃいました。」

ガラスケースの中は空気だけが冷えています。
あー昨日のラーメンに引き続き、今日も食べ逃したか!
仕方なく…ではないですが、昨夜のミーティング後の飲み会で、アツモリロールと並んで話題だった、
「浮島パフェ」のストロベリー味をオーダーです。

疲れきって帰ってくると、
甘くて冷たいものが、体にぐぐっと沁みます。
そうでなくても、甘酸っぱいベリーの香りが漂ってくるほどのソフトクリームに
スポンジやバナナ、クリームがなどがアクセントで
とてもおいしい!



kumazzzo「ごちそうさまでした、おいしかったです!」

ホテルの向かいにあるターミナルで民宿のピックアップを待ちます。
待合所のテレビには、札幌テレビが東京のニュースを映しています。

女性キャスター「世田谷区で高級自転車ばかりを狙って盗んだ容疑者が逮捕されました」
kumazzzo「……。」

都会の、そんなニュースがどうでもいいって感じている自分。
礼文の自然の中で、気持ちが、満たされているのでしょう。

宿のご主人と落ち合って、フェリーが到着したお客さんを連れて、ワゴンに乗り込み、
民宿に向けて、いざ、出発です。
今日は家族連れも加わり、ワゴンの中は子供の無邪気な質問で、にぎやかです。

子供「僕は3歳!お姉ちゃんは?」
子供「僕は男の子!お姉ちゃんは女の子?」

…いいなあ、子供って。一日歩きまわった疲れも癒されます。


……



夕食が終って、夜のミーティングが今日も始まります。
今日のコースの状況を報告します。

宿のご主人「昨日は、ラーメンに振られ、今日はスイーツに振られたくまぞーさんです」
kumazzzo 「宇遠内へ向かう下り道はフタナミソウが咲いていました。
      ウスユキソウ群生地も、いろんな花が咲いて、きれいでしたよ」
宿のご主人「エル君、普通のタンポポとフタナミソウを見間違えていないか~?」
kumazzzo 「途中で観光客の人に教えてもらったんで、たぶん、間違ってないですよ。」

ミーティングの後の飲み会でも、食べ逃した話で盛り上がります。

宿泊客A「アツモリロールおいしかったですよ」
kumazzzo「えー今日食べたんですか??うそー、それって俺のアツモリロールだったんじゃないですか~!」
宿泊客A「そうそう、エルサイズって書いてあったよ。ごめん。あはは」
宿泊客B「まさに、花より団子だよね。」
kumazzzo「いや、花も団子もですよ!」

楽しい礼文の道歩きも、明日が最終日。
さあ、明日はどう歩こうか、どこに行こうか。



歩け、礼文の道。その5「誰かに道を聞かれても、快く答えてくれますか?」

2009年07月04日 03時16分43秒 | 旅行
今月中旬から、北海道に浮かぶ一番北の島、礼文島に滞在してきました。
しばらく、旅行記にお付き合いください。


今回の話は、3日目です。
民宿→ゴロタ岬→鉄府→澄海岬→西上泊→レブンアツモリソウ群生地→浜中→船泊→スコトン岬→民宿までのお話です。
今回はこれでもかと画像を張り付けました。重たくてごめんなさい。


6月15日朝6時30分。
北海道礼文町須古頓。

kumazzzo「久しぶりにゆっくり寝たなー」



朝ごはんの時間です。
談話室の大きな窓から見える空は、曇。
先ほどちょっと外に出てみたら、昨日よりはましになりましたが
風があり、まだまだ寒い。
ご飯も「利尻盛り」でたっぷりと食べます。
なんどもおかわりしていたら、最後まで食べているのは、どうやら自分だけのようです。

kumazzzo「俺、波照間でも朝飯最後まで食ってお昼のおにぎりまで作っていたくらいなんですよ。
     どうぞ、(部屋に)先に戻っていていいですよ」
宿泊者A 「すごいですねーあの飯食べた後、ちょっと無理でした。」


日本最南端の波照間のネタは、
判ってくれる人も多く、結構ありがたい!
とはいえ、食事は、いい加減切り上げて、荷物をまとめ、出発の支度をします。

離島ということもあって、礼文は天候が変わりやすく、
雨も降りやすいのだとか。
レインウェアを用意してきたのですが、雨ではなく、この寒さで、
今回は有効活用できました。
カメラや山岳地図、タオルなどをバッグに詰めて持って、再び、談話室に集合です。

宿泊客B「くまぞーさん、今日帰るんですか??すごく大きなバッグで!」
kumazzzo「いや、小さいザック持ってくる余裕がなかったんですよー。」

海外旅行や本格的な登山で使うような大型のバックパック
ご主人「それでは、今日の行動の確認をします。」

宿泊客をどこまで送迎するのか確認しがてら、点呼していきます。
今日は、4時間コース。島北部の見どころを、同じコースを回る宿泊者と一緒に歩きます。

ご主人「kumazzzoさんたちは?」
宿泊者C「4時間コースです。ここから出発します!」
kumazzzo「俺は、最後にラーメン食べて帰ってきます。」

そんなわけで、今日フェリーで帰る宿泊客や、フェリーターミナルなどから歩く宿泊客などを
見送ってから、自分たちも出発です。

…てくてくてく。



宿泊者C「さっそくカメラ撮りだしましたね」
kumazzzo「歩いているだけで、なんか撮りたくなるんですよね。」

民宿を出てからすぐに花が咲いているので、まずはパチリと。
↓チシマフウロかな。

トド島展望台を経て。ゴロタ岬へ。
地図を見ながら、方向を確認しながら進みます。

↓ハクサンチドリだと思うけど。


↓センダイハギかしら??

程なくして舗装道路から、未舗装の山道へ。
一気に息切れしていきました。

kumazzzo「あーなんか自分歩くの、のろいんで、先に行ってていいですよ!」
宿泊客C「気にしないでいいですよー」

ゴロタ岬を目指しているのですが、その実際は、標高180mのゴロタ山という山頂。
岬の先頭や海岸線は、とても人が立ち入れるような場所じゃないくらい険しいです。
西側に突き出た岬の山頂へは、稜線上の狭い道を歩いていきます。

あーなんてところに来てしまったんだろう!
そんな思いがつい過ります。
海側はかなりの急斜面!その上、前日までの雨で道はぬかるみ、風が強い!
風や足元をとられて、バランスを崩して転がらないように、
慎重に登っていきます。

kumazzzo「やっと着いた!」

振り返ると、随分と高いところまできたことにびっくり!
鮑古丹(あわびこたん)の集落もぐっと小さく見えます。





同行している宿泊客さんは、余裕の表情。
でも自分は、さっそくペットボトルを取り出し、お茶をゴクリ。

さて、ここからエゾカンゾウなど高山植物の群生地を眺めながら、
下っていきます。


登りよりは緩やかですが、登山道は、かなりドロドロ。
滑らないよう、慎重に下りていきます。




振り返ると、あんなところに上ったんだと、ちょっとビックリ。


降り切ったあとは、ゴロタノ浜という海岸線を通って、鉄府の集落へ。
先ほどすれ違った女性3人組が、立ち止まってます。どうやら何か発見したようです。

女性「レブンアツモリソウが咲いているみたいですよ。」
宿泊客C「変なところに監視カメラがついていたんだけれどあそこかな?。」
kumazzzo「俺、全然わからないです!どこどこ??」



レブンアツモリソウは、礼文島固有のラン科の希少植物です。
園芸店で高値で取引されるため、盗掘が多く、
今では、群生地で24時間体制で管理されています。
ここは群生地として有名になっているところではないですが、
監視カメラがあるということは、ちゃんと管理されている場所なのでしょう。


鉄府の集落を歩いていると、道端やあちこちの民家の庭先に、
ミヤマオダマキがきれいに咲いています。



エロ詩吟ではないですが、吟じたくなります。

kumazzzo「他人の家の庭先の方がきれいな気がする~」
宿泊客C「あるとおもいます!」

↓庭先のバイキンマンたちも歓迎してくれています。




鉄府の港までやってきたら、再び、山越えです。


kumazzzo「おっ、きれいだなあー」



カモメが飛んでます。渡辺真知子じゃないけれど、あなたはひとりで生きられそうです。


透明度の高い、入り江。澄海岬という岬の近くなのですが、
ここで中島みゆきの「銀の龍の背に乗って」という曲のプロモーションビデオが撮影されています。
改めてYoutubeでPVをみると、レブンキンバイやチシマフロウなど、
礼文島で見られ植物もたくさん映っているし、
カモメの飛ぶ姿や集落の様子、地形の様子もばっちり映っていて、
ある意味、礼文島のPRビデオみたいなものですね。

この山を越えると、再び舗装道路です。
舗装道路へ出ると、狭い道を大型観光バスが続々と西上泊に向かって走っていきます。
澄海岬の展望台に近い、この西上泊は、休憩所やお土産物やが並んでいます。

kumazzzo「風強い!それにしてもいい眺めですね!」
宿泊客C「このあたりでご飯にしましょうかー」




西上泊の近くにある小さな神社を風よけにして、ご飯を食べます。
このあたりの神社は、風雪をよけるためか、防災倉庫みたいな建物と、
その前に鳥居がぽつりと建っています。
きっと防災倉庫の中には、ちゃんとしたご神体が格納されているのでしょう。

ここからは、西海岸から別れを告げて、島の北側の湾へ。
ここは道路が舗装されていて、一見歩きやすそうに見えますが…。

kumazzzo「道は楽ですけれど、風景は単調でちょっとつまらないですねー」
宿泊者C「いや舗装道路の方が足に負担になるんだよ」
kumazzzo「あっ、いま、スカイラインのクーペが通りましたよ。しかも山梨ナンバー!」
宿泊客C「似合わないなあー」

遠くに観光バスが泊っている場所が見えてきました。レブンアツモリソウの群生地
のようです。


無料なのですが、厳重に管理されている敷地内は、遊歩道が整備されています。
毎年、何株あるのかをちゃんとカウントしているのだとか。
昨夜の宿のミーティングでも話が出ていたとおり、ほとんど終わっていましたが
一部できれいに咲いているところが残っています。

kumazzzo「何度か往復してもぜんぜんオーケーですよ。」
宿泊者C「一番手前がきれいに咲いているね!。」
kumazzzo「この場所からなら、遊歩道閉鎖されても、全然関係ないっすね」
宿泊者C「夜のミーティングで報告できるね」



一緒に歩いていた、宿泊客さんは、今回の一番の目的は、
レブンアツモリソウを見ることだったとか。
みんな、いろんな目的や楽しみをもって、礼文にやってくるのでしょう。

しばらくすると、大型バスのお客さんがぞろぞろやってきます。
多くのお客さんに場所を譲るように、また歩き出します。

しばらくすると、浜中の集落へ。フェリーターミナルから延びている街道に到着です。
この街道沿いには、赤いアツモリソウが咲いているのだとか。
正式名称は…忘れてしまいました。こちらもかなり貴重なのですが、
礼文島の固有のレブンアツモリソウと混じってしまうのを防ぐために
種をつける前に、花を採ってしまうらしいです。




宿泊者C「じゃ、ここで別れましょうかー」
kumazzzo「ラーメン食べてきます!」




昨日の夜のミーティングで、船泊においしいラーメン屋があるとか、ないとか。
雨の中わざわざ出かける価値があるほどおいしいらしく、
気になっていました。

…てくてくてく。

kumazzzo「足…ちょっと痛いかも。」

そんなに頑張ったつもりはなかったのですが、急に足に痛みを感じ始めました。
浜中から船泊まで約2km…よく考えたら、場所をちゃんと聞いてこなかったことに
気づきました。
久種湖(くしゅこ)のキャンプ場を通り過ぎ、船泊小学校まで歩いてきましたが、
どうやら、店がありそうな気配がありません。
足の痛みもあり、不安になってきたので、残念ですが、折り返してきました。

ここから、最北端のストコン岬を目指すのですが、ここからが長い!
海沿いの単調な舗装道路を約7kmほど歩きます。

kumazzzo「足…痛いなあ。」

だんだん辛くなってきました。24時間テレビのマラソンランナーの気持ちがちょっぴりシンクロします。
この礼文島には、島を24時間かけて一周するコースもあります。
もちろん一人での挑戦は無理だし、民宿の他の宿泊者のサポートもあって出来るのですが、
疲れない歩き方を習得している上級者は、72kmを、
24時間かけずに戻ってくることができるらしいです。

風とカモメ。


廃車。


海岸沿いの風景に目がとまりますが、足は、だんだん引きずり気味に。
地図を見ながら、あとどのくらいなのか、気にしながら歩きます。
街道沿いは、観光バスが何台も通り過ぎます。歩いているのは、自分くらいです。
白浜から坂を上り、須古頓(スコトン)へ。丘の上は風が強く、寒くてたまりません。
廃校になった小学校の脇を通り、岬の一番先へ。
お土産物屋と駐車場が見えてきました。

土産物屋の兄ちゃん「お疲れ様です!ずっと歩いてきたんですか??」
kumazzzo     「はい、船泊からずっと歩きっぱないなんですけど、もー寒くて寒くてたまりません!!」
土産物屋の兄ちゃん「軍手ありますけれど…100円ですが、どうでしょう?」
kumazzzo     「あとで寄ります。絶対に買います!」



まずは、岬の一番先に。



天気の良い日は、サハリンも見えるとか。
日本最北端の宗谷岬より若干緯度が低いので、ここは最北端ではないのですが、
僕の心の中では十分に「最北端」。たどり着いた達成感の余韻にずっと浸っていたいのですが、
限界まで浸ってから先ほどの土産物屋に戻ります。

kumazzzo「軍手ください!」

お客さんを呼び寄せる為に店の外にも商品を並べ、声を出しながら立っているのですが、
寒いので、お客さんはみんな店内に入って行ってしまうのだとか。
でも店の外に立っているのと誰も立っていないのでは、きっと売上も違うはずです。

土産物屋の兄ちゃん「今日は、これからどこまで帰るんですか?」
kumazzzo「星観荘に泊っているんで、ここからもう歩いてすぐなんですよ。やっとゆっくりできます。」


中には礼文島オリジナルの海産物を使った土産物がたくさん。
あんなに寒かったのに、疲れ果ててしまったので、店内でソフトクリームを食べます。


ちょっとお買い物して、先ほどの土産物屋の兄ちゃんに挨拶してから、
民宿へ戻ります。

……

民宿には、先ほどまで一緒だった宿泊客が、談話室で、くつろいでいました。

kumazzzo「帰ってきました~帰り道、すごくつまらなくなかったですか?」
宿泊客C「そーだね。ラーメンはどうだった?」
kumazzzo「実は場所がよくわからなくて食べられなかったんですよー」

気がつけば、風呂に入れる時間帯。
他の宿泊客が帰ってくる前に、風呂に入って、足の痛みを和らげます。
ちょっと横になって寝ていたら、ずいぶん楽になりました。

……



食事が終わり、夜のミーティングでは、コースの状況の他にも、ラーメンの話題で盛り上がります。

kumazzzo「星観荘スタートの4時間コースで浜中から船泊でラーメン食べずじまいで須古頓岬まで行って帰ってきました。」
ご主人 「エル君、なんで場所聞かなかったの?」
kumazzzo「聞ける人がいなかったんですよ…」

いや、実は、いなかったのではなく、僕は聞かなかったのかもしれません。
自分は、道に迷っても、道を人に尋ねたりしません。
ほら、都会で人に声をかけられるのって、嫌じゃないですか?
聞かなくても、標識や地図があちこちあるし、携帯でも調べられる。
場所が分からない時に、「人に聞く」という選択肢が、もともとなかった。
ごくごく当たり前の至極当然な行為が、自分ができなかったことに、
ちょっと恥ずかしかったのでした。

ミーティングの後の飲み会は
自分も2泊目ということで、昨晩より、さらに盛り上がります。
波照間島の民宿たましろアネックスの話。
僕が泊ってみたかった黒島の伝説(?)の民宿「イリムティア」の話。
山岳ガイドという職業の話。
礼文島にかつてあった牧場の話。
礼文の名物ユースホステル「桃岩荘」の体験談…


旅の話って、なんてこんなに楽しいのだろう。
就寝の時間まで、あっという間。
僕も礼文という島の魅力に、いつの間にか、包まれていたのでした。