さよなら三角また来てへなちょこ

食い意地先行の放浪ブログ。たまにはHIVの事。

歩け、礼文の道。その4「ご飯はたくさんおかわりしてもいいですか?」

2009年06月30日 02時49分53秒 | 旅行


今月中旬から、北海道に浮かぶ一番北の島、礼文島に滞在してきました。
しばらく、旅行記にお付き合いください。


今回の話は、2日目後半です。
香深港(礼文島)→民宿までのお話です。


船を下りると、待っていてくれるであろう民宿のご主人を探します。

ターミナルへ向かって歩いていると、扉の近くで、
民宿の名前の入った旗を持った人が一人立っていました。




旗「FIELD INN 星観荘」
kumazzzo「今日宿泊予定を入れていたくまぞーです」
ご主人「今、待っている人を呼んできますので待っていてください」

この日の稚内は雨で、最高気温8.3度。礼文島も相当寒かったはずです。
ターミナルビルで暖かくして待っていた同じ民宿のお客さん3人と一緒に、
民宿の送迎用のバンに乗り込みます。

バンに乗っている宿泊者4人の中で、
同じフェリーでやってきたのは、俺を含め2人だけのようです。
運転しながら、新しく来た僕ら2人を紹介してくれます。

ご主人「くまぞーさんはどちらからいらっしゃいましたか?」
kumazzzo「東京からです」
ご主人「発熱やせきはありませんか?」
kumazzzo「大丈夫です」
ご主人「それでは宿泊オーケーです!」

新型インフルエンザネタで、笑いを取りながら、
僕らを和ませてくれます。

kumazzzo「今日はどちらに行っていたんですか?」
宿泊者A「ハイジの谷に行っていました。」
kumazzzo「今日みたいな日は、みなさんどうされるんですかねー」
宿泊者B「部屋でごろごろしている人もいるし、強行して歩く人もいるし、いろいろですよ」

礼文島は、南北に長く、島の東側に幹線道路があり、島の西側は急峻な地形で、
道路でつながっていない集落もあります。
フェリーが到着する香深は島の南部にあり、島の中心部。
島の北部の船泊には、礼文空港があるのですが、現在は就航していません。
送迎のバンは、香深から北上し、船泊を経て、港から約25km離れた島の最北端のスコトン岬を目指します。

宿泊者C「すごく揺れましたよね。波もすごく高くて船が被ってましたよね」
kumazzzo「酔いそうだったんで寝ていましたよ」
宿泊者B「白波がすごく立っていたからね」

その海を右手に見ながら、いよいよ車は、スコトン岬へ。
海岸線に別れを告げ、丘へと車が登っていきます。
スコトン岬のちょっと手前、歩いて、あと五分。
集落のはずれにある、その民宿に、到着です。



ご主人「お疲れ様でした。今日到着したお二人は説明があるので、フロントでお待ちください」

今回泊ったFIELD INN 星観荘は、礼文でも個人客を受け入れてくれる数少ない宿。
昔のユースホステル形式を維持していて、男女別の相部屋ですが、
家族連れにも対応してくれます。
また北海道中心ですが「とほ宿」という低料金でドミトリーをもつ
民宿の集まったネットワークにも入っています。
自分も、沖縄県の波照間で、この礼文の「とほ宿」の話を聞いたのが、
きっかけの一つでした。

フロントで一通り説明を聞いて、部屋を指定されます。
二人とも同じ部屋のようです。
部屋に入ると、二段ベットが設えてあって、8名が泊れる設計。
相部屋の経験はありますが、沖縄・波照間で自分がよく泊まる某民宿は、
畳の部屋に川の字になって寝るスタイル。

浴室、トイレはもちろん共用ですが、とっても清潔で、
あちこち旅してたどり着いた旅人にとっては、まさにオアシスです。
空いている場所に陣取り、荷解きします。

館内放送「夕食は6時20分ごろから始めます。ブラックホールに集まりください。」

ブラックホールと呼ばれる談話室は、食堂を兼ねていて、
みんなで一緒に御飯を食べます。
疲れた自分は、しばらくベッドで眠ります。
うとうととしていたら、また館内放送。
そろそろご飯のようです。


館内放送「うに丼を食べたい方、フロントでお集まりください。
     本日はミニうに丼です。先に料金をお支払い下さい」

どうやら、海が荒れていて、うにが揚がらないようで、
うにのストックも本日でなくなってしまったそうです。
このうに丼、この日を最後に、自分は食べることができませんでしたが、
自分が旅立つ朝には、久しぶりにウニ漁が出来て、船が一斉に出漁していました。

どうやら、全員の宿泊客がうに丼を注文したようです。
食堂に全員が集合したのを確認して、ご主人が料理の説明を始めます。
壁に張られた本日のおしながき…素朴ですが、礼文の食材や手作りにこだわった
一つ一つの料理に対するこだわりは、
おもてなしの気持ちが伝わってきます。
ちなみに、4日間宿泊して、朝・夕の食事で揚げもの料理がなく、
和食中心の体にもとても優しいお料理です。



ひととおり説明が終わり、
ご主人の号令(?)で、食事の開始です。
ご飯、汁物、お茶は、それぞれ自分で盛ります。




念願のうに丼!
磯の香りはもちろん、とろけて消えてしまいそうに繊細です。
もったいないので、うにを半分残して、ご飯をお代わりしに行きます。

宿泊者D「すごいねーご飯の量!利尻盛りですね」
kumazzzo「あっ、それいいですねー!あはは!」

礼文島の南には、利尻島が浮かんでいるのですが、火山によってできた島のため、
利尻富士との愛称でよばれる山があるんですね。
ヒマラヤ盛りなんて名前で大盛り御飯を出している店もありますよね。

kumazzzo「東京からずっと電車で来たんですよ。」
宿泊者E「前日はどこに泊ったんですか???」
kumazzzo「青森から寝台列車ですよ!」

そんな旅の話をしていると、飯もどんどん進みます。
…いや、もちろんお料理がうまいからです。
何回もご飯をお代わりして完食したら、食器を片づけ、最後にデザート。
就寝前に、ミーティングがあるので、まだ風呂に入っていない自分は風呂に入ります。
風呂の時間もいつでもいいわけでなく、時間内で順番に入らなくてはなりません。

着替えて、さっぱりして、また寝転がっていたら、すぐにミーティングの時間です。
先ほど食事をした談話室に集まります。

ここでのミーティングの目的は3つ。
まずは宿泊者の紹介。今日の行動の報告(花の開花状況とか道の状況とか)。
そして明日の行動の予定を決め、朝食やお弁当の注文を取っていきます。

ご主人「それではミーティングを始めます。」

宿泊者は全員集まります。今日は、15人くらいでしょうか。
今日から宿泊するお客さんを紹介していきます。
朝到着のフェリーで到着して一日歩いてまわっていた人や、
他の民宿に泊まっていたお客さんもいました。
礼文には個性的な民宿がいくつかあるので、
目的に応じて、分泊する人も多いようです。

ご主人「えー、東京からいらっしゃったくまぞーさんです。礼文は初めてですか?」
kumazzzo「はい、初めてです。」
ご主人「くまぞーさんは、なぜ礼文に?」

初めて礼文に来る人には、こうやって、紹介がてら、きっかけなど話をみんなの前で聞いていきます。

kumazzzo「自分は沖縄をよく旅行していて、ここに来るお客さんはご存知の方が多いかと思うんですけれど、
     最南端の波照間にある有名な民宿で、宿泊客と話していてたら、礼文をすごく勧められたんですよ。」
ご主人「あっ、あの民宿ですね。」

やはり、最南端の島にある名物民宿の名前は、最北端でも知れ渡っていました。
この日の宿泊客の中にも、やはり波照間ファンがいて、この後の楽しく話ができそうです。

自己紹介が終わり、今日のコースの状況を聞いていきます。
どうやら、この悪天候でも、みんなほとんど外を歩いていたようです。すごい!
どんなコースを歩いたのか、ファイルを見ながら、聞いていきます。

礼文島は、トレッキングのコースがいくつかあり、
観光客は、このコースのいずれかを歩きます。
ただ、宿のある位置によっては、コースの途中から歩いたり、
またリピーターで詳しい人の中には、いくつかのコースを組み合わせたり、
コース以外の普通の山道を歩く人もいるようです。
もちろん進入禁止になっている道もあるので、注意しなければなりません。

ご主人「それでは明日の予定を決めていきます。」


いろんなコースがあって迷いますが、
明日は宿のまわりの礼文島北部を見どころを回るのが一番無難のよう。
また「レブンアツモリソウ群生地」も、遊歩道が明日でしまってしまうとか。
もう大体決まっています。


ご主人「くまぞーさんは?」
kumazzzo「4時間コースで朝は和食、お弁当は…Lでお願いします!」
ご主人「おっ、L弁当だね。」

滞在中、大食いキャラが確立されていたので、
僕は、エル君というニックネームをつけてもらっていました。
会話も弾むし、ある意味、大変ありがたいことです。

明日の4時間コースは、今日、同じフェリーで到着した宿泊客さんと二人だけ。
ご一緒させてもらうことにしました。いきなりひとりで歩くのは、ちょっと心細いです。

ご主人「それではミーティングを終わります。この後、お酒も用意してありますので、
    飲みたい方は各自グラスを用意して、11時まで情報収集したり親睦を深めてください。
    最後に記念撮影をします!」

今日宿泊した記念に、みんなで記念撮影です。カメラはそれぞれ持ち寄り。
自分も一眼レフで撮ってもらいました。はいチーズの代わりに、こんな掛け声で、
シャッターを押します。

ご主人「礼文で一番おいしいものは?」
全員 「うーにー!」
カメラ「パチリ!」

この日は初めてやってきた宿泊客さん達と焼酎を飲みながら、
旅行の話、北海道の話、波照間談議に花を咲かせ、夜11時で消灯。
疲れた体と酒が、ぐっすりと深い眠りにいざなうのでした。



歩け、礼文の道。その3「終着駅で、人は何を思うのですか?」

2009年06月26日 03時05分31秒 | 旅行
今月中旬から、北海道に浮かぶ一番北の島、礼文島に滞在してきました。
しばらく、旅行記にお付き合いください。


今回の話は、2日目です。
青森駅→札幌駅→稚内駅→稚内港→香深港(礼文島)までのお話。
今回は異常に画像が多いので、パソコンでご覧になる方、
ちょっと重たいかもしれません。ごめんなさい。



6月14日午前1時23分。
北海道函館市函館駅。
前夜、青森を出発した急行はまなすは、ふたたび、ガタンと音をたて、
札幌に向けて動き出しました。

急行はまなすには、さまざまなタイプの車両が連結されています。
普通の座席の自由席やドリームカーと呼ばれる、ちょっとゆったりめの指定席、
B寝台と呼ばれるスタンダードな寝台車に加え、
カーペット敷きで、肌掛け蒲団と枕が用意されているカーペットカー。
今回は、指定席急行券の料金で乗れるカーペットカーで、札幌まで過ごします。

特に、二段目の一番隅の区画は、半分個室風になっており、
B寝台との違いは、寝心地が固いのと、カーテンがないことくらい。
ほぼ快適です。


友達「mixiの画像が反対になっているぞー」
kumazzzo「ごめん、あとで直してみる!」


急にぱちっととると、携帯カメラの上下を間違えてしまい、
今回も、逆さの画像や誤字もたくさんアップしてしまいました。

メールを見たあと、携帯電話の電源を落とし、再び、眠りにつきました。

……

車掌「おはようございます。あと15分で南千歳に到着します。」
kumazzzo「!!」



気がつけば、カーペットカーの側面についた小窓からは、明かりが差しています。
明け方になり、車内放送が再開されます。
洗面道具を持って、洗面所へ移動し、下車の準備を始めます。




午前6時7分。札幌駅到着。
ホームへ出ると、冬のような冷たい空気、そして雨。
閑散とした日曜の朝は、鉛色の景色に、さらに絵具を足すような雰囲気です。
ホームに下ろしたバックパックを、もう一度、背負いなおして、歩き出しました。





次の特急の出発まで、約2時間半。
ここでの最大の目的は、携帯電話の充電です。
事前の情報で調べたところ、JR札幌駅構内で、有料で携帯電話の充電ができるコーナーがあるとか。
5,6番ホームへ向かうエスカレータ脇を探します。

…が、見つからない!

kumazzzo「あの、このへんに携帯電話を充電できるコーナーってありませんでしたか?」
駅員さん「撤去されてしまいましたねー」

携帯電話のショップが営業している時間だったら、こんな苦労はありません。
残念。どうしようか迷いましたが、札幌駅にいても仕方ないので、
街をぶらぶらしながら、携帯電話が充電できるチャンスを探します。


ちょうど、この日の札幌は、「YOSAKOIソーラン祭り」の最終日。
街は、祭りの余韻を残し、最終日の盛り上がりに向けて、
朝早くから衣装を着て集合場所に向かうグループがちらほらと。




朝の時計台。




朝の安全地帯。






朝のテレビ塔。

札幌の地下街は、ほとんどシャッターが下りていて、
「大通駅」地下にある、札幌によると食べたくなるたい焼き屋も、この時間はまだ。

小雨降る中、ぐるっと回って札幌駅へ。

看板「インターネットカフェ24時間営業」
kumazzzo「!!」

すでに時刻は7時50分。
ここなら充電できるかもしれないけれど出発までちょっと時間が足りません。
さすがに、乗り遅れるのはまずいので、仕方なく、札幌駅へ向かいます。
駅弁を買い、改札に入り、駅構内へ。ここで最終手段です。

kumazzzo「あの、すいません、店内で充電させてもらっていいですか?」
ロッテリアの店員「あっいいですよ。(店長らしき人に相談してから)あちらの隅のコンセントでどうぞ」

厚かましいお願いに、感謝です。
時間ぎりぎりまで充電して、お礼を言って、ホームへ向かいます。
8時30分発。「スーパー宗谷1号」稚内行き。気動車の心地よい重低音が、ホームに響きます。
先ほど到着した時とは、また違い、気持ちが高鳴ります。
急いで写真を撮って、車内へ乗り込みます。




程なくして、ホームがゆっくりと動き出します。出発です。

札幌を離れると、すぐに、北海道らしいのんびりとした風景がひろがります。
旭川までは、電化区間で、都市間輸送が盛んです。30分に1本以上の頻度で特急が走ります。


室蘭本線が分岐する岩見沢、根室本線が分岐する滝川で停車し、旭川まで約1時間20分。
ここで乗客が入れ替わり、列車は、宗谷本線に向けて、一路、北へ向かいます。

女性乗務員「車内では、お弁当の注文を承っております。名寄到着一時間前にお申し付けください」

座席には、飛行機の機内サービス張りに、車内で販売しているお食事やドリンクなどのリストの案内が。
行き先によって食べれるお弁当も違います。
昔は、駅での停車時間が長く、停車中に駅弁を買うことも可能だったのでしょうが、
今では、こうして車内で注文を取って、途中駅で積み込むことで、
旅の楽しみを演出しているのでしょう。
自分は札幌駅で買った駅弁で、ひとり駅弁大会です。





列車は、旭川から約1時間で、士別駅に停車。レンガ倉庫の並びが美しい!。
続いて、名寄駅に停車。駅弁を積み込み終えた業者さんが、小走りに駅舎に戻っていきます。

名寄を過ぎると、車窓の右側には、天塩川が見えてきました。
北海道の網走支庁と上川支庁を分けている山脈の中の天塩岳付近を源にし、
日本海側の天塩町までの、256kmは、日本で4番目に長い川だとか。
この川沿いに列車はさらに進みます。指定席を進行方向右側でオーダーしたのですが、
その狙いがぴたりとはまり、川の流れが楽しみながら、列車は進みます。
山間部ですが、高低差があまりないのか、水量が多いからか、
ゆったりとした流れが、北海道らしいスケールを感じさせます。




途中、音威子府駅には、札幌から3時間半。
ずいぶん遠くまで来たはずですが、ここから、稚内までさらに2時間。
山間部をくねくねと曲がりながら進み、天塩中川を経て幌延へ。
徐々に平地が広がっていきます。線路の向こうにはサロベツ原野が広がっている…はずですが、
地形の関係か天候の関係か、または線路沿いに生える笹のせいか、
日本海はまだ見えません。

そして、突然、海が車窓に飛び込んできます。

kumazzzo「やっとここまで来たか!」




札幌から約5時間。気がつけば、もうすぐ稚内です。
南稚内到着を告げる車掌のアナウンスに、団体客もざわざわしはじめます。

午後1時28分。稚内駅到着です。

でかいバックパックを背負い、最後にホームに降りると、そこは、極寒の地。
6月とは思えない寒さに白い息で、かじかむ手を温めます。
気分は奥村チヨの「終着駅」です。
半袖のポロシャツ姿だった自分は、慌ててフード付きのトレーナーを着こみます。






最北の終着駅らしく、観光客が続々と記念撮影をしていきます。
自分も、その観光客が切れるのを待ってから、撮影していたら、
いつの間にか、「特急サロベツ」札幌行きが発車していきました。


「東京都区内発稚内行」の片道切符ともここでお別れ。
改札に向かい、切符を駅員に渡します。

次の列車までしばらく時間があくので、
自分を最後に改札が閉じられ、自分が出るのを待っていてくれた係員も
駅務室に入っていってしまいました。

kumazzzo「……ぽつん。」

ひとり旅で、列車を降りて一人になった瞬間。
空港で、駅で、港で、ひとり放り出され、
これからどうしようかと、自分と対話する瞬間。
僕は、このせつない瞬間が、一番好きかもしれません。

稚内市内は、日曜の午後にしては、閑散としていました。
さすがにこの寒さでは、歩く人もいないのでしょう。
ロシアとの間では蟹などの貿易が盛んだったらしく、
ロシア語の表示も市内にはあふれていますが、今では輸出規制で、
船もあまり入港しないとか。
低く垂れこめた鉛色の空と寒さと幅員の広い道路にロシア語の表記。
国境が閉鎖されてしまったかのような、寂れた街の雰囲気です。

フェリーターミナルの場所と、フェリーの出発時間を確認し、
腹ごなしにラーメンを食べて、セイコーマート(北海道のコンビニチェーンですね)で
礼文島滞在中に必要なペットボトルのお茶を確保し、
雨脚が少し強まる中、歩いてフェリーターミナルへ向かいます。

自分が、とぼとぼ歩いていると、タクシーが次から次へとフェリー乗り場方面に向かって
走っていきます。

kumazzzo「……ぽつん。」

稚内と利尻・礼文を結ぶ航路は以前は、
東日本海フェリーという会社名だったらしいのですが、
現在はハートランドフェリーという名前に変わり、
フェリーターミナルも移動し、かなり立派になったのだとか。
これがどうやら久しぶりに礼文や利尻に訪れる個人観光客には
周知されてないようで、
自分が泊った民宿でも、前のフェリーターミナル付近で
タクシーがわざと待っているのでは?と
話題になっていました。

ハートランドフェリーのターミナルは、とても新しく立派です。
雰囲気は、まるで空港のよう。到着客を待つ人たちは1階で、
出発客は2階で待っています。
1階でチケットを買って、搭乗口へ向かいます。

アナウンス「礼文・香深港行きはただ今から乗船を開始します。」

すでに搭乗口には、人が並んでいます。
自分も最後尾について、搭乗します。

が、しかし!

2階から直接、ボーディングブリッジで乗船できるのかと思ったら、
階段を下りて、しかも一度建物の外に出なくてはいけないという、
ちょっと面白い構造。
お年寄りや車いすの方には、とても無意味な感じです。




階段を上り下りして、いよいよ、乗船です。
2等船室はいくつかの場所に分かれていて、どこもすでにお客さんが陣取っています。
一番空いていそうな所でバックパックを降りし、カーペットに座ります。

汽笛「ぼーッ」

午後3時10分。フェリーが稚内港を出発します。
外の眺めが見たくて船外に向かいますが、ちょっと寒くて、断念。
船内をぐるっと探検して、ふたたび船室に戻ります。

が、しかし!

波「ザブーン!!」
kumazzzo「ゆれるなー」

そこそこの大きさの船なので揺れないかと思ったのですが、
案外揺れるではないですか!
ちょっと酔ってしまう予感がしたので、ここは思いきって寝ることに。

……

アナウンス「まもなく香深港に到着します。」
kumazzzo「!!!」

気がついたら2時間経っていました。
あわてて、下船の準備をして、バックパックを背負って、船室の外に移動します。
すると、港には、大きく「おかえりなさい」の文字。
これが、僕が行ってみたかった、礼文島の風景。
外は稚内からさらに冷たい雨と風。
そんな悪天候とは裏腹に、はじめて訪れる場所の風景や人との出会いの期待は膨らみ、
僕のことを待っててくれるであろう、
民宿の旗を目指して、船を下りるのでした。



歩け、礼文の道。その2「青森では助手席に乗っていてもいいですか?」

2009年06月22日 04時21分28秒 | 旅行
今月中旬から、北海道に浮かぶ一番北の島、礼文島に滞在してきました。
しばらく、旅行記にお付き合いください。

今回の話は、1日目、後編です。
青森県内を車で、青森駅→黒石市→弘前市→旧金木町→五所川原市→青森市と回ったお話。



午後零時半。
青森県青森市青森駅。

改札の外で待っていてくれた友人のところへ向かいます。

がるくん「お疲れ様です」
kumazzzo「ありがとう!」

待っていてくれたのは、お花見オフにも参加してくれた青森のがるくん。
ブログを通じて、メールのやり取りが始まって、
東京では何度か会っているのですが、
いつかは青森でお会いしたいという願いが叶いました。

青森駅前で記念撮影をしてから、
駐車場へ向かって車で、出発です。


がるくん「今日は青森グルメにいろいろお連れしますよ。」
kumazzzo「いやいや、本当に気を使わなくて大丈夫だからね。」

初めて訪れる町は、いろんなものが視界に入ってきて、
自分は、他の会話をしていても、話題があちこち逸れていってしまいます。

kumazzzo「あの『東京・銀座 マスカット紳士服』って看板何?銀座に、マスカットなんて無いぞー」
がるくん「あっ、青森のイメージダウンになるようなことブログに書いたら駄目ですよ!」

調べてみたら、マスカット紳士服は、紳士服専門店の「はるやま商事」の店のようです。
「はるやま」自体も、銀座にはありません。んー、はるやま
商事さん、適当すぎです。

そんなわけで、一番最初に連れて行ってくれたのは、
青森県黒石市「お食事処 妙光」で、つゆ焼きそば。
最近、全国区で脚光を浴びているB級グルメですね。





この店が「つゆ焼きそば」の本家的扱い。
安住紳一郎や石塚英彦など、グルメ番組には欠かせないキーパーソンのサイン色紙がずらり!
そして、なんと萩本欽一も、ロケでこの店を訪れているとか。

普通に焼きそばを作った後、どんぶりに入れて、ラーメンのスープを割っているのですが、
つゆに、ソースや、炒めた豚肉と野菜のエキスが溶けて、なんとも言えないコク!
そのつゆを、揚げ玉がすって、とてもいい感じです。




kumazzzo「くせになる味だね!」
がるくん「好きな人ははまる味ですよ。」

続いて連れて行ってくれたのが、青森県弘前市「吉井酒造倉庫」。
レンガ造りの、この倉庫で行われた地元出身でポップアートで活躍されている芸術家
「奈良美智」さんの美術展の閉幕後、
記念として制作されたのが、画像の巨大なワンコのオブジェ。




kumazzzo「かわいいなあー」


レンガ倉庫と芝生のロケーションなぴったりマッチした、不思議な魅力を持つオブジェです。

がるくん「弘前は他から攻められにくいように、中心部は道がクネクネしてわかりづらいんですよ」

そんな街中を車で走って、次に連れて行ってくれたのは、弘前市土手町「青い花 スイートポテト」。
ここのスイートポテトは、器にさつまいもをくり抜いたものを使っています。
もちろん、形がそれぞれ違うから、大きさ(重さ)によって値段が違います。




店員さんに適当にカットしてもらってから、ドライブへ。
途中、道の駅「つるた」に停車して、車の中でいただきます!

しっとりとクリーミーに練られたサツマイモと、器に使われているサツマイモの間に、
カスタードクリームが入っていて、「奇跡の3層構造」になっています。




ふと見渡せば、「つるた」の場所の大きな看板。
今朝、東京からやってきたのに、いつの間にか遠い所までやってきた驚きと、がるくんの運転に感謝です。

続いて、やってきたのが、五所川原市にある太宰治の生家を保存されている「斜陽館」という建物。
地元でも、名士であった津島家に生まれた太宰治は、「津軽」という作品の中で、
生まれ育った、この地域の風景や人について書かれているとか、いないとか。
太宰治の作品は現在も多くのファンを魅了していて、生まれ育った自宅にも多くのファンが訪れています。




kumazzzo「『どうして旅に出るの?』『苦しいからさ』って、こんな一文読んだだけでも、ちょっと読んでみたくなるよ」
がるくん「自殺願望があった人ですからねー」

太宰治は玉川上水で愛人と入水心中するわけですが、遺体が発見された6月19日は、誕生日だったとか。
この6月19日を「桜桃忌」と名づけて、ファンが今でも偲んでいるという話は、
中学生の時に国語教師に教わったのを、思い出しました。
今年はちょうど、生誕100年で、各地でいろんなイベントが行われたようです。

続いて、向かったのは、同じ五所川原市の中心にある「立佞武多(たちねぷた)の館」。
青森には、いろんなねぶた祭りがあるのですが、青森、弘前と並んで有名なのが五所川原だとか。
祭りで使われるねぷたを、常時展示しているのが、こちらの施設です。




kumazzzo「全部和紙?すごいねー」
がるくん「手作りで、市にお抱えの職人がいるんですよ」

平成10年に80年ぶりに復活した、この五所川原の立佞武多は、
メインである、高さ22mの大型ねぷたをテーマを決めて毎年1台つくり、
3年間活躍したのち取り壊されるのだとか。

祭りのときには、この建物から、そのまま出陣するので、祭りのときには、
ねぷたの周りにあるらせん状の見学通路は、
跳ね橋のように開き、大型のシャッターががらがらと上にあがるのだとか。


kumazzzo「えっ、この吉幾三は、何?」
がるくん「地元なんですよ。この歌カラオケで盛り上がるんですよ。」

「立佞武多」というシングルを出していて、その歌詞と本人の写真とコメントが展示されていました。


…そっかー、「おらこんな村嫌だー」って、言って歌っていた、あの村に来たのか!!
自分が小学生のころヒットした吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」。
歌のトップテンやベストテンで毎週見ていた、あの吉幾三の、あの村です。別の意味で、感動です。

そんなわけで、日が暮れてきて、次は青森市へ。
途中、縄文時代の生活の様子が次々と明らかになった「三内丸山遺跡」の発掘場所と展示館を外から見学。
見学時間が終了してしまっていたので、また次回のお楽しみです。

最後は、青森県の郷土料理を堪能してもらえる場所に連れて行ってもらいました。
青森市本町2丁目「津軽じょっぱり漁屋酒場」。入口にはねぶたが飾られていて、
遠くからでもとても目立ちます。どうやら、職人さんが制作した、本物のようです。

わざと作ってある狭い入り口をくぐって店内へ。
自分は席に着いた途端、厚かましいお願いです。

kumazzzo「すいません、携帯充電させてもらっていいですか?」
がるくん「旅人なもんですから…」
店員さん「いいですよ」

今夜は車中拍なので、携帯のバッテリーが減らないよう、
ずっと気を使っていたのにもかかわらず、五所川原ですでに、
バッテリーの残量のサインが、残り少なくなっているサインに変わっていました。


がるくんおすすめで「味噌おでん」やほっけの漬け焼、ほたての焼いたやつ(名前忘れた!)、
ほたての地鶏「シャモロック」のくわ焼(くわの形した鉄板で提供されるから?)や、
にんにくの爆弾揚げなどをいただきます。





kumazzzo「がるくんは運転なのに、自分だけ酒なんて飲めないよー」

と言いつつ、ちゃっかりおすすめの地酒を岩塩と一緒にいただきます。
がるくんは、地元でメジャーなバナナフレーバーのサイダーを。
周りのお客さんも県外の方が多いらしく、バナナフレーバーのサイダーに興味津々です。




酔いがいい感じに回ったところで、時間もそろそろ迫っていました。

がるくん「そろそろ出ましょうかー」

最後に青森の観光物産館もある「アスパム」というビルのライトアップに、
青森ベイブリッジのライトアップも楽しませてもらって、青森駅へ。

寝台列車が入ってくるホームまで、一緒についてきてくれました。
ホームの向こうからディーゼル機関車が轟音と響かせながら、近づいてきます。
22時42分青森発札幌行きの急行「はまなす」です。

kumazzzo「今日は本当にありがとう。一人じゃ絶対にこんなたくさん見て回れないよ。」
がるくん「また東京で会いましょう!」

長い一日でした。
たくさんの気持ちと思い出をもらって、カーペットカーの連結してある4号車へ乗車。
いよいよ、札幌へ、そして稚内と旅は進んでいきます。




歩け、礼文の道。その1「鉄ちゃんに戻ってもいいですか?」

2009年06月20日 02時42分47秒 | 旅行
今月中旬から、北海道に浮かぶ一番北の島、礼文島に滞在してきました。
今回は、旅行記まとめ切れるか自信がなかったので、どうしようか、迷ったのですが、
いい旅行になったので、記録として残しておかないと、もったいない!
もしかしたら尻切れトンボになってしまうかもしれませんが、
しばらく、旅行記に、お付き合いください。

まずは、1日目・前編から。
自宅→東京駅→八戸駅→青森駅までの、お話。

出発は、朝7時すぎ。
「寒いかもしれないし蒸し暑いかもしれないし。」と
いろんな天候を想定して持って行ったら、ザックがパンパンになってしまいました。
背が高いザックを背負って、いざ、出発です。

土曜日だったため、通勤ラッシュのお客さんに迷惑をかけずに、
新宿駅までたどり着くと、
中央線ホームで偶然会ったのは、ブログ「台吉の写真日記」の台吉君。

http://daikithi.blog10.fc2.com/

旅立ちの朝、ブログにコメントをくれてくれた人に
会うなんていう偶然に、いい旅になる予感です。

東京駅までご一緒させてもらって、
売店ですき焼き弁当と、台吉君おすすめ「チキンライス弁当」も(!)買って、
午前8時30分、八戸へ東北新幹線「はやて」で出発です。











東北新幹線は、2010年に新青森まで延伸が決まっています。
上越新幹線はたまに乗るのですが、東北新幹線に自分が乗ったのは、
子供のころ、まだ大宮始発の頃、宇都宮まで乗ったのが最後で、
東北各県の景色を車窓から眺めるのが、とても楽しみでした。

美しい田園風景を車窓に眺めながら、
うとうとしていたら、あっという間に、仙台。
多くのお客さんが下り、再び乗ってきます。
杜の都の風景を眺め、そして徐々に山間に風景を変えながら、
盛岡で秋田新幹線「こまち」を切り離し、八戸へ到着。
列車から降りた瞬間、冷たい空気に、移動した距離の長さを感じつつ、
八戸では乗り換え時間7分と、慌ただしい乗り換えです。

どんな街か気になったので、
在来線ホームから、駅の外を眺めたら、
八戸にはちょっと大きすぎるじゃないかと思うビルが一棟ポツンと。
特急「つがる」に乗って、今度は青森駅に向けて出発です。







八戸からは、在来線の小さな駅舎や短い編成の車両とすれ違い。
時刻表とにらめっこしながら、どんな列車とすれ違ったのか、
旅行しながら、別の空想旅行です。
稚内までの旅程では、久しぶりに「鉄ちゃん」になっていました。

電車は、野辺地を過ぎ、海側を走ります。
慌てて地図を見ると、すでに、進行方向は、北向きから西向きに。
すでに青森到着が近づいていました。







気がついたら、友人からメールが入っていました。


友人「浅虫温泉あたりですよね。青森駅で待っています!」

車掌「青森からは進行方向が変わります。前後のお客様に声を掛け合って、
   座席の方向を変えてください。」

青森駅は、その昔、函館まで国鉄が運航していた連絡船がありましたよね。
その関係で、構内は、連絡船に貨物がそのまま乗り込めるよう、行き止まりになっており、
弘前方面に直通する列車は、折り返しになります。


12時33分青森到着。階段を上り、
2つある出口の、たぶん待っていてくれるであろう、賑やかな方向の出口に
向かって歩き出します。

階段を降りたら、改札の向こうに、友人は笑顔で待っていてくれました。

…続きは、また今度。

ひとりラーメン博物館in稚内パート2

2009年06月18日 13時00分55秒 | 食べ物の話
フェリーターミナルで別れた宿泊客に教えられて
南稚内まで、ラーメンを食べに来ました。礼文で歩いた距離を考えると、
へっちゃらです。
稚内市大黒「はるき茶屋」で、しじみラーメン。スープが最後まで美味しい!
テレビに映る東京からのテレビ番組が、なんだか懐かしく感じました。
いよいよ空港へ。気持ちよい空気の町を
時間までぶらぶらしますか。

行ってきます

2009年06月18日 11時58分24秒 | デザート
フェリーターミナルでは、いつもより多く見送りが出てました。
某ホテルの紙テープに、某ユースホステルの踊りと掛け声。
自分も今日は、フェリーに乗って、見送られました。
遠くに去る島影を同じ宿の出発客と眺めていたら、
涙が頬を撫でてくれました。楽しい礼文でした。さあ、今から稚内です。

波の音と、静寂と、流れ星と。

2009年06月18日 05時37分57秒 | デザート
最後の夜、夜空に星が見えました。
宿泊客有志でライト片手に町の明かりが見えないところまで「星空観察ツアー」です。
鮑古丹(あわびこたん)に寄せる波の音。見上げたら北極星と天の川。
道路に仰向けになっていたら、
ほら、流れ星が見えました。
今夜の夜は、東京です。