小梅日記

主として幕末紀州藩の学問所塾頭の妻、川合小梅が明治十八年まで綴った日記を紐解く
できれば旅日記も。

遍路日記‥‥三日目‥‥1  

2015-05-09 | 四国遍路

7時30分十楽寺の宿坊を出発。
1時間ほど歩くと道の駅らしきものが見えてきて珈琲飲みたいと立ち寄るとどうやら日帰り天然温泉施設の「御所の郷」。
昔、ここに天皇の邸でもあったのかな。
時間的に当然ながらしまっていて自販機のコーヒーを飲んで一服。


8時45分に熊谷寺に到着した。




八番札所 晋明山 熊谷寺(くまだにじ)
ご詠歌 たきぎとり水熊谷の寺に来て 難行するも後の世のため

四国最大の山門と多宝塔を誇るらしい。仁王門の左右の仁王様は極彩色で美しい。

  


縁起によると、弘法大師が修業していると紀州の熊野権現が現れて「永く衆生斎度の礎とせよ」と琴の観世音菩薩を授けて去って行ったとか。



桜の名所で紫陽花や藤や牡丹と花の寺でもあるらしい。
遍路道には桜が多い。残念ながらその時期が終わって散りかねている花しか見られなかったが、それはそれで可憐だ。

境内は賑わっていた。バスツアーの人たちと一緒になった。納経所も混んでいる。
団体さんと個人と2列に並ぶ。ツアーの人はガイドが朱印帳をまとめて差し出す。
くたびれて木陰のベンチに座っていると「やめようと思うのにやめられなくて」と広島さんが隣に座って一服つけた。
喫煙所だった。ですよねえ‥‥。
顔なじみになるとまず「どちらから?」となる。きっかけはそんなところからほどけてくるのだ。
次に「お遍路を思い立った理由」を聞く。
広島さんは傷心旅行だと笑った。まだ40代くらいだ。
わたしは‥‥なんとなくとしか答えようがない。「ふと」なのだ。考えたくないのかも知れない。
さて、まだ先がある。重い腰をあげる。9時30分出発。

次の法輪寺までは田園地帯をひたすら歩く。
やがて道の先にそれらしい瓦が見えてきた。10時10分到着。



九番札所 正覚山 法輪寺
ご詠歌 大衆のひほうもとがもひるがえし 転法輪の縁とこそきけ

こじんまりとすっきりした美しいお寺。



弘法大師が巡礼していて仏の使いの白蛇をみつけ、釈迦の涅槃像を刻んで本尊としたと伝えられている。涅槃像を本尊とするのは四国八十八遍路寺ではここだけ。健脚祈願の札所でたくさんの草鞋が奉納されている。



顔見知りになった人たちと会釈。

法輪寺の向かいに茶店があった。おばさんの「ひとやすみ、しませんか?」に誘われて店に入って草餅と熱いお茶で休憩。
このおばさんは干し芋などをお接待しているのであちこちのブログで見かける。
旅人とのふれあいが楽しくて仕方ないらしい。
次の札所までの効率的な行き方を聞き、ついでにおうどん屋さんの情報もゲット。
法輪寺前茶店の出発が10時40分。


十番札所までが長い。田園地帯と人家のある道を黙々と歩く。
所々にある赤い遍路矢印が案内してくれる。石仏も多い。

コメント
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