仏壇販売人、ぶつぶつ日記

山口県の隅っこから
仏壇販売人のたわ言、繰言、独り言。
ほぼワタクシごと、たまにお仕事。

吉田太一著「遺品整理屋は聞いた」

2009-02-06 13:23:39 | 私の本棚から



「遺品整理屋は聞いた~遺品が語る真実」

映画「おくりびと」のヒットのせい、でもないのでしょうが
最近注目を浴びている(ような気がする)葬儀にかかわる仕事
をしている著者による本です。


とても重い内容なのに、
文体のせいか、短いエピソードにまとめられているせいか
さらりと読んでしまえました。

ただ、よく考えると
昔のような「大家族」で
故人の生活用品と遺族の生活用品がダブっていたり、
「家を継ぐ」という意識の元では
まず発生しなかったであろう業務です。

親子や兄弟が「別に住む」という
形態が普通になってしまっている現代だからこそ必要とされている
業務なのでしょう。

読み進めるうちに、
たった一人の持ち主にのみ使われ、
主がなくなると存在価値をなくしてしまう、
そんな遺品の数々が
とてもわびしく思えてきます。

と、同時にもの言わぬ道具達でも
主の姿を雄弁に語るものだ、という感慨も涌いてきます。

いずれにしても
人一人、の最後を看取るのが
モノだけ、というのはとても哀しい話。

最後の時は
モノは少なく、人間関係は豊かに
が理想かもしれません。