仏壇販売人、ぶつぶつ日記

山口県の隅っこから
仏壇販売人のたわ言、繰言、独り言。
ほぼワタクシごと、たまにお仕事。

位牌のこと、また。彫れない位牌

2008-10-27 13:34:27 | 仏事のあれこれ

またまた位牌のことですが。

時々、繰出し位牌に入れる、黒塗の板

戒名を彫ってほしい、と持ってこられることがあります。

これが曲者、なのです。

繰出し位牌(特に塗り物の場合)の板は「書く」ことを

前提にしてあるのか、黒塗でも薄い板の場合が多々あります。

それに文字を彫ると、

ごらんの通り。写真の通り。

板が彫刻の振動に耐えられず、文字の細部がボロボロと

欠けてしまう、いわゆる「はじいた」状態になってしまいます。

これではお位牌としての役割を果たしません。

 

そこで、弊社では黒板への文字彫りに関しては

各種サイズでやや厚め、塗りのしっかりしたものを

別に用意しています。

お客様が黒板を持ち込まれた場合は店にある黒板と比べて

もらい、「はじきそうな」板だった場合は

改めて黒板を買い換えていただきます

 

お客様には予定外の出費かもしれませんが、

彫ったあとで「ダメでした。そこで・・・・・」などとやるよりも

事前にきちんと説明したほうが

お互い気持ちよくことが運ぶ、というものです。

 

事前にしっかりチェック、はカードローンに限ったことではありません。


弁財天ビフォーアフター

2008-09-22 17:53:36 | 仏事のあれこれ

9月11日の記事で紹介した、修復した弁天様。

修復はこんな風に各部材をばらばらにするところから

始められました。

右下にあるのが弁天様のお顔。

そして、

十六童子はこんな風な姿でした。

これを数ヶ月かけ、欠けたところを継ぎ足し、彩色をほどこして、

修復したわけです。

そして、

こうなるわけですから、まさに仏像のビフォーアフター。

なんということでしょう・・・・・・・!!!!


「岩座」の疑問

2008-09-11 14:11:14 | 仏事のあれこれ

修復のためお預かりしていた、あるお寺様の弁天様が

仕上がりました。

八臂弁天」と「十六童子」です。

要するに「財をもたらす弁財天様」と「そのお道具一式」という

感じです。

以前、このブログで別のお寺の弁天様を紹介したのですが

それと同じ種類のものです。

 

ところで、気になったのは、写真でピンクの矢印の部分。

岩座、というか岩屋にまします弁天様とそのご一行のまわりに

点々と存在するこの、青っぽいものは何を表しているんだろう????

コケ?しずく?もしかして・・・・・カビ?

 

よく見ると、店に展示してある恵比寿様の台座にも

同じような点々が・・・・・・

水に関係のある仏像の台座だけに描かれるのか?

他のはどうなんだ???

 

疑問が疑問を呼んで、ネットで調べてみると

角倉了以像制作だよりという

ページに、「古い岩につく、瓦茸というものを描く」とありました。

何だかサルノコシカケに似た、薬効のあるキノコらしいけど・・・・。

キノコだったのか・・・・・

 

それにしても、岩座の点々について書かれた記事は

このサイトが見つかったのみ。

もう一つ、すっきりしません。

その道に詳しい方のご教授を切に希望する次第です。

 


廻り灯籠と盆提灯

2008-07-31 13:49:09 | 仏事のあれこれ

「仏具屋さんで聞いたんだけど、廻り灯籠をお盆に飾ってはいけないの?」

というコメントをいただきました。

うーーーん・・・・
廻り灯篭をお盆に使うのは間違いではないです。

少なくとも私どもの店のある、中国地方西部では。

実際、ネットなどでも「盆提灯」として「霊前灯」と言われるタイプの

「ぼんぼり」のような形のものもたくさん売られているし。

むしろ、個人的には「葬儀の時の提灯」を「初盆」に使う、というのが問題なのかな?

と思ったりもします。

語弊はあるかも知れないけれど、

葬儀の提灯によって慰められるのはまだ成仏していない「魂」。

初盆は必ず49日をすぎた「成仏した魂」が初めて家に帰ってくるもの

ですから、同じ提灯でも意味合いが違うのでは?と思います。

 

ただ、お盆の風習は地域によって本当に、大きな違いのあるもの。

仏具店さんだけでなく、お寺様とか親戚・知人など地域の風習をよく知る方

に相談されるのも一つの方法です。

もちろん、地域やお寺様によっては葬儀の時の提灯でもOK、とか

初盆でも廻転灯だけでOKという場合もあります。

 

同じ中国地方でも岡山あたりでは

「盆提灯は一対でなく、一個でもOK」「3年過ぎたら提灯は出さない」という

習慣もあります。


位牌の文字のこと

2008-07-29 13:54:00 | 仏事のあれこれ

「位牌といえば表に戒名、裏に生前の名前を刻むもの」という認識がほとんどですが、

よくよく見ると、戒名や名前以外にも様々な文字が刻まれています。

 

表側の場合だと、それぞれの宗派に合わせて戒名の上に文字を

入れることがあります。

浄土宗なら梵字の「キリーク」

真言宗なら梵字の「ア」(画像はまたいずれ・・)

日蓮宗なら「妙法」など・・。

 

位牌を作りに来られるお客様の中には

戒名のみを写してこられる方もあります。

その時は「梵字はどうしますか?」等々お尋ねすることになります。

そうなると大抵の場合、「それって何ですか?」というお返事。

そこで各宗派のご本尊なり考え方なりを示すものであることを

お伝えします。

 

そして、さらに説明しにくいのが、戒名の下につける「位」という字。

いわゆる下字、というものですが、何とも説明しにくい。

地域やお寺様によってはつけない場合もままあります。

 

わかりません、というわけにもいきません。

「位」は霊の居場所を示すものだとか諸説あるようですが

とりあえず、「様」とか「さん」というくらいの「敬称」と考えていただいたら・・・と

いうのが一番納得していただけます。

 

 


土用の丑の日、のお約束

2008-07-24 13:43:45 | 仏事のあれこれ

本日は「土用の丑の日」。

世間では「うなぎ」と「シジミ」がダントツにもてはやされる日です。

(この「土用にうなぎ」というのも平賀源内の策略だった、というのも

 今では有名な話のようですが・・・)

ところで、仏事の方面では「土用の丑の日」といえば「胡瓜」です。

 

真言宗のお寺で行われることが多いのが

土用の丑の日の「胡瓜加持」。

病封じの祈りを胡瓜にこめて、無病息災を祈るというもの。

護摩木ならぬ胡瓜に願いと氏名を書いた紙を巻き、

御祈祷した後、川に流す、あるいは土に埋める、というものです。

胡瓜が跡形もなく腐って、病も一緒になくなってしまう、と考えられているようです。

 

この近辺では

下松市の閼伽井坊さんで「胡瓜加持」が行われました。

告知が遅くなったので、今年の「胡瓜加持」は間に合いません。

今年は何とか自力で乗り切って、

来年おでかけになってみてはいかがでしょう。

 


過去帳のこと

2008-06-26 13:39:41 | 仏事のあれこれ

以前から何度も書いていますが、

現在、浄土真宗本願寺派では位牌ではなく「過去帳」に

法名を記すことがほとんどです。

それはだんだんお客様にも浸透してきていて、

新たに過去帳を求められるお客様も多くいらっしゃいます。

 

ただ、ここで要注意。

過去帳には(大雑把に分けると)2種類あるのです。

すなわち、中紙が罫線だけのものと、見開きに1日から31日まで

日付の入っているもの。

前者を「日無し」後者を「日入り」と呼びます。

 

「日無し」の方は、亡くなった順番にどんどん書き込めるので

ちょっとした家系図のようになります。

「日入り」の方は、日めくりのようにその日の日付のあるページを

開いていくことで、命日をきちんと把握できます。

一長一短があるので、どちらがどちら、とも言えないのが現状です。

 

ただ、お寺様によっては

「うちの門徒さんは『日入り』で」などという場合もあるので

購入される前にお寺様に確認されるのがベターです。

 

いずれの場合も、記入された過去帳をお仏壇の中に

置いておく「見台」が必要です。

過去帳をお求めの際には見台もお忘れなく。

 

・・・・・地域とか宗派によって多少の違いはあるでしょうが・・・・

 


チベットの仏画(タンカ)もう一枚

2008-06-10 14:54:35 | 仏事のあれこれ

お客様からお預かりしたチベットの仏画(タンカ)の

もう一幅はなんともグロテスクな姿。

三つの目。どくろ。身体のあちこちに巻きついた蛇。

軍荼利明王です。

五大明王の中では南方の守護神に当たります。

軍荼利明王についてのウィキペディアの記述によると

金剛界曼荼羅においては「甘露軍荼利菩薩」とされるそうです。

サンスクリット語で「アムリタ・クンダリン」。

アムリタ=不死の薬=甘露

クンダリン=水瓶あるいはとぐろを巻いた蛇という意味。

三つ目、というのはシヴァ神にも共通する特徴だそうで、ゆえに軍荼利明王は

シヴァ神の神格を継承し、

疫病をもたらす毘那夜迦天(インドのガネーシャ)を調伏する、とされています。

日本では災厄をのぞき、息災延命の明王として信仰を集めています。

 

ところで、その軍荼利明王に調伏されるガネーシャとは、

歓喜天、あるいは聖天、大聖歓喜自在天ともいい、

夫婦和合・子授けの神として日本でも篤く信仰されているもの。

なぜ調伏されなければいけないの??????

 

これはまたガネーシャについても調べてみなければ・・・。

 


仏画。チベットの・・。

2008-06-09 14:12:36 | 仏事のあれこれ

先日、スタッフが某所から表装のためにお預かりしてきた2幅の絵。

チベットの仏画、だそうです。

タンカ」とも呼ばれるこれはチベット文化圏で作られる

布に描かれた宗教画です。

実物を見るのは初めてです。

 

セレモニーの時に寺院や屋内の祭壇に掛けたり、

お守りとして自分の守護尊の描かれたタンカを持って旅に出たり

していたそうです。

このあたり、日本の仏軸と同じようなものでしょうか。

現在ではお土産用のタンカも多いそうですが、宗教目的の作品は

「儀軌」と呼ばれる色や構図の取り決めがあるそうです

そして、あくまでも宗教目的なので描いた作者の名前が入ることはなく、

開眼の時、背面にマントラが書き込まれるのみ、だそうです。

 

それにしても、思わず息を呑んでしまうような鮮やかさ。

主として岩絵の具が使われるそうですが、なんとも大胆で鮮やかな色彩。

「日本人は『水』の表現を多く持ち、エスキモーは『白』を表現する言葉を

多く持つ」と言われるけれど、環境が感覚を育てるなら

チベット文化圏の人々のこの色彩感覚はどういう環境が育てたのかしらん?

 

ちなみにこの絵に描かれているのは「十一面観音」だそうです。

もう一幅は「軍荼利明王」。こちらは次の機会にアップします。


壷型提灯の落とし穴

2008-06-02 14:17:10 | 仏事のあれこれ

一口に「盆提灯」といっても様々な形のものがあります。

中には「え?こんなのも提灯?」というものもありますが、

それはまた後日の話として。

 

写真のタイプは「壷型」と呼ばれ、吊り下げて飾るタイプのものです。

吊り下げて飾るタイプにはこの他に、細長い「住吉型」や

真ん丸い「御殿丸」といわれるタイプがあります。

(もちろん、地方によってはまだまだバリエーションがあります)

とりあえず、弊社で主に扱っている吊り下げタイプはこの3種です。

 

中でもこの「壷型」は

*組み立てが簡単。

*シンプルな形で比較的安価。

*門提灯(お迎え提灯として外に出しておく提灯)にも使える

という理由で毎年人気があります。

 

でも、このタイプを選んでいただくときは、一つ気をつけていただきたいことが。

それは、「電池式」(中にはローソク式のものも)ということです。

電池式だからこそコードの心配もなく気軽に移動できるのですが、

そこはそれ、やはり明るさに限界があります。

ましてや提灯の中の電球はほんの小さなもの。

写真の商品のような「二重張」のものなどになると

あかりをつけても「何これ???」という程度の明るさです。

 

コード式のものだとあかりをつけるか否かで

提灯の印象が劇的に変るものも多いのですが

こと壷型に関しては、まず変化は期待できません。

 

壷型の提灯で「灯りをともした」と実感したければ

一重張のものをお勧めします。少なくとも中の電球がともっているのが

目で確認できます。

提灯そのものが上質に見えるのはやはり二重張のもの。

壷型で二重張のものを選ばれる場合は

もうあっさり「あかり」のことはあきらめて

灯りを入れなくても目を楽しませてくれるような柄のしっかりしたものを

お勧めします。

壷型を選ぶ際のヒントになれば・・・・・。