ホルガー・シューカイ先生の関連作品として、スネークチャーマーという1983年の作品がある。別に夏である必要はないのだが、パーカッシブな音が心地良いこの作品を、この夏久々に聴いていた。
プリミティヴな木彫り風デザインのジャケットに、演奏者の文字が上部に並ぶが、そのタイトルがやたら長い。
『フランシス・ケヴォーキアン プレゼンツ ”ジャー・ウォーヴル、ジ・エッジ、ホルガー・シューカイ/スネークチャーマー”』
なぜこのようなメンバーが1枚のミニLPを発表するに至ったか?不可解だったが、まあ聴いて楽しければそれで良し、と当時流していた。今・2020年は、別の意味で、聴いて楽しければそれで良し、と思っている。
久々にLPを聴きつつ、ライナーノーツや雑誌をめくり、改めて経緯を理解した。
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ジャー・ウォーヴルとホルガー・シューカイ2人の結び付きは、ジャキ・リーベツァイトと3人で実験的作品をすでに作っていたので理解するのだが、何よりもU2のジ・エッジがここに入っているのが不思議だった。
結論としては、U2の12インチ・シングルをケヴォーキアンがミキシングしたことがきっかけで結び付いたものだった。
1983・4年当時、ケヴォーキアンは12インチ・シングルのミキシングで活躍していたが、依頼したU2の2枚の12インチの出来具合に満足したアイランド・レコードが、彼に他のミュージシャンとの企画を提案。彼がウォーヴルとジ・エッジに声を掛けてセッションが始まったという。4か月の間に25トラックも録音した中より、このミニLPが完成した。
A面
1/Snake Charmer
2/Hold On To Your Dreams
B面
1/It Was A Camel
2/Sleazy
3/Snake Charmer (Reprise)
参加した3人とも、ここではフリーな場ということで伸び伸びと好きな演奏をしている。
特にジ・エッジは、U2では見られない一面を覗かせる。
A1はジャズファンクとでも言った世界。
A2は「クロスオーバーイレブン」で何度もあいだをつなぐ曲として選ばれたように、まるでシャカタクのようにフュージョン的、きらびやかで流麗な音が続く。マーセラ・アレンという女性ヴォーカルが入った8分半近いものだが、その長さを感じず、いつまでも聴いていたくなる。
細かく刻んだエッジのギターがメロディアスでまろやか。病気で心身困憊している今も、疲れた夜にはよく好んで聴く一曲。
B1は様々なパーカッションやピアノが打楽器音となって重なり合い、そのはざまに、ケヴォーキアン得意のスクラッチ音、シューカイ先生の描く音にはDシルヴィアンのソロアルバム1枚目と同じフレーズが出てくる。
B2だけは、ほぼU2のまんま、といった疾走感で激しく、アルバムの規格からは外れたものとなっている。
B3は、A1の再演だが、ウォーヴル・シューカイ・リーベツァイトで作った「How Mach Are They」のフレーズがピアノで繰り返される。
三人三様、この企画に乗っかり、楽しんでいるのが何よりもの1枚。
■Snake Charmer (Jah Wobble,The Edge, Holger Czukay) 「Hold On To Your Dreams」'84■