こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

YMO 「CUE」'81

2010-12-09 20:20:20 | 音楽帳
今、とある構想を描いていて(仕事ですが・・・)昨夜も、本屋を巡り歩き、喫茶店ではノートにアイデアのかけら・断片を書き、歩きながら、イマジネーションを描き、悶々と思案に暮れていた。

そんな状態に「まるで、YMOのCUEだな・・」と思った。

***

1980年、YMOはアルファ・レコードの要求で突きつけられた第2次ワールドツアーという過酷な世界行脚の中、心身を磨耗し切り、教授はノイローゼ手前まで行っていた。

そんな中、1980年暮れに武道館の凱旋公演を行い、年を越えて、またキチガイじみたスケジュールの中「BGM」を3月21日に向けて、アルバム制作に入る。



プロデューサー細野さんが抱く「次には絶対良いものが出来る」という確信だけで、「BGM」制作に突入していく。

さんざんワールドツアーで同じ演奏に飽きた彼らが、革命を起こすのはそれからだった。

「同じ事はしない」という中、だから・・・じゃあ、何を創るのだ?

そういう葛藤・苦悶の中、一晩で仕上げたのが「CUE」だった。

教授は、ノイローゼで録音にも顔を出せない状態に至る中、細野さんは「これは幸宏のものでもなく、自分のものでも無い。そういう出所不明な曲が出来たときに、背中が寒くなった。」というように、まさに、ここで語られている「手がかりを下さい。あともう少しで見えるんだ。」という訴えは、その「BGM」の次期YMOサウンドを探し、暗中模索を続けた彼らの叫びだった。

***

だから、僕は、心情的にも葛藤が荒削りな形のまま出た「BGM」というアルバムを愛している。



1981年「BGM」「テクノデリック」という永久名盤と年末のウィンターライブで、YMOはやりたい事はやり尽くし「解散したい」と申し入れたが却下された。

その後の1982年、唯一、公的な場にYMOが出たのは上のTV出演だけだった。
僕は、このヴァージョンが、一番オリジナルに近くて好きだ。

神経質で真剣な彼らの緊張した空気感と訴えかけるもの。

幸宏のホホのコケ方、うつむき加減の細野さん、ゲートリヴァーヴのタイトな教授のドラム・・・。

(正直、2000年以降、近時のユルい「CUE」は、自分には余り受け入れられない。)

***

YMO 「CUE」

Give me a cue(手がかりを下さい)
I think I've nearly found you(もうすぐ近づけそうだ)
Give me a cue(手がかりを下さい)
I can see clues all around me(手掛かりは到る所にある)
The sound of music(音楽の調べ)
The crying of the air(空気のざわめき) 
The sound of music(音楽の調べ)
The echo of the earth(地球の回転する音)

I'm sick and tired of the same old chaos(変わり様の無い混沌はもうウンザリだ!)
Must be a way to get out of this cul-de-sac(この袋小路から抜け出す方法はある!)
The sound of music(音楽の調べ)
The sound of my own voice(僕自身の声)

***

さて、僕自身の「とある構想」がまとまるのは、いつだろうか?
(と言っても時間の余裕は無い)
「CUE」はそこいらじゅうに転がってはいるのだが。


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2 コメント

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強迫観念 (森下礼)
2010-12-10 09:47:27
 私にとっても、「BGM」は思い出深いアルバムです。どの曲も、演奏時間をきっちりそろえるというあたり、かなり強迫観念を感じましたが。
 CUEもいい曲ですね。私的にはComouflageも好きです。
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カモフラージュ (かたちんば→森下礼様へ)
2010-12-11 15:21:30
「カモフラージュ」は、私も好きで、特に途中からうねうねとユキヒロの声が日本語で隠喩として現れるところ。

誰かが追いかけてくるんです・・・僕はそこに落ちていくんです・・・そんなようなコトバ。

1980年は日本中でYMOがかかった年でしたが、それによって公的抑圧された3人の、まさに強迫観念が、1981年のエネルギーの爆発が2枚の名盤となりました。

「BGM」の全曲の分数が揃っているのは、3月21日発売日から逆算したスケジュール上、あらかじめ設定したものです。

枠(フレーム)を決めて、様々な諸条件を設定した上で、各パーツをバラバラに解体しながら、リズム・テンポだけ設定し・・後は、その上に乗るオカズを分解作業してまとめていく、最終リミットが来たら・そこで終わりという流れ。

本当に時間との闘い・それも下地無しで始めて・その場で創っていく。
すさまじいアルバムだと思います。
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