2月11日の最終はJR東海「そうだ 京都、行こう。」の会員イベントで"若冲水墨画の美に迫る!"に参加しました。
宝蔵寺では毎年2月8日の伊藤若冲生誕日に近いこの時期に"寺宝展"が行われていて若冲や弟・白歳、弟子の若演の作品などが公開されます。
一般拝観が終わり、貸切の本堂で最初にご住職の小島英裕さまからお話があり、お寺の由緒や檀家だった伊藤家についての説明がありました。
以前には伊藤家の墓は本堂の裏の墓地にありましたが、若冲ファンの方のお詣りがあり、その都度、ご住職が案内されていたそうです。
近年に伊藤家の墓を本堂前に改葬され、いつでもお詣りが出来るようにされました。
次に、若冲が得意とした水墨画に使う"墨"についてのレクチャーです。
"墨"と言えば奈良市内奈良町の一角に店を構える「古梅園」さんが頭に浮かびます。
創業は室町時代末期と言いますから450年近くの歴史を刻んでいます。
代々受け継がれてきた製法を今も頑なに守られている"老舗中の老舗"です。
今回、その古梅園で営業部長をされている竹住亨さまから、その歴史や製造方法の解説(ビデオ鑑賞を含む)、また、貴重な材料や道具、商品を持参して下さいました。
大きく分けて8工程もの作業でようやく"墨"が出来上がります。
墨の製造期間は暑気をさけて10月中旬より翌4月末頃までが最適な期間だそうです。
①採煙→②膠(にかわ)溶解→③配合・練り→④型入れ→⑤灰乾燥→⑥自然乾燥→⑦磨き→⑧彩色
お値段をお聞きすると一般的な大きさで2万5千円するそうです。
上記の製造工程を考えると高価なのも頷けるます。
次に、ご住職の解説で寺宝展を鑑賞します。
墨の濃淡だけで絵に立体感を与えたり、また、遠近感をも表現しています。
水墨画は筆を止めてしまうと滲んでしまうので一筆で描いてしまう必要があります。
若冲作品には中国の画箋紙(がせんし)に淡墨(たんぼく)を少しずらしてにじませると、墨同士がはじきあって白い筋が残るという性質を応用した"筋目描き"の手法も巧みに取り入れて描かれています。
「髑髏図」は真っ黒な背景に白い描画が浮かび上がる独特で手間の掛かる技法"拓版画"で描かれています。
写真には無いですが、上には若冲と親交のあった売茶翁(高遊外)の賛が入っています。
若冲の代表作品「動植綵絵(国宝)」
若冲が相国寺に奉納した30幅の絵画ですが、上知令で疲弊していた相国寺が明治22年(1889)に皇室に献上しています。
江戸時代に"画家・若冲"を世に出した相国寺、、、後の明治時代に若冲作品が相国寺を救う事になります。
興味深い内容ばかりで2時間のイベントが短く感じられました。