本当にいいのですか? 公務員の賃下げ
先日、国家公務員の賃金を平均で7.8%引き下げる法案が国会で成立しました。
長引く不況で民間の賃金が下がり続ける中、公務員への風当たりはますますきつくなっています。マスコミでも一部の公務員が高給をもらっていることが取り上げられ、国や地方の財政難も合わせて強調され、「公務員の給料をさげろ」「公務員を削れ」という風潮ができあがっていました。そのなかでの、公務員の賃下げ法案の成立です。
しかし、それで本当によかったのでしょうか?
公務員も給料をもらって働いているという点では『労働者』です。そして、言うまでもなく、一歩、役所を出ればもらったお給料でモノやサービスを買う『消費者』です。そんな公務員の給料を下げれば、経済に与える影響は非常に大きなものとなります。
以下、国家公務員の賃下げがどのような影響を与えるのか見ていきたいと思います。
国家公務員の賃金の変動は、地方公務員、地方の公営企業、公務員に準拠する民間の職場に影響します。そこで働く労働者は約625.8万人。日本の雇用者4898万人(総務省「労働力調査」)の1割を超えます。
昨年、労働運動総合研究所が10%削減した場合の経済、財政に対する影響を試算しています。それによると、影響が及ぶ625.8万人の賃金総額は約34兆7098億円。これを10%削減すると家計の減少総額は3兆4710億円です。
収入が減ると当然消費も減ります。これにより国内生産は5兆8472億円、国内総生産(GDP)が3兆431億円と、大幅に減少するとしています。
政府は今回の賃下げで年間2900億円の財源を確保するといいますが、実際は国と地方の税収は5401億円減少することになります。
国家公務員の賃下げはさらに民間労働者にも影響を与えます。
国会公務員の賃金は人事院勧告に基づいて決められます。人事院は毎年、民間の賃金水準を調査し、役職や年齢、学歴など同種同等の比較を行い、勧告を出しています。
調査は、毎年4月、「50人以上」の規模の民間企業約1万社(2011年は岩手、宮城、福島をのぞく)について、調査員が企業の給与担当者に直接面接をして行っています。
民間賃金の実態を正確につかんで、公務員の賃金に反映させようというのです。
一方、民間企業の中では、自社の賃金決定の基礎資料として人事院勧告を活用する例も多くあります。このように公務員と民間労働者の賃金水準は別個のものではなく、お互いに影響を与える関係にあり、どちらか一方がさがると、もう一方も下がるという悪循環になってしまいます。
実際にその悪循環はこの数十年続いています。97年をピークに民間の平均賃金は下がり続け、2010年には412万円とピーク時よりも55.3万円も下がってしまいました。それに連動して、公務員の賃金も下がり続けています。
これにより税収は悪化の一途をたどり、国税庁「民間給与実態統計調査」によれば、1997年に12兆1401億円あった所得税額は年々減少し、2010年には7兆5009億円と、約4兆6000億円も低下しています。
日本共産党は、国家公務員が労働者の権利である労働基本権が制約される代わりにつくられた人事院勧告制度さえ無視をして、議員立法で賃下げを一方的に押しつけるのは「二重の憲法違反」だと指摘。さらに600万人の賃金に影響を与え、民間との賃下げ競争などで、国内の消費をさらに冷え込ませ、経済と財政をさらに悪化させるとして反対しました。
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