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to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

アリス・イン・ワンダーランド

2010-04-22 00:07:40 | the cinema (ア行)
世界はもう、マトモではいられない…。
原題 ALICE IN WONDERLAND
製作年度 2010年
上映時間 109分
製作国・地域 アメリカ
原作 ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』/『鏡の国のアリス』
脚本 リンダ・ウールヴァートン
音楽 ダニー・エルフマン
監督 ティム・バートン
出演 ミア・ワシコウスカ/ジョニー・デップ/ヘレナ・ボナム=カーター/アン・ハサウェイ/クリスピン・グローヴァー/マット・ルーカス
声の出演 アラン・リックマン/マイケル・シーン/ティモシー・スポール/ポール・ホワイト/ハウスバーバラ・ウィンザー/クリストファー・リー

ティム・バートン監督が、ルイス・キャロルの名作『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を基に、19歳に成長したアリスの新たな冒険を、最新の3D映像技術で鮮やかに描き出す冒険ファンタジー大作。
子どもの時に体験した不思議の国(ワンダーランド)での記憶をすっかり失くしていた19歳のアリス。ある日、好きでもない相手からの突然のプロポーズに困惑していた彼女は、チョッキを着た白うさぎを目に止める。その不思議なうさぎを追いかけて穴に落ちてしまうアリス。辿り着いたのは、アンダーランドと呼ばれているあのワンダーランド。白うさぎをはじめこの世界の奇妙な住民たちはみな彼女の帰りを待っていた。アンダーランドは今や独裁者・赤の女王に支配された暗黒の世界で、アリスこそが年代記が予言する救世主だったのだ。そして、そんなアリスを誰よりも待ちわびていたのが、赤の女王への復讐を誓う謎多き男マッドハッターだったのだが…。

長くかかった目の不調からようやく解き放たれて(笑)いよいよ3Dデビューしました~。
公開初日、IMAX3D版で観ようと思っていたら、案の定の激混み~。
初日はひとりで2D字幕版をみて来ましたが、翌、日曜日はXpanD方式の3D吹替え版での鑑賞
やっぱり病み上がりなので(笑)字幕版は2Dで観ておいて正解だったと思いました!

以前皆さんの感想から、字幕が見難いとか、メガネが重いとかきいていたのでとても参考になりました。
それでメガネは重くないが字幕を追うには席が重要、というIMAX3Dで吹替え版を目指していたのに、
ソレは叶いませんでしたが、
XpanD版、ちょっと画面が暗くなって、目が疲れましたが、まずまず楽しめました
やっぱりこういう可愛い系ディズニー作品でとりあえず3D体験できたのは狙い通りというか、
場所を選ばない(座席の位置)というのも、こういう人気の作品の場合はいいですよね~。結構混みこみ
とはいうもののIMAX3D、いつかは体験出来たらな~と思います♪

で、、、私は色調は2Dの方が明るくて、ブルーの色や赤の色彩が好きです。
アンダーランドっぽいかどうかは別にして、やっぱり暗いと目が疲れる感じがしました。
とはいうものの、皆さんが私のように目が弱い(疲れやすい)訳ではないでしょうし、やはり遠近感がある事の画的な楽しさもまた捨てがたいので、
これは好みと上映時間で決まる問題かも

さてお話的は、
大人になりきれず、さりとて天真爛漫な恐いもの知らずの子供でもなくなった19歳の少女という、
いかにも中途半端な年齢のアリスが、
アンダーランドの危機に際して、勇気を出して自分らしさを取り戻し現実に成長していくというもの。
そもそも19歳のアリスが、まぁ、時代はあるにしてもあまりに幼い描き方が気になりました。
まあ、イマドキの子なら15歳でももっと成熟してるわと、余計なことが気になって(笑)
たしか「魔法にかけられて」も、ヒロインもお相手の男性もかなりお年が気になっていたっけσ(^_^;)

こちらもどの世代をターゲットにしているのか、全体には登場キャラも子供目線でも楽しいし、
そんなにダークでもなく、小さな子供が楽しめる内容だと感じました。
普段ディズニー映画はDVDで十分な派の私ですが、これはジョニーとアン・ハサウェイというキャストをかなり楽しみにしていたし、
イメージ通りのふたり。その点では満足でした♪
 ←アン・ハサウェイ、動きがマリオネット状態~
ただ、ディズニー色が濃いためか3Dに重きを置いた結果なのか、従来のティム・バートン作品の斬新さはなく、
ジョニー・デップファンにはやや内容的には物足りなさが残るかも知れません。
キモ可愛いキャラはたくさん登場しますが、お話自体に新鮮な驚きとか感動が、いまひとつなかったような
13年後にあの世界にアリスが舞い戻る必然性、説得力に欠けていたかな~と、
ワンダーランドの危機自体なら、アリスがもっと幼い方が面白かったように思いますしね。
だって、19歳ですよ~。せめて中学生ぐらいでないと、、ってシツコイですか

アバター」の時にも感じましたが、今回2Dの色合いは個人的には好きでしたが、映画を観終わってまぁ、普通という感じでした。
でも、これが3D鑑賞後となると、画的な楽しさがストーリーの平凡さを凌いでしまうのですよね~(笑)
私は「アバター」を2Dで観ましたので、みなさんの高評価にちょっとついて行けなかったですが、今回両方を観てその訳が実感として解りました。
そういう意味で、本作も3Dで観れば、☆1つぐらいは増しになると思います

あなたに逢えるその日まで…

2010-02-27 23:37:50 | the cinema (ア行)
原題 TIL THERE WAS YOU
製作年度 1997年
上映時間 114分
監督 スコット・ウィナント
出演 ジーン・トリプルホーン/ディラン・マクダーモット/サラ・ジェシカ・パーカー/ジェニファー・アニストン/クレイグ・ビアーコ/クリスティーン・エバーソール/マイケル・タッカー/ ジャネル・モロニー/カレン・アレン

運命の男性と劇的な出逢いを夢見ていた女性が、子供の頃からその相手と何度もすれ違ったりニアミスを繰り返した末に、自分の傍らにその大切な存在を見つけていく・・・。
劇場未公開の作品
グウェン(ジーン・トリプルホーン)は幸せな家庭に育ち、いつの日か両親のように運命の結婚相手とめぐり逢うことに憧れていた。一方、建築家ニック(ディラン・マクダーモット)はケンカの絶えない両親の元で育ち、孤独と不信感を抱えていた。そんな両極端の二人は、子供の頃に同じドラマ『幸せ家族』に夢中になっていたことだけが共通点。ある日、そのドラマの名子役だった女優(サラ・ジェシカ・パーカー)の自叙伝のゴーストライターを務めることになったグウェン。一方、ニックは女優が所有する歴史的アパートの改築プロジェクトを計画していた…。

今では超~売れっ子のサラやジェニファー・アニストンが、アチラで注目され始めた頃の作品になるんでしょうか?
実に勿体無い役回りですが、二人は超~キュート
今のサラはファッションも含めて、ちょっぴり苦手分野になる女優さんですが、
この作品ではヘアスタイルの所為か、顔もそんなに長く見えずとっても魅力的
12年前のジェンも、こんなに可愛かったのね~って、二人とも画像がなくて残念。

で、肝心の内容ですが、
これは「幸せの1ページ」のように、主演二人が出会うまでの過程を描いていくので、
ある意味、ラブストーリーの醍醐味である
二人の幸せな時期とか、心のすれ違いに胸がキュン~という部分はナイので
イマイチ盛り上がれません。
今か今かと待ってる間にああ・・これはもう出会ったら終わりなんだと解りますが、
そのラストもかなりベタです~。
主演の二人も、この地味な作品によくマッチしていたのかも。

グウェンがいう、「まだ早いといわれ続けて、ある日突然、いつになったら結婚するんだといわれる」(うろ覚えですが)
ココは凄く解る部分でした(笑)
憧れ続けたグウェンの両親の真実―。特に父親の爆弾発言に「ヒ?」だったり、
ジーン・トリプルホーンの身体を張ったボケっぷりとかに「ひっ」となるけど、
一番は、二人が関わることになる中庭のある"ラ・フォーテュナ"が素敵なマンションだったこと

ひと頃白山とか白金に、ゴージャスな億ションができて、こんな感じのマンションにお邪魔した事があるけど、
やはり緑の占める割合が違うと思う!
趣のある素敵な建築物。素敵でしたファミリー向きじゃないけど、住みたい

ラブコメのジャンルというより、グウェンの成長記としてみればいいのかもだけど
この作品のサラ・ジェシカ・パーカーはとっても魅力的だったし、ファンには一見の価値があると思います。
出演シーンも少なく勿体無い役どころだったけど、ジェニファー・アニストンがキュートでした
 もっともっと若いの

インビクタス/負けざる者たち

2010-02-14 01:24:01 | the cinema (ア行)
ひとつの願いが、ほんとうに世界を変えた物語。
原題 INVICTUS
製作年度 2009年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 134分
原作 ジョン・カーリン
脚本 アンソニー・ペッカム
監督 クリント・イーストウッド
音楽 カイル・イーストウッド/マイケル・スティーヴンス
出演 モーガン・フリーマン/マット・デイモン/トニー・キゴロギ/パトリック・モフォケン/マット・スターン/ジュリアン・ルイス・ジョーンズ

ジョン・カーリン原作のノンフィクション小説を、クリント・イーストウッド監督が映画化した感動のドラマ。反アパルトヘイト運動に尽力し、南アフリカ共和国大統領となったネルソン・マンデラと、同国のラグビー代表チームのキャプテンとの人種を越えた友情を描く。主演は『ダークナイト』のモーガン・フリーマンと、『インフォーマント!』のマット・デイモン。新旧の名優たちが熱演する実話を基にした物語に胸が震える。
1994年、マンデラ(モーガン・フリーマン)はついに南アフリカ共和国初の黒人大統領となる。いまだにアパルトヘイトによる人種差別や経済格差の残る国をまとめるため、彼はラグビーチームの再建を図る。1995年に自国で開催するラグビー・ワールド・カップに向け、マンデラとチームキャプテンのピナール(マット・デイモン)は、一致団結して前進する。

1990年、アパルトヘイトに反対し27年間も投獄されていたネルソン・マンデラがついに釈放される―。

1994年。初めて全国民が参加した総選挙が実施され、ネルソン・マンデラは南アフリカ初の黒人大統領に就任する。
そして、長きにわたる黒人と白人の中に渦巻く人種の壁と怨み、恐れ、荒廃した社会に先ず何が必要か?!
マンデラの大統領としての第一歩。
彼は、翌95年に南アフリカで初開催されるラグビーW杯を国民融和の絶好のチャンスと捉える―。

彼は、対イングランド戦を分析すようにみつめ…
アパルトヘイトによる制裁の為、長らく国際試合から閉め出されて弱小化していた自国の代表チーム・スプリングボクスのキャプテン、フランソワに接触する。

実話であり、登場人物も生存していることから、
かなり、試合も含め事実を忠実に再現されているようです。
なので、ある意味これを面白く見せることは脚本と、監督の手腕に懸かっているでしょう。

マンデラのロベン島時代を描いた「マンデラの名もなき看守」はDVDで鑑賞済みですが、記事は書かず仕舞いでした。
あの作品の中で、白人看守の幼い子供が、黒人が暴行されるシーンを目撃しショックを受ける場面で、
「黒人は恐ろしい人たち」なんだと確か言っていたように思います。
「悪い」のではなく「恐ろしい」

黒人の側には恨みがあり、白人の側には恐れが―
しかし、そこで生まれそこで生きてきた子供たちには南アフリカこそが祖国。
貧しい黒人の子供たちにとっても、白人の子供、フランソワにとっても。

マンデラの国を、国民を思う気持ちに触れ、フランソワも心の目を開けて知ろうとするところから、
チームも変わり始め、人々をも巻き込んでいくことになります。

INVICTUSとは、マンデラが投獄中に心の支えとしていたという詩のタイトル。
たいしてスポーツに強くない私でも知っているNZオールブラックスチームのマオリ族の戦士の踊り、ハカ。
相手を威嚇し、チームの士気を高める術が相手のチームにはある。
「力以上のチカラ」を出し、チームに士気を煽るために、マンデラはフランソワに贈ります。

"我が魂を征するのは我なり"

ラグビーの簡単なルールも序盤に説明され、
練習の合間に黒人地区をまわっていく白人選手の目を通してその格差を見せていき、
そして、ワールドカップを迎え―、と、
実に解りやすく、優しく、しかもかなり忠実になぞりながらも面白く引っ張って行ってくれたのは流石のイーストウッド監督!

恨みを超えて、南アフリカを一つにするために心を尽くした二人。
試合後のフランソワの挨拶も実際のセリフだったんですよね。
こういう流れであの言葉が出てきたんだと、改めて凄い言葉の裏の重みに触れた気がしました。

アバター

2009-12-29 20:27:32 | the cinema (ア行)
観るのではない。そこにいるのだ。
もうひとつの体。もうひとつの運命。

原題 AVATAR
製作年度 2009年
上映時間 162分
監督/脚本 ジェームズ・キャメロン
音楽 ジェームズ・ホーナー
出演 サム・ワーシントン/ゾーイ・サルダナ/シガーニー・ウィーヴァー/スティーヴン・ラング/ミシェル・ロドリゲス/ジョヴァンニ・リビシ/ジョエル・デヴィッド・ムーア

ジェームズ・キャメロン監督が、自らも長年にわたって開発に関わってきた3D技術をはじめ最先端の映像テクノロジーを存分に駆使し、満を持して放つSFアクション超大作。
下半身不随になり、車いす生活を送るジェイク(サム・ワーシントン)は、衛星パンドラにやって来る。彼は人間とナヴィ族のハイブリッドであるアバターに変化を遂げ、不自由な体で単身惑星の奥深くに分け入って行く。慣れない土地で野犬に似たクリーチャーに襲われていた彼は、ナヴィ族の王女(ゾーイ・サルダナ)に助けられる。

コチラも公開初日に観てきました。が、休日出勤のうえ多少の残業の後だったので、
3D上映には間に合わず、普通に見てきましたが、それでも面白かったです!

衛星パンドラ到着後、序盤にクオリッチ大佐との会話などでぱきぱきとこのストーリーの核になる説明がなされます。
22世紀の地球の様子は簡単にしか語られないですが、これまでのたくさんの映画にあったように、(新しいところでは『ウォーリー』)
人類は科学の進歩を追い求め、地球から緑を奪いつくした果てのパンドラ進出。
しかし、パンドラの先住民やその自然は神秘と進化を秘めていたんですね…


宮崎アニメ「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」を思い出させるいくつモノシーンがありました。
アメリカの先住民の恋を描いた実話を基にしたディズニーアニメ「ポカホンタス」そっくりのシチュエーションもあり、
ストーリーの後半にはロボコップ2さながらのシーンもあり、
そう思ってしまうと、なんら新しいストーリーではないんですが、
普通の人間、しかもリアルでは足の不自由なジェイクがアバターを手に入れ、ナヴィに紛れ込む瞬間から、
自然に入りこめ楽しめました

グレイス博士役のシガーニー・ウィーヴァーもイメージぴったりでしたが、ホントは貴女はもっと強いはず!と、密かに突っ込みをいれてました(笑)
ジェイク役のサム・ワーシントンはやつれたり無精ひげだったりと様々な表情をみせますが、
ちょっとした表情が「ブラッド・ダイヤモンド」の頃のディカプリオに似てたと思ったのは私だけ?


そうそう、もう一つ、ジェイクがゲットした”大物”は「ポケモン」に登場する子供が大好きだったキャラクター”ファイアー”にそっくりでした(笑)
なので、ちょっと難しい言葉も登場しますが、あまり小さくなければお子さんも楽しめるでしょうね


ウルルの森の物語

2009-12-27 09:53:42 | the cinema (ア行)
製作年度 2009年
上映時間 119分
脚本 吉田智子/ 森山あけみ
監督 長沼誠
音楽 久石譲
主題歌 麻衣『ウルルの唄』
出演 船越英一郎/深田恭子/桑代貴明/北村沙羅/濱口優/光石研/桜井幸子/大滝秀治

「マリと子犬の物語」のスタッフ・キャストが再集結、“ウルル”と名付けたオオカミの子との触れ合いや冒険を通して成長していく幼い兄妹の姿と家族の絆を暖かなまなざしで描いた感動ファミリー・ドラマ。
母親の入院を機に東京から北海道へとやって来た兄妹、昴としずく。そこには野生動物救命所で獣医を務める父・大慈が暮らしていた。しかし、5年前の離婚以来、久々に顔を合わせる父親との生活はぎこちなく戸惑うばかり。そんな彼らも、美しい大自然や野生動物たちに囲まれ、周りの人々に優しく支えられながら少しずつ新生活に溶け込んでいく。そしてある日、しずくはオオカミに似た一匹の子犬と出会い、“ウルル”と名付けて飼い始めることに。だが、ウルルとの幸せな日々も束の間、野生動物保護協会の分子生態学者から、ウルルは絶滅したはずのエゾオオカミの子供である可能性が高いため、しかるべき機関へ預けるべきとの指摘を受けてしまう。そこで、昴としずくは自分たちの手でウルルを母親のもとへ返そうと、アイヌ語で“オオカミの棲むところ”の意味を持つ伝説のオオカミの国“ホロケシ”を目指す旅に出るのだが…。

コチラは恭子ちゃんと船越さんがPRに頑張っていましたね。
そのPR番組の中で(日テレのCAPTAIN TV だったかな?)船越さんが仰っていたことが全てだったような気がします。

ファンタジー映画なのに魔法も魔法使いも出てこない。
でも夢のような奇跡が―」

誰もが心弱くなっている時、夢を見たりしたいもの。
この物語の主人公は子供たちです。
そして、その兄弟の愛情を受けて育つウルルです。

私はことさら動物好きではありませんが、子犬の可愛さ、
そして日々離れ難くなっていく楽しい時に、それが断ち切られる辛さ、切なさは良く解ります。
このウルルがエゾオオカミではないか?との情報は他ならぬ兄妹の叔母である恭子ちゃんが流してしまい、
兄妹は身を切られるような辛い決断をしなければならなくなりますが、
子供たちの冒険の旅は「マリと子犬~」の時とは全然違うものになっています。

大感動とか、大号泣とかはないですが、
バラバラになっていた家族をひとつの出会いが成長させ、近づけて、
相手を思いやるということが自然に語られています。


自然は護られなければならないでしょう。
絶滅危惧種は保護されるべきではありましょう。
でも、ここでは子供たちの決断のそのわけは、ただひたすら親に寄せる子供の愛からきているのですね。
まだ幼いウルルに何が必要なのか、答えを導き出す子供の単純さはカッコイイです

森の場面では数年前の「蟲師」を思い出しました。
説教じみてもいないので、冬休みにご家族でご覧になるのもいいですね



ドッグトレーナーの方が、船越さんと恭子ちゃんのことを、
「犬のことは全て理解している。心強いアシスタント」と仰っていましたが、
メロンちゃんを飼って2年の恭子ちゃん、この撮影にはメロンを同行しなかったようで、
やはりそこらへんにも彼女の姿勢を感じて嬉しかったりしました

アンナとロッテ

2009-11-16 23:19:25 | the cinema (ア行)
ずっと一緒にいたかった……
原題 DE TWEELING/TWIN SISTERS
製作年度 2002年
製作国 オランダ/ルクセンブルク
上映時間 137分
監督 ベン・ソムボハールト
出演 テクラ・ルーテン/ナディヤ・ウール/フドゥルン・オクラス/エレン・フォーヘル/ユリア・コープマンス/シーナ・リッヒャルト/ユルン・スピッツエンベルハー/ローマン・クニッツカ

オランダの女性作家テッサ・デ・ローの同名ベストセラー小説を映画化。2003年度のアカデミー外国語映画賞ノミネート作品
1926年ドイツ・ケルン。幼い双子の姉妹、アンナとロッテ。いつも一緒で仲の良い2人は、ある日突然、両親の死によって引き裂かれてしまう。アンナはドイツの貧しい農家に、一方のロッテはオランダの裕福な家庭に引き取られる。離れ離れになってもお互いを想い続ける2人。ロッテはアンナに宛てて手紙を書き続けた。しかし、その手紙は養父母によって秘かに処分されていた。お互いに相手が死んだと教えられ成長した2人だったが、ある時アンナが生きていると知ったロッテは彼女を訪ね、感動の再会を果たす。しかしそれも束の間、彼女たちにはさらなる過酷な運命が待ち構えていた…。

あらすじだけを見ると、昔の少女漫画のような絵に描いたようなストーリーですが、
二人の生家がドイツであったこと。
二人が生木を裂かれるような別れをしたのが、まだ6歳という幼年期だったこと。
そして、再会できたのが、ナチスが台頭し始めた時代で、二人が別々の国でその時代を迎えたこと―が、
その後の二人の人生に大きく関係して、ドラマチックな展開にしていきます。

この双子の主人公を6人で演じるわけです。

少女期のロッテは結核という設定なので、いかにも病弱な色白のユリア・コープマンスという子役。
農家に引き取られるアンナぷっくりほっぺで眉が太いシーナ・リッヒャルトで、
おそろいのドレスだととても似ている。

でも、若き、10代から20代を演じる段階で、私は戸惑う。
きかん気そうなふと眉毛でぷっくりほっぺが"ロッテ"テクラ・ルーテン
腺病質そうな色白の方が"アンナ"ナディヤ・ウールとなり、
また老いたふたりはどうしても若き時代の二人から似ても似つかない、イメージ的にもまた逆のふたり・・・
"ロッテ"は高ピーだが細く白髪のエレン・フォーヘル
"アンナ"はまたふと眉ででっぷり、、、フドゥルン・オクラス

近頃ではこいういう子供時代から役者が代わっても、どこから見つけてくるの?と感心するぐらいの作品が多く、
こんなに似ていない、しかも時代が変わる度に双子の体型やイメージが反対というのも珍しいくらいで、
およそ双子という設定に無理があるし、混乱しました。

ですが、そのパートそのパートの各人の演技はみな素晴らしく、
混乱はするものの(イメージ的に)
それぞれのパートでは思い切り感情移入できますし、ふたりが愛しいです。

裕福な家に貰われていくけど、心は離れていくばかりのロッテは、やがて愛する人に出会うのですが、
オランダでは問題にならなかった彼がユダヤ人ということも、
ロッテがドイツ人ということも、やがて大きな問題として心に棲み付きます。

ドイツの貧しい農家に貰われたアンナの人生は更に壮絶を極めます。が、
裕福な生家で幼い時にもう読み書きが出来ていたことが、彼女の人生を幾度となく救います。
そして自分で人生を切り開いて、やがてドイツ軍の将校と愛し合うことに―。

この若き時代のアンナと、ロッテ、演じた女優の巧さもあるのですが、
どちらの恋も上手くいって欲しいと祈らずにはいられない、
盛り上げ方がとても素晴らしいドラマになっていました。

エデンより彼方に

2009-11-07 23:47:21 | the cinema (ア行)
永遠(とわ)に輝く地を探して…
原題 FAR FROM HEAVEN
製作年度 2002年
上映時間 107分
監督 トッド・ヘインズ
出演 ジュリアン・ムーア/デニス・クエイド/デニス・ヘイスバート/パトリシア・クラークソン/ヴィオラ・デイヴィス

50年代のアメリカ東部を舞台に、ブルジョア家庭に暮らす模範的な主婦の“楽園”からの転落を見つめたメロドラマ。
偏見や差別意識がごく普通に存在した1957年の秋、コネチカット州ハートフォード。キャシー・ウィテカーは誰もが認める“理想の主婦”。一流企業の重役に就く夫フランクの貞淑な妻として、また愛する2人の子供の良き母として、地域社会の中でも一目置かれる存在だった。だがある日、残業のフランクのもとへ夕食を持って行った彼女は、そのオフィスで見てはならない夫の秘密を知ってしまう。以来、心の安定を欠いてしまったキャシー。そんな彼女を新しくやってきた黒人の庭師レイモンドが気遣うようになり、2人は次第に打ち解けていくのだったが…。

舞台が1950年代のアメリカ、コネチカット州というと、今年の春に公開された
レボリューショナリー・ロード」と全く同じ。
ところが、若くノーブルなレオとケイトと全く違うこちらの夫婦は、
鮮やかな色彩と艶やかなファッションの中に、後戻りできない強い疎外感を焼き付けていく。

誰もが認める幸せなエリート一家。
キャシーは誰からも好かれ地域社会の女性の中心的存在だったが、夫の裏切りに深く傷つく。
そんな彼女に好意的なレイモンドが、黒人だったことから、
閉鎖的な白人社会は彼女を異端扱いしていき―、

秘密を抱えた夫とこれまでの生活を送ることができるのか?

ゲイと人種差別。
この時代に、この問題に立ち向うには、キャシーはあまりにも自分の属する社会を知らなさ過ぎたというか、
進歩的ともいえるキャシーではあるけれど、どうにも彼女の心情が恋にみえない。
レイモンドにしても、好意が愛に変わったとは思えなかったし…。
心の安息が得られる人が、黒人であったことが双方に傷を負わせてしまう。
それは誰の目にも明らかな結末のはず…。夫にだけは言われたくないけれど。

冒頭、友人たちにアカと言われてしまうほど偏見の無い女性であるにしても、
夫からの決別がなければレイモンドの娘を見舞っただけで終わったのではないかと、
終盤の盛り上がりに、気持ちはいまひとつ添いきれなかったですが、
美しい理想の主婦が巻き込まれる悲劇に、釘付けでした。。。

アンフィニッシュ・ライフ

2009-10-10 23:27:47 | the cinema (ア行)
原題 AN UNFINISHED LIFE
製作年度 2005年
上映時間 108分
監督 ラッセ・ハルストレム
出演 ロバート・レッドフォード/ジェニファー・ロペス/モーガン・フリーマン/ジョシュ・ルーカス/ダミアン・ルイス/ベッカ・ガードナー

サイダーハウス・ルール」「ギルバート・グレイプ」のラッセ・ハルストレム監督の日本未公開作品。
恋人の暴力に絶えかね、11歳の娘グリフを連れ、亡き夫の父アイナーを頼って彼が営むワイオミングの牧場へと逃げてきたシングルマザーのジーン。しかしアイナーは、最愛の息子の死の原因となったジーンを許すことが出来ず、決して心を開こうとしなかった。

監督もキャストも一流の人物を配しながら、なぜか日本未公開となった作品。
でも、子供を、大人を、その人生をみつめる目線の確かさと温かさは本作でも同じ。

過去を許せないまま、心塞ぐ日々を送っていた男たちに訪れる11年ぶりの来訪者。
それはアイナー(ロバート・レッドフォード)から生きていく力を奪ったジーン(ジェニファー・ロペス)。
しかも彼女は息子の子だというグリフ(ベッカ・ガードナー)と一緒にしばらく同居したいという。

彼は、牧場の牛を守ろうとして熊に襲われたミッチ(モーガン・フリーマン)の世話を焼きながら、
亡き息子の墓に語りかけ、無気力な日々を送っていたが、
子供らしい率直さで、少しずつ近づいてくる孫の存在と、
親友・ミッチの言葉で、徐々に行動的になっていく。

好きで帰ってきたわけじゃない田舎町。何かあればすぐさま町中に筒抜け。
おそらく、ジーンにしてもこの街を出る時、好きで出て行ったわけではないのだろう。
自分を赦せないから、ちゃんと向き合えないジーン。
そんな彼女を援けるのは・・・

ワイオミングの萌える緑の中で、男たちの時計が少しずつ動き出していく・・・

テーマは「赦し」と「訣別」でしょうか。
派手さはないけど、素朴で痛々しい彼らの日々を思わず応援したくなる、ハルストレム作品の登場人物。
アイナーがグリフに少しずつ仕事を教えるシーンは、
「グラントリノ」の二人を思い出しました。
終始無駄のない、そして優しくなれて、ほっとする。やっぱり素敵な作品でした~

運動靴と赤い金魚

2009-10-06 22:50:45 | the cinema (ア行)
原題 BACHEHA-YE ASEMAN/CHILDREN OF HEAVEN
製作年度 1997年
製作国 イラン
上映時間 88分
監督 マジッド・マジディ
出演 ミル・ファロク・ハシェミアン/バハレ・セッデキ/アミル・ナージ

モントリオール国際映画祭でグランプリに輝き、イラン映画としては初のアカデミー外国語映画賞候補にもなった感動作。
少年アリは妹ザーラの靴をうっかりなくしてしまう。家が貧しい為親にも言えず、一足しかないアリの運動靴をふたりで交代に履いて学校に通うことになってしまう。ある日、小学生のマラソン大会が行われることになった。3等の賞品は靴。アリは妹のために靴を手に入れようと出場を決意する

以前からみたいと思っていた作品、やっと見つけました!
日本のイマドキの子供たちからすれば、いや、あるいは現在大人であってもおよそ想像できないイランの貧困家庭の、
日常と、ある兄妹のある事件。

兄は真面目で泣き虫。
妹は優しく、可愛く、兄を慕っている。

たった一つしかない靴を兄によって失くされても、親に泣きついていかない妹。
その日家に居た彼女は、大声で大家とやり合う母の声を聞いていて、家の置かれた状況を知ってた。
ガマンする妹に、まだ長い鉛筆を与える、申し訳ない兄。
この日から親に言えない兄と妹の涙ぐましい登校が始まる。
妹の帰りをじりじりして待つアリは、彼女の帰り道で靴を受け取り、学校に急ぐが、
遅刻してしまい、先生に叱責されても本当の理由など言えない
妹も毎日下校路を急ぐ。兄のために走る。

妹のザーラは、ある下級生が自分の靴を履いているのに気づくけど・・言えない
大きい男物の運動靴はとっても恥ずかしいのだけれど―。

妹の前では兄貴ぶっている泣き虫のアリの頭の中は妹ヘの申し訳なさでいっぱい。
なんとか彼女に運動靴を買ってあげたい。
来る日も来る日もたった一つの靴を共有するために走って、そして、最大のチャンスが巡ってくる!

「9歳はもう子供じゃない!」という父の言葉にまず驚き、厳しいだけの親かと思いきや、
妻の身体を案じる優しい夫で、
母も、貧しい中で、隣人の面倒を見たりと、心優しい。

欲しがれば何でも与える今の日本の親から見れば、不甲斐ない親ではあるかもしれない。
でも、親が子に与えられるものは何なのか?も考えさせられる
健気で可愛い兄と妹は、相手への思いやりから口をつぐみ、走る。
それは貧しくても人への思いやりを忘れない両親によるものだろう。

マジディ監督が知人に聞かされた実話をもとに執筆したという、
ちょっぴり笑えて、ぐっと来る。
どこか懐かしく、熱いものに満たされた作品。とっても良かったです~

男と女の不都合な真実

2009-09-27 22:20:34 | the cinema (ア行)
原題 THE UGLY TRUTH
上映時間 95分
監督 ロバート・ルケティック
出演 キャサリン・ハイグル/ジェラルド・バトラー/エリック・ウィンター/ジョン・マイケル・ヒギンズ/ニック・サーシー/ケヴィン・コナリー

美人で優秀なテレビプロデューサーのアビー(キャサリン・ハイグル)だが、その仕切り屋の性格が災いしてなかなかいい相手に巡り合えずにいた。そんな折、彼女は番組の視聴率アップのため、下世話な恋愛相談が売りのマイク(ジェラルド・バトラー)と嫌々チームを組まされる。まるで水と油のような二人は、最初からぶつかり合うが……。

キャサリン・ハイグル主演作は「幸せになるための27のドレス」
ジェラルド・バトラーの「幸せの1ページ」も、その後の「P.S. アイラヴユー」ものれなかったんだけど、、、
監督が、私としては凄く楽しめた「ラスベガスをぶっつぶせ」の監督だというので観にいってきました。
でも・・・予感は当たってました。極フツウのラブコメでした~。

シモネタ自体は、下品になり過ぎることもなく許せる範囲でしたが、
お話自体、もう何も新鮮味はないし、格別観客を沸かせる場面もなかったかな~。
かなり入っていたレディースデイでしたが、
オープニングからずっとシンと静まり返っていたのは、
やはりコメディとはいえ、ありえない設定にまだ日本の観客が慣れず(どちらかというと引いていた
アビーが理想の王子の衝撃を目にするところで、ようやく肩の力が抜けた雰囲気でした

やはりアメリカでは、「仕事が出来る女」「利口な女」「強い女」じゃないと受け入れられないのねぇ・・コメディでさえ。
尤も婚期を逃した女が、やり手で、理想も高く、というのは現実にアチラもコチラも多いのかも知れないけど。
コメディだけど、その舞台となるマスコミの描写に徹底的にリアリティがなく、
中途半端なドタバタに見えたのがダメでした。。

そもそも恋愛指南という設定に、30代女性と40代に届く男というのが私的にはありえない(笑)

デキル描写は何もなかったけど(笑)
キャサリン・ハイグルは恋に有頂天で、髪を回し飛び跳ねるトコはめちゃ可愛かった
あれなど、やはり若い子なら、ヤッターで終わるトコかも(笑)

マイク指導員の
「彼の話に笑う。ウソでも感じるふりをしろ」や「悩みを相談するな。男は聞いていない」には
思わず笑ったけど、
これも「そんな彼なら捨てちゃえば?」でのジャスティン・ロングの役どころ。
ジェラルド・バトラーも、もうそろそろこういう役はいいかなぁ・・・と、余計なお世話ですが

「やりたい。好き。愛してる」これが男の脳内だというマイク。
「好き。愛してる。やりたい」女の子代表、アビーの脳内。
さて、どうなんでしょう(爆)
これは若い人の方が楽しめると思いますね~。はい。
私はまだ、「そんな彼なら・・・」の方が楽しめたクチです~。

ウルヴァリン:X-MEN ZERO

2009-09-16 23:15:00 | the cinema (ア行)
製作年度 2009年
原題 X-MEN ORIGINS: WOLVERINE
製作国・地域 アメリカ
上映時間 108分
監督 ギャヴィン・フッド
出演 ヒュー・ジャックマン/リーヴ・シュレイバー/リン・コリンズ/ダニー・ヒューストン/テイラー・キッチュ/ライアン・レイノルズ/ウィル・アイ・アム/ダニエル・ヘニー/ドミニク・モナハン/ケヴィン・デュランド

ヴァリン誕生の秘密を描く『X-MEN』シリーズ最新作。監督は『ツォツィ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したギャヴィン・フッド。
特殊な能力を持つ、ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)。かつてカナダの森で目覚めたとき、ローガンという名の兵士だったというほかに、彼は過去を記憶していなかった。そして、そこには“ウルヴァリン”と刻まれた軍の認識票が残っていたが……。

小栗君のTAJOMARU と迷いましたが、
皆さんの高評価にひかれてコチラを観てきました。
正直これまでの「X-MEN」シリーズは1本もまともに観ておらず、それでも楽しめるのかが不安でしたが、
その心配は無用でした~。
が、ウルヴァリンに思い入れがあるかないかで、やはり大きく満足度は違うと思いました。

主張の違う2つのミュータント組織の争いを描く「X-MEN」
「X-MEN2」ではその争いが人類をも巻き込む争いになり、
「X-MEN ファイナルディシジョン」ではミュータントの生きる道、選択がテーマとなっていたらしい。
これら3作を観た上で、彼らにのめり込んだファンと、
この作品が初見の私では、やはり満足度は違って当然でした。

複雑な親子関係、病弱な少年・ローガンにある夜訪れる悲劇―。
その日から助け合ってきた兄弟は、
実にいくつもの戦争を生き抜き、ある時、運命の出会いをする。
そして共に支えあってきた兄弟は、決別するのだが・・・。

正直、あまりにありきたりの設定、展開に驚きもわくわく感もなかったのですが、
つまらなかったとは言えない。SFも嫌いじゃないし、退屈はなかったです。
ただ、全編CGのオンパレードだからなのでしょうか、ちょっと臨場感はなかったですね~。
繰り返される戦争での惨状を見続けたローガンが、安らぎを求め、兄と袂を分かつまでは理解できるものの、
その彼の孤独や悲しみは今ひとつ迫ってこなかったかなぁ・・・。

ストーリーも、「インクレディブル・ハルク」と被るところもあったりで、どこかやはり離れて観ていました。

ダニエル・へニーは、思ったよりも登場シーンはありましたが、彼の優れた身体能力も、
こんなにCGだらけだとイマイチ必要なかったような、、でも、なかなかクールなエージェントでした
シャキーンという金属音も苦手でしたが、尖がったウルバリンの兵器は、思ったより怖くなくて、
目を背けたのは1,2回でした

と言うわけで、やはり単独の作品としてみてもある程度楽しめるものの、
やはりシリーズのファンのほうがより興奮できる作品のようです


私の素朴なギモン・・
ミュータントって幾つまで成長するの?

愛のむきだし

2009-08-14 23:59:32 | the cinema (ア行)
原題 LOVE EXPOSURE
製作年度 2008年
上映時間 237分 映倫 R-15
原案・脚本・監督 園子温 (そのしおん)
出演 西島隆弘/満島ひかり/安藤サクラ/尾上寛之/永岡佑/中村麻美/渡辺真起子/板尾創路/岩松了/堀部圭亮/深水元基/吹越満/渡部篤郎

『紀子の食卓』が世界的に高く評価された園子温監督が、実話をベースに描く究極の純愛物語。
敬虔(けいけん)なクリスチャンの家庭に育ったユウ(西島隆弘)は、ある出来事を境に神父の父(渡部篤郎)に懺悔を強要され始める。父の期待に応えようと、懺悔のために毎日罪作りに励むうちに罪作りはエスカレートし、いつしかユウは女性ばかり狙う盗撮魔となっていた。そんなある日、運命の女ヨーコ(満島ひかり)と出会い、生まれて初めて恋に落ちるが……。

今年冬、公開劇場が少ないとこと、上映時間が途中休憩を入れると4時間を越えるということで見逃していた作品。
主演のAAA(トリプルエー)の西島君は、この作品を観る直前、
つけっ放しになっていた男子の女装を競うテレビ番組で偶然艶やかな女装っぷりをみていました(笑)

常識では考えられない1本4時間という長い作品。でも、これは長いからじゃなく、
DVDにして正解だったかもしれません。
なにしろ盗撮モノですから、劇場では私は明らかに浮き上がっていたと思われ(爆)
過激、露骨な盗撮写真の山にも、お家鑑賞の精神的安らぎを感じていました(笑)

で、面白かったです!

描かれているのは
父と子、父と娘、キリスト教とカルト教団、
愛と性、理性と本能、嘘と真実、ノーマルと変態―

そして、理想と現実。
ま、あまりノーマルな人物は、ほとんど描かれていないですが(笑)
これがどの程度真実なのか、そこにとても興味を惹かれます。
この、盗撮のカリスマとなるユウに実在のモデルがいるらしいですが、それ以上のことは解りません。

理想の女性“マリア”に出会う日を夢見ていた罪なき少年だったユウが、
愛する父のために懺悔のネタ探しをする中で、外見のひ弱さから想像できない強さも身に着けていく。
この序盤からテンポよく、ショッキングな展開のクライマックスまで、
長さを感じさせない面白さがあり、一気に観てしまいました。

敬虔なクリスチャン一家に育ったユウが味わう現実。
たとえ泥にまみれても消えない彼の中の切なる真実―。
西島くん、凄く良かったのではないでしょうか

そしてこの日もう1本借りたかった『プライド』にも出演しているらしい
ヨーコ役の満島ひかりさんも、怒涛の展開にその時々の傷つき傷つける危うい凶器のような存在感を放ち
とっても良かった

カルト教団の手先であり、このふたりに罠を仕掛けるコイケ。演じた安藤サクラの不気味さも忘れられない
むきだしの愛に押し倒される神父が絶妙に合ってる渡部篤郎とか、
脇に登場する癖のある役者陣も嵌っています!

ラヴェルのボレロにのって、軽妙にテンポよく物語りは進みますが、
目を背けたくなるような残酷な描写もあり、そこは心した方がいいと思いますが、
壮絶な純愛物語。
むきだしであるが故の滑稽さ、無防備さ、強さ、切なさが圧倒的な1本です


コチラで予告がご覧になれます。

アマルフィ 女神の報酬

2009-08-01 01:16:31 | the cinema (ア行)
製作年度 2009年
上映時間 125分
監督 西谷弘
主題歌 サラ・ブライトマン 『タイム・トゥ・セイ・グッバイ』
出演 織田裕二/天海祐希/戸田恵梨香/佐藤浩市/大塚寧々/伊藤淳史/小野寺昭/平田満/佐野史郎/ サラ・ブライトマン/福山雅治
クリスマス目前のローマ。亡き夫との思い出が詰まった街で、矢上紗江子(天海祐希)は最愛の娘の失踪(しっそう)するという最悪の事態に見舞われてしまう。身代金目的の誘拐か、それともテロか……? 犯人グループが警察の包囲網をかく乱し、捜査が一向に進展しない中、事件の真相に迫る外交官・黒田(織田裕二)は、ある事実に行き当たる。(シネマトゥデイ)

英雄ヘラクレスが愛する妖精の亡骸を
世界で最も美しい場所に埋めて作った町――アマルフィ

タイトルのアマルフィ海岸はスカーレット・ヨハンソンが主演した「理想の女」の舞台でもありましたが、
コチラの作品では、なぜかチョット滞在するだけで、実際の映像の多くはローマやナポリ。
それでもスペイン広場、サンタンジェロ城、ガゼルタ宮殿などを舞台に
邦人を護る外交官・黒田の活躍はカッコイイです~

実は「踊る大捜査線」のファンの友人と観に行くつもりでしたが、休みの取れない私を待ちきれず、
友人は既に観てきて、「織田裕二カッコイイよ~!」というので仕事帰りに行ってきました♪

あのひともこの人もフジテレビお馴染みのキャストのオンパレード。
これは全編イタリアロケで成功でしょうね~。だってイメージとかその役割がもう定着気味のひとたちなんだもん

その中で、やっぱりクールな青島君、じゃなかった黒田書記官はなかなか素敵な役どころ
知的で恐れを知らない行動力があり
時としてみせる男の優しさに、くらっとなりそうです

子供の失踪、誘拐となるとどうしても母親に激しく感情移入してしまいますが、
お話自体は最近大ヒットした某局の刑事モノ劇場版と被ったり、という気がしなくもないですが、
テンポもいいし、犯人の背景などが早めに予測がついても楽しめます。
ただ、「おいおい、いくらなんでもそれはない」という展開にはびっくりでした

お目当てのサラですが、若い時のような妖精のような感じはないですが、
とってもキュートで素敵でしたぁ~

それにしても、海外で思わぬ事件に巻き込まれたりして心細い時に、
語学に長けた行動力のある男性が現れたら、もうそれだけで素敵に見えちゃいますよね~
外交官・黒田、織田裕二カッコよかったです

愛を読むひと

2009-06-28 00:40:10 | the cinema (ア行)
愛は本に託された
原題 THE READER
製作年度 2008年
製作国 アメリカ/ドイツ
上映時間 124分 映倫 PG-12
製作 アンソニー・ミンゲラ シドニー・ポラックドナ・ジグリオッティレッドモンド・モリス
原作 ベルンハルト・シュリンク 『朗読者』(新潮社刊)
監督 スティーヴン・ダルドリー
出演 ケイト・ウィンスレット/レイフ・ファインズ/デヴィッド・クロス/レナ・オリン/アレクサンドラ・マリア・ララ/ブルーノ・ガンツ

1958年のドイツ。15歳のマイケルは偶然出会った年上のミステリアスな女性ハンナに心奪われ、うぶな少年は彼女と彼女の肉体の虜となっていく。やがて度重なる情事のなかで、いつしかベッドの上でマイケルが本を朗読することがふたりの日課となる。ところが、ある日突然ハンナは姿を消してしまう。8年後、法学生となったマイケルは、ハンナと思いがけない形で再会を果たす。たまたま傍聴したナチスの戦犯を裁く法廷で被告席に座る彼女を見てしまったのだ。裁判を見守るマイケルは、彼女が自分が不利になるのを承知で、ある“秘密”だけは隠し続けようとしていることに気づく。その秘密を知るただ一人の者として、マイケルは葛藤し、答えを見い出せないまま苦悩を深めていくのだが…。

予告のみの情報しか持たないで観てきました。
確かにラブストーリーではありましたが、
舞台が戦後のドイツということを思い知らされるふたりの人生を素晴しい脚本で描いた
上質な人間ドラマでもありました。

1958年―15歳のマイケル(デヴィッド・クロス)は、気分の悪くなったところを21歳年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)に助けられる。その出会いからハンナに夢中になり、朗読と情事の時を過ごす。
しかし、ある日ハンナはマイケルの前から(?)姿を消してしまう。
彼女は何を恐れ、何から逃げたのか?

思春期の坊やの性の目覚め的なプロローグから一転、
二人の人間の置かれた立場、その年齢差、その格差を浮き彫りにする再会後の展開・・・

戦後の混乱の中でも、日本ではその時代考えられなかったハンナの境遇・・・
それでも、生きる為に仕事は選べなかったであろう事は想像できる。
その生き方をハンナは後悔してはいなかった。
彼女の生い立ちは語られないけれど、
彼女は教育を受けていなかったことを、その貧しさを恥じていたのかもしれない。

おそらくは今日を生きることに精一杯だった36歳のあの日、少年と出会い、
安らぎと楽しみを得たのに、それを捨てでも口にすることはできなかった、、。
そして少し大人になったマイケルは迷いながらも、
自由より選び取った彼女の決意を知り―遠ざかる。。。

彼女の「秘密」と彼の「良識」。
彼女への愛と、超えられない壁に苦悩し続けるマイケルの人生。。。
戦後育ちの、しかも法に携わる真面目な青年の、
捨てることの出来ない想い。
そして彼は朗読者となり・・・・・・

「レボリューショナリー・ロード」に続く女の決着のつけ方。
ケイトは今回もその表情ひとつで、その時を訴えてきます。

デヴィッド・クロスからレイフへの繋ぎも不自然さはなく、悲しげな眼差しは
二人が本当によく似ていたと思えた。
ケイトの演技も素晴しかったけど、私は初めてのクロスの演技がとても良かった。
特に自転車で立ち寄ったレストランで、女主人にみせつけるキスのシーンは、
少年らしい主張と優しさが巧くでていてとても好き!
そして、
実は彼女の秘密には最初から気付いていながら、声を殺すのが大変だったあのシーン
デヴィッド・クロスのキャスティングの成功が大きい作品だったようにも思う。



ひとつの出会いから語られるその朗読者の人生。
ドイツに生まれた為に辿ってしまった不器用な女の切ない人生。
心をつかまれ一気に読んでしまった本のような、満足感がありました


この原作者も、ハンナとマイケルが自転車で立ち寄る村のエキストラで出演しているそうです。
あの人かな?いつかDVDで見直すときの楽しみにしたいと思います。

ウルトラミラクルラブストーリー

2009-06-13 00:40:30 | the cinema (ア行)
脳みそなくても心臓止まっても
ぼくの恋は死なない

上映時間 120分
監督・脚本 横浜聡子
出演 松山ケンイチ/麻生久美子/ノゾエ征爾/ARATA/キタキマユ/小野寺陸/藤田弓子/原田芳雄/渡辺美佐子
青森で農業を営みながら一人で暮らす水木陽人(松山ケンイチ)は、やることなすことすべてが常識外れな町の変わり者。ある日陽人は、訳あって東京からやって来た神泉町子(麻生久美子)に一目ぼれする。恋を知らない陽人にとっての生まれて初めての恋は、常識を超えた奇跡のような出来事を次々に呼び起こす。(シネマトゥデイ)

楽しみにしていた松山ケンイチくんの作品、観てきました~。
レディスデイの夕方の回だったからからか、前のブロックを除いてほぼ埋まっていた座席の99%は女性でした。
ウルトラ、ミラクルなハイテンションラブストーリーだと信じて疑わず、でしたが、
それはちょっと違っていて、
かなりシュールな内容でしたが、私は楽しめました
でも、この設定・ラストにはかなり評価が分かれそうな気がします。

まず、ストーリー紹介にある、陽人くんの「町の変わり者」というのは正確ではないです。
そして、この物語中の大半をなす津軽弁のセリフが解らない為、とっても損した気がします
特に子供の津軽弁は字幕がほしかったです全く解らずでした
ラストは人によっては気味が悪いかもしれませんね

それでも、松ケン演じる陽人の無邪気な真っ向勝負の言葉に、
そんな事言うか~羨ましいぞー。。。みたいな(笑)
町子先生、なんかすご~く羨ましいぞっみたいな(笑)

普通の恋をして、ありきたりな失恋をした町子先生に、
常識という言葉を知らない、イヤ、常識の圏外にいる陽人は、全くかみ合わないように見えるのですが・・・
かみ合う時がそれを進化だという陽人―。
いつも仏頂面の町子先生にも変化が、、それこそ進化?―

ナクシタモノに答えを求める町子先生に、カミサマ・藤田弓子がかける言葉、
町子先生の言葉に即答の陽人くんの返しがいいです。

楽しみにしていましたが、過度な期待がなかった所為か、
一緒にご覧の方々の、笑い声の所為か、
子供のように「両想い」を夢見る、願う陽人の物語。松ケンファンでも、好き嫌いが分れるかも知れません。