kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

映画『イコライザー』を観て

2014-10-25 18:42:31 | 映画・ドラマ、アクション

14-84.イコライザー
■原題:The Equalizer
■製作年、国:2014年、アメリカ
■上映時間:132分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月25日、渋谷シネパレス(渋谷)

 

□監督:アントワン・フークア
◆デンゼル・ワシントン
◆クロエ・グレース・モレッツ
◆マントン・ソーカス
◆メリッサ・レオ
◆デヴィッド・ハーバー
◆ビル・プルマン
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
デンゼル・ワシントンが、アカデミー主演男優賞を受賞した「トレーニング デイ」のアントワン・フークワ監督と同作以来13年ぶりに再タッグを組んだアクションサスペンス。共演に人気女優クロエ・グレース・モレッツ。元CIAエージェントのマッコールは、いまはホームセンターで働く、ごく普通の真面目な人間として生活していた。しかし、ある夜、なじみのカフェで娼婦の少女テリーと出会い、彼女を囲うロシアンマフィアの非情さに、内に眠っていた正義感が目を覚ましていく。クロエ・グレース・モレッツが物語のカギを握る娼婦に扮し、これまでのイメージとは異なる役を熱演。
ホームセンターの従業員として勤務、今では日々静かに暮らす元CIAの凄腕諜報員マッコールは、ある夜、馴染みのカフェで娼婦の少女テリーと出会う。彼女を囲っているロシアンマフィアの非道を知ったマッコールは、彼の中で眠っていた正義感が目を覚まし、彼にしか出来ない“仕事”の遂行を決意。それは警察が介入できない不正やトラブルを身の周りにあるモノ全てを武器に変え、瞬時に解決することであった。世の中の不正を完全抹消する“イコライザー”と呼ばれる男、マッコールは元ロシア特殊部隊のロシアンマフィアに対峙していく……。

デンゼルが扮するのは元CIA捜査官で、今はホームセンターで働く不眠症の男という設定。不眠症なので、夜になると近くのカフェで愛読書を静かに店内の「指定席」で読むのが日課の一つになっている。そのカフェの常連の一人でもあるのがクロエが扮する少女娼婦テリーはここを連絡場所に使っている。その彼女がロシアマフィア組織の一員から手荒い仕打ちを受けている場面をマッコールが目撃したことで、彼の正義感がムクムクと頭をもたげる。ホームセンターでは冗談を気軽に飛ばすなどして同僚と仲良くすごすが、一旦スイッチが入るとCIA時代に戻るようだ。
その殺しのテクニックはユニークで、予告編にもあるように銃をぶっ放すことはせずに、その場にある例えばナイフとか灰皿など目に入ったものを素早く凶器にしてものの17~20秒で相手をまさに秒殺してクールに現場を後にする。
テリー救出に燃えるマッコール、ロシアマフィアと一人で対峙するかと思ったら、途中で、CIA時代の信頼する元同僚から情報を入手するなど抜かりがないのは流石だ。結局、マッコールは一人でロシアマフィアをせん滅することに成功って、元CIAってやはり凄いと思わせるのがミソかな?
途中からテリーは病院で治療中ということで全く登場しなくなってどうしたのかなって思っていたら、歌手志望だったテリー、マッコールのおかげで組織から抜け出せ娼婦も辞めて生き生きとした表情でマッコールに感謝のことばを述べてメデタシメデタシ。

デンゼルは元天才少女のダコタ・ファニングに続いて、現在の天才少女でもあるクロエ・グレース・モレッツとの共演になったが、クロエの少女娼婦テリーは最初と最後だけに出番が限られていて「共演」と言うには多少物足りなさが残った。少女娼婦という役柄は勿論彼女のキャリア初の挑戦だが、まだまだ子供体型のクロエにはちょいとまだ早かったかな?娼婦役はね。デンゼルは相変わらずクールでかっこいいね!


映画『誰よりも狙われた男』を観て

2014-10-19 16:03:12 | 映画・ドラマ、アクション

14-83.誰よりも狙われた男
■原題:A Most Wanted Man
■製作年、国:2014年、アメリカ・イギリス・ドイツ
■上映時間:122分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月18日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)

 

□監督:アントン・コルベイン
◆フィリップ・シーモア・ホフマン
◆レイチェル・マクアダムス
◆ウィレム・デフォー
◆ロビン・ライト
◆グレゴリー・ドブリギン
◆ダニエル・ブリュール
◆ホマユン・エルシャディ
◆ニーナ・ホス
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
2014年2月に急逝したフィリップ・シーモア・ホフマン最後の主演作となった、ジョン・ル・カレの小説を実写化したスパイサスペンス。ドイツのハンブルクを舞台に、対テロ諜報(ちょうほう)チームを率いる男がテロリストの資金源となっている者の正体をつかんでいく。監督は『ラスト・ターゲット』などのアントン・コービン。『きみに読む物語』などのレイチェル・マクアダムス、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』などのウィレム・デフォーら実力派が共演。息詰まる展開に加え、ホフマンの熱演にも引き込まれる。
ドイツのハンブルグで諜報機関のテロ対策チームを指揮するバッハマンは、密入国した青年イッサをマークする。イスラム過激派として国際指名手配されているイッサは、人権団体の女性弁護士アナベルを通してイギリス人の銀行家ブルーと接触。ブルーの銀行にテロ組織の資金源である秘密口座の存在が疑われるため、バッハマンはその動向を監視していた。ドイツの諜報機関やCIAがイッサの逮捕に動き出す中、彼を泳がせることでテロ組織への資金援助に関わる大物を狙うバッハマン。だが、思いがけない事態が次々と巻き起こる……。

9.11以降の世界は明確に「イスラムは全て敵」のようなムードが漂い、特にドイツは9.11の主犯格モハメド・アタが活動していたこともあり、この映画もドイツが舞台でありチェチェンとロシアの混血青年の動向を追っているのも偶然ではないだろう。そこでドイツ諜報部とCIAがハンブルクで共に暗躍するのだが、互いのテロやスパイに対するスタンスは片や出来る限り泳がせて有効な情報を掴もうとするのに対してテロの芽を小さいうちに摘むとの相反する考えを持っている。だが、どちらも間違いではないし正解でもない。そんな中で亡くなってしまったフィリップ・シーモア・ホフマンが熱演しているのだが、もう、彼の演技が見られるのも公開前の「ハンガー・ゲーム」シリーズの続編だけなのは寂しい、あちらはファンタジー映画だから、やはり彼の真骨頂は今回の様なスパイ映画で発揮できていると思うのでね。
ホフマン演じるバッハマンが率いるドイツ情報部のテロ対策チーム、おなじドイツの諜報機関、CIAらが絡み、イッサの動向を常に注視していたバッハマンだったが、最後の最後にどんでん返しがありCIA,モア率いる諜報機関に食らわされてしまい地団駄を踏んで終わる。

それにしてもフィリップ・シーモア・ホフマンは体型は中年太りしてきたものの、その演技は全身から漲るエネルギーがスクリーンに投影されていて、スパイ映画には打ってつけの名優だった。そんなホフマンが薬物摂取が原因で亡くなったと報道で知った時はショックだった、まだまだ円熟味を増して来る年齢だったし、どんなジャンルの作品でも彼がスクリーンに映し出された瞬間、その存在感に圧倒されていた。改めて冥福を祈りたい。

「ラッシュ」では主役級だったドイツ人のダニエル・ブリュールがここではバッハマンの一スタッフという地味な役だった。


映画『悪童日記』を観て

2014-10-18 14:34:07 | ヨーロッパ映画

14-82.悪童日記
■原題:Le Grand Cahier(英題:The Notebook)
■製作年、国:2013年、ドイツ・ハンガリー
■上映時間:111分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月18日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)

 

□監督・脚本・製作総指揮:ヤーノシュ・サース
□脚本:アンドラーシュ・セーケル
◆アンドラーシュ・ジェーマント
◆ラースロー・ジェーマント
◆ピロシュカ・モルナール
◆ウルリッヒ・トムセン
◆ウルリッヒ・マテス
◆ギョングベール・ボグナル
◆オルソルヤ・トス
◆ザビン・タンブレヤ
◆ペーター・アンドライ
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
第二次世界大戦末期の1944年8月14日。双子の兄弟は母親に連れられ、村人から“魔女”と呼ばれる祖母が暮らす国境に近い田舎へ疎開する。母親と別れた兄弟に与えられた仕事は、薪割りと水汲み、そして鶏や豚への餌やり。
祖母の家の敷地には川があり、その先は外国だった。やがて仲良くなった隣家の少女と一緒に、町の酒場で寸劇などをして小銭を稼ぎ始める。また、森の中では兵士の遺体を発見し、そこから武器を盗む。その一方で、母親が自分たちに送ってくれた物資を祖母が隠していたことを知る。いつまでも迎えに来ない母親を忘れるため、精神を鍛える訓練で母の手紙と写真を焼き、残酷さに慣れる訓練として虫や魚などの生き物を殺す。兵士の遺体から奪った手榴弾を司祭館のストーブに投げ入れた兄弟は、女中に大火傷を負わせたことから警察に連行され、拷問を受ける。2人を助けたのは、祖母の家の離れに住む外国人将校だった。

戦争が終わったとの噂を耳にして、祖母と一緒に収容所を見に行くが、そこには何も残っていなかった。そして、外国語を話す軍隊がやって来る。その戦車に乗せてもらった隣の女の子は、死体になって帰ってきた。死にたいと言う女の子の母親の求めに応じて、家に火を点ける兄弟。やがて、赤ん坊を抱いた母親が車でやって来るが、空から落ちてきた爆弾で赤ん坊とともに命を落とす。2人の遺体を埋めていた祖母が、発作を起こして倒れる。そこへ、兵士として戦っていた父親が現れ、墓地に埋葬するために母の遺体を掘り起こすが、その際に赤ん坊の存在を知る。そして祖母が亡くなる。言われた通りに祖母の遺体を清め、母親の隣に埋めた兄弟は翌朝、逮捕を逃れるために逃亡を図る父親を国境の鉄条網へと案内する。だがそれは、2人にとって“別れ”という最後の訓練でもあった。

この作品には特定の場所は出てこないが、原作者の出身がハンガリーであることから、舞台はハンガリーの国境付近の寒村が舞台であることは容易に想像出来るし、外国軍というのも恐らくナチス・ドイツ軍であろう。だが、この映画はハンガリー対ナチス・ドイツがメインでは無い。こういう時代を生きることになった双子のお話であり、予期せぬ両親との別離、望まない祖母(母方)との陰湿な生活。だが、二人は誰に言われることもなく「一心同体」で成長していく。きつく当たる祖母を怨みながらも子供なりに祖母に逆らって叩き出されたら困るのは自分たちであると理解している。
そんな祖母との生活が続く中、戦争は終わり母が見知らぬ幼子を連れて迎えに来たが、あれほどまでに母の帰還を望んでいた双子達は憎んでいた筈の祖母との生活を選択、その最中に爆撃にあい母と幼子は即死する。そして祖母も心臓発作で亡くなり、帰還した父は身の危険を感じて国境を越えようと双子の案内で試みるが、二人はしたたかだった。悲しみを超えて時代を生き抜こうとする二人は父が超える事の出来なかった国境の鉄条網を超えて別々の人生を生きることになるのだろう。
映画は明確なラストを描いていないが、既に、人生の荒波を経験した二人がこれからも荒波を突き進み己の人生を築いて行くのだろう、そんな未来が待っていると自分は感じた。 


映画『荒野はつらいよ ~アリゾナより愛をこめて~』を観て

2014-10-13 22:16:54 | 映画・ドラマ、アクション

14-81.荒野はつらいよ
■原題:A Million Ways To Die In The West
■製作年、国:2014年、アメリカ
■上映時間:116分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月12日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)

 

□監督・脚本・出演:セス・マクファーレン
□脚本:アレック・サルキン、ウェルスリー・ワイルド
◆シャーリーズ・セロン
◆リーアム・ニーソン
◆アマンダ・セイフライド
◆ジョヴァンニ・リビシ
◆二ール・パトリック・ハリス
◆サラ・シルヴァーマン
◆クリストファー・ヘイゲン
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
世界的大ヒットコメディー『テッド』で注目を浴びたセス・マクファーレン監督が放つ異色ウエスタン。無法者がのさばる西部開拓時代の田舎町を舞台に、さえないオタクの羊飼いが謎めいた美女と恋に落ちたばかりに、西部きっての極悪人から命を狙われるさまを描く。スゴ腕ガンマンが主人公という西部劇の常識を覆し、銃すら撃てないヘッポコ男の主人公をマクファーレン監督自ら演じるほか、オスカー女優シャーリーズ・セロン、『96時間』シリーズなどのリーアム・ニーソンら豪華キャストが共演。
1882年、西部開拓時代のアリゾナ。そこは、タフさが自慢の男と無法者が何かにつけて銃をぶっ放し、野生化した動物とモラルの低い民衆が溢れる、まさに“生活するには最悪な土地”だった。そんなアリゾナの田舎町で暮らす地味でオタクな羊飼いアルバートは、文化度が低く、危険な西部の町を心底嫌い、同じオタクの友人に愚痴をこぼす冴えない日々を送っていた。
銃すら撃った経験のない彼は、決闘を挑まれても屁理屈を並べて逃げ出す始末で、呆れたガールフレンドのルイーズにフラれてしまう。そんなある日、超一流の射撃の腕を持つミステリアスな美女アンナが町に現れ、アルバートはふとしたきっかけから彼女と急接近。やがて2人は恋に落ちる。時を同じくして町に乗り込んできたのが、西部最悪の大悪党クリンチ。彼は、アンナに近づいたアルバートをぶっ殺そうとしていた。果たしてアルバートは、極悪ガンマンを倒し、愛する女性をモノにする事が出来るのか……!?

「テッド」監督のセス・マクファーレンによる西部劇をパロディーにしたコメディー映画と言えば良いだろうか?シャーリーズ・セロンを筆頭に主役級が3人も出演しているのが見所だが、この手の映画の常でストーリーそのものは特段見所は無し。その三人の主役級は本来は演技派俳優で、この手のコメディー系作品への出演は稀だと思われるが、逆に、マクファーレンは監督としてそこが狙い目だったのかも知れない。いずれにせよ、これだけのメンツを集めたので、ストーリーは抜きにして俳優陣の異色作での演技を楽しむのがベストだろう。

それにしてもこの邦題は酷い!センスが無さ過ぎ。


映画『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』を観て

2014-10-12 17:23:13 | 映画・ドラマ、アクション

14-80.イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所
■原題:If I Stay
■製作国、年:2014年、アメリカ
■上映時間:107分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月12日、渋谷シネパレス(渋谷)

 

□監督:R.J.カトラー
◆クロエ・グレース・モレッツ
◆ミレイユ・イーノス
◆ジェイミー・ブラックリー
◆ジョシュア・レナード
◆リアナ・リベラト
◆ガブリエル・ローズ
◆ステイシー・キーチ
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ゲイル・フォアマンによるベストセラー「ミアの選択」を基に、昏睡(こんすい)状態に陥ったヒロインを『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツが演じたドラマ。チェロ奏者を目指すヒロインとその一家が交通事故に遭遇し、生と死のはざまにいるヒロインと彼女の17年間の人生を交錯させながら、彼女自身に委ねられた生死の行方をつづる。
17歳の高校3年生、ミアには、親友と呼べる友人と、付き合い始めて1年になるミュージシャンの彼氏がいる。将来の夢はチェロ奏者で、ジュリアード音楽院への入学をめざして猛練習中だ。ある雪の日、ミアと一家が乗った車に対向車が突っ込む事故が起こる。ミアは一瞬にして家族を失う。病院のベッドの上で、昏睡状態のミアが目にしたのは、ベッドに横たわる自分の姿と、幸せだったこれまでの人生、そして、彼女を死の淵から呼び戻そうとする人々の姿だった。いつもと変わりなく話しかけてくれるおばあちゃんと、「辛いならがんばらなくてもいい」と言って泣くおじいちゃん。親友のキムと、看護師の制止を振り切って最愛のアダムも駆けつける。彼らがミアに語ったこととは? そして、ミアは何を見るのか? 事故からミアの決断までの24時間が始まる……。

クロエ演じるチェロ大好き女子高生ミアは音楽好きの両親の下でチェロ演奏に励み、名門ジュリアード音楽院進学を目指している。だけど、冬の日の一家揃ってのドライヴで運悪く事故に遭遇して一家全員が死亡しミアも瀕死の重傷を負って意識不明の状態で搬送された。ここから幽体離脱したミアが第三者のような感じでICUで眠る自身と交際相手アダムとの楽しかった日々が交錯する、つまり、現在と過去をいったり来たりしながら何とか生還しようともがく様子をクロエが見事に演じきった。
中でも難しいチェロの演奏を彼女は3か月の練習で指の動きを習得し監督らスタッフを驚かしたそうだ。映画の中の演奏の音は本職の吹き替えらしいが、指を含めて演奏の形は彼女自身が演じているそうで、若いけどプロ根性が備わっている。

ストーリーとしてはバンドに夢中になっているアダムは地元中心に人気に火が付いてきてレコード会社との契約の話もまとまった。一方でアダムとの時間を大事にしたい気持ちのミアだが、家族が勧めるジュリアード音楽院のオーディションをサンフランシスコに祖父と一緒に受けに行く。結果通知が気になる中での事故だったので彼女自身は結果を知らない。が、一度は破局したアダムが彼女の自宅に届いた通知書を持ちかえり、ICU室で「合格だったよ」と耳元で囁く。そしてアダムがベッド脇で彼女の為に作った自作曲をギターで披露する。その曲を演奏中に彼女は昏睡状態から抜け出し、めでたく意識が回復してジ・エンド。

美少女クロエが同世代の役柄を演じている内容は、幽体離脱した自身と事故前の元気だったころの自分というまるで一人二役のような役柄を見事に演じ分けていた。まだまだあどけなさの残る表情の中にも成長した大人の女性の雰囲気も徐々に備わっていて、失速気味の元祖天才少女ダコタ・ファニングを追い抜く存在になりそうだ。


映画『ミリオンダラー・アーム』を観て

2014-10-09 21:16:29 | 映画・ドラマ、アクション

14-79.ミリオンダラー・アーム
■原題:Million Dollar Arm
■製作国、年:2014年、アメリカ
■上映時間:124分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月9日、TOHOシネマズみゆき座(日比谷)

 

□監督:クレイグ・ギレスピー
◆ジョン・ハム
◆レイク・ベル
◆アラン・アーキン
◆ビル・パクストン
◆スラージ・シャルマ
◆マドゥル・ミッタル
◆アシフ・マンドゥヴィ
◆ピトバッシュ
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
野球未開の地・インドから初のメジャーリーガーを発掘したエージェントの奇想天外な実話を基にしたスポーツドラマ。キャリアのどん底にあったスポーツエージェントがインドのクリケット選手をスカウトすることを思い付き、さまざまなトラブルに遭いながらも、前代未聞の挑戦に挑む様子を描く。メガホンを取るのは『ラースと、その彼女』などのクレイグ・ギレスピー。『スラムドッグ$ミリオネア』などのA・R・ラフマーンが音楽を担当する。主演は、テレビシリーズ「MAD MEN マッドメン」などのジョン・ハム。

ロサンゼルスのスポーツ・エージェント、JB・バーンスタインは、莫大な利益をもたらすアメフトの超有望選手をクライアントとして獲得寸前だったが、ライバル企業に横取りされ、危機に陥る。そんなある夜、自宅で何気なくクリケットのテレビ中継を眺めていた彼は、起死回生の策を思いつく。それは、野球不毛の国インドで未知なる剛速球投手を発掘し、同国初のメジャーリーガーを誕生させるという途方もない計画だった。
早速、とあるメジャー球団のアジア系オーナーの賛同を取りつけると、『ミリオンダラー・アーム(=100万ドルの剛腕)』というリアリティ・ショー番組を企画。お調子者のアシスタント、アミトと元一流スカウトマンのレイの協力を得て、インドのムンバイで第一歩を踏み出す。
優勝賞金10万ドルを目指してインド各地から腕に覚えのある若者が番組に参加。その結果、独特のフラミンゴ投法を駆使するサウスポーのリンク・シンが優勝し、2位のディネシュ・パテルともに、メジャー・リーグ入団テストへの挑戦権を獲得する。ロサンゼルスを訪れたリンクとディネシュは、経験豊富なトム・ハウスをコーチにトレーニングを開始。入団テストまでわずか6ヵ月。野球経験のない彼らが、プロ並みの技術を習得するのは容易ではなかった。様々な苦難を乗り越えて迎えた入団テストの日。緊張しきったリンクとディネシュは、本来の実力を発揮できず、結果は“不合格”。宣伝効果の大きさから球団オーナーは番組継続を決定したものの、JBの胸中は複雑だった。やがて隣人の医学生ブレンダやレイのサポートを得て一念発起したJBは、2人の入団テスト再挑戦に向けて奔走。それは仲間との友情や絆の尊さを知った彼自身にとっても、人生の再起を賭けた最後のチャンスだった……。

MLBにインド選手がいるという事実はこの映画の存在で初めて知りましたね。MLBには多くの外国出身選手がプレーしていますが、その大半は中南米やカリブ海諸国出身でアジアでは日本と韓国からの選手がいますがインドから直接入団していたという事実は驚きでした。
インドではイギリス植民地時代の名残でクリケットが盛んで、そのクリケットは野球のルーツとも言われていて(諸説あり)そこに目を付けて野球未開の地でTV番組の発掘企画と言う事でインドでトライアウトを実施。だが、野球を全く知らない国民性から、米国からわざわざ同行したスカウトもこれには呆れかえるしかなかった。そんな中で2人の気になる人物を発掘しロスへと連れて行くことになった。その二人がリンク・シンとディネシュ・パテルだった。
インドから来た二人は大都会のロスでの生活に慣れるのに苦労した。そんな中でもトム・ハウス(彼はMLBでも有名な投手コーチ)のコーチを受けて少しずつ才能を発揮するようになった。エージェントであるバーンスタインは忙しさから二人に構う時間が減っていくことを周囲は懸念する。そして、いよいよ大勢のスカウトが見守る中で二人は実技披露を行うが緊張のあまり力を発揮出来ず周囲をがっかりさせる。それでも2度目の挑戦でMLB球団から入団の誘いが来た。

結果的に二人はパイレーツ傘下とマイナー契約をしてリンク・シンはマイナーで頑張ったが、パテルは帰国し母国で野球を教えている。

ストーリーとしては実話に基づいたディズニー映画なのですが、どこまでが事実で脚色されたのかは分かりませんが、二人の物語にスカウトしたバーンスタインの私生活物語でもあり、隣家に住む美女と最後に結ばれたり大学生のスカウトに失敗する話も絡んで退屈させない構成は良かった。ただ、主役のバーンスタインを演じていたジョン・ハムは馴染みが薄い俳優だが、老スカウトを演じていたアラン・アーキンはここでも個性的な演技を披露していたのは流石だった。


映画『ジャージー・ボーイズ』を観て

2014-10-04 15:54:36 | 映画・ミュージカル、音楽題材

14-78.ジャージー・ボーイズ
■原題:Jersey Boys
■製作年、国:2014年、アメリカ
■上映時間:134分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月4日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)

 

□監督・製作:クリント・イーストウッド
◆ジョン・ロイド・ヤング
◆エリック・バーゲン
◆マイケル・ロメンダ
◆ヴィンセント・ピアッツァ
◆クリストファー・ウォーケン
◆エリカ・ピッチニーニ
◆レネー・マリーノ
◆マイク・ドイル
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
『グラン・トリノ』などの名匠クリント・イーストウッドが監督を務め、ブロードウェイの大ヒットミュージカルを基に描くドラマ。1960年代にザ・ビートルズと並ぶほどの人気を誇ったアメリカのポップスグループ、ザ・フォー・シーズンズの光と影を数々の名曲と共に映し出す。ブロードウェイ版同様ジョン・ロイド・ヤングが、バンドのリードボーカル役を担当。

ニュージャージー州の貧しい地区に生まれたフランキー・ヴァリ、ボブ・ゴーディオ、ニック・マッシ、トミー・デヴィート。希望のない町に生まれた4人は、自分たちの音楽だけで夢のような成功をつかみ取る。彼らはザ・フォー・シーズンズとして、『シェリー』、『恋はヤセがまん』、『恋のハリキリ・ボーイ』、『悲しき朝焼け』、『悲しきラグ・ドール』、『バイ・バイ・ベイビー』、『愛はまぼろし』、『君の瞳に恋してる』といった数々の名曲をヒットさせ、音楽界に不滅の伝説を打ち立てていく。しかし、そのまばゆいばかりの栄光ゆえに、裏切りと挫折、別離、家族との軋轢といった不幸が彼らを襲う……。

クリント・イーストウッド監督の最新作はミュージカル作品の劇場版でしたので、彼らしい緻密なストーリー構成とか演出に期待せずに観た方が良い作品でしょう。フォーシーズンズというコーラス・グループについての予備知識は残念ながら殆どありませんでしたが、彼らのレパートリーの数曲は知っていました。そして、ハイライトにもなっているフランキー・ヴァリのソロ作品として発表された「君の瞳に恋してる」の裏話として彼の娘の悲話があったことは知りませんでした。この曲はダンスナンバーとして個人的にはボーイズ・タウン・ギャングのカバーの方が馴染みがありますが、それがヒットしていた当時もカバーだったことは知っていてもフォーシーズンズの事は疎かった管理人です。

ストーリーとしては元々はトミーが主導していたグループにフランキー・ヴァリがリード・ヴォーカリストとして加わり、更に、ボブ・ガウディオがソングライターとして加入したことでグループはヒット街道に乗る。ここからはヒットの連続でガウディオとプロデューサーでもあり作詞担当のボブ・クルーの紡ぎだすメロディーでグループは頂点を極める。だが、その裏ではトムの借金問題などグループはぎくしゃくしてくる。ただこのぎくしゃくした頃の描き方はイーストウッド作品にしては珍しく中だるみ気味なパートだったが、この部分がグループの崩壊とフランキーのソロ転向にも繋がるので重要なパートでもあります。
フランキーは娘の死に打ちひしがれ私生活も不安定になるなかで「君の瞳に恋してる」が発表され、再び表舞台に返り咲くことに。

メンバーの脱退もあったフォーシーズンズは1990年のロック殿堂入り記念コンサートで再会、このシーンは良かったですね。その後のメンバーたちの近況が字幕で紹介されましたが、残念ながら作詞担当のボブ・クルーは認知症を患って9月11日に亡くなっていました。因みにフランキー・ヴァリは今でも現役で歌っているそうです。


映画『ファーナス/訣別の朝』を観て

2014-10-01 18:07:31 | 映画・ドラマ、アクション

14-77.ファーナス/訣別の朝
■原題:Out Of The Furnace
■製作年、国:2013年、アメリカ
■上映時間:116分
■料金:1,000円
■鑑賞日:10月1日、新宿ピカデリー(新宿)

 

□監督・脚本:スコット・クーパー
□脚本:ブラッド・インゲルスビー
◆クリスチャン・ベール
◆ケイシー・アフレック
◆ウディ・ハーレルソン
◆ウィレム・デフォー
◆フォレスト・ウィテカー
◆ゾーイ・サルダナ
◆サム・シェパード
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
レオナルド・ディカプリオやリドリー・スコットが製作に回り、オスカー俳優クリスチャン・ベイル主演で放つドラマ。アメリカの片田舎で暮らす主人公が、ささいなことをきっかけに転落の人生を歩む姿をつぶさに映し出す。弟を『ジェシー・ジェームズの暗殺』などのケイシー・アフレックが演じ、ウディ・ハレルソンやウィレム・デフォーら怪優たちが共演。
アメリカ・ペンシルヴェニア州の田舎町ブラドックはかつて鉄鋼の町として知られていたが、不況の波が押し寄せていた。ラッセルは白煙を吐き出す溶鉱炉が立ち並ぶこの町で生まれ育ち、老いた父の世話をしながら製鉄所で働いていた。さらにイラクから帰還した弟のロドニーはPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでおり、ラッセルは彼の面倒も見るようになる。家族や恋人のレナとのつつましいながらも愛情に満ちた暮らしは、ある日突然暗転する……。

拡大公開系の作品では無かったけど出演陣のクレジットをみたらこれが凄い。俳優のギャラだけで製作費の半分以上は軽く飛んでしまいそうな感じですが、主演はあくまでもクリスチャン・ベールでそこに弟役でケイシー・アフレックなどが絡んでくる展開と言える。
物語の背景として安い中国製に押されて閉鎖寸前の鉄工所、イラク帰りの弟がPTSDであったりと現在のアメリカ社会の暗部が描かれている点にも注目したい。ベール演じる兄は父と同じく地元の鉄工所で働き恋人との間も上手くいっていたが事件に巻き込めれて刑務所へ。出所したら病身の父は死亡、かつての恋人も警察官と同棲し妊娠してしまう。元恋人と橋の上で久しぶりに会うシーンは切なかったね気の毒に思えた。イラク帰還兵の弟はその肉体と闘争本能を買われてギャンブルでかさんだ借金返済の為に八百長ボクシングに身を転じるも、騙された揚句に山間部を牛耳るハンランのグループに殺害されてしまう。
最後は弟の仇打ちに燃える兄がハンランを騙して町に誘い、壮絶な撃ち合いを制し最後はふらふらになったハンランは絶命するが、それを何とか阻止しようと元恋人の夫となる警察官が後を追うが間に合わないのは当然か?
ストーリー的には派手さは無いが、このキャストの演技を観るだけでこの映画を観た価値がある。クリスチャン・ベールの演技は相変わらず納得させられるが、フォレスト・ウィテカーやウィレム・デフォーらの渋い演技派も目立たないが素晴らしかった。

追加:極悪犯のハンランらの一味が、ある方向へと夜道を進もうとすると「そっちは黒猫がいて不吉だから」と言って別の方向へと行くのは可笑しかった。黒猫ってキリスト教世界では「悪魔の使い」とされているくらいだからね。


映画『NY心霊捜査官』を観て

2014-09-27 18:52:50 | 映画・ホラー,サスペンス,スリラー

14-75.NY心霊捜査官
■原題:Deliver Us From Evil
■製作年、国:2014年、アメリカ
■上映時間:118分
■料金:1,800円
■鑑賞日:9月27日、新宿ピカデリー(新宿)

 

□監督・脚本:スコット・デリックソン
□脚本:ポール・ハリス・ボードマン
□製作:ジェリー・ブラッカイマー
◆エリック・バナ
◆エドガー・ラミレス
◆オリヴィア・マン
◆ショーン・ハリス
◆クリス・コイ
◆ジョエル・マクヘイル
◆マイク・ヒューストン
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
NY市警の巡査部長による衝撃の実話を映画化したサスペンス・ホラー。ジェリー・ブラッカイマーがプロデューサーを務め、霊感を持つ刑事が特殊な力を使って犯罪捜査に挑む姿を描く。特殊な力で捜査に挑む主人公を演じるのは『トロイ』のエリック・バナ。
ニューヨーク市警のラルフ・サーキは、動物園で子供をライオンの檻に投げ捨てた女性や妻に暴力を振るった男性を逮捕。2つは全く別の事件だと思われたが、どちらも犯人は何かに憑りつかれたような尋常でない様子であり、ラルフは捜査を進めるうちに彼にしか感じられない何かがあることに気付く。神父のジョー・メンドーサからは、自分にしかない力を捜査に活かすよう助言される。それは、悪霊の姿を見、声を聞くことができる霊感だった。それぞれの事件現場に『INVOCAMUS』(呼び寄せる)という謎のメッセージが残されているのを目にし悪霊が事件に関与していることを確信したラルフは、霊感を使った心霊捜査に乗り出す。その一方で、魔の手はラルフの家族にまで伸びていた……

このストーリー、冒頭のシーンがイラクでの不思議な体験を映し出しているが、具体的な体験はその後の劇中で語られる。当初はこの後、ブロンクス動物園で発生した奇怪な事件の捜査についての内容かと思うと大間違いだった。主人公の刑事の実体験に基づいての作品化で、主人公は自分の正義感を振りかざし犯罪者を捕まえてボコボコにしてしまった、触れられたくない過去にさいなまれている。悪魔にそこを付け込まれ、家族を危険にさらしてしまっている。
動物園での母が幼い我が子を投げ捨てた事件と暴力夫のDVで妻がボコボコにされた二つの事件の共通点が「悪魔に憑りつかれていた」という方向に行くとはね。そもそも冒頭のイラクでの偶然の出来事が全ての発起点で、古代バビロニアの遺跡の謎の文字(と言うか呪文?)を見た事で、それが帰国したと同時に持ち帰ってしまったのか?この辺がどうしてそうなったのかの説明が無いので分からないが、ヒントとしては悪魔は現世への扉(ドアー)を求めていて、それがサンティーノだった。で、映画の重要なシーンで流れる音楽が「DOORS」と言うのは映画的な演出だと思うが、ラストでサンティーノに憑依した悪魔を祓う儀式は、既に「エクソシスト」や「エミリー・ローズ」などで観ているので特段驚きはないが、こういう展開になっていく作品だとは思わなかった。でも、これってラルフ刑事の実体験だから、実際に起こった出来事なんだよね~。


映画『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー 3D』を観て

2014-09-23 17:21:40 | 映画・SF

14-75.ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー3D
■原題:Guardians Of The Galaxy
■製作年、国:2014年、アメリカ
■上映時間:122分
■料金:1,400円
■鑑賞日:9月23日、TOHOシネマズ日劇(有楽町)

 

□監督・脚本:ジェームス・ガン
□脚本:二コール・パールマン
◆クリス・プラット
◆ゾーイ・サルダナ
◆ブラッドレイ・クーパー
◆デヴィッド・バウティスタ
◆リー・ペイス
◆ベン・ディーゼル
◆マイケル・ルーカー
◆ベニチオ・デル・トロ
◆グレン・クローズ
◆ジョン・C・ライリー
◆カレン・ギラン
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
犯罪歴のあるメンバーによって構成された、マーヴェル・コミックス発の異色のヒーロー集団を映画化したSFアクション。無限の力を持つパワーストーンを盗んだ主人公が、刑務所で出会った凶悪犯らと共に宇宙滅亡を阻止するための戦いに挑む。メガホンを取るのは『スーパー!』などのジェームズ・ガン。主人公を『マネーボール』などのクリス・プラットが演じるほか、ゾーイ・サルダナやベニチオ・デル・トロが共演、ブラッドリー・クーパー、ヴィン・ディーゼルが声の出演を果たす。擬人化されたアライグマや樹木といった、個性的で凶暴なヒーロー軍団の活躍に注目。

9歳の時、何者かによって地球から宇宙に連れ去られたピーター・クイルは20年後、惑星間を渡り歩くトレジャー・ハンターに成長していた。ある日、惑星モラグの廃墟で謎の球体“オーブ”を発見したピーターは、換金のためにザンダー星のブローカーを訪れるが、彼を待っていたのは、宇宙に暗躍する“闇の存在”が送り込んだ暗殺者ガモーラだった。
賞金稼ぎのアライグマ、ロケット(声:ブラッドリー・クーパー)と相棒の樹木型ヒューマノイド、グルードも加わって派手な戦いを繰り広げた彼らは、ザンダー星警察に逮捕されてしまう。投獄された4人が銀河一危険な刑務所で出会ったのは、凶暴な囚人ドラックス。妻子を殺した犯人の仲間であるガモーラの命を狙うドラックスを、ピーターは制止。実はガモーラは“闇の存在”を裏切り、その支配から逃れようとしていたのだ。
オーブを売って金を手に入れたいピーターとロケットたち。復讐に燃えるドラックス。それぞれ目的の異なる5人だったが、ロケットを中心に協力して脱獄。希少なものの収集家で、オーブに大金を払う“コレクター”と呼ばれる男に会うため、宇宙の果ての惑星ノーウェアへ向かう。そこでピーターたちは、コレクターから驚くべき秘密を聞く。“オーブを手にした者は、無限の力を得る”。
その頃、5人の動きを察知した“闇の存在”が大軍を送り込んできた。奮闘虚しく敗れ、“闇の存在”の手に落ちるオーブ。彼らは、その力で宇宙の秩序を司るザンダー星を滅ぼし、銀河を混乱と滅亡に陥れようとしていたのだ。この時に及んで、それまで逃げることで生き延びてきたピーターは、何故か戦う覚悟を決める。それはチーム“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”誕生の瞬間だった。ヒーローとは縁遠い生活を送ってきた5人は、宇宙の存亡を賭けた戦いにどう挑むのか!?

「アヴェンジャーズ・シリーズ」が大ヒットを記録しているアメコミのマーヴェルが、今度は宇宙を舞台にした西部劇?を展開するのだが、その仲間がどれも個性的なのには笑った。中でもアライグマの声を演じているのブラッドリー・クーパーはまるで彼が演じているような錯覚を覚えるし、セリフもアップテンポで愉快だ。樹木型ヒューマノイドのグルードや20年間宇宙を放浪するリーダー各のピーター・クイルなど誰もが個性的だ。謎の球体オーブを巡っての戦いに、ピーターの出自が絡んだりして、ラストはそのオーブがピーターの保護者を自任するヨンドゥが半ば強引に奪うのだが、ここにオチが有った。ピーターは密かに偽物オーブをその場で渡し、ヨンドゥが気が着いた時には既にピーターは去った後で、地団駄を踏んだのはヨンドゥの方だったという終わり方でした。
今後、このギャラクシーはシリーズ化されると聞いていますが、マーヴェルはいまノッテいるのでその勢いでガンガン映画化していくのでしょうね。

最後に、ピーターが大事にしていた自作カセットのお気に入り音楽集、あれ、中々センスが良かったです。


映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)3D』を観て

2014-09-20 17:53:33 | 映画・SF

14-74.猿の惑星:新世紀(ライジング)3D
■原題:Dawn Of The Planet Of The Apes
■製作年、国:2014年、アメリカ
■上映時間:130分
■料金:300円(ポイント使用)
■鑑賞日:9月20日、TOHOシネマズ渋谷(渋谷)

 

□監督:マット・リーヴス
◆ジェイソン・クラーク
◆アンディー・サーキス
◆ゲイリー・オールドマン
◆ケリー・ラッセル
◆トビー・ケベル
◆ジュディ・グリア
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
名作SF『猿の惑星』の前日譚(たん)『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』の続編。ウイルスによって滅亡状態に陥った人類と、遺伝子の進化を経て知能や言語を得た猿たちとの対峙(たいじ)が思わぬ事態を引き起こしていく。前作に引き続き、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのアンディ・サーキスがモーションキャプチャーを駆使し、猿のリーダーとなるシーザーを熱演。その脇を『ホワイトハウス・ダウン』などのジェイソン・クラークや『裏切りのサーカス』などのゲイリー・オールドマンが固める。
カリスマ的な統率力を誇る猿のシーザーが、仲間を率いて人類への反乱を起こしてから10年後。遺伝子の進化、知能と言語の獲得により猿たちはさらに進化を遂げ、独自の文明を形成、森の奥に平和なコミュニティを築いていた。一方、10年前に自らが生み出したウイルスにより人類は90%が死に追いやられ、僅かな生存者グループは、荒廃した都市部の一角に身を潜め、希望なき日々を過ごしている。そんなある日、人間たちが資源を求めて森に足を踏み入れたことから、猿たちとの間に危うい緊張が走る。異なる種でありながらもお互いに家族や仲間を持ち、平和を望むシーザーと人間側のリーダー、マルコムは和解の道を探るが、両陣営の対立は激化。共存か闘いか、最終決戦へのカウントダウンが刻まれるなか、シーザーとマルコムは種の存亡を懸けた重大な選択を迫られる……。

猿惑シリーズの続編。この前日譚シリーズは中々内容が濃くて面白いですね。今回も舞台はSFC(サン・フランシスコ)ですが、人間世界はもはや崩壊寸前で、エネルギー源を求めて敢えて猿の支配地区に立ち入って発電所であるダムの稼働を再開させるのが目的。しかし、猿側の人間への疑心暗鬼は想像以上で、リーダーであるシーザーも仲間に不意打ちを食らって統制が取れなくなって窮地に。シーザーを撃ったコバは、密かに仲間を引き連れて橋を渡り人間世界が武器を貯蔵していることを、猿側を攻撃する準備をしていると煽り、シーザーが負傷したのも人間のせいだと洗脳して、一気に人間世界へ殴り込みを図る。
不意を突かれた人間と猿側との戦闘では武器を奪った猿側が有利に展開し、シーザーの負傷回復も思わしくなく新指導者となったコバの天下に。それでもマルコムに救われて回復するが、もはや人間と猿側の全面対決は避けられない。コバは回復したシーザーとの一騎打ちに敗れるが、やがて、来る人間側の援軍との全面対決を迎える。
猿は独自の平和なコミュニティを作りだしたが、人間のように物を作り出すことは出来ていない。武器も人間が創造したのを奪って使うだけで、まだまだ人間に追いついた訳ではありません。だけど、人間界は殆ど死滅してしまったので、その喪失感から新たな物を創造出来ていないのも事実。進化した猿と進化を超えた事で破滅を招いてしまった人類。平和だった猿が人間界の悪い所である争い事に手を突っ込んだら、いずれ猿側にも限界が来るような気がします。

益々、この続編が観たくなりました。それにしても毎回観る度にメイク、特殊効果、CGの素晴らしさをこの映画には堪能させられます。それとシーザーを演じているアンディー・サーキスも同様にもっと評価されて良いと思っています。 余談ですが猿が馬を乗りこなしているのには驚きました。


映画『フライト・ゲーム』を観て

2014-09-06 22:49:37 | 映画・ドラマ、アクション

14-73.フライト・ゲーム
■原題:Non-Stop
■製作年、国:2014年、アメリカ・フランス
■上映時間:107分
■料金:1,800円
■鑑賞日:9月6日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)

 

□監督:ジャウマ・コレット=セラ
◆リーアム・ニーソン
◆ジュリアン・ムーア
◆ルピタ・ニョンゴ
◆ミシェル・ドッカリー
◆ネイト・パーカー
◆スクート・マクネイリー
◆シェア・ウィガム
◆ジェイソン・バトラー・ハーナー
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
『アンノウン』などのジャウマ・コレット=セラ監督、主演に『96時間』シリーズなどのリーアム・ニーソンと『アンノウン』のコンビが再度手を組んだサスペンスアクション。ニューヨークからロンドンへ向けて飛び立った旅客機内で起きる連続殺人に立ち向かう機内警備担当の連邦保安官が、その意外な犯人と真相にたどり着くさまが描かれる。『キャリー』などのジュリアン・ムーアらが共演。
航空保安官ビルが客を装いアメリカ・ニューヨークからイギリス・ロンドンへ向かう旅客機に乗り込んだところ、何者かからメールが届く。その内容は、1億5千万ドルを指定口座に送金しなければ20分ごとに1人ずつ機内の誰かを殺すというものだった。単なるいたずらかどうか真偽のほどを疑っているうちに、1人目の犠牲者が出る。大西洋上空をフライト中の密室とも言える航空機内で起こった殺人にビルはまず乗客を疑い携行品を調べるが、何も手がかりになるようなものは見つからない。保安局が乗客名簿を調べるも怪しい点は誰にもなく、指定された口座がビル名義であるため彼へ疑いの目が向けられてしまう。次の犠牲者が出るまでのタイムリミットが迫り緊張感が高まる中、見えざる敵との頭脳戦が始まる……。

大西洋を飛行中の機内という密室での出来事。陸地上空を飛ぶのではなく、途中降機出来ない設定だったのも良かった。飛行機の連邦保安官という閑職に就く元警察官のビル、娘は幼くして病死するという不幸に見舞われているのが設定上のミソだった。
離陸後の水平飛行移行時に何故かビルの業務用携帯に来るはずが無い不審なメールが届いたことからストーリーは始まるが、その前に、NYのケネディ空港での搭乗前に伏線があった。搭乗前のロビーで彼に話しかけてくる見知らぬ男の存在、これがのちに犯人と判明するトム・ボーウェンとザック・ホワイトだ。トムの父は9.11の犠牲者で国家の空港保安体制に疑問を持っていた。その後、軍隊に入隊、ザックも軍隊に入隊していた。今回のハイジャックで航空保安官を犯人にでっち上げれば目が醒めて航空保安体制が見直されるとの目論見からだった。

通常ハイジャックと言えば政治的な理由からテロリストが起こすケースがあるが、このストーリーは目的が違っていた。結局、二人とも死ぬことになり飛行機は爆破されたものの副操縦士がアイスランドの空港に緊急着陸を試みて何とか無事に着陸出来てメデタシ、メデタシでした。

ストーリー的にみると途中までは乗客全員が犯人扱いされるあたりは、古くは「オリエント急行殺人事件」を思わされた。だが、今はIT時代。機内からユーチューブに映像を投稿して瞬く間にビルの素性がニュースにアップされる時代。ビルが犯人と疑われる下りは犯人の思うつぼだった。ジュリアン・ムーアの訳あり風な演技も流石だったね、犯人の筈が無いのに何となく「もしかしたら?」って思わせる辺りは演技力の賜物ですね。
その他の俳優陣では「それでも夜は明ける」でアカデミー賞助演女優賞受賞のルピタ・ニョンゴがCA役で出ていたけど、ビルの恋人役?でもあるナンシーの方が目立っていたので受賞女優でも扱いが地味だったのは残念。

大柄なリーアム・ニーソンが航空保安官とは言え、機内で発砲するのは分かるけど、現実的には難しいのではないかな?だって、銃弾がそれたらどうする?それと来るはずの無いメールが届いたり、元同僚との格闘シーンがあったりとリーアム・ニーソンの最近のアクション・スターとしての貫録も十二分に発揮されていた楽しめました。彼の設定が北アイルランド出身の元警官、という下りは彼の出自そのものだったので彼の為に用意したのだと思います。


映画『LUCY/ルーシー』を観て

2014-09-02 23:18:24 | 映画・SF

14-72.LUCY/ルーシー
■原題:Lucy
■製作年、国:2014年、フランス
■上映時間:89分
■料金:1,100円
■鑑賞日:9月1日、TOHOシネマズみゆき座(日比谷)

 

□監督・脚本・製作:リュック・ベッソン
◆スカーレット・ヨハンソン
◆モーガン・フリーマン
◆アナリー・ティプトン
◆アムール・ワケド
◆ピルー・アスベック
◆チェ・ミンシク
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
種のある物質の影響で脳が覚醒し、驚異的な力を発揮するようになるヒロインが巻き起こす騒動を描く、スカーレット・ヨハンソン主演のサスペンス・アクション。普段は10%しか使われていないという脳が覚醒し、驚異的なスピードで言語をマスターしたり、目に見えない電波をコントロールできたりといった驚愕の出来事が繰り広げられる。
ごく普通の生活を送っていたルーシーは、ある日マフィアの闇取引に巻き込まれ、下腹部に新種のドラッグの入った袋を埋めこまれる。だが体内でドラッグが漏れ出すアクシデントによって、彼女の脳は突如覚醒し始める。「頭脳拡張20%」――驚異的なスピードで言語をマスター、「頭脳拡張40%」――目に見えない電波をコントロール……。脳科学者ノーマン博士が見守る中、ルーシーは次々と人智を超えた能力を発揮するが、同時に人間性が失われていき、自身でさえもコントロール不能な状態となって暴走を始めるのだった。やがて、彼女の脳は100%覚醒へと近づいていく……。

何も知らずにボーイフレンドから半ば強引に渡された袋だったが、その存在が彼女を一変させた。預かった袋の中身は新種のドラッグで体内に勝手に埋め込まれ、そのドラッグが体内に漏れたことで脳が覚醒してしまう。そこからマフィア組織と警察の追いかけっこが始まるが、ルーシーの脳はドンドン覚醒していく。ノーマン博士の想像のつかない世界に足を踏み入れていくルーシー、未知の言語もあっという間に習得していく。
そしてラストは何だかSFっぽくなってルーシーの肉体は失われてもコンピューターの中に彼女自身がダウンロードされてお終いってオチは何だかな~、ジョニデの「トランセンデンス」と似たような設定でしたね。むしろ、彼女がマフィア組織から如何にして逃亡して、覚醒された肉体と脳でギャングを撃退することに専念した方が面白かったと思う、あのラストはちょっと納得出来ませんでした。


映画『プロミスト・ランド』を観て

2014-09-01 17:34:53 | 映画・ドラマ、アクション

14-71.プロミスド・ランド
■原題:Promised Land
■製作年、国:2012年、アメリカ
■上映時間:106分
■料金:1,100円、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)
■鑑賞日:9月1日

 

□監督:ガス・ヴァン・サント
□脚本・製作:マット・デイモン、ジョン・クラシンスキー
◆マット・デイモン
◆フランシス・マクドーマンド
◆ジョン・クラシンスキー
◆ハル・ホルブルック
◆ローズマリー・デウィット
◆テリー・キニー
◆スクート・マクネイリー
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』のマット・デイモンとガス・ヴァン・サント監督が再び手を組んだ社会派ドラマ。新たなエネルギー源として注目を浴びるシェールガス革命を背景に、脚本と製作もこなすマット演じる大手エネルギー会社の社員が、ガス採掘権を買収すべく訪れた田舎町で住民との交流を通じ、自身の人生を見つめ直していく。
大手エネルギー会社の幹部候補であるスティーヴは、仕事のパートナー、スーとともに、農場以外はなにもない田舎町マッキンリーへやってきた。実は、マッキンリーには良質のシェールガスが埋蔵されているのだ。スティーヴたちは、近年の不況で大きな打撃を受けた農場主たちから相場より安くその採掘権を買い占めようとしていた。町の財政再建の救世主として迎えられたスティーヴだったが、予期せぬ障害が立ちはだかる。科学教師フランクと環境活動家ダスティンが採掘に反対し、町の人々を説得する。そして、賛否は住民投票にゆだねられることに。さらにスティーヴは、仕事への信念と情熱を根本から揺るがすような衝撃の真実を知ってしまい……。ふと訪れた町で、図らずも自分の生き方を見つめ直す必要に迫られたスティーヴは、果たしてどんな決断を下すのか?

今、アメリカでは21世紀のゴールド・ラッシュと言われる(ているかは知りませんが)程までに注目を浴びているシェール・ガスの採掘に関する話題を扱っている。マッキンリーというド田舎にビジネス・パートナーのスーと二人で、このド田舎に埋蔵されているシェール・ガスの採掘権を格安価格で買い付けに来て、町の唯一のモーテルに泊まることに。産業の無い住民たちはこの夢の様な話に早速飛び付き、中にはろくに話を聞かずに譲渡契約書に署名して大金を手にするものまで現れる。だが、そんな住民のウキウキ気分に水を差したのが教師フランクと環境運動家で反対運動の先鋒でもあるダスティン。ダスティンはこの町でシェール・ガスの採掘の話を聞きつけて単身乗り込んできた。
科学的根拠を振りかざすフランクの演説に形勢が不利となって来たスティーヴとスー。町中でも当初は持て囃されていた二人だったが、ダスティンの積極的な反対運動が功を奏してきて住民の中に反対派が徐々に形成されてきた。賛否は住民投票次第となった。会社からは説得を急かされる二人、だがダスティンのやり方に不審を募らせたスティーヴは彼についてネットで徹底的に調査をした結果、その正体は驚きだった。何と彼は会社から派遣されていたスティーヴとスーの同僚だった。会社はスティーヴの能力に一抹の不安を抱えていて、敢えて反対派を装う人物を送り込み議論を盛り上げるのが使命だった。

最後は会社が採掘方法の水圧破砕についての不利なデータを隠していたことや、自分の手腕に不審を持たれていたことに反発して会社に帰らずそのまま町に留まり辞めてしまう。そんなスティーヴにスーは冷たい視線を浴びせて去って行った。スティーヴはラストで女性教師アリスの自宅を訪ねるシーンで終わります。住民投票の結果は分からず、エンディングを迎えました。

今回脚本を担当したのがマット・デイモンとジョン・クラシンスキーの二人。マット・デイモン演じるガス会社の幹部候補社員は夢の様な話を吹聴して会社に有利な条件で土地を買収する交渉を進める社員で、幹部登用も間近に迫っている。今回の交渉も順調に進むはずが二人の反対派に阻止されようとしたことからシナリオが崩れていく。何とか必死に住民の心を掴もうと努力するが、二人の構成になす術は無かった。
でも、アメリカのエネルギー会社ってこんな戦術で契約というか買収をするのが普通なのですかね、日本ではちょっと考えづらいですね。この未来のエネルギーを巡って平穏だった田舎町が一気に活気を帯び、採掘する前から補償金で夢の様な生活を描く住民が現れるたかと思えば、反対派の二人の積極的な活動で賛成派だった大多数の住民までが会社に対して懐疑的になっていく様子の描き方は良かった。

主役のマット・デイモンの良い人なキャラが全体を支配していたが、最後に会社に対してケツをまくって辞めて町に留まる決意をした姿は潔かった。でも、あの女性教師アリスとは今後どういう風に展開するのか気になった。


映画『ケープタウン』を観て

2014-08-30 22:34:59 | 映画・ドラマ、アクション

14-70.ケープタウン
■原題:Zulu
■製作年、国:2013年、フランス・南アフリカ
■上映時間:107分
■料金:1,800円、新宿バルト9(新宿三丁目)
■鑑賞日:8月30日

 

□監督・脚本:ジェローム・サル
□脚本:ジュリアン・ラプノー
◆フォレスト・ウィテカー
◆オーランド・ブルーム
◆コンラッド・ケンプ
◆ジョエル・カイエンベ
◆インゲ・ベックマン
◆パトリック・リスター
◆タニア・ヴァン・グラーン
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズや「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのオーランド・ブルームと「ラスト・キング・オブ・スコットランド」で第79回アカデミー賞主演男優賞を獲得したフォレスト・ウィテカーが、コンビを組む刑事を演じる。南アフリカの大都会ケープタウンを舞台に、そこに巣食う深い闇の世界をあぶり出す。キャリル・フェリーの推理小説「ZULU」を基に、『ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀』などのジェローム・サルがメガホンを取る。

南アフリカのケープタウンで、元ラグビー選手バイツの娘ニコールが殺害される事件が発生。アパルトヘイトの傷痕がまだ残る南アフリカでズールー族出身ながら警部にまで昇進したアリ・ソケーラ刑事が、酒と女に溺れて妻や息子、署長からも見放されているブライアン・エプキンらを率いてこの事件の捜査にあたることになる。
解剖されたニコールからは、未知の分子が含まれた麻薬が検出される。さらに事件当日ニコールは売人のスタンと会っていたことが判明。アリとブライアン、ダン・フレッチャーの3人はニコールの発信記録があったミューゼンベーグ海岸でスタンを見かけなかったか聞き込み調査を行うが、若い黒人グループに声をかけたところ、彼らは制止も聞かずに襲撃。最新の銃や無線機、暗視装置を持ちあわせ異様に凶暴な彼らとのもみ合いの中で、ダンは命を落とす。その場にはニコールの遺体から検出されたものと同じ薬物が残されていた。さらに、最近頻発しているスラム街の子供たちが行方不明になる事件の現場からも同様の薬物が見つかる。分析の結果、その薬物ははじめは快感をもたらすが、摂取し続けると攻撃性が増し、自殺衝動を起こさせるという恐ろしいものだった。
薬物を手掛かりに捜査を進めていくうちに、アパルトヘイトが布かれていた時代に政府の命令で黒人を抹殺するための科学兵器を研究していた科学者オパーマンに行きあたる。ニコール殺人事件の犯人はスタンだと睨まれているが、根底には大きな組織犯罪があると確信するブライアン。そんな中、第二の殺人事件が発生。遺体からスタンの痕跡も見つかるが、スタンもまた死体となって発見される。事件解決のため捜査を打ち切ろうとする署長に反し捜査を続けるブライアンとアリに、深い闇が待ち構えていた……。

アカデミー賞受賞経験者のフォレスト・ウィテカーとオーランド・ブルームが南アの刑事に扮して凶悪事件を捜査する話。だが、舞台がアパルトヘイトの影響が未だに残る国だけに、捜査には目に見えない障害があちこちにあり、それは警察と言う組織内にも巣食っているのだから厄介だ。ウィテカー扮するアリは人種差別に負けずに昇進を果たした人物だが、少年時代に警察犬に股間を噛まれて生殖機能を失って以来、人には言えないストレスを抱え一人暮らしの母を心配する毎日。相棒でブルーム扮するブライアンは組織の論理などお構いなしに自分勝手に動くが腕は立つのでアリに見込まれている。
ストーリー的には、当初は単なる少女殺人事件の捜査だったのが、実は、国家の秘密政策にまで拡がっていく。結局、犠牲になるのは貧困から抜け出せない子供たちや弱い立場とされる黒人だったりする。未知の麻薬を人体実験代わりに使われている少年、教育が行き届いていないと怖いよね。麻薬組織はそんなことお構い無しに利益を上げるためなら政府だって警察だって巻き込んでいく、最後は、アリが全体の黒幕的存在であるオパーマン博士をトコトン追いつめる。だが、その前の秘密アジトでの銃撃戦で負傷していたアリ、オパーマンを砂漠でボコボコにしたまでは良かったが、ブライアンがヘリで駆けつけた時には力尽きてしまった。最後に生き残ったのはブライアンだけだった。

ウィテカーは相変わらずの演技力だが、オーランド・ブルームの刑事役はどうだったかな?優男のイメージが染みついている彼だが、今回はアウトロー的な刑事役を演じていて従来のイメージを超える演技だったが、やはり、どこかで彼の今までのイメージがあるのは拭いきれなかった。これだけでなく、今後もこういう役をオファーされたら受ける勇気を求めたい。それにしても南アって治安は悪いようです...。


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