Peace Waveの平和な日々~行く雲、流れる水のように~

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三本の木

2008年12月24日 | 人生覚書き

昔、ある森の丘陵に三本の木が生えていました。

三本の木は自分たちの抱いている希望や夢を語り合っていました。

一本目の木は「僕は宝石箱になりたいよ。そうして金や銀、高価な宝石に満たされたい。そして繊細な彫刻をほどこされて、すべての人がその美しさに見入るんだ。」といいました。

 

二本目の木は「いつか私は巨大な船になるんだ。そして世界中の王様や王女様をお乗せして、世界中を航海するんだ。そして私の船体の強さのお陰で、みんなは安心して航海できるんだ。」といいました。

 

三本目の木はこういいました。「俺は森の中で一番高く、一番まっすぐにのびた木になるぞ。みんな丘陵のてっぺんにそびえたつ俺を見つめて、その枝を見上げるんだ。そして天の神様のことを思うんだ。そして俺がそれにふれるぐらい高くまっすぐにのびていることもね。俺はすべての時を通してもっとも偉大な木となって、みんなはいつまでも俺のことを覚えているのさ。」

 

 

自分たちの夢が叶うようにとの祈りのうちに数年がすぎたある日、きこりたちが三本の木のところへやってきました。

そのうちの一人が一本目の木のところへやってきて「この木は頑丈そうだな。建具師に売れるに違いない。」といって、その木を切りました。切られた一本目の木は建具師が宝石箱にしてくれる、と幸せいっぱいでした。

 

そしてもうひとりのきこりも二本目の木のところへやってきていいました。

「うん、この木は頑丈そうだ。これだったら船大工に売れるわい。」

二本目の木も巨大な船にもうすぐなれる、とこれまた幸せいっぱいでした。

 

しかし別のきこりが自分のもとへ来た時、三本目の木は恐れました。

切られてしまったら、自分の夢が叶わなくなってしまうからです。

しかしきこりは「わしは別に特別な木でなくてよいから・・・そうだな、この木にしておくか。」といって三本目の木を切ってしまいました。

 

 

さて一本目の木が建具師のところへ着くと、建具師はその木を動物のえさ箱に作りあげ、干草をつめて家畜小屋に置きました。

これは一本目の木が祈っていた事とは全く違っていました。

 

二本目の木は小さな漁船へと作りあげられました。もうこれで巨大な船になって王様を乗せる、という夢もおしまいです。

 

三本目の木は大きな木材に切り分けられて暗い倉庫に放置されました。

多くの年月が経ち、三本の木は自分たちの夢をすっかり忘れてしまいました。

 

 

そんなある日、一人の男と女が馬小屋にやってきました。女は赤ん坊を産み、干草がしきつめられた飼葉桶に赤ん坊を寝かせました。そう、あの一本目の木からできた飼葉桶です。男は赤ん坊をベッドに寝かせたかったのですが、この馬小屋ではこの飼葉桶しか適当なものが見当たらなかったのです。

一本目の木は、この出来事のすばらしさを感じ、また歴史上もっとも偉大な宝を抱いたことを知ったのでした。

 

その数年後、幾人かの男たちが二本目の木からできた漁船に乗り込みました。

そのうちの一人は疲れて寝入ってしまいました。彼らが湖上を進んでいると、激しい嵐が襲ってきました。二本目の木が、自分は乗っているみんなを守れるほど強くない、と感じている時、男たちは眠っていた男を起こしました。

男が起きて「静まれ」と一言いうと、嵐はすっかり止みました。

その時、二本目の木は、王様の中の王様をお乗せしたことを悟ったのでした。

 

そして最後に誰かが三本目の木を取りにやってきました。

三本目の木はそれを担いでいる男を人々があざける中、いくつもの通りを担がれていきました。そして目的地へ着くと、担いでいた男が釘で自分に打ち付けられ、処刑のために三本目の木は丘陵のてっぺんにたてられました。

日曜が訪れた時、三本目の木は自分が丘陵のてっぺんに高くそびえたち、神にもっとも近くあることを知りました。

イエスが打ち付けられ、処刑された十字架となったからです。


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