先日行われたK-1 WORLD GP 2010 FINALを制し、優勝したのは”史上最強の外敵”、MMA出身のアリスター・オーフレイム!
”マッスル・モンスター”らしいラッシュでピーター・アーツを秒殺し、K-1参戦2年目にして栄冠を手にした。
しかし、間違いなく、ベスト・バウトはピーター・アーツがセーム・シュルトを破った準決勝であろう。
順当にいけば、アリスターと5度目の優勝を狙うシュルトの決勝戦・・というのが大方の予想であったろうが、40歳(!)のアーツが見せてくれた!
2年前、K-1史上初の3連覇を成し遂げたシュルトに「奴がチャンピオンだとK-1が盛り上がらない」・・と、立ちはだかったのが、やはり、アーツだった。
2mを超す恵まれた体躯にもかかわらず、カウンター狙いのシュルトの戦法は、「勝ちに行く」というより「負けない」ための戦い方。
地味ではあるが、確実―とはいえ、プロ向きの派手な試合とは言い難く、正直、盛り上がりに欠ける。
アーツは見事、これを撃破し、シュルトの4連覇を阻んだ。
開始直後からガンガン前に出て攻めるアーツ。
とにかく真っ向勝負で、懐に飛び込んで、顔面に渾身のパンチを叩き込む・・という”どストレート”な作戦だ。
シュルトも珍しく自分から前に出て、これを迎え撃つ。
シュルトにすれば、アーツは4連覇を阻まれた因縁の相手である。
普段は感情を表に出すコトのないシュルトだが、アーツのコトを語る時は、必ずリベンジする!・・と、感情をむき出しにするほどだという。
1ラウンドから激しくぶつかり合う両者。
この長身から繰り出す前蹴りでアーツを突き放す。
それでも、かまわず前へ出るアーツ!
臆するコトなく踏み込み、顔面を狙う。
絶対にこいつだけは倒す!・・というアーツの気迫が伝わってくるかのような攻撃が続く。
2ラウンドには目の上をカットするも、その気合いは衰えるドコロか、ますます激しさを増す。
シュルトも徐々にアーツの気迫に押され、クリンチに逃げる場面が多くなり、ついには警告をとられる。
3ラウンドにはローキックのダメージが蓄積した脚が動かず、下がって防戦一方に。
この身長差では確実に不利な打ち合いだが、まったく臆するコトなく、自分よりでかい敵の懐に、果敢に、何度も飛び込むのだ。
そして顔面を殴る!
殴る!!
迷うコトなく殴るっ!!!
これぞ、”ミスターK-1”!!
解説の魔娑斗が、
「いやー、それにしても、ピーター・アーツって、スゴイ人ですね・・」
・・と、もらした言葉が印象深かった。
試合終了後の両者の対照的な姿が勝負を物語っていた。
アーツは大きく両手を挙げてガッツポーズ!
それに応える観客席のファン。
アーツの熱い闘志が、観客の心にも火を点けた。
間違いなく、今大会、もっとも会場がヒートアップした瞬間だった。
文句なし、2-0の判定で決勝進出を決めたピーター・アーツ。
入場の花道を行くアーツの胸に去来した思いは何だったのか・・?
もし、優勝すれば、4度目の王者!
98年以来、12年ぶりの王座奪還となるはずだったが、既に決勝進出を決めた時点でアーツは満身創痍、決勝のリングに立つのがやっとの状態だった。
残念ながら、4度目の戴冠とはならなかったが、夢を見せてくれた!
自分も来年40になるが、同世代のアーツが、ここまでやれる!・・という素晴らしいファイトを見せてくれたコトで、非常に勇気をもらった試合だった。
自分もこの試合で心に刻まれた”「不惑」の魂”を忘れるコトなく、新しい年を迎えたいものだ・・。