何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

神童寺 (木津川)

2021年04月22日 | 寺社巡り-京都

【京都・木津川市】神童寺縁起によると、飛鳥時代(596年)に聖徳太子が開創し、自ら彫刻した千手観世音菩薩像を本尊として大観世音教寺と号していた。 その後、白鳳時代(676年頃)に役行者が入山して修行している中、現れた二人の神童の助力を得て蔵王権現像を刻み、蔵王堂を建てて本尊として安置し、寺号を神童寺に改称したと伝え、山岳修験の道場として栄えた。 また役行者は、自らの像を彫刻し、開山堂を建てて安置した。
奈良時代の養老六年(722)、泰澄大師が入山し、鷲峯山を北山上、北吉野山と名付けた。 一時衰退したが、興福寺願安大師により再興された。 平安末期の治承四年(1180)、平資盛の兵火により全山二十六坊の堂宇が悉く焼失。 鎌倉時代建久九年(1190)に源頼朝が再建したが、元弘元年(1331)の兵火で再び焼失した。
室町時代の応永十三年(1406)、興福寺官務懐乗越前公が蔵王堂を再建したのが現在の本堂。 藤原中期造立の仏像を多数有し、仏教美術の宝庫として知られる寺院。 宗旨は真言宗(智山派)で、本尊は蔵王権現像。

◆JR奈良線棚倉駅から歩いて40分ほど東方の山中に向かうと門前に着く。 城壁のような石垣の間にある石段の下から見上げると、江戸中期建立の棟門式の山門が建つ。 表門とも称す山門は、左右に形が異なる石燈籠を構え、小さな本瓦葺屋根に鯱、鬼瓦、獅子の留蓋瓦を乗せていて趣がある。
山門をくぐると、白壁の築地塀に囲まれてこじんまりした伽藍があり、芝生の境内の正面に室町時代建立の本堂が建つ。 山門から本堂に延びる切石敷の参道を進み、「蔵王堂」と呼ばれる本堂に....内陣に祀られている役行者が刻んだとされる本尊の蔵王権現像に向かって合掌。
本堂の左手に、樹皮が苔生した大銀杏の老木が聳え、その少し奥に建つ小さな鎮守社の前に十三重層塔と石燈籠がひっそりと佇んでいる。 十三重層塔は鎌倉後期の造立で、初層軸部には二重円光形に顕教四仏が刻まれている。 山裾の岩肌に掘られた仏龕に小さな役行者像が、また、収蔵庫への石段の途中に建つ覆屋に室町時代造立の2体の舟光背形地蔵石仏が鎮座している。
苔生した石段を上って高台に建つ収蔵庫に....収蔵庫の中は厳かな空気に包まれていて、平安時代に造立された木造の不動明王立像・愛染明王坐像・阿弥陀如来坐像など多くの仏像が整然と鎮座している....合掌。

△伊賀街道に面し、城郭のような石垣上に伽藍境内がある

△切妻造本瓦葺で棟門様式の山門(表門)....江戸時代中期の建立で、二本の主柱に冠木(横木)を渡し、その上に切妻屋根を乗せている

△山門の屋根の大棟に鯱、降棟下端に鳥衾付き鬼瓦そして獅子の留蓋瓦が乗る....本瓦葺で片方が白壁、もう片方がくぐり戸の袖塀がある

△自然石で造立された寺号標石/門前の左右に佇む2基の石燈籠は、形が少し違うので造立時期が異なる(と思う)

△山門から眺めた境内の正面に蔵王堂と呼ばれる本堂(地域最古の建物)、後方右の高台に収蔵庫、右手に庫裡が建つ

△寄棟造本瓦葺の本堂(国重文)....室町時代の応永十三年(1406)の再建で、役行者が刻んだとされる本尊・蔵王権現像を安置

△本堂は方三間で、正面中央間は蔀戸で内側に引違の腰高明り障子戸、脇間は格子戸、両間の上に菱格子欄間がある

△軒廻りは二軒繁垂木、組物は出三斗で中備は間斗束....正面に一間の吹き放しの広い切目縁

△本堂右手に廊下で繋がった護摩堂が建つ....護摩堂の手前の切妻造本瓦葺の鐘楼のような建物に半鐘が下がる

△露盤宝珠を乗せた宝形造本瓦葺の護摩堂...三間四方で正面中央間は板扉、脇間は蔀戸

△露盤宝珠を乗せた宝形造本瓦葺の経蔵(と思う)

△境内に佇む幾つかの石造物の部位を積み重ねて造られた石塔/水穴を円形に彫り窪めた手水鉢

△本堂左奥に佇む十三重層塔、石燈籠そして鎮守社....手前左の木は大銀杏

△十三重層塔は鎌倉時代後期の造立で笠石の一部と基礎石は後補....瓦葺の社は伽藍の鎮守社の天神神社

△十三重層塔の初層軸部には二重円光形に顕教四仏(金剛界四方仏)が刻まれている/享保十二年(1727)の銘がある石燈籠

△山裾の石垣の上に修験道の最高の崇拝対象である役行者像が鎮座/岩肌に掘られた仏龕の中に鎮座する修験道の開祖・役行者像

△収蔵庫への石段の途中に建つ地蔵石仏を安置する切妻造桟瓦葺の覆屋

△覆屋に鎮座する石仏群....大きな舟光背形地蔵石仏2体は室町時代の造立

△地蔵石仏2体はいずれも蓮華座に立ち、宝珠と錫杖を持つ

△石造物は宝篋印塔の笠を乗せた石柱/高台に建つ収蔵庫への本堂脇の苔生した石段....上の建造物は鐘楼

△収蔵庫の境内に建つ切妻造本瓦葺の鐘楼/梵鐘の池ノ間に飛天(天女?)らしき像が鋳出されている

△寄棟造桟瓦葺で妻入りの収蔵庫....昭和四十三年(1968)の建立で、藤原時代(平安時代の中期~後期)作の諸仏約10体(多くが国指定重要文化財)を安置

△憤怒の形相の本尊・蔵王権現像と、収蔵庫内に安置されている仏像群(いずれもNETから拝借)

△本堂前に立つ金属製燈籠は大正十四年(1925)の造立

△片側を寄棟造りとし、もう片側を入母屋造りとした桟瓦葺で裳腰を設けた庫裡


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