何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

密蔵院-(2) (春日井)

2022年05月26日 | 寺社巡り-愛知

【愛知・春日井市】密蔵院は応仁の乱(応仁元年(1467)~文明九年(1477))の頃から衰えはじめた。 戦国時代の元亀二年(1571)、天台宗延暦寺と敵対していた織田信長による「比叡山焼き討ち」の影響をうけたものの戦火を免れた。 その頃、末寺は約100寺、塔頭は16坊を有した。 尾張の国からの寺領や寄進によって繁栄が維持され、江戸時代の元和元年(1615)、葉上流31世の珍祐が密蔵院に住持となって復興、さらに名古屋城三の丸に建立された東照宮の別当になるなど、再建に尽力した。
明治維新の神仏分離政策による廃仏毀釈や戦後の農地解放などを経て衰退した。 明治二十四年(1891年)の濃尾地震で本堂、仁王門、灌頂堂が倒壊など、昭和七年(1931)の時点では塔頭は常泉坊のみとなった。

●開山堂の前の参道傍に簡素な屋根の鐘楼が建つ。 NETで見つけた「密蔵院の伽藍配置図」に載っていないし、基壇が新しそうなので近年の建立か? 参道を挟んで近代的な白壁の建物が対面で建つが、窓がない造りなので宝蔵と思う。 鐘楼脇の参道から本堂境内を囲む築地塀と門、その右手に妻入りの庫裡が見える。
起り屋根の薬医門をくぐると、正面に書院玄関、左側に本堂が建つ。 本堂は簡素な造りで向拝に屋根がなく、正面は全面がガラス入りの腰高格子戸になっているので古民家風の佇まいだ。 向拝の水引虹梁に3本の鈴緒が垂れ下がり、真ん中は鰐口、左右にマニ車のような形をした「鈴」が釣り下がっていて珍しい。

△開山堂の前の新しそうな基壇の上に建つ鐘楼

△切妻造鉄板葺の鐘楼

△開山堂側から眺めた鐘楼....奥の白壁の建物は宝蔵か?

△切妻造桟瓦葺で窓のない建物は2棟目の宝蔵(と思う)....入り口前に紙垂付き注連縄が張られた祠のような物が置かれている

△鐘楼脇の切石敷の参道から眺めた本堂境内を囲む塀、その右手に庫裡が建つ

△本堂境内を囲む築地塀と門....切石敷参道の両側に佇む形の異なる石燈籠/宝暦十年(1760)造立の石燈籠

△切妻造桟瓦葺の門....門扉、門柱、梁などが丹色の薬医門で、門を通して奥に書院玄関が見える

△門は起り屋根....瓦葺屋根の築地塀の表は板張りで、少し歪んでいる

△八双金具と乳金具が付いた板扉の門を通して書院玄関と連なる本堂が見える/門に掲げられた「密蔵院」の額....門柱の根元に木製の根巻を施している

△門から眺めた本堂(左)と正面に書院玄関....書院玄関は右側に建つ庫裡と本堂とを繋ぐ廊下に設けられている

△本堂境内から眺めた門と築地塀....塀の内側には板張りがない

△入母屋造桟瓦葺の本堂....簡素な造りで張り出た向拝屋根がない

△軒廻りは一軒繁垂木、組物は柱上に置いた舟肘木、長押の上は全て白壁の小壁

△正面六間は全てガラス入りの腰高格子戸、正面に高欄のない切目縁

△水引虹梁に下がる3本の鈴緒....真ん中に鰐口、左右にマニ車風の鈴(と思う)/左右の鈴には小さな風鈴のような鈴がギッシリと並べた造りで珍しい

●本堂と庫裡を繋ぐ廊下に書院玄関があるが書院はなく、玄関後方に書院が建っていたことからの名称のようだ。 本堂境内の右隣りに、棟端に鯱を配した煙出しを乗せた妻入りの庫裡が建つ。 妻面の拝は猪の目風の形をした懸魚、また妻飾は蟇股、大瓶束、斗組を混成した混成複合式でいずれも珍しく興味を引いた。
境内に守護神の山王権現を祀る山王社が鎮座する。 さらに、市の文化財に指定された宝蔵が建つが、先の鐘楼に対面して建つ伽藍配置図にない建物も窓がないので宝蔵と推測されるが、宝蔵が2棟あることになり、尾張国の天台仏教の中心として栄えた古刹ゆえに多くの宝物を所有している所以か。

△本堂と庫裡を繋ぐ廊下に建つ書院玄関....入母屋破風で大棟端と稚児棟端に獅子口、玄関後方に書院址があるようだ

△書院玄関越しに眺めた庫裡...屋根に鯱を乗せた煙出しがある

△本堂境内の右隣に建つ庫裡

.△入母屋造桟瓦葺で妻入の庫裡....軒廻りは一軒疎垂木

△大棟単に獅子口、拝は猪の目風の懸魚、妻飾は混成複合式で蟇股、大瓶束、斗組が混成している

△流造桟瓦葺の山王社....守護神の山王権現を祀る、社頭に形が微妙に異なる4基の石燈籠が佇む

△正面と左右に宝珠高欄付き切目縁...左右の縁奥に板張りの脇障子

△右側の高欄が破損し取り外されている/身舎は真壁造りで、正面三間はいずれも全面蔀造りで入口は横にある

△寄棟造桟瓦葺の宝蔵....入り口前に桟瓦葺の庇、扉は腰高格子戸

△宝蔵は白壁の土蔵造りで窓がない....周囲の壁下半分に黒塗りの板を張っている/小棟端に寺紋(と思う)を入れた鬼板を配す

△多宝塔と墓所の間に墓碑群を見守るように設けられたモニュメント(と思う)

△モニュメントの中央に弥陀定印を結ぶ弥陀如来坐像が安置されている/弥陀如来後部の黒壁に蓮華座に鎮座する脇侍の観音菩薩(右)と勢至菩薩(左)が線刻されている




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