対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

ネイピアが捉えていた動点の動き

2023-06-19 | 指数と対数
運動現象の数学的取扱い(無限小解析)はガリレオから始まるとされているが、山本義隆はネイピアの対数の定義にその先駆けを見ている。ネイピア は、対数を数直線上の点の運動によって定義しているからである(対数を連続関数として捉えていた)。山本はネイピアの対数の定義に対して、「時代錯誤ではないだろう」として、微分方程式を提示している(『小数と対数の発見』p152)。

志賀浩二(『数の大航海』)はもう少し慎重である。「何よりも何よりも厄介なのは当時連続的に動く動点、また動点の速さという概念が記述できなかったことにある」。しかし、ネイピアは動点の動きを明確に捉えていたという。

実際、「記述」(1614年)における定義6(対数の定義)の直前の定義5には「瞬間の速さ」ともいうべき記述がある。

「定義5 ある運動よりも、一層 ゆっくりした運動も、また一層速い運動も与えられ得るということを知るときには、そのことからその運動に等しい速さをもつ運動も存在するということが結論できる(それをわれわれは速くもなく遅くもない運動という)。」

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