対話とモノローグ

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対数と指数の関係のはじまり

2024-06-17 | 指数と対数
『数の大航海』(志賀浩二)によれば、対数と指数との関係について、明確になってきたのは、18世紀の前半になってからである。文献に明確に記されたのは、ガードナーの「対数表」(1742年)だという。「ある数の常用対数は、その数に等しい10の冪の指数である」。

これまで、この指摘の年は遅い気がしていた。しかし、この印象は、後知恵で冪指数を使って等比数列を表示することを前提にしていたからではないかと思うようになった。対数と指数の関係は指摘通り、1742年頃から明確になっていったのではないか。

志賀浩二によれば、指数を独立した記号として取り出すことはなかなかできなかったという。指数は、負と分数の指数の導入(1656年のウォリス)のような孤立した試みはあったが、統一的に捉えられることはなかった。平方や立方また平方根や立方根あるいは逆数などの数の演算は独立したもので、それぞれ個性があって冪として統一されるようなものではなかったようなのである。

「そのことを考えると、指数という一般概念が生まれるためには、指数が個々の数の演算を指示するという働きをひとまず失うことが必要であったと思われる。指数は、数そのものから切り離され、まず「変数」xとして、あるいは文字xとして登場してきたのである。」(志賀)

これはライプニッツやベルヌーイの間でx^y+y^x=xyのような式がやり取りされたことを指している。「冪」は変量として、変量の肩に上がり、指数は変量の世界に登場してきたという。

17世紀の終りに着目すると、指数概念はライプニッツとベルヌーイによって、算術的なものとは無縁な形(方程式や曲線の表示)で育てられていた。他方、対数は積分概念の中にその温床があり、解析の領域に属していた。

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