対話とモノローグ

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シーボーグの2つの論文を読む

2022-03-01 | 周期律
『化学の原典8』にはシーボーグの論文が二つ載っている。「最も重い元素の電子構造」(1944年)と「最も重い諸元素の周期系中の位置と電子構造」(1949年)である(坂上正信訳)。

前者は94番プルトニウムPuを見つけた段階で、アクチノイドの考え方を述べている。
(引用はじめ)
このように89から94番元素への移行は6d殻を簡単にうずめていくということではないことは確からしい。/一方、ネプツニウムNpとプルトニウムPuの化学的な性質はUやThの性質と非常によく似ており、次のことを示唆するようである。すなわち、5f殻が次々と電子で満たされていって、ちょうど周知のランタニド系列(Lanthanide Series)つまり4f殻が次々に満たされていく58Ce-71Lu とよく類似したもう一つ別の希土類系列に当面しているのではないかということである。
(引用おわり)

後者は、95番アメリシウムAm、96番キュリウムCmを見つけた段階で、118番元素まで予想している。

97番から103番までの元素は希土類に似た遷移グループの第2の半分を構成し、加わる電子は6d殻に比べてエネルギーの低い5f殻に間違いなく配置される。それぞれエカ・ランタノイドである。例えば、101番はエカ・ツリウムTm、102番はエカ・イッテルビウムYb、103番はエカ・ルテチニウムLuである。
このあと、次のように述べて論文を終えている。
(引用はじめ)
6d殻が充填することで104番元素がこれにつづき、それはまさしくエカ・ハフニウムであろう。次々につづく諸元素で6d殻が充填されていったのち、仮想的な元素118番(これより以前には5g殻の充填が始まらないという論理的仮定の上にたって)において希ガス構造が達成され、ついで7p殻への付加があろう。
(引用おわり)

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