北のとうさんの鉄道旅・アマチュア無線JA8HBO

札幌に住むおやじが北海道を中心に鉄道旅の話題や無線の話題も織り交ぜてぼやきます。アマ無線のコールサインJA8HBO

北海道は必要ないのか

2017年04月10日 | JR北海道 JR北

今日はJR北海道が今年の春の日曜日限定で発売している「日帰り周遊パス」を使って名寄まで乗り鉄に出かけました。
写真は旭川駅






JR北海道に関する記事が北海道新聞に掲載され、それがJR北海道に対する批判的内容の場合、Twitter上ではほとんどの場合に北海道新聞を批判、揶揄する言葉が並びます。
鉄道ファンにとっては大切な知識でしょうが、記事の趣旨にはほとんど関係ないか、記事全体の意味合いにはほとんど影響を与えないことをあげつらって、その間違いを「道新レベル」と称してあざ笑うのです。
したがって、JR北海道の経営問題を論じると言うよりは、単なる「鉄道オタク」が聞きかじった鉄道知識の発表会のようなことになっている場合もあります。





また、最近、何かにつけてメディアを批判する傾向があります。特に政治に関しては、ひたすら現政権を擁護して特定のメディアを批判するのです。
現在の政権自身にそのような傾向がありますから、現政権支持の人たちにとっては渡りに船で騒ぐのでしょう。
私のように是々非々(日和見(笑))にはついていけないのがSNSの世界です。

JR発足30年を意識してのことでしょうか、鉄道関係以外の雑誌や新聞でもJRの問題やJR北海道の経営問題について特集を組むなどしているのが目立ちます。
柔らかい内容の週刊プレイボーイ誌までが特集を掲載し、鉄道ファンでもある自民党の石破代議士、いすみ鉄道の鳥塚社長、タレント?の石原良純氏、そして放送大学の原武史教授などのインタビューが掲載されています。(

(特急宗谷の車両キハ261系を使いまわす、名寄駅での旭川行き特急サロベツ4号)



そんな中で、朝日新聞の社説に目が止まりました。
JRの問題を非常に明快に説明していました。

2015年度の決算でJR7社の経常黒字は1兆1千億円になります。
しかし、大半は本州3社によるもので他の4社はごくわずか、特に北海道は非常に厳しい状況です。




諸外国での公共交通は利益が出ないのが前提で、ほとんどの場合公費が投入されています。
ところが、わが国では、特にJRに関しては公費の投入どころか、都市部で出た利益を地方路線の赤字補てんや赤字のJR2社に回すことすら消極的で、その論議すら行われません。
一方で、JR東海は自前でのリニア新幹線の建設に踏み切り、西日本は北陸新幹線の延伸を目指しています。
果たして東京・大阪間に3本もの高速鉄道が必要なのかという議論も行われません。
ましてや人口が減少して過疎化が進むであろう地域を走る北陸新幹線は、果たして必要なのでしょうか。
また、膨大な電力を必要とするリニア新幹線が我が国にとって、今必要なのかという事も議論されません。高度経済成長時代に逆戻りするような感覚です。国は財政投融資で援助すらしようとしています。地方の鉄道を切り捨てながらです。

地方の赤字路線は果たして必要かとする主張がメディアの共通認識となり、日本の大多数の世論も、そのような流れになっています。

上下分離などという事を突然言い出したJR北海道の経営陣ですが、これはスタブリシュメント要するに政府が言わせているのでしょう。

限界集落が多数存在し、公営の交通機関すら運営できない地方財政では上下分離の費用負担をできるわけがないことは、当然に政府官僚も知っているでしょう。
なぜ、上下分離をJR北海道に言わせたのかというと、夕張市のように白旗を上げて廃線を自ら言わせることが目的なのかと勘ぐってしまいます。
さらに、政府としても公費の負担をしたくない、できないという事でいょう。歴代の政権は富の分配に失敗したという事ですね。自ら作った企業の間で大きな差を生じてしまったことを失敗とはとらえていない。資本主義だから自由詩競争だからと見逃しているうちに国民が教授する公共の利益に、住む土地によって大きな差を生じていることに真正面から立ち向かおうとせず、「儲ける企業が出たことは素晴らしい」としか考えていないようです。
支線はすべて本州に向いているのです。
九州は順調のように見えますが、古い列車の外観を変えただけで、何らの新味も感じない観光列車を走らせるだけ。さらに一人のデザイナーに頼ることの危険性を感じるのは私だけでしょうか。とても継続性があるとは思えません。もっと言えば、鉄道は捨ててしまったという事でしょう。

本州3社にJR北海道の支援金を拠出させることも考えられますが、近年の国民感情からすると理解が得られないという事もあります。

ふるさと納税のように見返りがあると我先に納税する国民も、「好きで勝手に過疎地に住む」人たちに思いを寄せることなどはしなくなっているようです。特に北海道に関しては、邪魔な国土と感じているのではないかと邪推してしまう事もあります。



昨年の相継いだ台風の影響でポテトチブスの供給に影響が出ています。北海道は日本の食糧基地なのです。
都会の人たちが支払った運賃の、ごく一部でも北海道や四国の鉄道の維持のために使う事を受け入れる度量を持ってほしいものです。

先日、札幌周辺のJR利用者は自分たちの支払う運賃が地方赤字路線への補填に使われることに、疑問を持っているのではないかという声がツイッターで見かけられました。まるで北海道内で棄民思想を拡散しているような意見でした。
まさか、このようなことを考える道産子がいないことを祈ります。

資本主義は今まで、順調に成長して国民に富の配分をして来ました。しかし、ここへきて流れが変わり富の分配も難しくなりつつあります。
このような社会の下でどのように公共交通を維持していくのか国民全体で考える時に来ています。
そのためには、かなり高い経営能力と指導力が要求されます。
しかし、今のJR北の状態では元国鉄官僚だった社長と官僚出身の北海道知事では難しいでしょう。
地元との記念列車の運行の調整を「営業」だったと勘違いしている社長は、もう退いていただきたい。営業経験の無い、マーケティングの知識のない社長にJR北海道は任せておけません。
このままでは北海道の鉄道と北海道そのものが消えてしまいます。
(富良野線のキハ150)