これも古く時期外れですが、先の裏岩手縦走路に続いて掲載することにしました。
この時は当時の土曜日曜の2日間JR東日本フリーという「とくとく切符」で出かけました。しかし、どう頑張っても登山可能な時刻に乳頭温泉に着くことはできません。そこで、初日は一ノ関で降りて、中尊寺を見物することにしました。その後、盛岡経由で田沢湖までやってきて、乳頭温泉の中の孫六温泉に投宿しました。
乳頭温泉には、黒湯、孫六温泉、大釜温泉、妙ノ湯、蟹場温泉、鶴ノ湯がありますが、孫六温泉は一番鄙びているかもしれません。乳頭温泉にやってきたのはこの時が二度目でしたが、現在は先の六つの温泉全てに宿泊あるいは日帰り入浴をしています。各々特徴がありますので、どこがいいかは好みあるいは何を求めるかだと思います。家族と出かけた時は、瀟洒な妙ノ湯に泊まりました。この時孫六温泉を見て、家族はここには泊まりたくないといいました。
もちろん、この時は鄙びた風情に引かれて宿を選んだわけですから、不満はありません。部屋にTVもなく、宿の人も「夜が長いですよ」と言っていました。でも、星空の下露天風呂に入ったりして時間は過ぎていきました。
出かけたのは1994年の6月です。
行程 【 孫六温泉~田代岱分岐~鶴ノ湯分岐~小白森~大白森~鶴ノ湯~鶴ノ湯旧道入口 】
説明の先頭に(*)がある写真は拡大できます。
---------------------------------------------------------------------------
孫六温泉の朝食は筍の味噌汁でした。この味噌汁は今まで食べた味噌汁の中で一番美味しかったと今でも思っています。採りたての筍の香りがなんともいえませんでした。
孫六温泉に泊まったにもかかわらず、そこから稜線に向かわず大釜温泉まで戻ってそこで山道に入ります。孫六温泉からの道はかつて歩いたことがあり、その時眺めた素朴な雰囲気に引かれて今回は孫六温泉に泊まることにしたのです。それに大白森へは遠回りになります。
山道に入るとそこは驚くような状況になっていました。大量のゴミが散乱しています。アキカンとビニール袋があちこちにころがっています。そして、ラジオがかなりの音量で鳴らされ、笹の中でガサガサ人が動いています。筍採りです。それにしてもゴミの散乱状況は想像を越えていました。
ゴミがなく、筍採りの人達がいなければ、ブナの中のなかなか好ましい道だと思うのですが・・・。このような状況は小白森まで続きました。
目についたのはゴミだけでありません。時々可愛い花にも出会えました。道の傍らに綺麗に咲いていたツバメオモトとキクザキイチリンソウの小いさな群落を憶えています。
小白森から駒ケ岳。
小白森を越え、大白森との鞍部まで来るとさすがにゴミもなければ人もいません。そこから一登りで、大白森の山頂湿原です。今までほとんどブナの中を歩いてきたので、明るい陽射しがまぶしいくらいです。
快晴の素晴らしい天気でしたから、この湿原でのひとときは本当に気持ちよかったです。しかも、他に人がいません。独り占め状態です。こういう素晴らしいひとときがあるので山歩きは止められません。
花では一面に咲いていたムシトリスミレが印象に残っています。ムシトリスミレはあまり見る機会がなかった花ですが、それがたくさん咲いていました。その為か他に咲いていた花を憶えていません。写真で見るとワタスゲが咲いていたようです。
山頂の湿原は水平ではなく、西から東かに向かって下がっています。そして植生の関係もあって西側は展望がありませんでした。しかし、他は素晴らしい眺めでした。
薄っすら見えていた森吉山。
(*)山頂から乳頭山~駒ケ岳の眺め。
(*)山頂から裏岩手縦走路の山々。八幡平~畚岳~諸桧岳~嶮岨森~大深岳~小畚山~三ツ石山が見えます。その右奥に薄っすら岩手山です。左手前は曲崎山。
現在は湿原には木道が設置されたようですが、当時はありませんでした。その為大休止する場所に苦労しました。そこで仕方なく湿原を外れて、小白森側の乾いた登山道で休むことにしました。他に人がいないのでもちろん問題ありませんでした。
(*)大休止した場所からの乳頭山~駒ケ岳の眺め。
十分に満足して下山します。下り始めて直ぐに若い男女の二人連れとすれ違いました。筍採りの人を除けば、この日会った登山者はこの二人だけでした。
再びゴミの中を鶴ノ湯に下りました。現在乳頭温泉の代表格はこの鶴ノ湯だと思いますが、最初に乳頭温泉を訪れた1981年頃の代表格は黒湯でした。
鶴ノ湯に下りてきて温泉に入らないというのは考えられません。あの乳白色の温泉にのんびり入りました。
鶴ノ湯は高原温泉のバス停まで送迎をやっているようでしたが、それを使わず鶴ノ湯への旧道入口のバス停まで歩きます。鶴ノ湯からしばらく道の真ん中が深く掘られています。少し下に新館ができるらしく、その為の引き湯の管の工事だということでした。これはすれ違った老人が教えてくれました。(今は新館も営業しているみたいです)
入浴後なので汗をかかないようにとのんびり登ったのですが、やはり汗が出ます。しかし、それもブナ林の中の平らな道になると、涼しい風が吹き払ってくれました。
大白森はまさにゴミの山の先にある天上湿原という感じでした。
この時は当時の土曜日曜の2日間JR東日本フリーという「とくとく切符」で出かけました。しかし、どう頑張っても登山可能な時刻に乳頭温泉に着くことはできません。そこで、初日は一ノ関で降りて、中尊寺を見物することにしました。その後、盛岡経由で田沢湖までやってきて、乳頭温泉の中の孫六温泉に投宿しました。
乳頭温泉には、黒湯、孫六温泉、大釜温泉、妙ノ湯、蟹場温泉、鶴ノ湯がありますが、孫六温泉は一番鄙びているかもしれません。乳頭温泉にやってきたのはこの時が二度目でしたが、現在は先の六つの温泉全てに宿泊あるいは日帰り入浴をしています。各々特徴がありますので、どこがいいかは好みあるいは何を求めるかだと思います。家族と出かけた時は、瀟洒な妙ノ湯に泊まりました。この時孫六温泉を見て、家族はここには泊まりたくないといいました。
もちろん、この時は鄙びた風情に引かれて宿を選んだわけですから、不満はありません。部屋にTVもなく、宿の人も「夜が長いですよ」と言っていました。でも、星空の下露天風呂に入ったりして時間は過ぎていきました。
出かけたのは1994年の6月です。
行程 【 孫六温泉~田代岱分岐~鶴ノ湯分岐~小白森~大白森~鶴ノ湯~鶴ノ湯旧道入口 】
説明の先頭に(*)がある写真は拡大できます。
---------------------------------------------------------------------------
孫六温泉の朝食は筍の味噌汁でした。この味噌汁は今まで食べた味噌汁の中で一番美味しかったと今でも思っています。採りたての筍の香りがなんともいえませんでした。
孫六温泉に泊まったにもかかわらず、そこから稜線に向かわず大釜温泉まで戻ってそこで山道に入ります。孫六温泉からの道はかつて歩いたことがあり、その時眺めた素朴な雰囲気に引かれて今回は孫六温泉に泊まることにしたのです。それに大白森へは遠回りになります。
山道に入るとそこは驚くような状況になっていました。大量のゴミが散乱しています。アキカンとビニール袋があちこちにころがっています。そして、ラジオがかなりの音量で鳴らされ、笹の中でガサガサ人が動いています。筍採りです。それにしてもゴミの散乱状況は想像を越えていました。
ゴミがなく、筍採りの人達がいなければ、ブナの中のなかなか好ましい道だと思うのですが・・・。このような状況は小白森まで続きました。
目についたのはゴミだけでありません。時々可愛い花にも出会えました。道の傍らに綺麗に咲いていたツバメオモトとキクザキイチリンソウの小いさな群落を憶えています。
小白森から駒ケ岳。
小白森を越え、大白森との鞍部まで来るとさすがにゴミもなければ人もいません。そこから一登りで、大白森の山頂湿原です。今までほとんどブナの中を歩いてきたので、明るい陽射しがまぶしいくらいです。
快晴の素晴らしい天気でしたから、この湿原でのひとときは本当に気持ちよかったです。しかも、他に人がいません。独り占め状態です。こういう素晴らしいひとときがあるので山歩きは止められません。
花では一面に咲いていたムシトリスミレが印象に残っています。ムシトリスミレはあまり見る機会がなかった花ですが、それがたくさん咲いていました。その為か他に咲いていた花を憶えていません。写真で見るとワタスゲが咲いていたようです。
山頂の湿原は水平ではなく、西から東かに向かって下がっています。そして植生の関係もあって西側は展望がありませんでした。しかし、他は素晴らしい眺めでした。
薄っすら見えていた森吉山。
(*)山頂から乳頭山~駒ケ岳の眺め。
(*)山頂から裏岩手縦走路の山々。八幡平~畚岳~諸桧岳~嶮岨森~大深岳~小畚山~三ツ石山が見えます。その右奥に薄っすら岩手山です。左手前は曲崎山。
現在は湿原には木道が設置されたようですが、当時はありませんでした。その為大休止する場所に苦労しました。そこで仕方なく湿原を外れて、小白森側の乾いた登山道で休むことにしました。他に人がいないのでもちろん問題ありませんでした。
(*)大休止した場所からの乳頭山~駒ケ岳の眺め。
十分に満足して下山します。下り始めて直ぐに若い男女の二人連れとすれ違いました。筍採りの人を除けば、この日会った登山者はこの二人だけでした。
再びゴミの中を鶴ノ湯に下りました。現在乳頭温泉の代表格はこの鶴ノ湯だと思いますが、最初に乳頭温泉を訪れた1981年頃の代表格は黒湯でした。
鶴ノ湯に下りてきて温泉に入らないというのは考えられません。あの乳白色の温泉にのんびり入りました。
鶴ノ湯は高原温泉のバス停まで送迎をやっているようでしたが、それを使わず鶴ノ湯への旧道入口のバス停まで歩きます。鶴ノ湯からしばらく道の真ん中が深く掘られています。少し下に新館ができるらしく、その為の引き湯の管の工事だということでした。これはすれ違った老人が教えてくれました。(今は新館も営業しているみたいです)
入浴後なので汗をかかないようにとのんびり登ったのですが、やはり汗が出ます。しかし、それもブナ林の中の平らな道になると、涼しい風が吹き払ってくれました。
大白森はまさにゴミの山の先にある天上湿原という感じでした。