- わずかに花をつけた小持山のアカヤシオ -
今回は、ブログ「はなねこ山」の「はなねこ」さん御夫妻、そして友人 Y 、という四人での山歩きです。
三年前 Y と一緒に秋田駒ケ岳に出かけた時の事です。
馬場の小路で反対側からやってきた夫婦連れのご主人に Y が突然「○○君?!」と声をかけたのです。
なんと、 Y とそのご主人は中学・高校の時の同級生で、卒業以来の偶然の出会いが駒ケ岳の山中だったというわけです。(相当な年数が過ぎているのに、二人ともよくわかったと思うのですが・・・)
その時はそれだけで終わったのですが、翌年スミレの検索で私がはなねこさんのブログに行き着き、そこでその時のお二人がはなねこさん御夫妻だったということがわかったのです。
昨年も一度秩父の山を歩きましょうという計画があったのですが都合により取りやめになりました。
今年再度計画を改め、今回の山歩きとなったわけです。
メインの目的はアカヤシオにあったのですが、今年は例年に比べ咲くのが遅く、さらに数日降り続いた雨の影響で落花したものや痛んでしまったものがありました。
代わりにスミレの咲きだしが遅れて、いつもの年よりたくさんの花が見られました。
秩父鉄道の御花畑駅で降りて、三人がやってくる西武秩父駅の待合せ場所に向かいます。
はなねこさん御夫妻にお目にかかるのは実際は二度目ですが、実質初めてといっていいです。
挨拶もそこそこに早速タクシーで生川の一ノ鳥居に向かいます。
走り出した途端お喋りが始まった話好きの運転手の勢いは ・・・ 羊山の芝桜は雨で散ってしまった、生川も今日既に二度目、野口健(登山家)が ・・・ と止まりません。
生川の駐車場は当然満杯で、路上駐車の列がいつもより長く連なっていました。
我々が向かうのは、多くの人が向かう武甲山の表参道ではなく、妻坂峠です。
沢沿いに杉林の中を体がちょうど暖まるくらい登ると新緑の世界が現れます。
連日の雨で水量が普段より多い沢を渡って、気持ちのいい新緑の中を登って行きます。
ニッコウネコノメソウ、コガネネコノメソウ、ミツバコンロンソウ、トウゴクサバノオ、ニリンソウ、ヒトリシズカ、ハシリドコロなどが姿を現します。
早くもはなねこさん、本領発揮です。独特のスタイルで花を「対面撮影」です。
その撮影中の姿を撮った写真があるのですが、掲載すると叱られそうなので止めておきます。
事情を知らない人が見ると、間違いなく怪しいと思うのでは・・・。
妻坂峠に到着です。
妻坂峠は四辻で、真っ直ぐ下れば名栗へ、左は武川岳へ、右が大持山への道です。
気持ちのいい新緑の中を登って行きます。
急な部分を登りきると道は緩やかになり、「気持ちよさ」はさらに増します。
新緑の頃、登りとは感じない緩やかなこの道の歩みは捨て難いものがあります。
最後にまた急になった道を少し登れば鳥首峠分岐です。
ここからは東から南にかけて展望が開けます。
武川岳方面の眺め
蕨山方面の眺め
分岐から細尾根の道となり、それを少し登れば大持山の山頂です。
大持山頂から大平山方面の眺め
ここから小持山まで、細尾根の楽しい道が続きます。
新緑は綺麗なのですが、アカヤシオが ・・・。
咲き出してはいますが、花が数えるほどしかありません。
途中にある岩頭からの眺めは爽快そのものです。
岩頭の傍らのアカヤシオはいつも早めに咲くのですが、雨のためでしょうか、既に花が痛んでいました。
花をつけている木はそれなりにあるのですが、なにせ花の数が少ないです。
それでも、小持山が近づくと少し花の数が増えてきました。
狭い小持山の山頂に到着です。
ここから眺める武甲山の姿からは、反対側の痛々しい姿を想像することはできません。
狭い山頂では落ち着かず、休む場所もありません。
山頂で誰もが記念写真を撮りたくなるような場所では休まないという一種のマナーを守る人が昔は多かったですが、最近はお構いなしです。
休む場所を求めて、シラジクボに向かって下りて行きます。
登るにつれて薄くなった緑が、逆に下るにつれて濃くなります。
なかなか適当な場所が見つからず、シラジクボの手前まで下りて、風のない場所で昼食です。
昼食後ですが、当初は状況次第ではシラジクボから生川に下るということも考えていたのですが、特に問題なしということで、武甲山に向かいます。
小持山から下った分を登り返さなくてはいけません。
陽当たりのいい南斜面の登りですが、タチツボスミレをはじめとしてたくさんの花が見られました。
ここまでに咲いていたものを含めて少しだけ紹介すると ・・・
【 エイザンスミレ 】
花の色がアケボノスミレのようです。
【 ナガバノスミレサイシン 】
ここのナガバノスミレサイシンはほとんどが白花です。
【 マルバスミレ 】
【 フモトスミレ 】
【 フデリンドウ 】
【 ニリンソウ 】
.
結構な花の数ですからはなねこさんの一時停止の回数が増えます。
私も結構立ち止まって花の写真を撮っていますが、はなねこさんほど丁寧には撮影しませんので ・・・。
結果として私が先に進んでいることが多く、時々「そこに○○がいるヨ」と声をかけます。
花が現れ始めると、はなねこさんの御主人と名前がわからないからとスミレの写真を撮らない Y が先に進んでしまうことになります。
登りの途中、左手の落葉松林の下にバイケイソウが現れます。
毎度のことながら、緑の広がりに一種の清々しさを感じます。
花の咲く登りは浦山口駅への分岐が終点です。
結局写真を撮らないはなねこさんの御主人と Y が先に着いて待っている所へ、私、そしてはなねこさんの順で到着です。
ここからは、背後に今まで歩いてきた尾根筋を見渡すことができます。
花は姿を消しますが、分岐から山頂までは直ぐです。
武甲山頂からの眺め
山頂から眺めた羊山の芝桜は、タクシーの運転手が言っていたように、花がだいぶ落ちてしまっているようです。
山頂部にもバイケイソウが進出しています。
さて、ここから生川に下るのですが、下山時刻に合わせてタクシーを山頂から予約するつもりだったのですが圏外ということでダメでした。
浦山口駅に下ることも考えましたが、結局予定通り生川に下り、そこから電波状況を確認しながら横瀬に向かうことにしました。
一般的には気軽にコース変更をすべきではありませんが、私は若い頃から何回となく武甲山は歩いていますので ・・・。
表参道は杉林の中につけられています。
歩きやすい道なのですが、景色に変化がないのが欠点です。
時折見られる明るい新緑や ・・・
ヒトリシズカでさえ、慰め(?)になります。
やがて不動滝が目の前に現れます。
やはり数日続いた雨で水量が多く、普段より立派に見えます。
傍らには不動明王が ・・・。
滝と不動明王を結び付けているのは何か、長い間不思議に思っていたのですが、しばらく前に読んだ白洲正子の文章でちょっと手がかりをつかんだような気がしています。
不動滝から少し下ると生川沿いの林道に出て、流れに沿って下って行きます。
状況としては絵になると思って撮ったのですが、タチツボスミレは誰も振り向いていませんでした。
薄暗い杉林から解放されると、新緑の山肌がまぶしいくらいです。
いつもより水量の多い生川を渡ると一ノ鳥居の駐車場です。
ここでも依然として圏外です。
仕方ないので、横瀬に向かいます。
他の人が呼んだタクシーの運転手の話では、芝桜による渋滞のためにやっと来れたということでした。
そんなこともあって、結局西武鉄道の横瀬駅まで歩いてしまいました。
ゆっくりしたペースでしたのでそれなりに時間はかかりましたが、特に疲れたという表情を誰も見せることなく歩き終えることができてよかったです。
新緑の美しさは予想通りでしたが、アカヤシオの咲き具合がちょっぴり残念でした。
せっかく一緒に歩くからにはやはりたくさん咲いていて欲しかったですが、代わりにいつも以上のスミレの花に出会えました。
楽しい山歩きでしたが、その楽しさは一人で気ままに歩くのとは別のものです。
山は歩くスタイルに応じた楽しみ方ができるということです。
怪しいはなねこです。
この日はお世話になりました。とても楽しかったです。
妻坂峠から武甲山の山頂までのトレイルは、気持ちがいいですね。
すっかりお気に入りになりました。
またいつか歩いてみようと思います。
花を撮りながら、私自身他の人から怪しいオジサンと見られているだろうなと思うことがあります。
可愛い花を見たらなかなか素通りはできない 気持ちは同じだと思います。それがスミレならば特に ・・・。
でも、その結果「この前は30分も待たされた」と何回か嘆く人が・・・。