西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ベーラ・バルトーク

2007-09-26 08:32:30 | 20世紀音楽
今日は、ハンガリーの作曲家ベーラ・バルトークが亡くなった日です(1945年)。
バルトークは、もしかしたら20世紀最高の作曲家ではないかと思うことがある。しかし、その作品は難解そのもので、容易に近づけ、私には分かったなどと言えるようなものではない。晩年の作品「弦楽のためのディヴェルティメント」を難解ながらも幾度か耳にし、徐々にバルトークの語法に少し慣れたようにも思うが、依然として晩年の協奏曲群には、何なのだろうと戸惑うことがある。「ヴィオラ協奏曲」が絶筆の作品となったようだが、この作品が依頼によるものとはいえ、ショスタコービチが同じく「ビオラ・ソナタ」を最後に書き上げたことも思い出される。
バルトークは弦楽四重奏曲を6曲書いていて、ベートーベンのそれに継ぐものだといわれることがあるが、ベートーベンの作品は頭に沁みこむくらい聴いて来たが、バルトークのそれはこれからである。4番だったか、5番だったか、どれが一番優れていますかだったか、好きな作品かだったか、ある音楽を業とする人に聞いて返事をもらったことがあり、取り組もうと何度か思ったこともありましたが、依然そのままである。
あるいは、バルトークは、その多彩な民族舞曲など、東欧の各地の様々な民俗に根ざした彼の採集し5線譜に書き残した音楽、これから入るのもよいかと思ったりする。バルトークほど、自分の音楽の根幹をこれら民謡ともいうべき何気ない民衆の素朴な観念に求め、それから大樹になるまで発展させた音楽家はいないのではないか。私は、以前も述べたが、このような世界各地に自然と根ざした民俗観念、そこに由来する音楽が好きで、尊重したく思う。コスモポリタンも悪くは無いが、そこには自国の文化を大切に思う心を根絶やしにする危険も含まれ、多くの場合、そのような主張を持つ者たちには与しない立場を取ってきたし、これからも取るであろう。そのようなことからもバルトークは私にとって身近な存在足りうるのである。