下の息子は大学卒業後テレビ業界にあこがれてバラエティ番組の制作会社に就職した。
見習いから番組のADになり、たまにはADとして番組にちょこっと出ることもあり、親バカは担当番組を録画して欠かさず見ていた。
少しでも出演した時には番組の最後のクレジットに名前が出ることもあって、普段は見もしないのにクレジットを真剣に見ていた。
そうするとやたらにプロデューサとかディレクターが沢山いて、どういう役割分担かも皆目わからず。素人ながらADからディレクターになりプロデューサーになっていくのかと思っていたのですが、それにしても局と制作会社でそれぞれいて、どういうふうに仕事をやっているのか分からない。下の息子が帰省した時に聞いたことがあるけど明確な答えはないまま、そのうちに会社を辞めてしまい未だ謎。
そんな私ですが、この本を読んで業界の業務分担が少しわかったような気がする。
映画会社なりテレビ局の製作プロデューサーは企画・製作を担い、作品をつくる資金集めから興業まで責任を持つ。制作会社は作品をつくる実作業全般を受け持ち製作から発注されて制作する。制作スタッフの仕事は段取りをたてて円滑に現場を回すことで、いわゆる「雑用係」。制作会社にもラインプロデューサーがいて予算管理などをしているのですが、制作会社はロケ地探しと交渉、弁当の手配からお茶場テーブルの設定、エキストラの誘導や交通整理までまさに雑用全般をこなす、そこで下働きとして走り回るのが制作会社のADなんでしょう。
そんなことは期待もせずに大ファンの有川ひろさんの読んでいない新しい小説が図書館の書架に並んでいたと言うことで借りたのですが、予想外の業界事情の解説にもなって興味津々で読了できました。
映像制作にあこがれて専門学校を出たものの就職先に選んだ映像制作会社は計画倒産。おかげでその片割れと疑われてか就職面接を受けた映像制作会社からはことごとく断られて、食べるためにキャバクラのチラシ配りのバイトをしている良井良助。ひょんなことからバイトの先輩から誘われてあこがれの映像制作会社のバイトに。
そこから話はとんとん拍子で進んで、いつの間にかその映像制作会社「殿村イマジン」の正社員に。
映像制作の現場の様子は有川さんの作品が映画化・テレビドラマ化された時に見たり聞いたりし、原作者として経験したことがベースになっているのでしょう。「図書館戦争」「阪急電車」「県庁おもてなし課」「空飛ぶ広報室」「フリーター家を買う」などなどさすが人気作家、私が覚えているだけでもたくさんの作品があります。
見るもの聞くもの戸惑うばかりの全くの初心者から入った現場で最初はとにかく言われたことを走ってこなすしかなかった主人公が経験を重ねることによって成長していき、何となく気になる助監督と恋愛感情が芽生えていく展開は、いかにも小説で少し調子よすぎるのではと思いつつ、さすが有川さん、手慣れたものでぐいぐい読ませます。
何が起こるか分からない現場で、直面する問題に臨機応変、知恵と度胸と努力で乗り切っていくのですが、そこではちゃんと敵役となる金集めが上手いだけのプロデューサー、わがままな暴君の監督、責任を取ろうとせず上にヨイショするだけのチーフ助監督などなど結構いろいろ出てくるのですが、敵役が憎たらしいほど物語は盛り上がるんですよね。それにしても仕事はできないのに上に取り入ることが上手いのか上司は現実でもいかにもありそうなのですが、そういう人の方が上に取り入って出世街道を順調に上がっていくのは如何。それでも現場の人たちは理不尽にもめげず、いい作品を作ろうとまじめに手を抜くことなく最善を尽くしているのは、ものつくり日本の縮図。そこらあたりをきちんと書き込んであるのが有川作品の人気の秘密ですか。
これは現実によくある話と思っているのは私だけ?もっとも敵役と言えども上にあがっていくのにはそれなりの能力と人望はあるはずで、軽いだけで担がれているわけではないはず。そこらあたりを書き込むと敵役としての魅力を減じるので小説としては書かないのでしょうけど。
ところで小説を映像化するにあたっては、読者のイメージと食い違うことが多々あるのは避けられず、毀誉褒貶がつきもの。有川作品でもキャスティングなどでSNSで炎上したことがあったのですが、有川さんのスタンスは、観たくない人は無理に観る必要はなくて、観る人の権利も観ない人の権利も等しく尊重されるべき。楽しみに待っている人、映像化にかかわっている人の気持ちを傷つける免罪符として原作を振りかざすことをしないでください。この小説の中にもキャスティングに反発する読者の誹謗に原作者がSNSで発信したことが出ているのですが、これは「倒れるときは前のめり ふたたび」で書いてありますが、現実に映像化に対する誹謗があり有川さんが同趣旨のことを発信している。匿名の陰に隠れて悪口雑言を書き散らす人にはちゃんと名前を名乗って自分の言葉に責任を持ってほしいものです。
見習いから番組のADになり、たまにはADとして番組にちょこっと出ることもあり、親バカは担当番組を録画して欠かさず見ていた。
少しでも出演した時には番組の最後のクレジットに名前が出ることもあって、普段は見もしないのにクレジットを真剣に見ていた。
そうするとやたらにプロデューサとかディレクターが沢山いて、どういう役割分担かも皆目わからず。素人ながらADからディレクターになりプロデューサーになっていくのかと思っていたのですが、それにしても局と制作会社でそれぞれいて、どういうふうに仕事をやっているのか分からない。下の息子が帰省した時に聞いたことがあるけど明確な答えはないまま、そのうちに会社を辞めてしまい未だ謎。
そんな私ですが、この本を読んで業界の業務分担が少しわかったような気がする。
映画会社なりテレビ局の製作プロデューサーは企画・製作を担い、作品をつくる資金集めから興業まで責任を持つ。制作会社は作品をつくる実作業全般を受け持ち製作から発注されて制作する。制作スタッフの仕事は段取りをたてて円滑に現場を回すことで、いわゆる「雑用係」。制作会社にもラインプロデューサーがいて予算管理などをしているのですが、制作会社はロケ地探しと交渉、弁当の手配からお茶場テーブルの設定、エキストラの誘導や交通整理までまさに雑用全般をこなす、そこで下働きとして走り回るのが制作会社のADなんでしょう。
そんなことは期待もせずに大ファンの有川ひろさんの読んでいない新しい小説が図書館の書架に並んでいたと言うことで借りたのですが、予想外の業界事情の解説にもなって興味津々で読了できました。
映像制作にあこがれて専門学校を出たものの就職先に選んだ映像制作会社は計画倒産。おかげでその片割れと疑われてか就職面接を受けた映像制作会社からはことごとく断られて、食べるためにキャバクラのチラシ配りのバイトをしている良井良助。ひょんなことからバイトの先輩から誘われてあこがれの映像制作会社のバイトに。
そこから話はとんとん拍子で進んで、いつの間にかその映像制作会社「殿村イマジン」の正社員に。
映像制作の現場の様子は有川さんの作品が映画化・テレビドラマ化された時に見たり聞いたりし、原作者として経験したことがベースになっているのでしょう。「図書館戦争」「阪急電車」「県庁おもてなし課」「空飛ぶ広報室」「フリーター家を買う」などなどさすが人気作家、私が覚えているだけでもたくさんの作品があります。
見るもの聞くもの戸惑うばかりの全くの初心者から入った現場で最初はとにかく言われたことを走ってこなすしかなかった主人公が経験を重ねることによって成長していき、何となく気になる助監督と恋愛感情が芽生えていく展開は、いかにも小説で少し調子よすぎるのではと思いつつ、さすが有川さん、手慣れたものでぐいぐい読ませます。
何が起こるか分からない現場で、直面する問題に臨機応変、知恵と度胸と努力で乗り切っていくのですが、そこではちゃんと敵役となる金集めが上手いだけのプロデューサー、わがままな暴君の監督、責任を取ろうとせず上にヨイショするだけのチーフ助監督などなど結構いろいろ出てくるのですが、敵役が憎たらしいほど物語は盛り上がるんですよね。それにしても仕事はできないのに上に取り入ることが上手いのか上司は現実でもいかにもありそうなのですが、そういう人の方が上に取り入って出世街道を順調に上がっていくのは如何。それでも現場の人たちは理不尽にもめげず、いい作品を作ろうとまじめに手を抜くことなく最善を尽くしているのは、ものつくり日本の縮図。そこらあたりをきちんと書き込んであるのが有川作品の人気の秘密ですか。
これは現実によくある話と思っているのは私だけ?もっとも敵役と言えども上にあがっていくのにはそれなりの能力と人望はあるはずで、軽いだけで担がれているわけではないはず。そこらあたりを書き込むと敵役としての魅力を減じるので小説としては書かないのでしょうけど。
ところで小説を映像化するにあたっては、読者のイメージと食い違うことが多々あるのは避けられず、毀誉褒貶がつきもの。有川作品でもキャスティングなどでSNSで炎上したことがあったのですが、有川さんのスタンスは、観たくない人は無理に観る必要はなくて、観る人の権利も観ない人の権利も等しく尊重されるべき。楽しみに待っている人、映像化にかかわっている人の気持ちを傷つける免罪符として原作を振りかざすことをしないでください。この小説の中にもキャスティングに反発する読者の誹謗に原作者がSNSで発信したことが出ているのですが、これは「倒れるときは前のめり ふたたび」で書いてありますが、現実に映像化に対する誹謗があり有川さんが同趣旨のことを発信している。匿名の陰に隠れて悪口雑言を書き散らす人にはちゃんと名前を名乗って自分の言葉に責任を持ってほしいものです。