怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

有川ひろ「イマジン?」

2021-09-06 06:51:47 | 
下の息子は大学卒業後テレビ業界にあこがれてバラエティ番組の制作会社に就職した。
見習いから番組のADになり、たまにはADとして番組にちょこっと出ることもあり、親バカは担当番組を録画して欠かさず見ていた。
少しでも出演した時には番組の最後のクレジットに名前が出ることもあって、普段は見もしないのにクレジットを真剣に見ていた。
そうするとやたらにプロデューサとかディレクターが沢山いて、どういう役割分担かも皆目わからず。素人ながらADからディレクターになりプロデューサーになっていくのかと思っていたのですが、それにしても局と制作会社でそれぞれいて、どういうふうに仕事をやっているのか分からない。下の息子が帰省した時に聞いたことがあるけど明確な答えはないまま、そのうちに会社を辞めてしまい未だ謎。
そんな私ですが、この本を読んで業界の業務分担が少しわかったような気がする。
映画会社なりテレビ局の製作プロデューサーは企画・製作を担い、作品をつくる資金集めから興業まで責任を持つ。制作会社は作品をつくる実作業全般を受け持ち製作から発注されて制作する。制作スタッフの仕事は段取りをたてて円滑に現場を回すことで、いわゆる「雑用係」。制作会社にもラインプロデューサーがいて予算管理などをしているのですが、制作会社はロケ地探しと交渉、弁当の手配からお茶場テーブルの設定、エキストラの誘導や交通整理までまさに雑用全般をこなす、そこで下働きとして走り回るのが制作会社のADなんでしょう。
そんなことは期待もせずに大ファンの有川ひろさんの読んでいない新しい小説が図書館の書架に並んでいたと言うことで借りたのですが、予想外の業界事情の解説にもなって興味津々で読了できました。

映像制作にあこがれて専門学校を出たものの就職先に選んだ映像制作会社は計画倒産。おかげでその片割れと疑われてか就職面接を受けた映像制作会社からはことごとく断られて、食べるためにキャバクラのチラシ配りのバイトをしている良井良助。ひょんなことからバイトの先輩から誘われてあこがれの映像制作会社のバイトに。
そこから話はとんとん拍子で進んで、いつの間にかその映像制作会社「殿村イマジン」の正社員に。
映像制作の現場の様子は有川さんの作品が映画化・テレビドラマ化された時に見たり聞いたりし、原作者として経験したことがベースになっているのでしょう。「図書館戦争」「阪急電車」「県庁おもてなし課」「空飛ぶ広報室」「フリーター家を買う」などなどさすが人気作家、私が覚えているだけでもたくさんの作品があります。
見るもの聞くもの戸惑うばかりの全くの初心者から入った現場で最初はとにかく言われたことを走ってこなすしかなかった主人公が経験を重ねることによって成長していき、何となく気になる助監督と恋愛感情が芽生えていく展開は、いかにも小説で少し調子よすぎるのではと思いつつ、さすが有川さん、手慣れたものでぐいぐい読ませます。
何が起こるか分からない現場で、直面する問題に臨機応変、知恵と度胸と努力で乗り切っていくのですが、そこではちゃんと敵役となる金集めが上手いだけのプロデューサー、わがままな暴君の監督、責任を取ろうとせず上にヨイショするだけのチーフ助監督などなど結構いろいろ出てくるのですが、敵役が憎たらしいほど物語は盛り上がるんですよね。それにしても仕事はできないのに上に取り入ることが上手いのか上司は現実でもいかにもありそうなのですが、そういう人の方が上に取り入って出世街道を順調に上がっていくのは如何。それでも現場の人たちは理不尽にもめげず、いい作品を作ろうとまじめに手を抜くことなく最善を尽くしているのは、ものつくり日本の縮図。そこらあたりをきちんと書き込んであるのが有川作品の人気の秘密ですか。
これは現実によくある話と思っているのは私だけ?もっとも敵役と言えども上にあがっていくのにはそれなりの能力と人望はあるはずで、軽いだけで担がれているわけではないはず。そこらあたりを書き込むと敵役としての魅力を減じるので小説としては書かないのでしょうけど。
ところで小説を映像化するにあたっては、読者のイメージと食い違うことが多々あるのは避けられず、毀誉褒貶がつきもの。有川作品でもキャスティングなどでSNSで炎上したことがあったのですが、有川さんのスタンスは、観たくない人は無理に観る必要はなくて、観る人の権利も観ない人の権利も等しく尊重されるべき。楽しみに待っている人、映像化にかかわっている人の気持ちを傷つける免罪符として原作を振りかざすことをしないでください。この小説の中にもキャスティングに反発する読者の誹謗に原作者がSNSで発信したことが出ているのですが、これは「倒れるときは前のめり ふたたび」で書いてありますが、現実に映像化に対する誹謗があり有川さんが同趣旨のことを発信している。匿名の陰に隠れて悪口雑言を書き散らす人にはちゃんと名前を名乗って自分の言葉に責任を持ってほしいものです。
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9月4日瑞穂公園テニスコートはまたしても雨

2021-09-04 15:21:32 | テニス
戻り梅雨と言うにはちょっと遅すぎて秋雨前線が停滞していると言うのでしょうか、週末はまたしても雨模様。
4日は10時30分から瑞穂公園テニスコートなのですが、朝起きると路面が濡れている。
7時ごろは雨は降っていないのですが、雲が低くていつ降りだしてもおかしくないような天気。

この間からえみちゃんはひっ迫している保健センター現場から手伝ってほしいと言うオファーがあって、口だけなら達者なので手伝うことに。土曜日曜に手伝ってほしいとのことでテニスは欠席に。実際の保健センターはとても手が回らない状況で結局平日も入り週3日勤務するみたいです。これだけ感染者が増えると漏らすことなく毎日電話するだけでも大変なことだと思います。
と言うことで参加者も少ない中、こんな天気では無理することもないか。
レーダーの画像で予想を見ていると10時30分には雨雲が薄くかかっています。

9時にはポツポツと降ってきたので瑞穂公園管理事務所に電話。こんな天気なのでキャンセルしますと連絡をし、その後メールで全員に中止の連絡を一斉送信。
ところが予想外に雨は降らずに12時前には薄日が差すことも。このところの天候不順でちょくちょく見ているのですがレーダー画像は2時間後とか3時間後は結構外れることが多いみたいです。
お昼を食べても雨は降ってこず、レーダー画像で見ても1時間ほどは何とか持ちそうなので、運動がてら散歩に行くことに。
まずは熱田神宮公園から白鳥公園へ。

雲は相変わらず低くて時折霧雨が降ることも。すれ違う散歩の人はみんな傘を持っています。
当然ながら熱田神宮公園テニスコートは誰もやっていません。まあ、クレーコートですし。
そこから熱田神宮まで足を伸ばして参拝。

土曜日と言えどもこの天気で参拝客もちらほら。
そこから神宮東公園まで行き、熱田区公園巡りです。
雨は降っていなくて人工芝なのでやろうと思えばできるのでしょうけど神宮東公園テニスコートも誰もいません。
テニスが出来なかった代わりの1時間ほどの公園とテニスコート巡りでした。
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中野信子「嫌いっ!」の運用・宮坂昌之「新型コロナ7つの謎」

2021-09-03 20:09:14 | 
齢65歳を過ぎ、そういう自覚もないまま立派な高齢者になってしまい、毎日呆然として過ごしているのですが、一つ思うことはもう後は死ぬばかりなので将来のためとかと言うこともなく、好きに生きればいいんだろうと言うこと。
現役時代はこれでも忍び難きを忍び、耐えがたきを耐えてきたつもりなのですが、これからはそんな努力をすることもなく、いやなものは嫌と言えばいいんだよと言い聞かせています。まあ、至って気が弱いのでなかなか嫌と言えないんですけど。
ところで中野信子さんに言わせると「嫌い」と言う感情は、誰にでも芽生えるごく自然な感情で、決してなくすことのできない脳の重要な反応でもあるそうです。生物学的に見ると、自分を守るためになくてはならないものとか。「悪臭」「まずい」「耳障り」などの不快な事物は有害不利益を与える可能性を脳が計算して、それを遠ざけようとするために、嫌いと言う感情を動かす。「嫌い」と言う感情の中には、脳が感じる自分にとっての「不快」「不安」「不審」「違和感」があり、その先には「危険」「恐怖」「不利益」「有害」がある。嫌いと言う感情は根拠ないネガティブな感情ではなく、蓄積された情報から、脳が合理性を持って判断している結果としての心の声。
そう言われるとやっぱりはっきり嫌いと言えばいいんだと勇気づけられます。
因みに動物も「好き」より「嫌い」に強く反応することが分かっているそうです。野生の世界では「嫌い」なものを素早く判断して、即座に退く判断しなければ生きていけない。嫌いと言う感情は大事な生きるための防衛反応なのです。

ところが日本人は同調圧力が強くて、子どもの頃から好き嫌いをなくし、人付き合いの幅を広げ、世の中に適応するようにと教育されてきました。給食でも、私が小学生の頃は嫌いなものがあっても食べれるまで残って食べなさいと言われました。そのせいか今でも給食と言うものには反感を感じています。でも嫌いを我慢して無理に食べるのはストレスをためてよほど体にはよくないし、栄養という観点から言えば代替できる食品は豊富にあります。もっとも歳を取ると嫌だったものでも食べられるようになることもあって、それは味覚が鈍感になったのか人間が丸くなったのか。昔は大嫌いだったトマトとか冬瓜、なすも今では自分から注文することはありませんが出てくれば食べるようになりました。それは大人になったと言うことか。
どうも日本社会ではあからさまに好き嫌いを言うことに対しては協調性がないとか出世に響くとか言われ、憚られがちです。
でもこの本ではそんな「嫌い」と言う感情を克服するのではなく、嫌いと言う感情には効用があり、戦略的に運用することを説いています。
嫌いな人とどう付き合うか、家族に対する嫌悪感、自己嫌悪との向き合い方と具体的に示してあります。
まあ、私にとっては今更と言う面もあり、嫌いな人とは付き合わなくてはいいんだし、嫌なことはやらなくていいんだよと言うことにもちゃんと根拠があると言うことを教えてもらうだけでいいんですけど。
宮坂昌之教授の本は新型コロナのパンデミックに際して2020年11月に急遽出版されたものですが、非常にバランスが取れてすっきり分かりやすい本です。
新型コロナに関しては有象無象の人が色々な議論を展開していて、何が本当か分からないことが多いのですが、宮坂教授は土曜の午前の「朝パラ」にちょくちょく出演していますが、はったりでものをいうところもなく分からない点は歯切れ悪くても正直に答えています。
新型コロナに関しては現在進行形で変異株もどんどん出現していて、日々情報が更新されてきています。世界中でいろいろな論文が出ているのですが、まだまだ振れ幅は大きく、検証するには時間と労力が必要なのでしょう。
この本でも2020年11月の見通しとしてワクチンについては安全で予防効果の高いものは時間がかかると書いてありますし、どちらかと言えばコロナ対策の切り札になるのには開発にもっと時間がかかると言う感じですが、予想外に早く開発できしかもその効果と安全性は高いことが証明されてきており、今や世界各国ともワクチン頼みの面があります。
宮坂教授は早速最近この本の続編と言うべきワクチンに関する本を書いているので、仕事が早くて商売上手と言うところでしょうか。
それはそれとして時事性はなく、ちょっと難しいかもしれないけど、宮坂教授がこの本の前に書いている「免疫と病の科学」は一度読んでみようかと思う次第。感染症との戦いについて知れば知るほど免疫という働きは重要な働きをしていて興味深いものです。
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