怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

東海林さだお「マスクは踊る」

2021-09-08 20:27:55 | 
この本は東海林さだおさんが「オール読物」で連載中の「男の分別学」に「タンマ君」を差し込んだものの最新版。
東海林さだおさんは1937年生まれで齢80歳をとうに超えている。でも世間に対する好奇心は衰えていなくて、連載をちゃんとレベルを保ってこなしている。

この本の中でも田原総一朗との対談の中で
「仕事は最善を尽くしていますね。誰かが監視しているわけではないので、手を抜こうと思ったらいくらでも抜けるんです。自分で作品の質が落ちてきたなと感じた時は、そこが辞め時なのだと思っている。」
と多分覚悟を込めて話しています。書いてる文章からはそんな覚悟はみじんも感じないのですが、絶えず質が落ちて否かどうか自己チェックしているかと思うとそのプロ根性に頭が下がります。
ところでこの本の中で認知症の長谷川式スケールで有名な長谷川和夫聖マリアンナ医科大学名誉教授と対談しているのですが、長谷川名誉教授は自分は認知症と公表しています。その辺の経緯とか長谷川式スケールを開発した理由とかを含めて話は進んでいるのですが、
長谷川先生による認知症予防は、1に血圧コントロール、2に人との交流。でもこのコロナ禍では人と会う機会は大幅に減じてしまっているし、大人数で集まるだけで世間からは糾弾受けそうなんですけど。本を読むことはいいそうで、これは結構読んでいるつもりですが、テレビを見るのはだめか?
因みに東海林さだおさんが最近やっているのは高校時代に使っていた「赤尾の豆単」をもう一度覚え直していることとか。合わせて漢詩の暗記もやっているとか。う~ん、努力している…
これから人生100年時代になるので必然的に認知症の人は増えていくのですが、市民一人一人のちょっとした支え合いがあれば、もっとおおらかに安心して暮らせる社会になると言うのですけど、母親の姿を見ているとそんな楽観的なことは言えない気もするんですけど。
ただ、長谷川先生の「認知症になることは神様からの『大丈夫だよ、死ぬのは何ともないよ。だから安心して生きなさい。怖がることはありません』というメッセージです。恐れる必要はありません」と言う言葉にはちょっと救われます。
田原総一郎さんとの対談では、話題はもっぱら老人の性だったのですが、そこで触れている田原さんの「シルバーセックス論」(2019年)は興味があったので図書館システムで検索してみたのですが、ない。どうも公序良俗に反する本なので購入していないのか…
そんなこんなで、いつものように安心して楽しんで読むことができましたが、中にはへ~と言う豆知識も。
考えたことはあまりないけど、顔面には20種類以上のたくさんの筋肉があって、表情は筋肉で出来ている。多くの動物の中で表情があるのは人間とゴリラなどの類人猿だけだとか。
コロナ禍で話題になった遺体納体袋は「楽天市場」で売られていて、82500円(20枚セット)だそうです。1枚4125円は安いのか高いのか。でも20枚セットで必要な人はいるのか。
一緒に写っているのは、益田ミリ「今日の人生」です。これはコミックなので雨で外出もままならぬ時に、それなりに考えさせられることもあったりして気分転換に読むには最適でした。


コメント
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