週刊朝日の人気連載コラムの東海林さだおの丸かじりシリーズ。今回は「干し芋の丸かじり」(週刊朝日2018年10月12日~19年8月30日)と「町中華の丸かじり」(2019年9月13日~20年11月27日)これで単行本45冊目になります。
さすがにこれだけ連載が続くといくら手を変え品を変えてもネタ切れというか前にも読んだことがあるような気がするところがあり、いささかマンネリ化を感じるのですが、それは東海林さんが歳をとった(1937年生まれなので今年88歳!連載当時だと81歳から83歳)のか、私自身が歳をとったのか。
基本食べ物に関してのコラムですが、東海林さんは好奇心旺盛。飲むおにぎり、悪魔のおにぎり、0秒どん兵衛など目新しい商品が出ればすぐに買い求めて試食、こうしてコラムのネタにして書いています。私は食に関しはどちらかというと保守的で石橋を叩いて渡る主義なのでとてもマネできません。それでも食べ物のことを書く中で通奏低音として世間の動きを反映しており、あからさまには書いてなくても時代を感じることができます。特に「町中華の丸かじり」ではコロナ禍の真っ最中の時期だけに、東海林さんにしては珍しく苛立ちを露にして直接的な表現で政治を論じているところもあります。小池都知事に関しては挿絵に何回も登場していて、当時の状況を皮肉っています。コロナ禍での安倍さんについてはかなり苛立ちを感じていたようで酷評、大いに共感、よく書いたと思う次第。コロナ禍での政府・自治体の対応というのは的外れの右往左往、ドタバタで、これはちゃんと検証されていたのでしょうか。全国一斉小中学校休校、アベノマスクとかgo to travelに時期が妥当だったのかどうかの緊急非常事態宣言とか、為政者として初期対応を誤り、オリンピックを強行開催するために判断を誤っていなかったのか。今となっては早くものど元過ぎて過去のことのようになってしまい、そんなことは忘却の彼方になりつつあるのですが、新興感染症はこれからもパンデミックになる可能性があるだけに教訓を整理しておかないと。
それにしても一定の読ませるレベルを毎週書き続けていくというのは大変な作業だと思います。本人は自分が一定のレベルのものを書けなくなれば引退かと書いていたと思いますが、少しでも長く好奇心を保ち、体に気を付けて倒れるまで書き続けてほしいものです。
もっとも週刊朝日は活字文化の衰退とともに部数を維持することが出来ずにあえなく休刊になってしまいました。さすがに舞台を変えて連載を続けるということはなさそうで、このシリーズもあと2冊で幕を閉じることになります。残念!
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