ガーディアンエンジェルというボランティア団体がある。アメリカのニューヨーク発祥なのだが、犯罪が多発する街をパトロールしつつ清掃などを行って、住みよい街にしていこうとしている。
石田衣良はそのガーディアンエンジェルもどきを上野アメ横を舞台に誕生させ活動させたらどうなるか、この小説で描いている。
相変わらずテンポよくて現代の都会によくある問題、例えばDVとか、引きこもりとか外国人窃盗団を手引きする落ちこぼれとかなどなどに切り込んでいる。必ずしも快刀乱麻というわけでもないのだけどガーディアンとなった個性的な若者4人が悩みながらいろいろな人の手も借りながら問題を解決していく。最初は放置自転車の整理をするぐらいだったのが、その活動がだんだん地元の人たちにも認められていき、声をかけられ、差し入れを貰えるようになっていく。
夜の8時から12時近くまでボランティアだから何の報酬もないのだけど、人のため地域のために働くということが気持ちよくて、それが報酬。
メンバー4人はみんな昼間はそれぞれ仕事を持ち(区役所であり、衣料品店の2代目でありレンタルビデオ屋のアルバイトであり、一人だけ天才は障碍者施設で生活しているのでよくわからないのですが)働いているのだけど、どうやらこのガーディアンの活動のほうがうんと充実しているような。
リーダーのアポロはどことなく池袋ウエストゲートパークのまことを髣髴とさせるキャラクターですが、まことと同じ様に魅力的です。舞台を池袋から上野に移して、ちょっと色を変えてみたということなのでしょうか。
そこそこいろいろな女性も登場してくるのでメンバーの中に色恋沙汰もあるかと思うのですが、そこは期待していたのですが、特になし。
ついでに言えば一時メンバーになったはずの「はやて」は一回こっきりの登場ですが、どうなったんでしょう。ダンスユニットはやっぱりコンクールには出なかったのかな?フリーの立ちんぼうのレイカの扱いも何となく中途半端だったり。もうちょっと続きがあってもよさそうだけど、プロローグから8話で一応完結しているのですが、続編もありでしょうかな。
でもノンストップで読み切ってしまう面白さがあって、暑苦しい夏の夜に読むには最適です。
このところ石田衣良の小説とご無沙汰していましたが、やっぱり時代への問題意識もうまく取り込んでいて面白い。ところでIWGPの最新作って出ているんでしたかね?確か第9巻までは読んだような…
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