怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

佐藤優「国家論」

2010-01-09 08:58:39 | 
いや~久し振りに難しい本を読んでしまいました。
NHKブックスなので、気軽に読めるかと思ったら大間違い。
聖書からマルクス、スターリン、宇野弘蔵まで、もう学生時代に一度は読んだような、あるいは読もうとしてあきらめた微かな記憶のある本がビシバシでてきて、縦横無尽に論じてあって、訳が分らないというのが正直な感想。
資本論で読み解く日本社会の構造などは、学生時代の社会思想史の復習をしているみたいですが、これは多少なりとも講義を受けた過去の蓄積が思い出されて、何とか言っていることは判ったような気がします。
しかし、その後の民族とか宗教とかの話になると、理解不能のまま感心するばかり。意外だったのは民族を論じる際にスターリンの理論を評価していること。学生時代は反帝反スタ一辺倒で、スターリンなどというのは理論的業績のない粗野な党官僚のボスという理解だったのですが、指導者になるにはそれなりの地頭のよさと人を納得させるものがあったというのは当たり前でしょうか。宇野弘蔵を高く評価しているのですが、革命理論ではなく資本主義分析としてのマルクス経済学と考えると、原理、段階、状況という仕切りをして、国家の経済政策を論じているのは、今でも有効な部分があるのではないかと思います。そこからソビエトの位置づけをもう一度考えてみることも必要でしょう。低開発国がテイクオフするための開発独裁の一変形と考えると、当時の希望としての社会主義(昔大学の恩師の教授が、マルクス主義者でなかったのだがロシア革命は本当に世界に希望の突破口があいたように感じたと話していたのが忘れられません)はどこへ行ってしまうのか。遅れた国での一国社会主義をどう捕らえるのか考えさせられます。
それにしても、引用してある原典の用語というか文章表現の分りにくさはどうでしょう。これを理解するにはその本の世界にどっぷり浸かって、頭の中をその言語に変換しないと無理でしょう。佐藤優が噛み砕いて解説しつつ論じているのですが、それでもなかなか理解できません。地下鉄で読むのなら環状線をグルット回る覚悟で本の世界に没頭しないといけないかも。
正月の退屈した時にはこういう世界に浸ってみるのもいいか。
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