怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

2010-08-12 22:35:05 | 
実は私、親子ものには弱いんですよね。
リリー・フランキーという人は、この「東京タワー」が有名になる前には全く知らなかったし、有名になっても暫くは女性だと思い込んでいました。奥付の著者紹介を見るといろいろコラムニスト、イラストレーター、デザイナー云々とやっているみたいですが、これが初の長編です。たぶん自分の半生の体験をそのまま書き込んだものなんでしょう。
九州での生活を描いた前半はフランキー版「青春の門」という感じなのですが、東京へオカンを呼んで、一緒に暮らすようになってから俄然よくなります。オカンの魅力的な姿が生き生きと描かれています。
オカンががんを患い闘病生活を送る姿は、そしてそれを必死に支えようとする姿にはどんどん感情移入して涙が出てきます。生憎丁度いいところを地下鉄に乗っているときに読んでいたのですが、涙をこらえて読んでいると鼻水がどんどん出てきて、これは堪えようもなく往生しました。ほぼ満員の地下鉄に座って本を読みながら一人涙と鼻水まみれになっている初老のおじさん。全く絵になりません。
オカンが末期になって、苦しくて酸素マスクを引き剥がし、点滴を引っこ抜く姿は、義父の末期にも同じようなことがあって、改めて思い起こさせられました。
さすがベストセラーになって映画にもなった作品で、文章は何処となくコラム風なのですが、その分読み易いので一気に読んでしまいました。親子とは何か、夫婦とは何か、いろいろなことを考えさせられます。危険ですから、くれぐれも大勢の人のいる中では読まないで下さい。誰にも邪魔されず一人だけになって読みながら泣きたいだけ泣くとカタルシスというのでしょうかスーッと気持ちよくなります。
コメント
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