事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

井上靖

2012-04-23 16:36:52 | スポーツ

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
価格:¥ 2,730(税込)
発売日:2011-09-30

これはメチャメチャおもしろい、柔道のことなんか全く知らないし、木村政彦の名前も梶原一騎(だったよね)のマンガ「空手バカ一代」で見ただけ、ウロ覚えだが昭和29年の決戦(もちろん力道山との)について大山は「木村さんは全くやる気がなかった」と何かウラ取引があったらしいことを匂わせた(ことになっている)、実際はそんなものではない流血の大惨事、どうやらプロレスではあるハズのないセメントマッチ(それも力道山の一方的な)だったようなのであるが、それはさておき・・・(て私はまだちゃんと読み終わってないのである)

作者の増田さんはずいぶん若い、昭和43年生まれというからリアルの力道山を知らないどころか東京五輪すら知らない年代(ミュンヘン五輪がギリギリ?)、しかしモノスゴイ取材力である、戦前の高専大会(高校と専門学校の全国大会)をホントに見て来たとしか思えない

最初の方で井上靖「北の海」に触れられてるのはうれしい、井上も柔道部員だった、1907年生まれ昭和5年四高卒だから、だから1917生まれ昭和10年拓大予科入学の木村と年代的には全くかぶってない(何で西暦と元号が混ざってるんだって、昭和生まれには昭和の方がピンと来るんだよ)が、あの小説の伏木だの鳶だのという登場人物にはちゃんとモデルがいたようなのだ、もちろん一箇所登場するだけだからその後どうしたのかは不明だが
増田さんとほぼ同年代の元柔道部員が現役の頃「自分の先生は大天井さんのモデルだ」と言っていた、大天井は四高柔道部に出入りする浪人生、どうやら結局入学しなかった(できなかった?)らしいのだが、友人たちが柔道をやめた後も修行を続け後輩を鍛え続けておられたのである、指折り数えるとその件を聞いたのは91年のことで井上は既に亡くなっていた、それより年長の大天井(のモデル)氏はもう80代も後半だったハズだがまだまだお元気とのことで、これはちょっとばかり驚きだった

北の海〈上〉 (新潮文庫) 北の海〈上〉 (新潮文庫)
価格:¥ 662(税込)
発売日:2003-09
北の海〈下〉 (新潮文庫) 北の海〈下〉 (新潮文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2003-09

思えば「北の海」が連載されてたのは(確か中日新聞だったと思う)、彼ら(増田さんや私の若い友人)が生まれた頃いや生まれる前じゃあるまいか、今も入手可能とはめでたい、とつまりはこれが言いたかったのである