事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

フェルディナンド・フォン・シーラッハ

2012-04-22 10:48:48 | ミステリ
犯罪 犯罪
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2011-06-11

本屋大賞以前から評判聞いてたし飲んだくれて本屋へ行ったらおいてあったので「首長竜」といっしょに購入
作者は本職の刑事弁護士とのこと、実際に経験した事件が下敷きになってる部分もあるような、初めのうちは「え、これがミステリ?」と思いながら読んでたけど、全くお互いに関連のない短編がこうして12並んでみると、ミステリとしてピシッと決まったかなという気もする、でもやっぱドイツ人が書くとミステリも哲学になっちゃう一面はあるわね・・・

結婚して48年後に悪妻を殺して切り刻んだ男、別に死体を遺棄するでもなく自首してわりと軽い刑になる、もっと早くやればよかったのに(それかよ?)

日本人の邸宅から金庫を盗んだチンピラたちに危機が迫る、あの、ちょっと日本のヤクザを過大評価されてませんでしょうか、日本人描くロシアマフィアや中国マフィアよりよっぽどコワい、何でも徹底的にやるのがドイツ人・・・なのかな?

「狐とハリネズミ」には注釈が必要かも、ドイツではごくポピュラーな「点子ちゃん」にも出て来るネタ、2匹のハリネズミがスタートとゴールに立って1匹のフリで狐をゴマ化す、確か麦畑で競走することになってたと思う、グランドでは絶対使えないトリック、トゲを立てて身を守ることとは別に関係ないのである

サマータイムでアリバイ成立、何でこれだけ英語なの?ということはさておいても犯人はこいつ以外にありえないんだがなあ、怪しいヤツは絶対ニセ犯人だよ

などと文句を言いつつ読み進み、ラスト4編に至ってギョッ、やっぱコイツ只者じゃなさそうだ

」-ラストで判明するタイトルの意味がコワイ、何で?

愛情」-佐川一政って今でも有名なんだね、もう30年経ったのか

」-ローマ時代の彫刻「棘を抜く少年」の棘はどこへ行ったのか、密かに進行する狂気がリアル、この3編のごとく異常心理を描くのがこの作者の真骨頂かと思いきや

エチオピアの男」-この犯人はちょっと変わってるけどいかにもドイツ人らしい理論派、弁護士のシナリオ通りにことが進むとはいささか楽観的に過ぎる気もするが・・・

これが2011年の本屋大賞、首長竜は2010年のこのミス大賞、今年さらにブレイクするとよいね