事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

↓揚げ足鳥で行こう

2011-11-16 10:33:12 | 本と雑誌

イカちゃんがホメてたのでちょっと考えた、後半、住むヒトのなくなった実家を訪ねるくだりは佐藤春夫へのオマージュだろうと思う(読んでないからわからんけど)、この主人公自身たぶん春夫の分身として造型されてるハズで、なればこそあえてはっきり固有名詞を書いてない、だがそれってどうなのかなあ、書いてもバチは当たらんのじゃないか、というか書かんとわからんヒトの方が多いんじゃないかと言うのは文芸誌読者に対する侮辱かな?
ともあれ後半はけっこうイケてるんだから前半の野口富士男パートをもうちょっと何とかしてもらいたい

まずは2時からの講演に新宮駅へ1時半着とはいささか主催者をバカにしてないか?講演会場が駅前とは決まっとらんだろに、そもこの講演会が佐藤春夫没後40周年記念行事であるのなら演者が一人ということはあるまい、午前中は映画上映とかして(なかったかな、映画化作品)、午後から佐藤春夫研究者と東京から来る流行(?)作家の講演といった構成になるのじゃなかろうか、主人公の出番が3時からであれば1時半に駅到着でもOKかも
となれば松阪からのカーチェイスもそうシッチャカじゃなくなる、とは言え運転手君が新宮から松阪まで2時間ちょっとでたどり着かねばいけないという状況は変わってない、やっぱムリだ

また名古屋駅での一件、この記述によれば新横浜へ9時前についている、切符売り場での交渉があったとしても思ってたよりは10分前ののぞみに乗れるんじゃないか、これなら乗り換え時間16分(手元の時刻表によれば)、何とか指定券買えそうだ、とは言えあんまし余裕はない、地元のナビゲーターがほしいところ

>東京よりの階段を降りて在来線乗換口を出ると写メールで顔を見た若い男が待っていた
「こっちです、そんなに急がなくても間にあいます」早足で歩きながら特急券とキオスクの袋を差し出す
「サンド買っときました、ちょっと早いけど車内で食べてください」
近鉄名古屋駅へ向かう階段を降りる、男は「鳥羽」と書かれた電車を指して「あれです」と言った

>松坂駅を出るとさっきの男が車の脇に立っていた
「あれ、君どうやって来たの?」
「津からこの車で来ました、あ、名古屋駅にいましたか、それ名古屋に住んでる弟です」

この男には翌日もう一度実家の近くで会うことになるのだが
>「あれ、君昨日と車が違うんじゃないか?」
「昨日の運転手は弟です、僕は新宮に住んでます」

実務能力皆無の私ですら一日あればこん程度のことは考えつけます、単行本にされる時はご一考くださいませ、辻原殿へ、名古屋市民より


心臓に悪いことすな!!

2011-11-16 00:18:27 | 本と雑誌

新潮12月号
辻原登天気」-主人公の私は昭和25年和歌山県新宮市(作中ではGとなってるがそれ以外ありようがない)生まれの作家、同市が生んだ文豪(佐藤春夫しかありえない)の没後40周年(てことは2004年?)記念講演に招かれて横浜の自宅から新宮へ向かう、5月藤の咲く休日(たぶん)
ところが新幹線の時間を間違えてた、新横浜8時代発の切符を買ってあったのに9時代に乗ればよいと思いこんでたのだ、名古屋発紀勢線の特急(約10時発、新宮1時半着)にはとても乗れない、どうしようと講演主催者に電話すると名古屋で近鉄特急(約11時発、乗り換え時間7分)に乗って松阪まで来てくれ(この間約1時間)、車で迎えに行く、新宮の講演会場(2時開演)まで2時間ですっ飛ばすという、その通りにしてめでたく滑り込みセーフ・・・・

あのな、車のことを私は知らん、時速130キロでも静かに飛ばせるのかもしれん、けど普通そういうのってパトカーが追いかけてくるのとちゃうか-と思ったけど古かったかな?
ということ以上にこの展開は元乗り鉄として許しがたい、名古屋駅をちゃんと取材したか、確かに知ってるヒトなら新幹線と近鉄を7分で乗り継げるかもわからん、普通の所要時間10分だから走れば行けるかも、だが近鉄特急は全車指定だよ、特急券買ってる時間があると思うか?全く首都圏のヒトは地方のことがわからんのだよなあ・・・

何でこんなムリを通さにゃいかんかったかということはすぐわかる、作家野口富士男が昭和51年に東京から新幹線で名古屋へ、名古屋から近鉄で松阪へ、松阪から友人の車で新宮へ行ったからそれをマネしたのだ、でもってその時のことを書いた野口の「なぎの葉考」を引用して字数を稼いだのだ、そうに決まってる

あのな、言うだけムダとは思うけどその頃はまだ紀勢線の特急なかったの(急行はあった、私も乗ったからまちがいない)、東京のヒトが一日で新宮へ行くのに新幹線-近鉄-車は、松阪に車を持ってる知り合いがいるのならまあリーゾナブルなルートだったの(と思う)、だけどそれはその日のうちに着ければいいというのんびりした日程だったハズ、スピード違反で突っ走ってはいないのじゃない?(読んでないけど)

まだいくらでも突っ込めるけど面倒になったからやめた、確かお宅「自分の小説はパスティシュ」って言ってたよね、それが今回「野口富士男のマネ」になったんだったらその方向はあんましよくないんじゃないかと思う、いや野口が悪いんじゃなく、ロコツに先輩(佐藤春夫含む、だよね?)をマネすること自体がいささか問題なのじゃなかろうかと・・・・
失礼だったら申し訳ない、よく考えれば(考えなくても)年少の読者より