■【心 de 経営】 徒然なるままに日暮パソコンに向かいて 第79段 何事も入りたたぬ 知ったかぶり
「徒然草(つれづれぐさ)」は、吉田兼好による随筆集の冒頭の文章です。作者は、兼好であるという明確な証拠はないようです。おそらく大半の方が、何らかの形で、この文章に接しているのではないでしょうか。
徒然草といいますのは、清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』とならび日本三大随筆の一つといわれています。
高校生時代に戻った気分で、また、社会人として人生を歩み、自分の高校時代には理解できなかったり、誤解していたりすることを発見しながら、独断と偏見に満ちた、我流の解釈を僭越ながらお付けしました。
徒然なるままに、日暮パソコンに向かいて、よしなしごとを、そこはかとなく書き付けてまいります。
お届けも、徒然なるままにアップロードしますので、読者の皆様も、日暮パソコンに向かいて、末永く、徒然にご覧下さるよう、お願いします。
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◆第79段 何事も入りたたぬ 知ったかぶり
知ったかぶりは、見ていてあまり良い感じを受けませんね。この段では、「良き人」は、あまり多くを語らないと記述しています。
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知ったかぶりは、見ていてあまり良い感じを受けませんね。この段では、「良き人」は、あまり多くを語らないと記述しています。
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【原文】
何事も入りたたぬさましたるぞよき。
よき人は知りたる事とて、さのみ知りがほにやは言ふ。
片田舎よりさしいでたる人こそ、萬の道に心得たるよしのさしいらへはすれ。
されば世に恥しき方もあれど、自らもいみじと思へる気色、かたくななり。
よくわきまへたる道には、必ず口おもく、問はぬかぎりは、言はぬこそいみじけれ。
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何事も入りたたぬさましたるぞよき。
よき人は知りたる事とて、さのみ知りがほにやは言ふ。
片田舎よりさしいでたる人こそ、萬の道に心得たるよしのさしいらへはすれ。
されば世に恥しき方もあれど、自らもいみじと思へる気色、かたくななり。
よくわきまへたる道には、必ず口おもく、問はぬかぎりは、言はぬこそいみじけれ。
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【用語】
入り立つ: 中に入り込む 入りたたぬさまは、深く入り込んでいないということから、深くは知らないという意味
よき人: 学問・身分・人格などにすぐれている人
さしいらへ: 受け答え
かたくななり: 見苦しい
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入り立つ: 中に入り込む 入りたたぬさまは、深く入り込んでいないということから、深くは知らないという意味
よき人: 学問・身分・人格などにすぐれている人
さしいらへ: 受け答え
かたくななり: 見苦しい
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【要旨】
どのような場合におきましても、よく知らないふりをするとよいようです。
学問に通じたり、人格高潔であったりする立派な人は、たとえ知っていても、さして知っているような顔をしないでいるものです。
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学問等を究める本道でない道を歩んできていない、軽薄な人というのは、知らない事は何もないといったようなことをいうものです。
ですから、聞いている人は、一旦は、聴いたことのすごさに驚き、時には圧倒されることもありますが、自分自身が自分からすごいと思い込み、自画自賛するような様子は、見苦しいです。
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どのような場合におきましても、よく知らないふりをするとよいようです。
学問に通じたり、人格高潔であったりする立派な人は、たとえ知っていても、さして知っているような顔をしないでいるものです。
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学問等を究める本道でない道を歩んできていない、軽薄な人というのは、知らない事は何もないといったようなことをいうものです。
ですから、聞いている人は、一旦は、聴いたことのすごさに驚き、時には圧倒されることもありますが、自分自身が自分からすごいと思い込み、自画自賛するような様子は、見苦しいです。
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よく知っている分野のことについては、あまり多くを語らず、相手から問われない限りこちらから語るのではなく、寡黙を通す方がよろしいようです。
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【 コメント 】
「能ある鷹は爪を隠す」といいますが、知ったかぶりをする人は、見苦しいことですと、兼好でなくても知っているでしょう。
ところが、人間というのは見栄を張る動物です。「自分は、偉い人間である」といいたがります。
私が携わってきました経営コンサルタントという職業におきましても、同業者の中には、「私の関係先は、○○会社や△△社などです」と有名企業の名前をずらずらと並べるコンサルタントがいます。有名企業と関係があるようにいいますと、それを聞いた人は、「あのコンサルタントの先生はすごい人なのだ」と思うかも知れません。
しかし、その様なコンサルタントの大半が、その様な大企業で、1回か、せいぜい数回、社員研修の講師を務めただけの経験のようです。
なぜなら、大企業というのは、コンサルティング・ファームといわれるような大手に依頼することが一般的で、個人や小さなコンサルティング会社に、顧問的な大きな仕事を依頼することはほとんどないからです。
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「能ある鷹は爪を隠す」といいますが、知ったかぶりをする人は、見苦しいことですと、兼好でなくても知っているでしょう。
ところが、人間というのは見栄を張る動物です。「自分は、偉い人間である」といいたがります。
私が携わってきました経営コンサルタントという職業におきましても、同業者の中には、「私の関係先は、○○会社や△△社などです」と有名企業の名前をずらずらと並べるコンサルタントがいます。有名企業と関係があるようにいいますと、それを聞いた人は、「あのコンサルタントの先生はすごい人なのだ」と思うかも知れません。
しかし、その様なコンサルタントの大半が、その様な大企業で、1回か、せいぜい数回、社員研修の講師を務めただけの経験のようです。
なぜなら、大企業というのは、コンサルティング・ファームといわれるような大手に依頼することが一般的で、個人や小さなコンサルティング会社に、顧問的な大きな仕事を依頼することはほとんどないからです。
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その人が、得意げに、いろいろとしゃべりますと、守秘義務違反になるようなことも含まれかねません。私は、自分の顧問先の固有名詞は口にしないで通してきています。
事例として何かを紹介した折に、事例を具体的に紹介すればするほど、それが、どこの企業なのかを推量されかねません。その結果、守秘義務抵触に繋がりかねませんので、この方針を貫いてきているのです。
自分自身を大きく見せようとしますと、結果的に自分の首を絞めることに繋がってしまいかねないのです。
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事例として何かを紹介した折に、事例を具体的に紹介すればするほど、それが、どこの企業なのかを推量されかねません。その結果、守秘義務抵触に繋がりかねませんので、この方針を貫いてきているのです。
自分自身を大きく見せようとしますと、結果的に自分の首を絞めることに繋がってしまいかねないのです。
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