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経営コンサルタントへの道

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【小説風】竹根好助の経営コンサルタント起業3 アメリカ初体験 3-3 心細いサンフランシスコ上空

2024-01-19 12:03:00 | 【連載小説】竹根好助の経営コンサルタント起業

  【小説風】竹根好助の経営コンサルタント起業3 アメリカ初体験 3-3 心細いサンフランシスコ上空

 

■ 【小説風】 竹根好助の経営コンサルタント起業 

 私は、経営コンサルタント業で生涯現役を貫こうと思って、半世紀ほどになります。しかし、近年は心身ともに思う様にならなくなり、創業以来、右腕として私を支えてくれた竹根好助(たけねよしすけ)に、後継者として会社を任せて数年になります。 竹根は、業務報告に毎日のように私を訪れてくれます。二人とも下戸ですので、酒を酌み交わしながらではありませんが、昔話に時間を忘れて陥ってしまいます。それを私の友人が、書き下ろしで小説風に文章にしてくれています。 原稿ができた分を、原則として、毎週金曜日に皆様にお届けします。

【これまであらすじ】

 竹根好助は、私の会社の後継者で、ベテランの経営コンサルタントでもあります。
 その竹根が経営コンサルタントに転身する前、どのような状況で、どの様な心情で、なぜ経営コンサルタントとして再スタートを切ったのかというお話です。

 1ドルが360円の時代、すなわち1970年のことでした。入社して、まだ1年半にも満たないときに、福田商事が、アメリカ駐在事務所を開設するという重大発表がありました。
 商社の海外戦略に関わる人事案件なので、角菊貿易事業部長の推薦する三名を元に、準備は水面下で慎重に進められていました。その中に竹根の名前が含まれていることは、社員の誰もが思いもよりませんでした。
 討議を重ねた結果、福田社長は、海外戦略にも関わる高度な人事の問題なので、専務と社長に一任してほしいと言って三者会談を終えることにしました。しかし、後日、角菊事業部長は、最終的に、自分が推薦した佐藤君ではなく、竹根に決まったと聞かされます。

 一方で、角菊は、自分の意図とは異なる社長の結論に納得がいかないのですが、かといって、それをあからさまにすることはしませんでした。他方、竹根は角菊からの内示なしに、社内には竹根に白羽の矢が立っていることを知りました。
 竹根に何の説明もなく、ニューヨーク駐在の人事発表が発表されました。海外経験のない竹根は戸惑うばかりで、どの様な準備をしたらよいのか途方に暮れていました。そのような時に、直接の上司である池永が再びアドバイスをしてくれ、準備を始めました。しかし、あっという間に出発の日が来たのです。

 空港で家族や長池の見送りを受け、初めての飛行機に搭乗。シートに座っても落ち着きません。次々と出てくる機内食にも戸惑います。初めてのカルチャーショックを味わう竹根です。

 雲と海だけの長いフライトの末、ようやく地上が見えてきました。サンフランシスコの上空から滑走路に向かうのです。着陸の不安、着地後の安堵、アメリカという新天地への期待などが入り混じっていました。

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【過去のタイトル】
 1.人選 1ドル360円時代 鶏口牛後 竹根の人事推理 下馬評の外れと竹根の推理 事業部長の推薦と社長の思惑 人事推薦本命を確実にする資料作り 有益資料へのお褒めのお言葉 福田社長の突っ込み 竹根が俎上に上がる 部下を持ち上げることも忘れない 福田社長の腹は決まっていた

 2.思いは叶うか 初代アメリカ駐在所長が決定 初代所長の決定に納得できず 竹根に白羽の矢 竹根の戸惑い 長池係長のアドバイス 急ごしらえの出張準備が始まる 

 3 アメリカ初体験  いよいよ渡米、最初のカルチャーショック キュンとしたりトロトロしたり

■■ 3 アメリカ初体験

 私の会社を引き継いでくれた竹根が、経営コンサルタントになる前の話をし始めました。思わず私は乗り出してしまうほどですので、小説風に自分を第三者の立場に置いた彼の話を、友人の文筆家の文章を通して、ご紹介します。

◆3-3 心細いサンフランシスコ上空

 社命とはいえ、海外に行ったこともない若造、竹根好助が一人単身でアメリカに向かう、心細さとアメリカビジネスへの期待が交叉する搭乗です。

 DC-8では、目的地のニューヨークまで直行することができないので、いったんサンフランシスコで給油する。給油の間に搭乗者は入国手続をするのだ。そのサンフランシスコが眼下にある。
当 然のこと、飛行機の着陸体験も生まれて初めての体験だ。雲海を、飛行機が、グググーっと降下するのは、脳味噌が頭の上に吹き出してしまうような感覚でわかるが、そのまま海の中に落ち込んでしまうかのような恐怖に襲われた。エレベーターの下降の時のいやな感じなどとは比較にならない。
 やがて降下の不快感から解放された。臨席の横にある窓からは、海がキラキラとした太陽の反射と共に見えてきた。サンフランシスコのどの当たりかわからないが、海岸も見えるが、家らしいものはまだ見えない。飛行機が低空を飛んでいることはわかるが、すぐに雲の中に再び飛び込んでしまった。上も下も真っ白である。山歩きが好きな竹根は、山で何度も霧の中を歩いたが、そのときは地に足が付いているので、安心できた。ところが今は地に着いていない。思わず足を突っ張ってしまった。それを緩めようとしても足に力が入ってしまう。
 突然開けた視界には、赤茶けたところや白っぽいところがまだら状に見え、それがなんであるかはわからない。やがて、枯れた草地のようなところに来た時には、すぐ真下にそれが見えるようで、そこに着陸するかと思ったほどである。その草地に隣接するのは、海である。高度はそれほどではないが、波頭が小さく見えるので、多少風が強めなのかとわかると、飛行機が風であおられないかと心配になった。数年前、日本の飛行機がサンフランシスコ湾に着水したという事故のことを思い出した。
 ホッとしたのは、飛行機が地上をゆっくりと走っているのがわかった時である。飛行機は、もっとも安全な乗り物であると聞いてはいたが、「着陸は怖い」と竹根は思った。しかし、地上を走り出すと、安堵感が一挙に高まった。

  <続く>

■ バックナンバー

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