■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 真の原因を探り出す「コミュニケーション力」 3201-4807
経営コンサルタントを半世紀にわたってやってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。
【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。
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■ 真の原因を探り出す「コミュニケーション力」 3201-4807
家族4人で経営する釣具店での出来事だった。かつて息子がルアーや工具でオリジナルブランドを開発し、売り上げ拡大を果たしたものの、その後は新しい商品開発がままならず、息子は連日、深夜までパソコンの前でキーボードをカタカタ。その様子をうかがう父親は「夜遅くまでパソコンをのぞき込んで何をやっているんだ」と思いつつも、声をかけることはなかった。親子間の意思疎通がないまま、時間だけが過ぎていき、オリジナルブランドの開発・販売というビジネスモデルは崩壊しつつあった…。
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そこに登場したのが商工会議所の経営指導員として長年の経験を有するK氏。K氏は、父親と息子、別々にヒアリングを行った。その結果、過去に経営手法を巡って親子間に溝が生じ、それ以来、意思疎通が図れていないことがわかった。その一方で、両者とも心の中ではお互いを理解していることも把握できた。同店の本質的な経営課題が親子間のコミュニケーション不足だと認識したK氏は、意思疎通の機会として食事会の提案を行った。
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また、息子の深夜の行動はネット注文について入金確認や発送開始メールなどを行っていたもので、そうした対応に忙殺されたために新商品の開発に手が回らなくなっていたのが実情だった。そこで商品の開発強化に専念できる時間を確保できるよう、デジタル対応力のあるアルバイトを採用し、ネット注文の対応を任せた。こうした課題解決策により同店の年商は1.8倍になったという。
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K氏の提案は、周囲がアッと驚くような離れ業ではなく、食事会とアルバイトの採用という、ごく普通のものだった。そうしたありふれた、かつ効果的な解決策を導き出したのはK氏の「コミュニケーション力」だった。コミュニケーション力とは「事業者のことを理解し、どんな情報が必要なのか、本質的な課題を引き出すために経営者とどう関わればいいのかを見極めるスキル」とK氏は言う。表面的な問題だけ見て補助金など一時しのぎの支援を提案するのではなく、コミュケーション力により問題の真の原因を探り出し、その課題を解決していくことが重要だというのだ。
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こうした手法は課題設定型の伴走支援と呼ばれ、中小企業庁が幅広い実施を呼び掛けている。K氏も2021年に埼玉県商工会議所連合会の初代広域指導員に就任し、商工会議所・商工会の経営指導員のスキル向上に取り組んでいる。K氏や先進事例となる商工会議所・商工会の取り組みは関東経産局と中小機構運営サイト「J-Net21」とが連携して同サイトで順次紹介している。
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経営者・管理職の多くは、コンサルタント・士業の利用ということに意外と関心が薄いようです。と、いうよりも、コンサルタント・士業が、どのような問題・課題に、どの様に支援してくれるのかをご存知ないことから、積極的に、コンサルタント・士業活用に取り組んでいないのが現状ではないでしょうか。
出典: e-中小企業ネットマガジン