■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 電力ロス少なく低コストのパワー半導体開発 94039926
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■ 電力ロス少なく低コストのパワー半導体開発 94039926
パソコンとコンセントをつなぐ途中に必ず存在するのがACアダプター(電圧調整器)だ。このアダプター、長時間使っていると熱を放つ。コンセントから取り込んだ電力をパソコンなど電子機器に伝えるときに電力の損失(ロス)が出てそれが熱に変わってしまうのだ。アダプターはたいてい箱状の形をしていて重さがあり、出張時など持ち歩きに不便だ。
既存のACアダプターより電力ロスが少なく、機器も小さくできる技術が実用化目前だという。核になるのは京大発のベンチャー企業、FLOSFIA(京都市西京区、人羅俊実社長)が開発した酸化ガリウムを使ったパワー半導体だ。
酸化ガリウムとは、酸素とガリウム(Ga)の化合物。ガリウムは青色発光ダイオードなどに使われている元素だが、酸素と化合させてコランダムという自然界に存在しない特殊な構造をした膜をつくることに京大が世界で初めて成功した。ガリウムを特殊な溶媒に溶かし、霧(ミスト)状にして基板に流し込み、霧が基板に降着する寸前に加熱して溶媒を乾燥(ドライ)させて化学反応を起こす。すると基板上に1ミリの100分の1程度の数10ミクロンの酸化ガリウムの薄膜が合成される。この製法はミストドライ法と名付けられ、国内外で300件超の関連特許を出願済みだ。
ミストドライ法は液体を原材料として使うので反応温度が高温にならず、加工プロセスの自由度が高い。他の材料より低コストでもある。FLOSFIAはこの製法で金属や高性能セラミックスヘの成膜のほか、電気器具に安定した電源を供給するのに欠かせない大きな電流を流せるパワー半導体のデバイス(電子部品)をつくっている。まず酸化ガリウムをつくり、次に微細加工して電子部品機能を加え、最後に全体の構造を作り込む。試作品は損失低減の目安となる『特性オン抵抗』値で世界トップデータを出した。
ACアダプターから発生する電力ロスは日本全体では原子力発電装置1基分にも相当するという。酸化ガリウムのパワー半導体は長期的には電力ロスをいま最先端のデバイスの10分の1にできるというから、SDGs(持続可能な国際目標)に適う。応用分野はACアダプターだけに留まらない。家電やデジタル機器、クルマや鉄道車両の駆動など世の中には電力が必要な分野があまたある。人羅社長は「酸化ガリウム市場を定着させ、将来は売上高数千億円、従業員数千人規模の事業をつくりたい」と前を向いている。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成