しばらくの間行っていなかった本屋に久々に寄ってみた。
どうせ本を買っても読まないだろうし,本を置くスペースもないし,お金の無駄になるからと思い,最近は本を買うのを控えていたのである。
けれども,昨日,ネットサーフをしていて,どうしても欲しい本が何冊かできてしまった。
そのうちの一冊は某大手ネット販売サイトで注文してしまった。
他に二冊欲しい本があるが,一冊が3千円を超える値段なので躊躇している。
今回本屋に行ったのは,僕の購買欲を刺激するタイトルばかり出しているちくま学芸文庫の新刊を確認するためだった。
案の定,発行日が先月と今月になっている新刊2冊を買ってしまった。
まず,『高等学校の基礎解析』というタイトルの本で,これの姉妹本である『高等学校の確率・統計』という本を以前買っていたので,シリーズものならばそろえようというくらいの気持ちで買った。
ところが,内容をよく見てみると,僕が高校における積分の導入の仕方で常々感じていた不満がこの教科書ではすっきり解決されていたことを知り,大いに驚いた。
基礎解析は現在の数学Bで扱われている数列と,数学IIで扱われている三角関数,指数・対数関数ならびに多項式関数の微分積分をあわせた科目である。僕が高校生の頃は,数学の科目は数学I・II・III;A・B・C という名前ではなく,基礎解析や代数幾何という名称だった。
さて,僕が現在の高校での積分の扱いに対して抱いている不満とは,微分の逆演算として不定積分を先に導入し,その後導入された定積分でなぜか図形の面積が求められるという話の順序である。
微分の計算に習熟してすぐさま不定積分の計算に入るのは,確かに話の流れとしては接続がよいが,それでは積分の意味がわからなくなってしまう。
肝心なことは,積分が図形の面積を求める典型的な手法に端を発した概念であるという,「積分とは何か」という意味であって,それなくしては他の科学や工学などに積分の考え方を応用する力は決して養われないだろう。
そのような積分のアイデアをきちんとふまえた上で,いざ図形の面積などを計算で求めようというときに,その前に習った微分の知識が役立てられるという「微分積分学の基本定理」が導入され,その結果,具体的に積分の値を求められるようになる,という流れが望ましいと思う。
『高等学校の基礎解析』では,まさにこの流れに沿って積分が導入されているのである。そのような検定教科書がかつてこの日本に存在したということは,これまで全く知らなかった。それと同時に,なぜこの教科書のスタイルが今日まで生き残っていないのか,それが残念で仕方がない。(もしかしたら僕が知らないだけで,実は生き残っているのかもしれないが。それならばそれで嬉しい限りである。ぜひそうであることを願いたい。)
また,この本には教科書だけでなく,教師用の指導資料も収録されている。そしてその資料も読み応えのあるものばかりである。
新刊を求めて本屋に立ち寄った結果本書に出会ったというのは,何か見えない運命に手繰り寄せられたのだとしか思えないような出来事である。
本屋で買ったもう一冊は,イアン・スチュアート著の『現代数学の考え方』である。
この手の本は他にも持っているので,自分のライブラリーにいまさらもう一冊付け加えても仕方がないと思いつつも,著者名に惹かれてぱらぱらとページってみたところ,284ページの末尾に書かれた線形代数の学び方に対する著者のコメントが目に入り,やはり手元においておきたい一冊だという気にさせられ,買ってしまった。日本の高校や大学で習う内容が多く取り上げられているので,それらの内容の「ココロ」を知るにはうってつけである。特に,それらの項目を学ぶ際にどのような心構えをしておくとよいか,ということに関するヒントに満ち溢れているので,集合や線形代数,微分積分などで「なぜこんなことを考えるのだろうか」などと,考え方や物事の捉え方などに悩んだときに,本書は悩みを解決する上で大いに役立つに違いない。
そのように学習者の役に立つということは,教える側の教師にとっても,教え方を反省したり,教え方を工夫するのに役立つということである。だから,この本を買ったのは間違いではないと確信している。
いずれの本も,買っただけで読まずにいたのでは宝の持ち腐れになってしまうので,興味を持ったところだけでも目を通したいと思っている。
そのための GW,かな。
どうせ本を買っても読まないだろうし,本を置くスペースもないし,お金の無駄になるからと思い,最近は本を買うのを控えていたのである。
けれども,昨日,ネットサーフをしていて,どうしても欲しい本が何冊かできてしまった。
そのうちの一冊は某大手ネット販売サイトで注文してしまった。
他に二冊欲しい本があるが,一冊が3千円を超える値段なので躊躇している。
今回本屋に行ったのは,僕の購買欲を刺激するタイトルばかり出しているちくま学芸文庫の新刊を確認するためだった。
案の定,発行日が先月と今月になっている新刊2冊を買ってしまった。
まず,『高等学校の基礎解析』というタイトルの本で,これの姉妹本である『高等学校の確率・統計』という本を以前買っていたので,シリーズものならばそろえようというくらいの気持ちで買った。
ところが,内容をよく見てみると,僕が高校における積分の導入の仕方で常々感じていた不満がこの教科書ではすっきり解決されていたことを知り,大いに驚いた。
基礎解析は現在の数学Bで扱われている数列と,数学IIで扱われている三角関数,指数・対数関数ならびに多項式関数の微分積分をあわせた科目である。僕が高校生の頃は,数学の科目は数学I・II・III;A・B・C という名前ではなく,基礎解析や代数幾何という名称だった。
さて,僕が現在の高校での積分の扱いに対して抱いている不満とは,微分の逆演算として不定積分を先に導入し,その後導入された定積分でなぜか図形の面積が求められるという話の順序である。
微分の計算に習熟してすぐさま不定積分の計算に入るのは,確かに話の流れとしては接続がよいが,それでは積分の意味がわからなくなってしまう。
肝心なことは,積分が図形の面積を求める典型的な手法に端を発した概念であるという,「積分とは何か」という意味であって,それなくしては他の科学や工学などに積分の考え方を応用する力は決して養われないだろう。
そのような積分のアイデアをきちんとふまえた上で,いざ図形の面積などを計算で求めようというときに,その前に習った微分の知識が役立てられるという「微分積分学の基本定理」が導入され,その結果,具体的に積分の値を求められるようになる,という流れが望ましいと思う。
『高等学校の基礎解析』では,まさにこの流れに沿って積分が導入されているのである。そのような検定教科書がかつてこの日本に存在したということは,これまで全く知らなかった。それと同時に,なぜこの教科書のスタイルが今日まで生き残っていないのか,それが残念で仕方がない。(もしかしたら僕が知らないだけで,実は生き残っているのかもしれないが。それならばそれで嬉しい限りである。ぜひそうであることを願いたい。)
また,この本には教科書だけでなく,教師用の指導資料も収録されている。そしてその資料も読み応えのあるものばかりである。
新刊を求めて本屋に立ち寄った結果本書に出会ったというのは,何か見えない運命に手繰り寄せられたのだとしか思えないような出来事である。
本屋で買ったもう一冊は,イアン・スチュアート著の『現代数学の考え方』である。
この手の本は他にも持っているので,自分のライブラリーにいまさらもう一冊付け加えても仕方がないと思いつつも,著者名に惹かれてぱらぱらとページってみたところ,284ページの末尾に書かれた線形代数の学び方に対する著者のコメントが目に入り,やはり手元においておきたい一冊だという気にさせられ,買ってしまった。日本の高校や大学で習う内容が多く取り上げられているので,それらの内容の「ココロ」を知るにはうってつけである。特に,それらの項目を学ぶ際にどのような心構えをしておくとよいか,ということに関するヒントに満ち溢れているので,集合や線形代数,微分積分などで「なぜこんなことを考えるのだろうか」などと,考え方や物事の捉え方などに悩んだときに,本書は悩みを解決する上で大いに役立つに違いない。
そのように学習者の役に立つということは,教える側の教師にとっても,教え方を反省したり,教え方を工夫するのに役立つということである。だから,この本を買ったのは間違いではないと確信している。
いずれの本も,買っただけで読まずにいたのでは宝の持ち腐れになってしまうので,興味を持ったところだけでも目を通したいと思っている。
そのための GW,かな。