トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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多肉植物が主人公の児童図書/『てっこう丸はだれでしょう?』

2009-09-26 01:54:58 | 絵本・児童文学
てっこう丸はだれでしょう? (おはなしひろば)
さとう まどか
フレーベル館

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 この児童書のタイトルにある「てっこう丸」について知っている人はどれくらいいるのかな?
 漢字では「鉄甲丸」と書く。南アメリカ生まれの多肉植物で、寒さには弱い。葉っぱが生えている時は、ソテツのような形態をしている。こんなマニアックなサキュレントが主人公の児童書にお目にかかるのは初めてのことだ。

 話は、若夫婦のマンションにいるてっこう丸が、引っ越しの時に、枯れたものと思われて、捨てられるところからの旅が描かれる。すっかり葉を落としててっこう丸は、てっきり枯れたものと判断されてしまったのだ。この後も、少女に拾われるのだが、多肉植物に冬の間、水をやり過ぎてしまう。だから、身体がぶよぶよになったてっこう丸は、すっかり腐ってしまったものと勘違いされて、また捨てられる。
 
 このお話の中では、植物にも人間の言葉がわかるし、植物同士も会話ができるという設定が取られている。植物に音楽を聴かせている農家の人もいるしね。
 確かに、植物に声を毎日かけたら、植物がそれにこたえて、しっかり成長して、きれいな花を見せてくれたり、おいしい実をつけてくれそうな気がする。

 植物の声が聞こえる人の事を「みどりのおやゆび」って言うんだと、この本の中に書いてあった。

 少女に寒い冬に捨てられたときに、冷たい雨に打たれるてっこう丸は、すっかり覚悟を決めてしまう。寒さと過度の水分に弱い植物だからね。

 気がついたとき、おもしろいおばあさんに拾われていた。このおばあさんの家には、他にも植物が育てられていた。おばあさんは、いつも、植物たちに声をかけているんだ。そう、てっこう丸の育て方、おばあさんはよく知っていたんだ。だから、元気になったてっこう丸の頭から、葉っぱが出てきて、すっかりハンサムになったんだ。

 でも、おばあさんが、朝から姿を見せず昼にも現れなかった。夜になって、電話が鳴りっぱなしだった。そのうちに、ドアからおばあさんの娘さんが現れた。おばあさんが、救急車に乗せられたのは、そのすぐ後だった。

 さて、お話はどう展開するのでしょうか。

 この本は、多肉植物の育て方もよく調べて書かれていました。他にも竜血樹やアロエの不夜城などが、おばあさんの家に登場します。植物たちが、正面に出てくる本が珍しくて、読んでいてうれしくなりました。

気になるニュース/「国産ワクチン2700万人分に増産」「ワクチン半額補助 渋谷区、妊婦や高齢者に」

2009-09-25 16:54:22 | 政治


国産ワクチン、2700万人分に増産 新型インフル(朝日新聞) - goo ニュース

ワクチン供給見積もり、2700万人分に―厚労省(医療介護CBニュース) - goo ニュース

 新型インフルエンザの国内産ワクチンの生産量は、厚生労働省の従来の発表では、約1800万人分とされていて、大幅な不足分が見込まれていた。しかし、24日の厚労省の発表では、約2700万人分に生産量が上方修正された。
 ワクチン生産に使用される有精卵の中でのワクチンのもとになるウイルス株の増え方が想定よりよかったことなどが理由だという。これを受け、子どもでは1歳から就学前までと予定している優先接種の対象を小学校1~3年にも拡大する検討を始めた。なお、優先接種の意見公募で要望の多かった受験生や保育士への対象拡大は見送る考えという。
 大幅な生産量増加は歓迎されるべきことだが、それでも多い不足分は外国からの輸入に頼ることになる。

新型インフルワクチン半額補助 渋谷区、妊婦や高齢者に(朝日新聞) - goo ニュース

 新型インフルエンザワクチンの費用は、厚労省により、全国一律の費用を設定する方針である。自己負担額は、6000円から8000円程度とみられる。
 低所得者や生活保護者に対しては減額の措置が取られることになるが、この負担額は決して安いものではない。
 
 各地方自治体においては、助成を求める声が一部で寄せられている。

 自治体の苦しい財政情勢から、助成が難しいという声を反映したのが、厚労省による全国一律の費用設定の理由でもあった。

 そんな中、『東京都渋谷区は24日、新型インフルエンザ対策として、妊婦や高齢者など重症化しやすい区民約3万7千人を対象に、ワクチン接種費用の半額程度を助成すると発表した。30日から始まる区議会定例会に事業費約1億9千万円を盛り込んだ補正予算案を提出する。』と、朝日新聞の東京版で報道された。

 渋谷区では、医療従事者の次に優先度が高いとされている透析患者など持病のある人、妊婦や乳幼児、小中学生、65歳以上の高齢者に、1人1回2千円、2回分まで助成する。 2回の接種で8000円の自己負担額を前提とした助成であるが、8000円を割った場合は、半額以上の補助となる。対象者にとってはありがたい補助制度となるが、他の自治体の対応が、今後、注目される。

平和への希望/絵本『少年の木 ~希望のものがたり』

2009-09-25 01:33:30 | 絵本・児童文学
少年の木 ~希望のものがたり~
マイケル フォアマン
岩崎書店

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 今も、世界のどこかで戦争や争いが起こっている。僕たち人間は、昔から戦争を何度繰り返してきたことか。歴史を振り返った時、そして、現在も続く愚かな行為を見続けた時、もう、希望を持つことする許されないのか。絶望のうちにしか生きることができないのか。

 この本は、小さなものだが、大きくなる可能性を秘めた平和への希望を描いた作品である。作者の英国人マイケル・フォアマンは、今までに200冊以上の作品を書いてきたが、一番大切なテーマは、いつも「平和」であったという。訳者は、ノンフィクション作家の柳田邦男氏である。

 鉄条網が張り巡らされたこちら側の街は破壊つくされ、廃墟となっていた。それでも、人々は生活をしていた。彼らには、そこが自分の街だから。鉄条網の向こうでは、いつも、兵士が見張っていた。その先には、立派な街並みが見えていた。

 少年の遊び場も破壊され、父親とよく登った丘は、鉄条網の向こう側。あの美しい丘にはもう行くことができない。

 少年は、ある日、がれきの中に小さな緑の芽を見つけた。がれきを取り除き、日よけを作り、水をやり続けた。彼の秘密の庭。
 やがて、緑の木はつるになってどんどん葉を茂らせ、鉄条網の高さまで届くようになった。ブドウの木であった。つるは鉄条網を伝わって。大きな葉の茂みとなった。鳥もやってきた。チョウもやってきた。彼らは、花のタネを運んできた。今では、秘密の庭ではなく、子どもたちの緑の遊園地となった。
 しかし、ある日、鉄条網の向こう側から兵士たちがブドウの木を根こそぎ引き抜いてしまった。少年の哀しみ。その年の冬、破壊された家の中で、少年の一家は寒さに耐えていた。
 遅い春が来た。少年は、鉄条網の向こうに緑の葉がたくさん出ているのを見つけた。引き抜かれたブドウの木が残したタネから芽が出たのだ。でも、少年には、前のように水やりはできない。
 でも、ある日、少年は、少女がバケツで小さな緑の葉たちに水をやっているのに気が付いた。少女は、毎日夕方になると水やりに現れた。兵士たちは、自分たちの土地に木が生えることは気にしていなかった。
 そして、少年は、ある日、去年ブドウの木が生い茂ったがれきの中に、小さな緑の葉が再び芽生えているのを見つけた。
 鉄条網を挟んで育つ木は、やがて絡みあって、鉄条網はすっかり葉に覆われ見えなくなった。チョウや小鳥たちも戻ってきた。ブドウの木たちは、根っ子を地面にしっかりと深く張り、もう抜かれることもないだろう。
 鉄条網を挟んで、両方の子どもたちの緑の遊園地。

 きっといつか、鉄条網が消えて、あの美しい丘に再び登れる日が来ることを、少年は信じている。

 特定の国や地域を想定していないという。しかし、僕には、パレスチナがイメージされた。かつて、ナチやヨーロッパ諸国に迫害された民族が、今度は、別の民族を迫害している。でも、イスラエルの中にも、平和を目指す人々がいる。希望は捨ててはいけないのだろう。

 世界中の紛争が起こっている国の子どもたちが、希望を持てる世界が訪れる事を諦めてはいけない、そんなメッセージを送ってくれる絵本であった。